不動産の税金

不動産投資 やめた方がいい人の共通点

高い利回りの広告を見るたびに「自分も家賃収入で自由になりたい」と感じる一方、失敗談に触れて二の足を踏む人は少なくありません。不動産は数千万円単位の買い物ですから、判断を誤れば家計へ深刻なダメージを与えます。本記事では「不動産投資 やめた方がいい人」の特徴を五つに整理し、その背景と回避策を具体的に示します。読み進めるうちに、投資を始める前に整えるべき土台がわかり、安心して次の行動を選べるようになるでしょう。

貯蓄ゼロで生活防衛資金がない人

貯蓄ゼロで生活防衛資金がない人のイメージ

重要なのは、突発的な支出に耐えられる現金を持たずにスタートすると、わずかなトラブルで資金繰りが行き詰まる点です。金融庁の家計調査によると、30代世帯の約二割が金融資産をほとんど保有していません。こうした層が修繕費や空室期間を乗り切れず、早期に物件を売却した例は筆者の周囲でも珍しくありません。

まず、生活防衛資金とは「生活費の6か月〜1年分を安全性の高い商品で確保した資金」を指します。この準備がないと、ボイラー交換や家賃滞納といった予想外の負担に即時対処できません。ローン返済が遅れれば信用情報にキズがつき、追加融資も受けにくくなります。

さらに、2025年度の住宅金融支援機構のデータでは、区分マンション投資でも平均40万円前後の初期修繕費が発生しています。現金が不足するとカードローンに頼る人もいますが、金利15%前後ではキャッシュフローが瞬時に赤字へ転落します。

したがって、最低でも購入価格の10%、できれば20%の手元資金と、別枠で生活費半年分を用意してから参入することが望ましいと言えます。こうした準備を後回しにする人は、やめた方がいい人に当てはまりやすいでしょう。

収支シミュレーションを作らない人

収支シミュレーションを作らない人のイメージ

ポイントは、数字を具体化しないまま「何とかなる」と考える姿勢が失敗を呼び込むことです。国土交通省の賃貸住宅市場調査では、空室率全国平均は2024年時点で19.2%でした。にもかかわらず、満室想定で収支を組む人が後を絶ちません。

シミュレーションとは、購入価格・諸費用・金利・空室率・修繕費を年単位で見積もり、最悪シナリオでも黒字かを確認する工程です。数字が苦手という理由で省略すると、家賃が下がった途端に返済比率が上昇し、家計から持ち出しが始まります。

一方で、家賃下落2%、空室率25%、金利上昇1%という厳しい条件でもキャッシュフローが残る物件を選べば、想定外の事態でも精神的ゆとりが保てます。日本政策金融公庫の融資審査も、詳細な収支表を提出する投資家ほど評価が高い傾向にあります。

つまり、数字を自分の言葉で説明できない人は、銀行からも物件からも試されます。エクセルが使えなくても、無料のシミュレーターや専門家のチェックを活用すればハードルは下がります。面倒がって避ける人こそ、投資をやめて勉強期間を設けるべきといえるでしょう。

投資目的があいまいな人

実は、ゴールを定めずに始めると、戦略がブレて損切りのタイミングも見失いやすくなります。例えば「老後の年金代わり」にするのと「5年後に売却益を狙う」のでは、選ぶ物件もローン期間も大きく異なります。

総務省の家計データでは、65歳以上の平均消費支出は月23万円前後です。年金だけで不足する分を家賃収入で補うなら、ネット利回り4%以上の長期保有型が適します。一方、短期売却なら再開発エリアの築浅物件でキャピタルゲインを狙う戦略が合います。

目的があいまいな人は、営業担当の話に流されやすく、気付けば複数戸を高値で購入していることもあります。日本不動産研究所の調べでは、2018~2023年に発生したサブリース被害の四割が「説明内容を自分で検証しなかった」層でした。

目的を紙に書き出し、数値目標と期限を設定するだけでも判断軸が明確になります。ゴール設定を避け続ける人は、不動産投資をやめた方がいい人に直結すると心得てください。

時間と学習意欲を確保できない人

まず押さえておきたいのは、不動産投資が「ほったらかしで稼げる」類いのビジネスではない点です。購入後も賃料交渉や原状回復工事、固定資産税の見直しなど、定期的に意思決定が求められます。

厚生労働省の調査によると、週の平均自由時間は社会人で14.5時間ですが、その半分以上を動画視聴やSNSに充てる人が過半数を占めます。つまり、月数時間でも学習と物件管理に充てられないなら、知識がアップデートされず損失リスクが高まります。

また、2025年度施行の賃貸住宅管理業法は、管理会社に対する業務報告義務を強化しました。オーナーが内容を理解していなければ、不備があっても見抜けません。法律改正のたびに専門家任せでは、コストとリスクが膨らむばかりです。

読書やセミナー参加、物件視察の時間を確実にブロックできるか自問し、それが難しい場合は別の資産運用を検討するのが賢明です。学習を後回しにする態度は、やめた方がいい人に直結します。

短期で大儲けを期待しすぎる人

一方で、短期的な値上がり益ばかり追う人は、市況の波に翻弄されやすくなります。国土交通省の不動産価格指数は2020~2024年にかけて住宅系で年平均4%ずつ上昇しましたが、同時にコロナ禍直後には一時的な急落も記録しています。

レバレッジ(自己資金に対する借入倍率)を高めた短期売買は、逆方向へ振れた際の損失も拡大します。日本銀行の金融システムレポートでは、LTV(Loan to Value)が80%を超える投資家の延滞率が90%未満層の約2.3倍に達しています。

また、転売益に課される譲渡所得税は保有5年以下だと税率39%程度と高く、想定より手残りが少ないケースが目立ちます。税制を理解せず利回りだけで判断すると、売却後に税金で資金が枯渇する恐れがあります。

長期的なインカムゲイン(家賃収入)と資産形成を軸に考えられない人は、まず投資の基本書を読み、複利効果や税制の仕組みを学ぶことから始めるべきです。短期利益に固執する姿勢は、不動産投資をやめた方がいい人の典型といえます。

まとめ

結論として、貯蓄ゼロ・シミュレーション不足・目的不明・学習不足・短期利益志向の五つは、不動産投資で失敗しやすい典型例です。もし一つでも当てはまるなら、まず家計の改善や知識の習得に時間を投じましょう。反対に、土台を整えたうえで長期的な視点を持てば、不動産は堅実な資産形成の手段になります。今日からできる小さな準備を積み重ね、チャンスが来たときに自信を持って行動できる自分を育ててください。

参考文献・出典

  • 金融庁 家計の安定に関する調査報告書 2024年版 – https://www.fsa.go.jp/
  • 国土交通省 賃貸住宅市場実態調査 2024年 – https://www.mlit.go.jp/
  • 住宅金融支援機構 2025年度フラット35市場動向 – https://www.jhf.go.jp/
  • 日本銀行 金融システムレポート 2025年上期 – https://www.boj.or.jp/
  • 日本不動産研究所 サブリース被害実態調査2024 – https://www.reinet.or.jp/

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