賃貸需要の強い東京でワンルーム投資を検討していても、「本当に空室が埋まるのか」「資金が回るのか」と不安は尽きません。とりわけ江戸川区は家賃相場が手ごろで学生や単身社会人の流入が多く、初心者でもチャレンジしやすいエリアです。本記事では、江戸川区の市場特性から物件選び、資金計画、2025年度の税制までを体系的に解説します。読み終える頃には自分に合った投資戦略の輪郭が見え、次の行動に移しやすくなるはずです。
江戸川区が投資エリアとして注目される理由

重要なのは、江戸川区が「住まいのコストパフォーマンス」で都内トップクラスだという事実です。総務省住民基本台帳によると、2025年1月時点の区全体人口は約71万人で、23区中7位です。家賃は都心6区より約3割低く、それでいて都心まで30分以内のアクセスが可能なため、多くの単身者が流入しています。
まず交通網を見てみましょう。JR総武線や都営新宿線、東京メトロ東西線が区内を縦横に走り、錦糸町や大手町へ直通で通勤できます。つまり、都心で働く若手会社員が「家賃を抑えて駅チカに住みたい」と考えたとき、江戸川区が有力候補に上がりやすいのです。
一方で地価が安定していることも投資家には魅力です。国土交通省地価公示では、2020年から2024年までの江戸川区住宅地価格の平均変動率は年+0.8%と緩やかな右肩上がりを示しています。急騰しすぎないため、取得価格が読みやすく、出口戦略が立てやすいというメリットがあります。
まず押さえておきたい江戸川区の賃貸需要

ポイントは「多様な入居ターゲット」が存在することです。区の年齢別人口を見ると、20〜39歳が全体の32%を占め、単身世帯比率も45%に達します。さらに葛西・西葛西周辺には東京メトロ東西線利用で都心へ通うITエンジニア、船堀・一之江では都営新宿線利用の医療・介護従事者が多く、幅広い職種が流入しています。
実は、留学生マーケットも無視できません。東京経済大学や東京医療保健大学のキャンパスが近接し、文部科学省のデータでは区内在住の外国人留学生数が過去5年で1.4倍に増加しました。家具付きワンルームを用意すれば家賃を1割上げても成約が早いケースがあります。
家賃相場はレインズマーケットインフォメーションによると、2025年10月のワンルーム平均が6.8万円です。一方、空室期間の中央値は30日と都心6区の25日に近い水準で、適切な募集条件を設定すれば大きな遜色はありません。つまり、家賃と稼働率のバランスが取れているため、キャッシュフロー計算がしやすいのです。
成功を左右する物件選びのポイント
まず押さえておきたいのは、駅徒歩10分圏内かつ築15年以内の鉄筋コンクリート(RC)造がリセール面でも有利という点です。江戸川区の中古RCワンルームは築15年を境に価格下落率が鈍化し、家賃もほぼ横ばいになる傾向があります。取得価格を抑えつつ長期保有したい場合は築10〜15年が狙い目です。
次に注意したいのが管理状態です。共用部の清掃や郵便受けの整頓状況は、入居者の内見時に与える印象を左右します。管理組合の修繕積立金が枯渇していないか、2025年度中の大規模修繕予定があるかを確認すると、突発的な出費を避けられます。
また、周辺の再開発計画にも目を向けましょう。例えばJR小岩駅北口では2028年完成予定の複合タワー計画が進行中です。完成後に商業施設と住宅供給が増えるため、現在より家賃水準が上がる可能性があります。将来的な値上がり益まで視野に入れるなら、再開発エリア周辺は早めに検討したいところです。
融資とキャッシュフローの考え方
重要なのは「自己資金2割+維持費半年分」を確保したうえで、金利だけでなく融資期間も最適化することです。都内ワンルーム投資に積極的な地銀A社は、2025年12月時点で金利1.9%・期間30年・融資比率90%のプランを提供しています。表面利回り4.5%の物件にこの条件で投資すると、毎月の返済額は約4.3万円です。
一方で、管理費・修繕積立金・固定資産税の合計は月1.3万円前後になるため、家賃6.8万円なら手残りは約1.2万円となります。つまり、実質利回りで見ると3.2%前後ですが、自己資金を2割入れることで返済負担とリスクを圧縮できます。
さらに、繰上返済と設備更新費を別口座で管理する方法が有効です。月の手残り1.2万円のうち5千円を繰上返済積立、5千円を修繕積立に回すと、10年後のローン残高は約70万円減少し、同時に突発修繕にも備えられます。長期で安定させるには、キャッシュフローを単に「黒字か赤字か」で見るのではなく、余剰資金の使い道まで設計することが鍵となります。
2025年度の税制メリットと管理戦略
実は、投資用ワンルームでも活用できる税制メリットがあります。2025年度も「定額法による減価償却」はRC造なら残存耐用年数47年を基準とし、築15年の場合は残り32年を償却期間として経費計上できます。また、地震に強いと認定される「耐震基準適合証明」を取得すれば、不動産取得税と登録免許税の軽減措置を受けられます(2026年3月31日取得分まで)。
管理面ではサブリースに頼り切らないことが大切です。江戸川区のサブリース保証家賃は相場の80%前後に設定されるため、手残りが大きく減ります。むしろ、地場に強い管理会社を選び、SNS広告やオンライン内見を活用して入居付けを早めるほうが収益性は高まります。
さらに、2025年度から始まった東京都の「ゼロエミ住宅普及促進事業」は自己居住用が対象ですが、投資物件でも断熱改修を行えば入居者満足度が向上し、家賃アップにつながります。省エネ性能をアピールできる物件は、電気代高騰に敏感な単身者に選ばれやすく、長期入居にも寄与します。
まとめ
江戸川区でのワンルーム投資は、手ごろな取得価格と安定した賃貸需要が両立する稀有な市場です。駅近の築浅RC物件を選び、自己資金を2割投入して返済計画を堅実に組めば、表面利回り以上の安定収益を実現できます。税制や耐震証明の優遇も賢く使いながら、キャッシュフロー管理と物件価値向上策を両輪で進めることが成功への近道です。まずは現地を歩き、管理会社と対話し、自分の投資基準を具体的な数字で確認する一歩を踏み出してみてください。
参考文献・出典
- 総務省 住民基本台帳人口移動報告 2025年版 – https://www.stat.go.jp
- 国土交通省 地価公示データ 2020〜2025 – https://www.land.mlit.go.jp
- 公益財団法人 不動産流通推進センター レインズマーケットインフォメーション 2025年10月 – https://www.retpc.jp
- 東京都 江戸川区再開発計画資料 2024 – https://www.city.edogawa.tokyo.jp
- 国税庁 減価償却資産の耐用年数表(令和7年度) – https://www.nta.go.jp