不動産の税金

豊島区 収益物件で安定収益を狙うコツ

再開発が進む池袋駅周辺や歴史ある巣鴨エリアなど、豊島区は「住みたい街」と「働きたい街」の両面を兼ね備えています。ところが、物件価格が高止まりする一方で、空室リスクや利回りの変動を心配する投資家も多いはずです。そこで本記事では、豊島区 収益物件の最新データをもとに、購入前に確認すべき市場動向、物件タイプ別の収益性、資金計画の立て方、リスク管理の考え方を整理します。初心者でも実践できるキャッシュフロー計算や2025年度の税制優遇も取り上げるので、読み終えた頃には具体的な次の一歩が見えてくるでしょう。

豊島区の市場環境を読み解く

豊島区の市場環境を読み解くのイメージ

まず押さえておきたいのは、豊島区が人口減少局面でも安定した転入超過を維持している点です。東京都住民基本台帳によると、2025年1月時点の区内人口は約30万7千人で、前年比0.6%の微増となりました。再開発による就業機会の増加が賃貸需要を下支えし、空室率を低位に保っていることが特徴です。

一方、国土交通省「土地総合情報システム」の成約事例を見ると、区内中古マンションの平均成約価格は過去5年間で平均年3.8%上昇しています。価格が上がれば利回りは低下しそうですが、賃料相場も同期間で約2.5%伸びており、大幅な利回り悪化にはつながっていません。また、池袋駅東口の再開発ビル完成が近づくにつれ、エリア内のワンルーム平均賃料は2024年比で4%上昇しました。

こうしたデータが示すのは、豊島区 収益物件は価格も賃料も緩やかに上昇し、インフレヘッジに向くという点です。しかし、全域が好調というわけではなく、要町や長崎など副都心線沿線の一部では築古物件の賃料が頭打ちです。つまり、区内でもマイクロロケーションを吟味し、需要を取り込める場所を選定する目が欠かせません。

収益性を左右する立地と物件タイプ

収益性を左右する立地と物件タイプのイメージ

重要なのは、立地特性と物件タイプの組み合わせで利回りが大きく変わることです。たとえば、池袋駅徒歩5分圏内の築浅ワンルームは表面利回り4%台でも空室期間が短く、実質利回りは安定します。一方、巣鴨駅徒歩8分の築30年木造アパートは表面利回り7%前後でも、設備更新費用の増加で手残りが減るケースが目立ちます。

まず立地ですが、都電荒川線沿線や区境エリアは物件価格が抑えられる半面、交通利便性が劣り賃料設定に制限が生じます。言い換えると、投資初期コストを優先するなら郊外寄りのエリアでも良いものの、長期保有するなら山手線沿線に近い場所が有利です。

物件タイプについては、ワンルームマンション、1LDK、戸建て投資の三つが主流です。REINSの2025年前半データでは、豊島区の区分ワンルーム平均価格は2,800万円、賃料は月10万円弱で表面利回り4.3%です。対照的に、木造アパート一棟は平均価格1億2千万円、満室想定賃料650万円で表面利回り5.4%ですが、修繕費や管理負担が重くなります。つまり、少額から始めたいなら区分マンション、キャッシュフロー重視なら複数戸アパートといった選択が合理的です。

さらに、副業規制の緩和によって30代会社員の投資家が増えたことで、自己使用も視野に入る1LDK需要が拡大しています。池袋から一駅の要町では1LDK賃料が過去3年で8%上昇し、表面利回りは5%台を維持しています。将来的に売却出口を多様化できる点も魅力となるでしょう。

キャッシュフロー計算の基本と実践

実は、購入前に行うキャッシュフロー試算で投資の成否が八割決まると言っても過言ではありません。総収入から運営経費とローン返済を引き、税負担を加味した手残り額がプラスかどうかを確かめるだけですが、細かな前提が結果を大きく左右します。

まず、運営経費比率は区分マンションで賃料の15%、木造アパートで25%を目安とします。固定資産税と都市計画税、水道・電気の共用部費用、管理委託手数料、長期修繕積立金を含めると、この比率に落ち着くケースが多いからです。日本政策金融公庫の「小規模不動産経営実態調査」でも、都内アパートの平均経費比率は23.6%と報告されています。

次に、空室率は区分で5%、アパートで10%を保守的に想定すると安心です。コロナ禍が落ち着いた2024年以降、豊島区の空室率はSUUMOデータで平均3%台まで低下していますが、将来の金利上昇や賃料下落のリスクを見込む意味で余裕を取ります。

ローン金利は2025年12月時点で都市銀行の投資用変動金利が年2.1%前後、地方銀行の10年固定が年2.8%前後です。仮に2,800万円のワンルームを頭金600万円、残り2,200万円を30年元利均等・金利2.3%で借りると、月返済額は約8万4千円です。賃料が10万円、経費比率15%、空室率5%なら、年間手残りは約27万円となります。保有3年目に室内リフォーム費用80万円を織り込むなど、ライフサイクル全体でシミュレーションすることが欠かせません。

リスク管理と出口戦略

ポイントは、保有期間中のリスクをコントロールしつつ、出口で想定通りに売却できる仕組みを持つことです。まず建物リスクですが、築20年以上のRC造マンションでも長期修繕計画がしっかりしていれば修繕コストは読みやすくなります。管理組合の積立金残高と工事履歴を確認し、不足があれば将来の一時金をキャッシュフローに織り込む必要があります。

賃料下落リスクに対しては、入居者層の入れ替えが早いエリアを選ぶことで一定程度ヘッジできます。池袋エリアは平均入居期間が3.1年と短く、退去時のリフォーム案件が多発しますが、家賃もタイムリーに改定しやすい利点があります。一方、巣鴨や駒込は入居期間が長く、家賃改定の余地が小さい反面、リフォーム頻度が低い点が魅力です。

出口戦略としては、保有5年以内の短期売却でキャピタルゲインを狙う方法と、10年以上保有してローン元本を減らしながらインカムを得る方法があります。豊島区では新築プレミアムの剥落が緩やかなため、中古でも資産価値が落ちにくい特徴があります。東急不動産の調査によると、築10年の区分マンション価格は新築時比で平均94%を維持しています。この数字を踏まえ、築浅物件であれば5年後売却益を狙うシナリオも十分成立します。

2025年度の税制優遇と資金調達ポイント

基本的に、2025年度も不動産所得の赤字を他の所得と損益通算できる制度は継続しています。給与所得の高い会社員にとっては、減価償却費を計上しながら節税効果を期待できる点が魅力です。ただし、国税庁は過度な節税目的の木造アパート投資に対して調査を強化しているため、黒字化を前提にした事業計画が求められます。

住宅ローン減税は自宅用のみが対象ですが、2025年度税制改正では「賃貸併用住宅」に限り控除上限が拡充される方針です。賃貸部分の床面積が2分の1未満なら、住居部分の借入残高4千万円まで年0.7%を13年間控除できます。将来自己居住を視野に入れた物件選びをすると、節税と収益確保を両立できるでしょう。

資金調達面では、日本政策金融公庫の「不動産担保付長期融資」が2025年も継続しており、融資額は個人で1億円、金利は2.5%前後です。自己資金1〜2割を用意し、家賃収入による返済余力を示せれば、区分マンションでもアパートでも融資対象になります。また、メガバンクは物件評価に厳しいものの、金融資産1千万円超を預け入れる形で金利優遇を受ける事例も増えています。つまり、物件選びと同じくらい金融機関選びが利回りを左右する時代と言えます。

まとめ

豊島区 収益物件は、再開発による賃貸需要の強さと資産価値の底堅さが魅力ですが、表面利回りだけで判断すると思わぬ出費に悩まされます。市場データを起点に立地と物件タイプを見極め、経費率や空室率を保守的に設定したキャッシュフロー試算を行うことが成功への近道です。さらに、長期修繕計画と出口シナリオをあらかじめ組み込み、2025年度の税制優遇や低金利融資を活用すれば、安定収益と資産形成の両方を実現できるでしょう。さっそく自身の投資目的に合うエリアと金融機関を調べ、具体的な数字でシミュレーションを始めてみてください。

参考文献・出典

  • 東京都都市整備局「住民基本台帳人口」 – https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp
  • 国土交通省 土地総合情報システム – https://www.land.mlit.go.jp
  • 株式会社東京カンテイ「市況レポート2025」 – https://www.kantei.ne.jp
  • SUUMO賃貸マーケットデータ – https://suumo.jp
  • 日本政策金融公庫「小規模不動産経営実態調査2024」 – https://www.jfc.go.jp
  • REINS Market Information 2025 – https://www.reins.or.jp
  • 東急不動産ホールディングス「中古住宅価値レポート2025」 – https://www.tokyu-fhd.co.jp

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