東京で不動産投資を検討している方の中には、「利回り10%以上の高収益物件を見つけたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。特に築25年以上の物件は価格が抑えられているため、高利回りを実現できる可能性があります。しかし、東京23区の平均表面利回りがワンルームマンション4.2%、ファミリーマンション3.8%という現状を考えると、利回り10%という数字は本当に達成可能なのでしょうか。この記事では、東京で高利回り物件を見つけるための具体的な戦略と、築古物件投資で成功するためのポイントを詳しく解説します。
東京で利回り10%の収益物件は本当に存在するのか

東京都内で利回り10%以上の収益物件を探すことは、決して不可能ではありません。ただし、都心部の人気エリアでこの数字を実現するのは極めて困難です。実際には、23区外の周辺エリアや、築年数が経過した物件に焦点を当てることで、高利回りを実現できる可能性が高まります。
国土交通省の不動産価格指数によると、東京都の不動産価格は2020年から2026年にかけて約15%上昇しています。この価格上昇により、都心部の新築や築浅物件では利回りが低下傾向にあります。一方で、築25年以上の物件は価格の上昇が緩やかで、相対的に利回りを確保しやすい状況が続いています。
具体的に利回り10%を実現できる可能性が高いのは、足立区、葛飾区、江戸川区といった23区東部エリア、または八王子市、町田市などの多摩地域です。これらのエリアでは、築25年以上のワンルームマンションや小規模アパートで、表面利回り8〜12%の物件が実際に取引されています。ただし、表面利回りと実質利回りには大きな差があることを理解しておく必要があります。
表面利回りは単純に年間家賃収入を物件価格で割った数字ですが、実質利回りは管理費、修繕積立金、固定資産税、空室損失などを差し引いた実際の収益率です。表面利回り10%の物件でも、実質利回りは6〜7%程度になることが一般的です。したがって、物件選びの際は表面利回りだけでなく、実質利回りを正確に計算することが重要になります。
築25年以上の物件が持つメリットとリスク

築25年以上の収益物件には、新築や築浅物件にはない独自のメリットがあります。まず最も大きな利点は、物件価格が大幅に抑えられることです。一般的に、マンションの価格は築20年を過ぎると下落が緩やかになり、築25年以降はほぼ横ばいになる傾向があります。つまり、築25年の物件と築30年の物件の価格差は小さく、購入後の資産価値の下落リスクも限定的です。
さらに、築古物件は既に周辺環境が成熟しており、将来的な変化を予測しやすいという特徴があります。新築物件の場合、周辺の開発状況や人口動態の変化によって資産価値が大きく変動する可能性がありますが、築25年以上の物件が立地するエリアは既に安定しています。駅からの距離、周辺の商業施設、学校などの環境は今後も大きく変わらないため、長期的な収益予測が立てやすくなります。
一方で、築古物件特有のリスクも存在します。最も注意すべきは修繕費用の増加です。築25年を超えると、給排水管の交換、外壁の大規模修繕、エレベーターのリニューアルなど、高額な修繕が必要になる時期を迎えます。区分マンションの場合、修繕積立金が不足していると、一時金の徴収や修繕積立金の大幅な値上げが発生する可能性があります。
また、旧耐震基準で建てられた物件には特に注意が必要です。1981年6月以前に建築確認を受けた建物は旧耐震基準で建てられており、大地震時の倒壊リスクが新耐震基準の建物より高くなります。融資を受ける際も、旧耐震物件は金融機関の評価が低く、融資条件が厳しくなる傾向があります。したがって、築25年以上の物件を選ぶ際は、1981年6月以降に建築確認を受けた新耐震基準の物件を選ぶことが賢明です。
高利回り物件を見極めるための具体的なチェックポイント
利回り10%という魅力的な数字に惹かれて物件を購入する前に、必ず確認すべきポイントがあります。重要なのは、その高利回りが持続可能なものかどうかを見極めることです。一時的に高い利回りを示していても、実際には様々な問題を抱えている物件も少なくありません。
まず確認すべきは、現在の入居状況と家賃設定の妥当性です。満室想定で利回り10%と表示されていても、実際には空室が多い物件や、相場より高い家賃設定で計算されている場合があります。周辺の類似物件の家賃相場を調査し、現実的な家賃収入を算出することが必要です。HOME’SやSUUMOなどの賃貸情報サイトで、同じエリア・同じ築年数・同じ間取りの物件の家賃を調べ、適正な家賃水準を把握しましょう。
次に重要なのが、建物の管理状態です。築25年以上の物件では、管理組合の運営状況が将来の収益性に大きく影響します。管理組合の議事録を確認し、修繕計画が適切に立てられているか、修繕積立金が十分に積み立てられているかをチェックします。修繕積立金の残高が少ない場合、近い将来に大規模修繕が実施できず、建物の資産価値が急激に低下するリスクがあります。
立地条件も慎重に評価する必要があります。駅からの距離は徒歩10分以内が理想的ですが、築古物件で高利回りを実現するには、駅から15分程度の物件も選択肢に入れる必要があります。ただし、その場合は周辺にスーパーやコンビニなどの生活利便施設が充実しているか、バス便が発達しているかなど、駅距離以外の利便性を確認することが重要です。
また、将来的な人口動態も考慮に入れるべきです。東京都の人口は2025年をピークに減少に転じると予測されていますが、エリアによって状況は大きく異なります。国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、都心3区(千代田区、中央区、港区)や一部の人気エリアでは人口増加が続く一方、周辺部では減少が予測されています。長期的な賃貸需要を見据えて、人口が維持または増加するエリアを選ぶことが賢明です。
築古物件で成功するためのリノベーション戦略
築25年以上の物件で安定した収益を上げるには、適切なリノベーションが鍵となります。ポイントは、費用対効果の高い改修を行い、周辺の築浅物件と競争できる魅力を作り出すことです。すべてを新品同様にする必要はなく、入居者が重視するポイントに絞って投資することが成功の秘訣です。
最も効果的なのは、水回りの設備更新です。キッチン、浴室、トイレは入居者が最も気にする部分であり、ここが古いと空室期間が長くなる傾向があります。特にバス・トイレ別の物件は人気が高く、もし一体型の場合は分離することで家賃を5〜10%アップできる可能性があります。ただし、配管の位置によっては工事が困難な場合もあるため、事前に専門業者に相談することが必要です。
内装では、壁紙と床材の交換が基本となります。白やベージュなどの明るい色の壁紙を選ぶことで、部屋全体が広く清潔に見えます。床材はクッションフロアよりもフローリング調のものを選ぶと、高級感が出て入居者の印象が良くなります。これらの基本的な内装工事は、ワンルームで30〜50万円程度で実施できます。
設備面では、エアコンとインターネット環境の整備が重要です。エアコンが古い場合は省エネタイプに交換することで、入居者の光熱費負担を減らせます。また、無料インターネット設備は若年層の入居者にとって必須条件となっており、導入することで空室期間を大幅に短縮できます。建物全体で光回線を引き込む場合、1戸あたり月額2,000〜3,000円程度のコストで提供できます。
リノベーション費用の目安としては、ワンルームで50〜100万円、1LDKで100〜150万円程度を見込んでおくと良いでしょう。この投資によって家賃を5〜15%アップできれば、2〜3年で投資回収が可能です。ただし、過度な投資は利回りを下げる原因になるため、周辺相場を踏まえた適切な予算設定が重要です。
融資戦略と資金計画の立て方
築25年以上の物件を購入する際、融資条件は新築や築浅物件と比べて厳しくなる傾向があります。基本的に押さえておきたいのは、金融機関は物件の担保価値と収益性の両面から融資判断を行うということです。築古物件は担保価値が低く評価されるため、自己資金比率を高めに設定する必要があります。
一般的に、築25年以上の物件では物件価格の30〜40%の自己資金が求められます。新築や築浅物件では20%程度でも融資を受けられることがありますが、築古物件ではより保守的な審査が行われます。また、融資期間も建物の残存耐用年数に応じて短くなるため、月々の返済額が高くなる点に注意が必要です。
木造アパートの法定耐用年数は22年、鉄筋コンクリート造のマンションは47年です。築25年の木造アパートの場合、既に耐用年数を超えているため、融資期間は10〜15年程度に制限されることが一般的です。一方、鉄筋コンクリート造のマンションであれば、残存耐用年数が22年あるため、20〜25年程度の融資を受けられる可能性があります。
金融機関の選択も重要なポイントです。メガバンクは審査が厳しく、築古物件への融資に消極的な傾向があります。一方、地方銀行や信用金庫は地域密着型の営業を行っており、物件の収益性を重視した柔軟な審査を行うケースが多くあります。また、不動産投資専門のノンバンクも選択肢の一つですが、金利が高めに設定されているため、総返済額を慎重に計算する必要があります。
収支シミュレーションを作成する際は、楽観的なシナリオだけでなく、厳しい条件でも耐えられるかを確認しましょう。空室率20%、金利上昇1〜2%、修繕費の増加などを織り込んだ保守的な計画を立てることで、長期的に安定した不動産投資が可能になります。特に築古物件では、予期せぬ修繕が発生する可能性が高いため、年間家賃収入の10〜15%程度を修繕費として見込んでおくことが賢明です。
長期的な出口戦略を見据えた物件選び
不動産投資で成功するには、購入時から出口戦略を考えておくことが重要です。実は、築25年以上の物件は、適切に管理すれば10〜15年後も安定した収益を生み出せる可能性があります。ただし、最終的にどのように物件を手放すかを想定しておくことで、より戦略的な投資判断ができます。
出口戦略の選択肢は主に3つあります。一つ目は、長期保有して家賃収入を得続ける方法です。築25年の物件を購入し、適切にメンテナンスしながら15〜20年保有すれば、ローン完済後は純粋な収益物件として機能します。この戦略は、立地が良く、長期的な賃貸需要が見込めるエリアの物件に適しています。
二つ目は、一定期間保有した後に売却する方法です。築25年の物件を購入し、リノベーションで価値を高めた上で、5〜10年後に売却します。この場合、購入時よりも高く売れる可能性は低いですが、保有期間中の家賃収入と売却益を合わせてトータルリターンを計算します。売却時の価格下落を最小限に抑えるには、人気エリアの物件を選び、定期的なメンテナンスを怠らないことが重要です。
三つ目は、建物の寿命が尽きた後、土地として売却する方法です。特に木造アパートの場合、築40〜50年で建物の価値はほぼゼロになりますが、土地の価値は残ります。東京都内の土地は需要が高いため、更地にして売却すれば一定の資産価値を回収できます。この戦略を取る場合、建物よりも土地の価値が高い物件を選ぶことがポイントです。
出口戦略を考える上で忘れてはならないのが、税金の問題です。不動産を売却する際には、譲渡所得税が課税されます。保有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得として約39%、5年超の場合は長期譲渡所得として約20%の税率が適用されます。したがって、売却を考えている場合は、最低でも5年以上保有してから売却する方が税制上有利です。
また、相続を見据えた投資戦略も重要です。現金で相続するよりも不動産で相続する方が、相続税評価額を圧縮できるメリットがあります。特に賃貸物件は、貸家建付地として評価されるため、さらに評価額が下がります。ただし、相続人が不動産投資に興味がない場合、物件の管理や売却が負担になる可能性もあるため、家族とよく話し合っておくことが大切です。
まとめ
東京で利回り10%の収益物件を実現することは、適切な戦略と知識があれば決して不可能ではありません。築25年以上の物件は、価格が抑えられている分、高利回りを実現できる可能性を秘めています。ただし、表面利回りだけに惑わされず、実質利回りや長期的な収益性を慎重に見極めることが成功の鍵となります。
物件選びでは、新耐震基準を満たしているか、管理状態は良好か、周辺の賃貸需要は安定しているかなど、多角的な視点でチェックすることが重要です。また、適切なリノベーションによって物件の魅力を高め、周辺の築浅物件と競争できる状態にすることで、安定した入居率を維持できます。
融資戦略では、自己資金を十分に用意し、複数の金融機関を比較検討することで、有利な条件を引き出すことができます。そして、購入時から出口戦略を考えておくことで、最終的なトータルリターンを最大化できます。
不動産投資は長期的な視点が必要な投資です。焦らず、じっくりと物件を選び、適切な管理を続けることで、築古物件でも安定した収益を生み出すことができます。まずは信頼できる不動産会社や税理士に相談し、自分に合った投資戦略を立てることから始めてみてはいかがでしょうか。
参考文献・出典
- 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html
- 日本不動産研究所 不動産投資家調査 – https://www.reinet.or.jp/
- 国立社会保障・人口問題研究所 日本の地域別将来推計人口 – https://www.ipss.go.jp/
- 東京都 統計データ – https://www.toukei.metro.tokyo.lg.jp/
- 国税庁 譲渡所得の計算方法 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/jouto.htm
- 住宅金融支援機構 フラット35 – https://www.flat35.com/
- 公益財団法人 東日本不動産流通機構(REINS) – https://www.reins.or.jp/