不動産の税金

古家付き土地の売買契約書で必ず確認すべき特約とは

古家付き土地の購入を検討しているとき、「売買契約書に書かれている特約の意味がよくわからない」と感じる方は少なくありません。特に、建物の取り壊しや更地渡しに関する条件は、後になってトラブルになりやすい部分です。契約書をそのままサインしてしまい、引渡し後に想定外の費用や責任問題が発生するケースも実際に起きています。この記事では、古家付き土地の売買契約書において押さえておくべき特約の種類と、それぞれの意味・注意点をわかりやすく解説します。初心者の方でも理解できるよう、基礎から丁寧に説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。

古家付き土地の売買契約書とは何か

古家付き土地の売買契約書とは何かのイメージ

まず押さえておきたいのは、「古家付き土地」という取引形態の特殊性です。古家付き土地とは、古い建物が建ったままの状態で売り出されている土地のことを指します。買主が購入後に建物を取り壊して新築を建てることを前提としているケースが多く、土地としての価値に重点を置いた取引です。

通常の土地売買や建物売買と異なり、古家付き土地の取引では「建物をどう扱うか」という点が契約書の内容に大きく影響します。建物を現況のまま引き渡すのか、売主が解体して更地にしてから引き渡すのかによって、契約書に盛り込む特約の内容がまったく変わってきます。そのため、契約書を読む際には「土地に関する条件」と「建物に関する条件」を分けて確認することが重要です。

また、売買契約書は印紙税の課税対象となる文書でもあります。国税庁の情報によると、不動産の売買契約書は印紙税額一覧表の第1号文書に該当し、契約書に記載された金額によって印紙税額が決まります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7101.htm)。古家付き土地の場合も例外ではなく、契約金額の記載方法が税額に影響するため、この点も見落とさないようにしましょう。

現況渡しと更地渡し、特約でどう変わるか

現況渡しと更地渡し、特約でどう変わるかのイメージ

古家付き土地の売買で最初に確認すべきなのは、「現況渡し」か「更地渡し」かという引渡し条件です。この違いによって、買主が負担するコストやリスクが大きく変わります。

現況渡しとは、建物が建ったままの状態で土地を引き渡す方法です。この場合、買主が自分で解体業者を手配し、費用を負担して建物を取り壊すことになります。一方、更地渡しとは売主が引渡し前に建物を解体し、更地の状態にしてから引き渡す方法です。解体費用は売主負担となりますが、その分が物件価格に上乗せされているケースもあります。

更地渡しの特約を契約書に盛り込む場合、解体・撤去する範囲を具体的に明記することが実務上の重要なポイントです。宅建マイスター認定試験の資料(一般財団法人住宅保証支援機構 https://www.htk.or.jp/)によると、建物本体だけでなく、地下室・建物の基礎・杭、さらに庭石・植栽・塀などの工作物、浄化槽・給排水管などの埋設物まで除去するかどうかを特約事項として明記することが求められています。これらを曖昧にしておくと、引渡し後に「地中に古い基礎が残っていた」「埋設管が撤去されていなかった」といったトラブルに発展する可能性があります。

契約不適合責任と免責特約の関係

古家付き土地の売買で特に注意が必要なのが、契約不適合責任に関する特約です。契約不適合責任とは、引き渡された物件が契約の内容に適合しない場合に売主が負う責任のことで、以前の「瑕疵担保責任」に相当する概念です。

重要なのは、売主が宅地建物取引業者(宅建業者)かどうかによって、特約の有効性が大きく変わるという点です。宅建業法第40条(宅地建物取引業法 https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/2653)によると、宅建業者が自ら売主となる売買契約では、引渡しの日から2年以上となる特約を除き、買主に不利となる特約を設けることはできません。つまり、宅建業者が売主の場合、建物の契約不適合責任を完全に免除する特約は原則として無効となります。

一方、売主・買主ともに宅建業者でない一般の個人間売買であれば、契約不適合責任を免責する特約や対象範囲を制限する特約も有効とされています(東京都住宅政策本部 https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/juutakuseisaku/6_keiyakuhutekigousekinin-kasitanposekinin-pdf-pdf)。ただし、売主が知っていた欠陥を故意に告知しなかった場合は、免責特約があっても責任を免れないのが一般的な考え方です。

さらに、宅建業者が売主で古家と土地を現況のまま引き渡す契約において、「建物は取り壊すから建物の契約不適合責任は免責」という特約を付けた場合も注意が必要です。東京都住宅政策本部の資料によると、買主が後に建物を居住利用するなどした場合、建物が売買目的物ではないと解することは困難であり、宅建業法第40条第1項違反となり得るとされています。建物の利用目的と特約の整合性を必ず確認することが大切です。

相続空き家の特例と特約の関係

古家付き土地の売買では、税制上の特例との関係で特約が問題になるケースもあります。特に「相続空き家の3,000万円特別控除」を利用する場合、売買契約書の特約内容が特例の適用可否に影響することがあります。

この特例は、相続した空き家(古家)を売却する際に、一定の要件を満たせば譲渡所得から3,000万円を控除できる制度です(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html)。特例の適用要件の一つに「土地の引渡し後に買主が家屋を取り壊す」という条件が関係するケースがあり、この場合に売買契約書の特約内容が論点になります。

国土交通省の情報によると、「土地の引渡し後に建物を取り壊す」という特約を交わしていない場合でも確認書の発行は可能とされています。ただし、令和5年度税制改正による拡充要件を満たすためには、譲渡後の買主の協力が必要になる場面もあるとされています。相続した古家付き土地を売却する予定がある方は、税理士や不動産の専門家に相談しながら、特約の内容と特例の要件を照らし合わせて確認することをおすすめします。

建物と土地の責任範囲を分けて確認する

古家付き土地の売買契約書で見落としがちなのが、建物と土地の責任範囲を明確に分けて確認するという視点です。建物に関する特約ばかりに目が向きがちですが、土地側にも独自のリスクが存在します。

たとえば、建物についてはすぐに取り壊すことを前提に売主が契約不適合責任を負わないと特約した場合でも、土地については別途責任の範囲を定める必要があります。不動産取引の実務事例(公益財団法人不動産流通推進センター https://www.retpc.jp/?p=21832)によると、建物の瑕疵担保責任を免責しつつ、土地については一定期間の責任を負うという形で契約を締結したケースが紹介されています。このように、建物と土地の責任範囲を分けて契約書に明記することが、後のトラブル防止につながります。

また、土地に関しては越境問題や境界の確認も重要です。隣地との境界が未確定のまま契約を進めると、後になって境界トラブルが発生するリスクがあります。契約書や重要事項説明書において、境界の確認状況や越境物の有無についても特約として明記しておくことが望ましいでしょう。地中に埋設された古い配管や廃材が発見されるケースもあるため、地中埋設物に関する責任の所在も事前に確認しておくことが大切です。

まとめ

古家付き土地の売買契約書には、通常の土地・建物売買にはない特有の特約が数多く登場します。現況渡しか更地渡しかという引渡し条件、契約不適合責任の範囲と免責特約の有効性、相続空き家の特例との関係、そして建物と土地の責任範囲の切り分けなど、確認すべきポイントは多岐にわたります。

特に、売主が宅建業者かどうかによって特約の有効性が大きく変わる点は、初心者の方が見落としやすい重要な知識です。契約書にサインする前に、不動産会社の担当者や宅地建物取引士に各特約の意味を丁寧に説明してもらうことを強くおすすめします。また、税制上の特例を活用する予定がある場合は、税理士への相談も欠かせません。しっかりと準備を整えることで、古家付き土地の取引を安心して進めることができます。

参考文献・出典

  • 国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)」 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html
  • 国税庁「No.7101 不動産の譲渡・土地の賃貸借・消費貸借・運送等に関する契約書」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7101.htm
  • 日本法令外国語訳DBシステム「宅地建物取引業法」 – https://www.japaneselawtranslation.go.jp/ja/laws/view/2653
  • 東京都住宅政策本部「不動産取引における契約不適合責任・瑕疵担保責任について」 – https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/juutakuseisaku/6_keiyakuhutekigousekinin-kasitanposekinin-pdf-pdf
  • 公益財団法人不動産流通推進センター「建売業者の古家付土地取得の際の塀の越境と瑕疵担保責任の範囲」 – https://www.retpc.jp/?p=21832
  • 一般財団法人住宅保証支援機構「宅建マイスターリーフレット(第6回宅建マイスター認定試験・集中講座)」 – https://www.htk.or.jp/wp-content/uploads/2021/10/%E7%AC%AC6%E5%9B%9E%E5%AE%85%E5%BB%BA%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E8%AA%8D%E5%AE%9A%E8%A9%A6%E9%A8%93%E3%83%BB%E9%9B%86%E4%B8%AD%E8%AC%9B%E5%BA%A7_%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%95%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%88.pdf
  • SUUMO「土地売買の完全ガイド|売主・買主別の流れ、費用・税金と注意点」 – https://www.suumo.jp/baikyaku/guide/entry/20260317/001

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