賃貸併用住宅を検討している方の多くが、「住宅ローンの金利はどれくらいなのか」「変動金利と固定金利、どちらが有利なのか」という疑問を抱えています。賃貸併用住宅は自宅部分と賃貸部分を併せ持つ特殊な物件であり、通常の住宅ローンとは異なる審査基準や金利設定が適用されることがあります。この記事では、賃貸併用住宅ローンの金利の仕組みから、変動金利と固定金利の比較、さらには地域による金利差まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。この記事を読むことで、あなたに最適な金利タイプを選び、長期的に安定した返済計画を立てるための知識が身につきます。
賃貸併用住宅ローンの基本的な仕組み

賃貸併用住宅ローンは、自宅として使用する部分と賃貸として貸し出す部分が一つの建物に共存する物件を購入するための融資です。一般的な住宅ローンと大きく異なるのは、賃貸収入を返済原資の一部として見込める点にあります。金融機関は審査の際、自己居住部分の面積が一定の基準を満たすことを条件とするケースが多く、この基準を満たすことで住宅ローン控除などの優遇措置を受けられる可能性があります。
金利面では、賃貸併用住宅ローンは通常の住宅ローンとほぼ同等の金利が適用されることが一般的です。金融庁の資料によれば、住宅ローンは貸金業法における総量規制の対象外とされており、年収の3分の1を超える借入も可能です。これは住宅ローンが「一般に低金利で返済期間が長く定型的である一部の貸付」として位置づけられているためです。
ただし、賃貸部分の割合が大きい場合や、事業性が高いと判断された場合には、アパートローンとして扱われることもあります。アパートローンは住宅ローンよりも金利が高めに設定される傾向があるため、物件の設計段階から自己居住部分の割合を意識することが重要です。賃貸併用住宅を成功させるには、融資条件を事前に十分理解し、金融機関との相談を重ねながら計画を進めることが不可欠です。
変動金利と固定金利の特徴を理解する

住宅ローンを選ぶ際、最も重要な判断の一つが金利タイプの選択です。変動金利型と固定金利型にはそれぞれ明確な特徴があり、借り手のライフプランやリスク許容度によって最適な選択が異なります。
変動金利型は、市場の金利動向に応じて適用金利が変動する仕組みです。日本銀行が公表している金融システムレポートによると、変動金利型住宅ローンの全国平均適用金利は低水準で推移しています。変動金利の最大のメリットは、低金利環境下では返済額を抑えられる点にあります。特に都市部では平均適用金利がさらに低く、都市部ほど競争が激しく有利な条件を引き出しやすい傾向があります。
一方で、変動金利には金利上昇リスクが伴います。金融サービス仲介業者向け総合的な監督指針では、金利変動型または一定期間固定金利型の住宅ローンについて、金利変動リスク等の十分な説明を行う体制整備が求められています。つまり、将来的に金利が上昇した場合、返済額が増加する可能性があることを理解しておく必要があります。
固定金利型は、借入時に決定した金利が返済期間中ずっと変わらない仕組みです。全期間固定金利型住宅ローンの全国平均適用金利は、変動金利と比較するとやや高い水準となっていますが、将来の金利上昇リスクを回避できる安心感があります。地域によって金利水準に差があることが分かります。
固定金利を選ぶメリットは、返済計画が立てやすく、家計管理がしやすい点です。特に賃貸併用住宅の場合、賃料収入と返済額のバランスを長期的に予測できることは大きな利点となります。ただし、低金利が続く場合には、変動金利と比べて総返済額が多くなる可能性もあります。
金利タイプを選ぶ際は、自分のリスク許容度と将来の収入見通しを慎重に検討することが大切です。安定志向の方や将来の金利上昇を懸念する方は固定金利、当面の返済負担を抑えたい方や繰上返済を積極的に行う予定の方は変動金利が向いているといえます。
地域による金利差と選択のポイント
住宅ローンの金利は、全国一律ではなく地域によって差があることをご存知でしょうか。金融庁が2025年1月に公表したFSA Analytical Notes「地域銀行の住宅ローンに関する実態把握」によると、地域銀行の住宅ローンにおける金利種別や金利水準には明確な地域差が存在します。
2023年9月末時点のデータを見ると、固定金利比率が相対的に高い地域は北海道・東北、中国・四国でした。これらの地域では、借り手が金利上昇リスクを避ける傾向が強いことが推測されます。一方、変動金利比率が相対的に高い地域は近畿、九州・沖縄となっており、都市部や競争が激しい地域ほど低金利の変動金利を選択する傾向があります。
金利水準についても地域差が顕著です。高金利水準(1.0%以上)の比率が高い地域は北海道・東北、中国・四国であり、低金利水準(0.5%未満)の比率が高い地域は中部、近畿でした。この差は、地域の経済状況や金融機関の競争環境、人口動態などが影響していると考えられます。
賃貸併用住宅を検討する際は、物件を購入する地域の金利環境を把握することが重要です。都市部では金融機関の競争が激しく、より有利な金利条件を引き出せる可能性があります。複数の金融機関に相談し、金利だけでなく手数料や保証料も含めた総コストで比較することをお勧めします。
また、地域によって賃貸需要や将来の人口推移も異なります。低金利で借りられても、賃貸部分の空室リスクが高い地域では、長期的な収支計画が成り立たない可能性があります。金利比較と同時に、その地域の賃貸市場の動向や将来性も十分に調査しましょう。
金利タイプ別のシミュレーションと返済計画
実際に賃貸併用住宅ローンを組む際、金利タイプによって総返済額がどれだけ変わるのかを具体的にイメージすることが大切です。ここでは、変動金利と固定金利それぞれのケースで返済計画を考えてみましょう。
例えば、3000万円を35年返済で借り入れる場合を想定します。変動金利で借りた場合、当初の月々返済額は比較的低めになります。一方、固定金利で借りた場合、月々返済額はやや高めになり、月々の差が生じます。35年間の総返済額で見ると、変動金利と固定金利では異なる結果になります。
ただし、これはあくまで変動金利が35年間変わらなかった場合の試算です。実際には金利が上昇する可能性もあります。仮に10年後に変動金利が上昇した場合、その時点での残高に対して新しい金利が適用され、月々の返済額が増加します。金利が大きく上昇すれば、最終的な総返済額が固定金利を上回る可能性もあるのです。
賃貸併用住宅の場合、賃料収入を返済原資の一部として見込めるため、返済計画にある程度の余裕を持たせることができます。例えば、月々の返済に対して賃料収入が見込める場合、実質的な負担は軽減されます。しかし、空室リスクや修繕費用も考慮に入れる必要があります。
返済計画を立てる際は、楽観的なシナリオだけでなく、金利が上昇した場合や空室が発生した場合でも返済を続けられるかを検証しましょう。変動金利を選ぶ場合は、金利上昇に備えて繰上返済用の資金を別途確保しておくことをお勧めします。固定金利を選ぶ場合は、当初の返済額は高めになりますが、長期的な安定性を重視した選択といえます。
金利以外に注目すべき重要なコスト
住宅ローンを比較する際、金利だけに注目していると思わぬ落とし穴にはまることがあります。実際には、金利以外にも様々なコストが発生するため、総合的な視点で判断することが重要です。
まず注目すべきは融資手数料です。金融機関によって「定率型」と「定額型」があり、定率型は借入額の2%程度、定額型は数万円程度が一般的です。3000万円を借りる場合、定率型なら60万円程度の手数料がかかります。一見、定額型の方が有利に見えますが、定額型を採用している金融機関は金利が高めに設定されていることが多いため、長期的な総コストで比較する必要があります。
保証料も重要なコストです。保証会社を利用する場合、借入額の2%程度を一括で支払うか、金利に0.2%程度上乗せして支払う方法があります。一括払いの場合、3000万円なら約60万円が初期費用として必要になります。一方、金利上乗せ型を選べば初期費用は抑えられますが、総返済額は増加します。
団体信用生命保険(団信)の保険料も考慮すべき点です。一般的な団信は金利に含まれていることが多いですが、がん保障や三大疾病保障などの特約を付ける場合は、金利に0.1〜0.3%程度上乗せされます。賃貸併用住宅のオーナーとして、万が一の際に家族や入居者に迷惑をかけないためにも、保障内容は慎重に検討しましょう。
火災保険や地震保険も長期的なコストとして無視できません。賃貸併用住宅の場合、建物の評価額が高くなるため、保険料も通常の住宅より高額になる傾向があります。35年間の保険料総額は数百万円に達することもあるため、複数の保険会社を比較し、必要な補償内容を見極めることが大切です。
これらのコストを含めた実質的な負担を「実質金利」として計算し、複数の金融機関を比較することをお勧めします。表面的な金利が低くても、諸費用が高ければトータルコストは高くなる可能性があります。金融機関に相談する際は、金利だけでなく全ての費用を明示してもらい、総合的に判断しましょう。
まとめ
賃貸併用住宅ローンの金利選びは、単に数字を比較するだけでなく、自分のライフプランやリスク許容度に合わせた総合的な判断が求められます。変動金利は当面の返済負担を抑えられる一方で、将来の金利上昇リスクを伴います。固定金利は返済額が安定し計画が立てやすい反面、低金利が続けば総返済額が多くなる可能性があります。
地域によって金利水準や金利タイプの選択傾向に差があることも理解しておきましょう。都市部では低金利の選択肢が多い一方、地方では固定金利を選ぶ傾向が強い地域もあります。また、金利だけでなく融資手数料や保証料、保険料などの諸費用も含めた総コストで比較することが重要です。
賃貸併用住宅は、賃料収入を返済原資の一部として活用できる魅力的な選択肢ですが、空室リスクや修繕費用も考慮した慎重な資金計画が必要です。複数の金融機関に相談し、それぞれの条件を比較検討しながら、長期的に安定した返済が可能なプランを選びましょう。最新の金利情報や制度については、各金融機関の公式サイトや公的機関の情報を確認することをお勧めします。あなたに最適な賃貸併用住宅ローンを見つけ、理想の住まいと安定した収入を実現してください。
参考文献・出典
- 金融庁 – 貸金業法のキホン – https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html
- 金融庁 – 金融サービス仲介業者向け総合的な監督指針 – https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/kinsa/kinsa05.html
- 日本銀行 – 貸出約定平均金利の推移 – https://www.boj.or.jp/statistics/outline/exp/exyaku.htm
- 日本銀行 – 金融システムレポート2025年4月号 BOX B2-1 – https://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr250423a.pdf
- 金融庁 – FSA Analytical Notes「地域銀行の住宅ローンに関する実態把握」(2025年1月21日) – https://www.fsa.go.jp/common/about/kaikaku/fsaanalyticalnotes/20250121/03.pdf