不動産の税金

不動産投資の確定申告で収支内訳書を正しく書く方法

不動産投資を始めたばかりの方にとって、毎年やってくる確定申告は大きな悩みのひとつではないでしょうか。特に「収支内訳書って何を書けばいいの?」「そもそも自分は提出が必要なの?」と戸惑う方は少なくありません。この記事では、不動産投資における確定申告の基本から、収支内訳書(不動産所得用)の役割・書き方のポイントまでを、初心者にもわかりやすく解説します。正しく申告することで余計なトラブルを防ぎ、安心して不動産経営を続けるための知識を身につけていきましょう。

不動産所得とは何か、まず基本を押さえよう

不動産所得とは何か、まず基本を押さえようのイメージ

不動産投資で得た家賃収入は、税務上「不動産所得」として扱われます。所得税法第26条では、不動産や不動産の上に存する権利、船舶または航空機の貸付けなどによって生じる所得が「不動産所得」と定義されています(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)。ただし、事業所得や譲渡所得に該当するものは除かれるため、自分の収入がどの区分に当たるかを最初に確認することが大切です。

国税庁も、不動産収入を受け取ったときの所得区分として「不動産所得」を案内しており、土地・建物の賃貸料や地代、権利金なども含まれると説明しています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm)。マンションの一室を貸している場合も、駐車場を貸している場合も、基本的には不動産所得として申告することになります。

重要なのは、不動産所得がある場合は原則として確定申告が必要になるという点です。給与所得者であっても、不動産所得が一定額を超えれば申告義務が生じます。「会社員だから関係ない」と思い込まずに、自分の状況をきちんと把握しておきましょう。

収支内訳書(不動産所得用)とは何か

収支内訳書(不動産所得用)とは何かのイメージ

収支内訳書とは、不動産所得の計算根拠を税務署に示すための書類です。白色申告で不動産所得がある場合、確定申告書と一緒にこの「収支内訳書(不動産所得用)」を提出することが国税庁から案内されています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/04/4_01.htm)。なお、国税庁は令和7年分の確定申告様式として「収支内訳書(不動産所得用)〔令和7年分用〕」とその書き方を公開していますので、最新の様式を使用するよう注意してください(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/syotoku/r07.htm)。

収支内訳書の役割は、1年間の家賃収入(収入金額)と、それを得るためにかかった費用(必要経費)を一覧にまとめることです。この書類があることで、税務署は「この人がどれだけ稼いで、どれだけ経費を使ったか」を把握できます。つまり、収支内訳書は不動産所得の計算を透明にするための重要な証明書といえます。

一方、青色申告を選択している場合は収支内訳書ではなく「青色申告決算書(不動産所得用)」を提出します。青色申告は最大65万円の特別控除が受けられるなど税制上のメリットが大きい反面、複式簿記による帳簿管理が必要です。白色申告と青色申告のどちらが自分に合っているかは、物件数や収入規模、帳簿管理の手間などを考慮して判断するとよいでしょう。

収支内訳書に記載する主な項目を理解しよう

収支内訳書(不動産所得用)には、大きく分けて「収入の部」と「経費の部」があります。まず収入の部では、物件ごとの所在地・用途・賃借人・賃貸料などを記載します。年間を通じて受け取った家賃や礼金、更新料なども収入として計上する必要があるため、入金記録をきちんと整理しておくことが大切です。

経費の部には、不動産所得を得るために実際にかかった費用を記載します。一般的に計上できる経費としては、固定資産税・都市計画税、管理費・修繕費、火災保険料、減価償却費、借入金の利子、広告費などが挙げられます。なお、土地等を取得するための借入金利子も経費として計上できますが、不動産所得が赤字になった場合、その土地取得分の利子相当額は他の所得との損益通算の対象外となります(後述)。ただし、どの費用が経費として認められるかは個別の事情によりますので、不明な点は税理士や税務署に確認することをおすすめします。

特に注意が必要なのが「減価償却費」です。建物は時間の経過とともに価値が減少するという考え方に基づき、取得費用を一定期間にわたって経費として計上できます。減価償却の計算方法や耐用年数は建物の構造によって異なるため、初めて計算する方は国税庁の案内や専門家のサポートを活用するとスムーズです。また、プライベートと事業の両方に使う費用(自家用車のガソリン代など)は、事業に使った割合のみを経費として計上する「按分(あんぶん)」という考え方が必要になります。

事業的規模かどうかで変わる申告のポイント

不動産貸付けが「事業的規模」かどうかによって、税務上の取り扱いが変わる点も押さえておきたいポイントです。国税庁は、事業的規模の目安として「貸間・アパート等はおおむね10室以上」「独立家屋はおおむね5棟以上」という基準を案内しています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1373.htm)。これはあくまで目安であり、実際には社会通念上の規模で実質的に判定されます。

事業的規模と認められると、青色申告を選択している場合に最大65万円の青色申告特別控除が適用できるほか、事業専従者給与の計上や、貸倒損失の全額経費計上など、さまざまな税務上のメリットが生じます。一方、事業的規模に満たない場合はこれらの特典が制限されるため、自分の物件規模がどちらに当たるかを確認しておくことが重要です。

また、不動産所得が赤字になった場合、一定の条件のもとで他の所得(給与所得など)と損益通算できる場合があります。国税庁は、不動産所得の赤字を他の所得と通算できる旨を案内していますが、土地等を取得するために要した借入金の利子に相当する部分の金額や、別荘等生活に通常必要でない資産の貸付けに係る損失、特定組合員等・信託受益者に係る一定の損失は通算の対象外とされています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1391.htm)。損益通算を活用することで税負担を軽減できるケースもあるため、赤字が出た年も申告を怠らないようにしましょう。

帳簿の記帳・保存義務と申告準備の進め方

確定申告をスムーズに進めるためには、日頃からの記帳習慣が欠かせません。国税庁は、事業所得や不動産所得などがある方には帳簿の記帳・保存義務があると案内しています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/index.htm)。領収書や通帳のコピー、契約書などの書類は、申告期間が終わっても一定期間保存しておく必要があります。

実際の申告準備では、まず年間の収入と経費を整理することから始めましょう。家賃の入金記録は通帳で確認でき、経費は領収書や請求書をもとに集計します。これらをもとに収支内訳書を作成し、確定申告書と合わせて税務署に提出します。国税庁の案内では、令和7年分の確定申告の相談・申告書受付は令和8年2月16日から3月16日とされています。年によって期日は変わるため、最新の期間は国税庁の公式サイトでご確認ください。

近年は国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、画面の案内に従って入力するだけで収支内訳書や確定申告書を作成できます。e-Taxを利用すれば自宅から電子申告も可能です。初めての申告で不安な方は、最寄りの税務署や税理士に相談することも選択肢のひとつです。専門家のサポートを受けることで、記載ミスや申告漏れを防ぎ、安心して申告を完了できます。

まとめ

不動産投資における確定申告と収支内訳書は、初めて向き合うと複雑に感じるかもしれません。しかし基本を押さえれば、決して難しいものではありません。まず自分の所得が「不動産所得」に該当するかを確認し、白色申告であれば収支内訳書(不動産所得用)を正確に作成して提出することが第一歩です。日頃から収入・経費の記録を丁寧につけておくことが、申告をスムーズにする最大のコツといえます。制度の詳細や個別の判断については、国税庁の公式サイトや専門家に相談しながら、毎年の申告を着実にこなしていきましょう。正しい申告習慣が、長期的に安定した不動産投資の土台を支えてくれます。

参考文献・出典

  • 国税庁「不動産所得の収支内訳書(令和7年分)」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/syotoku/r07.htm
  • 国税庁「白色申告の手引き(収支内訳書の提出案内)」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/04/4_01.htm
  • 国税庁「不動産収入を受け取ったときの所得区分(タックスアンサーNo.1370)」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm
  • 国税庁「不動産貸付けが事業として行われているかどうかの判定(タックスアンサーNo.1373)」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1373.htm
  • 国税庁「不動産所得が赤字のときの損益通算(タックスアンサーNo.1391)」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1391.htm
  • 国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/index.htm
  • e-Gov法令検索「所得税法第26条(不動産所得)」 – https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033

関連記事

TOP
不動産売買なら青山地所