不動産投資に興味はあるものの、「どんな種類があるのか」「トランクルーム投資って本当に儲かるのか」と迷っていませんか。物件価格は高騰し、情報も複雑化しているため、最初の一歩が踏み出しにくいのが現実です。本記事では、不動産投資の代表的な種類を整理しつつ、近年注目度が高まるトランクルーム投資の具体的な方法までを分かりやすく解説します。読み終えるころには、自分に合った投資スタイルと次に取るべき行動がはっきり見えてくるはずです。
不動産投資の代表的な三つの種類

まず押さえておきたいのは、不動産投資には大きく分けて「居住用賃貸」「商業用賃貸」「ストレージ型」の三つがあることです。日本政策金融公庫の統計によると、2025年時点で個人投資家の約65%が居住用、25%が商業用、10%弱がストレージ型に投資しています。
居住用賃貸はワンルームやファミリー向けマンションを貸し出す方法で、空室リスクと修繕費をコントロールしやすい点がメリットです。さらに都市部は入居需要が安定しているため、初心者でも長期的なキャッシュフローを得やすいといえます。しかし、人口減少が進む地方では賃料下落に直面しやすく、立地選定を誤ると収益が伸びにくい点に注意が必要です。
商業用賃貸はオフィスや店舗を対象にした投資で、賃料水準が高い反面、景気変動の影響を受けやすい特徴を持ちます。国土交通省の「不動産価格指数」によれば、2020〜2025年の都心オフィス賃料は年平均3%上昇しましたが、地方都市では横ばいでした。つまり、地場経済の成長性を見極める力が欠かせません。
ストレージ型にはトランクルームやコンテナ倉庫などが含まれます。物件価格が比較的低く、管理負担が少ないため、近年は副業感覚で参入する会社員が増加傾向です。一方で、物件数が急増している地域では需給バランスが崩れ、利用料金の値下げ競争が起こりやすい点がリスクとなります。
トランクルーム投資の仕組み

ポイントは、トランクルーム投資が「土地オーナー型」と「運営受託型」の二つに大別されることです。土地オーナー型では、自分の土地にトランクルームを設置し、運営も自ら行うか専門会社へ委託します。一方の運営受託型は、業者が用意した土地や建物を一括して利用し、投資家は区画単位で権利を購入し賃料分配を受け取る方式です。
土地オーナー型の魅力は、初期投資を抑えて高利回りを狙える点です。たとえば20平方メートルのコンテナを3基設置した場合、総工費は約450万円で、平均稼働率75%なら年利回り10%前後が期待できます。国税庁の「土地建物価格統計」に基づくと、郊外の更地活用に比べて2〜3倍の収益効率を示すケースも珍しくありません。
しかし、全区画が埋まるまでの期間は平均6〜12か月かかります。稼働率が60%を下回ると損益分岐を割り込むため、広告費やオンライン集客に投資する覚悟が欠かせません。また、施錠システムの故障や利用者トラブルに備え、メンテナンス委託費を毎月数万円計上する必要があります。
運営受託型は、土地を持たない投資家でも参入しやすい点が魅力です。運営業者が一括管理するため、空室リスクと維持管理を軽減できます。実際、全国主要4社の平均利回りは6.5%前後で、区分マンション投資の平均5%を上回っています。ただし、契約期間が10年超となることが多く、途中解約時の譲渡価格が市場価格より低く評価されることもあるため、流動性の低さを理解したうえで参入しましょう。
物件選びと立地分析の具体的な方法
重要なのは、立地調査を「人口動態」「競合状況」「道路付け」という三つの視点で行うことです。まず、総務省の住民基本台帳移動報告によると、2025年時点で人口が増えているのは東京23区と主要政令都市の一部に限られます。つまり、郊外であっても駅から徒歩10分圏内や大型団地が近いエリアを選ぶことで、安定した利用需要を期待できます。
競合状況は国土交通省の「ストレージ施設登録システム」で無料検索できます。同一商圏に既存施設が5件以上ある場合は、価格競争が激化している可能性が高いです。そのような地域では、空調完備や24時間セキュリティなど差別化要素を付加しない限り、稼働率が70%を超えにくい点を覚えておきましょう。
道路付けは、利用者が車でアクセスしやすいかどうかを左右します。幅員4メートル未満の道路では駐車しにくく、荷物搬入にストレスがかかるため稼働率が低下します。実際、東京都トランクルーム協会の調査では、敷地内に2台以上の駐車スペースを確保した施設は、そうでない施設に比べ平均稼働率が12ポイント高いという結果が出ています。
言い換えると、立地選定を誤ると高利回りは絵に描いた餅になります。現地調査では平日昼と週末夜の両方で交通量や治安を確認し、周辺住民の生活パターンを把握することが成功への近道です。
収益計画とリスク管理のコツ
実は、トランクルーム投資の損益を左右するのは「稼働率」「賃料改定」「維持費」の三つです。まず、稼働率は70%を安全ラインとし、60%を3か月連続で下回った場合には広告宣伝を強化するか賃料を5%程度値下げする判断が必要です。日本レンタルボックス協会のデータによれば、適正値下げを行った施設の75%が半年以内に稼働率を回復しています。
賃料改定は需要の伸びが顕著な春と秋に行うと効果的です。具体的には、既存契約者に対して1年更新時に3%前後の値上げを提示し、同時に長期利用割引を導入すると退去率を抑えられます。また、短期利用者が多い地域では、初月無料キャンペーンを導入し回転率を上げることで、結果的に年間収入が伸びるケースが多いです。
維持費には、防犯カメラのリース代、定期清掃費、電気代が含まれます。月額賃料総額の15%以内に収まれば健全とされますが、夏季の空調費用が増えると20%を超えることもあります。そこで、LED照明や人感センサーを導入し、電気代を年間15%削減した事例も報告されています。
結論として、シミュレーションは楽観シナリオだけでなく「稼働率60%、賃料5%下落、維持費20%増」という悲観シナリオでも黒字化できるか検証することが不可欠です。そうすることで、景気変動や競合参入に対しても長期的な安定収益を確保できます。
資金調達と税メリットの基礎
まず、自己資金は総事業費の30%を目安に準備すると、金融機関の評価が高まり融資条件が有利になります。日本政策金融公庫では、2025年度もストレージ事業を対象に「中小企業経営力強化資金」を利用でき、最長20年・年利1.3%前後の固定金利が提示されています。ただし、申請には事業計画書と3年分の収支予測が必須となるため、専門家にチェックを依頼するのが賢明です。
減価償却費を活用した節税も見逃せません。鉄骨コンテナの場合、法定耐用年数は15年で、定額法なら毎年原価の6.7%を経費計上できます。年間所得が900万円の給与所得者が、初年度に減価償却費と借入利息を合わせて200万円計上した場合、所得税と住民税を合わせて約60万円の税負担軽減が期待できます。
さらに、消費税還付の可能性もあります。運営開始前に一括で設備投資を行い、初年度の課税売上高が1,000万円未満なら、支払った消費税を取り戻せる場合があるのです。ただし、2025年時点の税制では2年目に簡易課税を選択すると還付額が減少するため、税理士と綿密にシミュレーションを行う必要があります。
最後に、借入金利は僅差でも総返済額に大きな差を生みます。たとえば3,000万円を年利2.0%で借りるのと1.5%で借りるのでは、20年間で約170万円の差が生じます。複数金融機関の事前審査を受け、条件を比較する姿勢が資金コストを最小化する鍵となります。
まとめ
ここまで、不動産投資の種類を整理し、トランクルーム投資の仕組みや立地選定、収益計画、資金調達の方法までを解説しました。トランクルームは少額から始めやすく高利回りを狙える一方、稼働率低下や維持費増大といったリスク管理が欠かせません。悲観シナリオでも黒字化できる計画を立て、立地調査と競合分析を丁寧に行えば、安定したキャッシュフローが期待できます。まずは現地見学と金融機関への相談から始め、自分に合った投資プランを具体化しましょう。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp
- 日本政策金融公庫 融資制度紹介 – https://www.jfc.go.jp
- 総務省 住民基本台帳移動報告 – https://www.soumu.go.jp
- 日本レンタルボックス協会 市場動向レポート – https://www.rentalbox.jp
- 東京都トランクルーム協会 調査資料 – https://www.tokyo-trunkroom.or.jp
- 国税庁 土地建物価格統計 – https://www.nta.go.jp