不動産を売却して利益が出たとき、「税金はいつ、どうやって払えばいいの?」と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。売却した年に払うのか、翌年に払うのか、そもそも申告の手続きはどうすればいいのか、初めての方にとっては分からないことだらけです。この記事では、不動産売却にかかる譲渡所得税の納付時期から申告の流れ、税率の仕組みまでを、初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説します。正しい知識を身につけることで、うっかり申告漏れや延滞税の発生を防ぐことができます。ぜひ最後まで読んで、安心して手続きを進めてください。
譲渡所得税を払うのは「売却した翌年」

不動産売却で生じた譲渡所得税は、売却した年ではなく翌年に納付するのが基本です。これは多くの方が誤解しやすいポイントなので、まず最初に押さえておきましょう。
不動産を売却して利益(譲渡所得)が生じた場合、その利益は「確定申告」によって税務署に申告する必要があります。国税庁の情報(令和7年4月1日現在法令等)によると、申告期間は「資産を譲渡した日の属する年の翌年の2月16日から3月15日」とされています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3102.htm)。つまり、2026年中に不動産を売却した場合、申告期間は2027年2月16日から3月15日となります。
納税のタイミングも、この確定申告の期限と同じです。国税庁によると、令和7年分の申告所得税・復興特別所得税の法定納期限は令和8年3月16日です。3月15日が日曜日の場合は翌開庁日になります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/10.htm)。売却した年の年内に税金を払う必要はありませんので、資金計画を立てる際はこの点を念頭に置いておくと安心です。
また、重要な注意点として、確定申告書を提出しても、税務署から自動的に納付書や納税通知書が送られてくるわけではありません(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/10.htm)。自分で納付手続きを行う必要があるため、申告後に納付を忘れてしまわないよう注意が必要です。
譲渡所得の計算方法と税率の仕組み

実際にいくら税金がかかるのかを知るには、譲渡所得の計算方法と税率を理解することが大切です。
譲渡所得の計算式は、国税庁の情報(令和7年4月1日現在法令等)によると「収入金額 − (取得費 + 譲渡費用) − 特別控除額 = 課税譲渡所得金額」となっています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm)。収入金額とは売却価格のことで、取得費は物件を購入したときの費用、譲渡費用は仲介手数料など売却にかかった費用です。なお、取得費が分からない場合や実際の取得費が売却価格の5%より少ない場合は、売却価格の5%を概算取得費として使うことができます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm)。
税率は、物件の所有期間によって大きく異なります。所有期間の判定は「売った年の1月1日現在」で行い、5年を超えていれば「長期譲渡所得」、5年以下であれば「短期譲渡所得」に分類されます(国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm)。2026年中に売却する場合、2020年12月31日以前に取得した物件が長期、2021年1月1日以後に取得した物件が短期となります。
長期譲渡所得の税率は所得税15%・住民税5%、短期譲渡所得の税率は所得税30%・住民税9%が基本です(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm、https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm)。短期は長期の約2倍の税率となるため、売却のタイミングは慎重に検討することが重要です。さらに、平成25年から令和19年までは復興特別所得税として基準所得税額の2.1%が上乗せされます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm)。
住民税の納付時期は所得税と異なる
所得税(譲渡所得税)と住民税は、納付のタイミングが異なる点に注意が必要です。これを知らずにいると、翌年の住民税の請求に驚いてしまうことがあります。
確定申告を税務署に行うと、住民税の申告も兼ねることになるため、別途市区町村に申告書を提出する必要はありません(神戸市FAQ https://faq.city.kobe.lg.jp/faq/show/3508?site_domain=default)。税務署に申告した内容をもとに、自治体が住民税を計算して通知を送ってきます。
住民税の納付時期は所得税より遅く、売却のあった翌年に納めることになります。一般的には翌年6月以降に自治体から納税通知書が届き、それに従って納付します。自分で納める場合(普通徴収)は年4回に分けて納付し、給与から天引きされる場合(特別徴収)は6月から翌年5月まで毎月給与から差し引かれます(神戸市FAQ https://faq.city.kobe.lg.jp/faq/show/3508?site_domain=default)。具体的な納期限は自治体によって異なるため、お住まいの市区町村の公式サイトや窓口でご確認ください。
納税を少し先延ばしできる「延納」制度
一度に大きな税額を納めるのが難しい場合、「延納」という制度を活用できることがあります。
国税庁によると、延納は、確定申告により納付する税金の2分の1以上を法定納期限までに納めれば、残額を翌月1日まで延長できます。延納期間中の利子税は年7.3%と特例基準割合のいずれか低い割合です(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/03/order5/3-5_02.htm)。また、振替納税を利用している場合は、2026年分の申告であれば振替日が2027年4月中旬から下旬頃になる予定です(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/24200042/noufu_kigen.htm)。
延納はあくまで短期間の猶予であり、根本的な節税にはなりません。しかし、売却代金の受け取りと税金の支払いのタイミングを調整したい場合には有効な手段です。資金繰りに不安がある場合は、事前に税理士や税務署に相談することをおすすめします。
マイホーム売却なら使える特例と必要書類
不動産売却の中でも、自宅(マイホーム)を売る場合には、税負担を大幅に軽減できる特例が用意されています。
最も代表的なのが「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」です。これは、マイホームを売却したときに、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度です(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm)。多くのケースでこの控除を適用することで、課税対象となる譲渡所得をゼロにすることが可能です。
さらに、売った年の1月1日現在でマイホームの所有期間が10年を超えている場合は、3,000万円控除を適用した後の課税長期譲渡所得のうち6,000万円以下の部分について、所得税10%・住民税4%という軽減税率が適用されます(国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm)。通常の長期譲渡所得税率(所得税15%・住民税5%)よりもさらに低い税率となるため、長期保有のマイホームを売却する際は大きなメリットがあります。
これらの特例を受けるためには、必ず確定申告が必要です。申告書には一定の書類を添付しなければなりません。国税庁の資料(令和6年分用)によると、共通の添付書類として「譲渡所得の内訳書」「売買契約書(譲渡時・取得時)の写し」「取得費・譲渡費用等の領収証の写し」が必要です(国税庁 https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/topics/check/r06/pdf/24.pdf)。また、住民票の住所と売却した物件の所在地が異なる場合は、戸籍の附票の写しなど居住実態を証明する書類が別途必要になることがあります。書類の準備には時間がかかることもあるため、早めに確認しておくことが大切です。
まとめ
不動産売却にかかる譲渡所得税は、売却した翌年の2月16日から3月15日の確定申告期間に申告し、原則として3月16日までに納付します。住民税は確定申告の内容をもとに自治体が計算し、翌年6月以降に通知が届きます。税率は所有期間によって大きく異なり、5年超の長期保有なら所得税15%・住民税5%、5年以下の短期保有なら所得税30%・住民税9%が基本です。マイホームの売却では3,000万円の特別控除など有利な特例もありますが、適用には確定申告と書類の準備が必須です。申告書を提出しても納付書は自動送付されないため、自分で納付手続きを行うことを忘れないようにしましょう。不安な点は税務署や税理士に早めに相談することで、安心して手続きを進めることができます。
参考文献・出典
- 国税庁 No.3102 譲渡所得の申告期限 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3102.htm
- 国税庁 主な国税の納期限(法定納期限)及び振替日 — https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/24200042/noufu_kigen.htm
- 国税庁 税金の納付(確定申告Q&A) — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/10.htm
- 国税庁 No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき) — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1440.htm
- 国税庁 土地や建物を売ったとき — https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm
- 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm
- 国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm
- 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
- 国税庁 資産税関係添付書類等一覧表(令和6年分用) — https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/topics/check/r06/pdf/24.pdf
- 神戸市 土地や建物を売ったため税務署で所得税の確定申告をしましたが、住民税(市県民税)の申告はどうすればよいですか? — https://faq.city.kobe.lg.jp/faq/show/3508?site_domain=default
- 国税庁 No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3203.htm