不動産の税金

住宅ローン控除中に投資物件を買うのは大丈夫?知っておくべきリスクと対策

マイホームを購入して住宅ローン控除を受けている方の中には、資産形成のために不動産投資を始めたいと考える方も多いでしょう。しかし「住宅ローン控除が受けられなくなるのでは?」「金融機関に怒られるのでは?」といった不安を抱えている方も少なくありません。実は、住宅ローン控除中に投資物件を購入すること自体は可能ですが、いくつかの重要な注意点があります。この記事では、住宅ローン控除への影響、金融機関との関係、審査のポイント、そして成功するための具体的な戦略まで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。正しい知識を身につけることで、リスクを最小限に抑えながら不動産投資をスタートできるでしょう。

住宅ローン控除中に投資物件を買っても控除は継続される

住宅ローン控除中に投資物件を買っても控除は継続されるのイメージ

住宅ローン控除中に投資物件を購入しても、基本的には住宅ローン控除は継続して受けられます。これは多くの方が誤解しているポイントですが、住宅ローン控除の適用条件は「自己居住用の住宅に住み続けること」であり、投資物件の購入自体が控除の取り消し事由にはなりません。

住宅ローン控除が受けられなくなるのは、自宅を賃貸に出したり、転勤などで自己居住しなくなったりした場合です。つまり、自宅にきちんと住み続けている限り、別途投資用マンションやアパートを購入しても控除には影響しないのです。国税庁の規定でも、住宅ローン控除の適用要件として「投資物件の所有禁止」といった項目は存在しません。

ただし注意が必要なのは、住宅ローンの借り換えを行う場合です。借り換え後も控除を継続するには、借り換え後のローンが当初の住宅ローンの返済のためであることが明確である必要があります。投資物件購入のタイミングで住宅ローンの借り換えを行うと、金融機関や税務署から資金使途について確認される可能性があるため、時期をずらすことをおすすめします。

また、確定申告の際には住宅ローン控除と不動産所得の申告を両方行うことになります。書類が複雑になるため、税理士に相談するか、国税庁のホームページで最新の記入例を確認しながら慎重に手続きを進めましょう。

金融機関の審査で最も重視されるのは返済能力

金融機関の審査で最も重視されるのは返済能力のイメージ

投資物件を購入する際、多くの方が気にするのが金融機関の審査です。住宅ローンを既に借りている状態で新たに投資用ローンを組めるのか、という疑問は当然のことでしょう。結論から言えば、審査は可能ですが、返済能力が厳しくチェックされます。

金融機関が最も重視するのは「返済負担率」です。これは年収に対する年間返済額の割合を示すもので、一般的には35%以内が目安とされています。例えば年収600万円の方であれば、年間返済額は210万円以内、月々約17.5万円以内に抑える必要があります。既に住宅ローンで月10万円返済している場合、投資用ローンの返済は月7.5万円以内が望ましいということになります。

さらに重要なのは、投資物件から得られる家賃収入の扱いです。多くの金融機関では、満室想定家賃の70〜80%程度しか収入として認めません。これは空室リスクや修繕費用を考慮したものです。月10万円の家賃が見込める物件でも、審査上は7〜8万円の収入として計算されるため、この点を理解した上で物件選びを行う必要があります。

また、勤続年数や勤務先の安定性も重要な審査項目です。住宅ローンを借りてから最低でも1年以上経過していることが望ましく、転職直後などは審査が厳しくなる傾向があります。公務員や上場企業勤務の方は比較的審査に通りやすい一方、自営業や中小企業勤務の方は追加の書類提出を求められることもあります。

投資物件購入のタイミングは慎重に見極める

住宅ローン控除を受けながら投資物件を購入する場合、タイミングの選択が成功の鍵を握ります。焦って購入するのではなく、自分の財務状況と市場環境を冷静に分析することが大切です。

まず考えるべきは、住宅ローンの返済がある程度進んでいるかどうかです。理想的には住宅ローンを借りてから3年以上経過し、元金が一定程度減少している状態が望ましいでしょう。これは金融機関の審査においても、返済実績があることがプラスに働くためです。また、この期間に貯蓄を増やすことで、投資物件購入時の頭金を準備できます。

自己資金の準備状況も重要な判断材料です。投資物件の購入には物件価格の20〜30%の頭金に加え、諸費用として物件価格の7〜10%程度が必要になります。例えば2000万円の物件であれば、最低でも540万円から800万円程度の自己資金が必要です。さらに、購入後の空室や修繕に備えて100万円以上の予備資金も確保しておくべきでしょう。

市場環境の見極めも欠かせません。2026年2月現在、不動産投資ローンの金利は変動で1.5〜2.0%、固定10年で2.5〜3.0%程度となっています。金利が低い時期は投資を始める好機ですが、今後の金利動向も考慮に入れる必要があります。また、購入を検討している地域の人口動態や再開発計画なども調査し、長期的な需要が見込めるエリアを選ぶことが重要です。

年齢も考慮すべき要素です。一般的に不動産投資ローンは完済時年齢が80歳未満という条件があるため、若いうちに始めるほど長期のローンを組みやすくなります。30代で始めれば35年ローンも可能ですが、50代では返済期間が限られるため、月々の返済負担が大きくなる点に注意が必要です。

物件選びで失敗しないための3つのポイント

住宅ローンを抱えながら投資物件を購入する場合、物件選びでの失敗は致命的なダメージとなります。限られた資金と返済能力の中で確実に収益を上げるには、慎重な物件選定が不可欠です。

第一のポイントは立地の選定です。不動産投資の成否は立地で8割決まると言われるほど重要な要素です。駅から徒歩10分以内、できれば5分以内の物件を選ぶことで、空室リスクを大幅に減らせます。また、単身者向けなら大学や大企業のオフィスが近い場所、ファミリー向けなら学校や商業施設が充実したエリアを選ぶなど、ターゲット層のニーズに合った立地を見極めることが大切です。人口が増加傾向にある地域や、再開発が予定されているエリアは将来的な資産価値の維持も期待できます。

第二のポイントは利回りと価格のバランスです。表面利回りだけを見て判断するのは危険です。実質利回りを計算する際には、管理費、修繕積立金、固定資産税、火災保険料、空室損失、修繕費用などを差し引く必要があります。例えば表面利回り8%の物件でも、諸経費を差し引くと実質利回りは5%程度になることも珍しくありません。住宅ローンの返済がある状況では、最低でも実質利回り4%以上、できれば5%以上を確保できる物件を選びたいところです。

第三のポイントは物件の状態と将来の修繕計画です。築年数が古い物件は価格が安く利回りが高く見えますが、大規模修繕が近い場合は多額の出費が発生します。特に築20年を超える物件は、外壁塗装や給排水管の交換などで数百万円の費用がかかる可能性があります。購入前に修繕履歴と今後の修繕計画を必ず確認し、長期修繕計画書で積立金の状況もチェックしましょう。新築や築浅物件は修繕リスクが低い反面、価格が高く利回りは低くなる傾向があるため、自分のリスク許容度に応じて選択することが重要です。

資金計画は最悪のシナリオも想定して立てる

住宅ローンと投資用ローンの二重返済を行う場合、楽観的な計画だけでは危険です。最悪のシナリオでも耐えられる資金計画を立てることが、長期的な成功につながります。

まず考えるべきは空室リスクです。新築や人気エリアの物件でも、年間を通じて常に満室とは限りません。保守的に見積もるなら、年間10〜20%の空室率を想定すべきでしょう。月10万円の家賃収入が見込める物件でも、実際には年間120万円ではなく96万円から108万円程度と考えておく必要があります。この減少分を自己資金でカバーできるかどうかが重要な判断基準となります。

金利上昇リスクも無視できません。2026年2月現在は比較的低金利ですが、変動金利を選択した場合、将来的に金利が上昇する可能性があります。現在の金利から2%上昇した場合の返済額をシミュレーションし、その状況でも返済を続けられるか確認しましょう。例えば2000万円を金利2%、30年返済で借りた場合の月々返済額は約7.4万円ですが、金利が4%に上昇すると約9.5万円となり、月2万円以上の負担増となります。

修繕費用の積み立ても計画に組み込む必要があります。区分マンションの場合は管理組合の修繕積立金がありますが、一棟物件の場合は自分で計画的に積み立てる必要があります。目安としては、年間家賃収入の10〜15%程度を修繕費用として確保しておくと安心です。エアコンの交換、給湯器の故障、水漏れなど、予期せぬ出費は必ず発生するものと考えましょう。

さらに、自分自身の収入減少リスクも考慮すべきです。病気やケガ、会社の業績悪化による給与減少など、様々なリスクが存在します。最低でも6ヶ月分、できれば1年分の住宅ローンと投資用ローンの返済額を貯蓄として確保しておくことをおすすめします。この安全資金があることで、精神的な余裕を持って投資を続けられます。

税務処理と確定申告の準備を怠らない

住宅ローン控除を受けながら不動産投資を行う場合、税務処理が複雑になります。正しい知識を持って適切に申告することで、節税効果を最大化できる一方、誤った申告はペナルティの対象となるため注意が必要です。

不動産所得の計算では、家賃収入から必要経費を差し引いた金額が課税対象となります。必要経費には、ローンの利息部分、管理費、修繕積立金、固定資産税、火災保険料、減価償却費などが含まれます。特に減価償却費は実際の現金支出を伴わない経費として計上できるため、節税効果が高い項目です。建物部分の価格を耐用年数で割った金額を毎年経費として計上できます。

重要なのは、住宅ローン控除と不動産所得の損益通算の関係です。不動産所得が赤字の場合、給与所得と損益通算することで所得税を減らせます。ただし、住宅ローン控除は所得税額から直接控除されるため、不動産所得の赤字で所得税が減少すると、住宅ローン控除の恩恵も減少する可能性があります。このバランスを考慮した上で、どちらの節税効果が大きいか計算することが大切です。

確定申告の準備は日頃から行う必要があります。家賃収入の入金記録、経費の領収書、ローンの返済明細書など、すべての書類を整理して保管しましょう。特に経費の領収書は、税務調査の際に証拠として必要になるため、最低7年間は保管する義務があります。会計ソフトやスプレッドシートを使って月次で収支を記録しておくと、確定申告時の作業が格段に楽になります。

税理士への相談も検討すべきです。初年度は特に複雑な処理が多いため、専門家のアドバイスを受けることで、適切な申告と節税対策が可能になります。税理士費用は年間5万円から15万円程度が相場ですが、この費用も必要経費として計上できます。長期的に見れば、専門家のサポートを受けることで節税効果が費用を上回る可能性が高いでしょう。

金融機関との良好な関係を維持する方法

住宅ローンを借りている金融機関と良好な関係を保つことは、将来的な資金調達の可能性を広げる上で重要です。特に投資物件の購入を検討している場合、金融機関からの信頼を得ることが審査通過の鍵となります。

まず基本となるのは、住宅ローンの返済を確実に行うことです。延滞や遅延は絶対に避けるべきで、これらの記録は信用情報に残り、投資用ローンの審査に大きく影響します。口座残高不足による引き落とし失敗を防ぐため、給与振込口座と返済口座を同じにするか、自動的に資金移動する仕組みを作っておくと安心です。

投資物件の購入を検討し始めたら、早めに金融機関に相談することをおすすめします。住宅ローンを借りている銀行に投資用ローンの相談をすると、既存顧客として優遇される可能性があります。ただし、すべての金融機関が投資用ローンを扱っているわけではないため、複数の金融機関を比較検討することも大切です。地方銀行や信用金庫は、メガバンクよりも柔軟に対応してくれるケースもあります。

相談時には、しっかりとした事業計画を提示することが重要です。購入を検討している物件の情報、収支シミュレーション、自己資金の状況、今後の返済計画などを整理した資料を用意しましょう。金融機関は「この人に貸しても大丈夫か」を判断するため、計画性と返済能力を示すことが審査通過の近道となります。

また、定期的に資産状況を見直し、金融機関との接点を持ち続けることも効果的です。定期預金の積み立てや、投資信託の購入など、金融機関との取引を増やすことで、総合的な評価が高まります。特に住宅ローンを借りている銀行で給与振込や公共料金の引き落としを行うと、メインバンクとして認識され、融資審査で有利に働く可能性があります。

まとめ

住宅ローン控除中に投資物件を購入することは可能であり、適切な準備と計画があれば、リスクを抑えながら資産形成を進められます。重要なのは、住宅ローン控除は自宅に住み続ける限り継続されること、金融機関の審査では返済能力が最重視されること、そして最悪のシナリオも想定した資金計画を立てることです。

物件選びでは立地、利回り、修繕計画の3つのポイントを押さえ、税務処理では不動産所得と住宅ローン控除のバランスを考慮しましょう。また、金融機関との良好な関係を維持することで、将来的な資金調達の選択肢も広がります。

不動産投資は長期的な視点で取り組むべき資産形成の手段です。焦らず、一つひとつのステップを確実に踏んでいくことが成功への道となります。まずは自分の財務状況を正確に把握し、無理のない範囲で計画を立てることから始めてみてください。必要に応じて税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談しながら、着実に前進していきましょう。

参考文献・出典

  • 国税庁「住宅借入金等特別控除」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm
  • 全国銀行協会「住宅ローン金利動向」https://www.zenginkyo.or.jp/stats/
  • 国土交通省「不動産市場動向調査」https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html
  • 金融庁「多重債務者対策について」https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/index.html
  • 日本不動産研究所「不動産投資家調査」https://www.reinet.or.jp/
  • 総務省統計局「住宅・土地統計調査」https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/
  • 一般社団法人不動産流通経営協会「不動産投資に関する調査」https://www.frk.or.jp/

関連記事

TOP
不動産売買なら青山地所