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配偶者居住権の登記手続きと費用を2026年版で解説

配偶者が亡くなった後も、これまで住み慣れた家に安心して住み続けられるか不安に感じている方は多いのではないでしょうか。そのような方を守るために設けられたのが「配偶者居住権」という制度です。しかし、この権利を実際に活かすには、登記手続きを正しく行うことが欠かせません。手続きの流れや必要書類、そしてかかる費用を事前に把握しておくことで、いざというときに慌てずに対応できます。この記事では、配偶者居住権の基本的な仕組みから、登記手続きの具体的な流れ、費用の目安まで、初心者にもわかりやすく解説します。

配偶者居住権とはどんな権利か

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まず押さえておきたいのは、配偶者居住権がどのような場面で役立つ権利なのか、という点です。一言でいえば、被相続人(亡くなった方)の配偶者が、相続後もその建物に無償で住み続けられる権利のことです。

この制度が生まれた背景には、相続における現実的な問題があります。たとえば、夫が亡くなり、自宅と預貯金を子どもと妻で分け合う場合、自宅の価値が大きいと妻の相続分がほぼ自宅だけになってしまい、生活費となる現金が手元に残らないことがあります。配偶者居住権を活用すると、自宅の「住む権利(配偶者居住権)」と「所有する権利(所有権)」を分けて相続できるため、妻は住む権利を得ながら、預貯金などの財産も受け取りやすくなります。

成立要件については、法務省の資料(国税庁 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hyoka/200701/pdf/01.pdf)によると、相続開始時に配偶者がその建物に居住していたこと、遺産分割や遺贈などによって配偶者居住権を取得したこと、そして被相続人がその建物を配偶者以外の者と共有していないことが必要とされています。これらの条件をすべて満たして初めて、配偶者居住権が成立します。

存続期間については、原則として配偶者が亡くなるまでの間とされています。法務局の登記記載例(法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001444593.pdf)でも、存続期間の定めがない場合は「配偶者居住権者の死亡時まで」と記載する扱いが示されています。つまり、配偶者が生きている間は安心して住み続けられる仕組みになっています。

登記が必要な理由と手続きの基本的な流れ

登記が必要な理由と手続きの基本的な流れのイメージ

配偶者居住権は、登記をしなくても権利自体は成立します。しかし、登記をしておかないと第三者に対して権利を主張できないという重大なリスクがあります。

法務省の案内(法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00028.html)によると、配偶者居住権はその設定の登記を備えた場合に対抗要件を具備するとされており、建物所有者は配偶者に対して設定登記を備えさせる義務があるとされています。たとえば、建物の所有者が変わった場合でも、登記があれば新しい所有者に対して「私にはここに住む権利がある」と主張できます。逆に登記がなければ、その主張が認められない可能性があるのです。

手続きの窓口は、配偶者居住権を取得した建物の所在地を管轄する法務局(登記所)です(法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00028.html)。申請は原則として、配偶者(権利者)と居住建物の所有者(義務者)の共同申請となります。両者が協力して手続きを進めることが基本です。

ただし、遺産分割の審判によって配偶者が配偶者居住権を取得し、かつ所有者に登記手続き義務が命じられている場合は、配偶者が単独で設定登記を申請できるとされています(法務省 https://www.moj.go.jp/content/001377498.pdf)。話し合いがまとまらないケースでも、審判を経れば手続きを進められる点は覚えておくと安心です。

また、建物の所有者名義がまだ被相続人のままになっている場合は、配偶者居住権設定登記を申請する前に、まず相続登記(所有権移転登記)を完了させる必要があります(法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001444593.pdf)。順番を間違えると手続きが進まなくなるため、この点は特に注意が必要です。

申請に必要な書類と準備のポイント

手続きをスムーズに進めるためには、必要書類を事前にしっかり揃えておくことが大切です。法務局が公開している登記申請書の様式(法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001320218.pdf)によると、配偶者居住権設定登記の添付情報として「登記識別情報」「登記原因証明情報」「印鑑証明書」が示されています。

登記識別情報とは、不動産の登記名義人に交付される12桁の符号で、いわば不動産の「権利証」に相当するものです。登記原因証明情報は、遺産分割協議書や審判書など、配偶者居住権が発生した原因を証明する書類を指します。印鑑証明書は、義務者である建物所有者のものが必要になります。

代理人(司法書士など)に手続きを依頼する場合は、これらに加えて「代理権限証明情報」、つまり委任状も添付情報として必要になります。また、遺産分割によって配偶者居住権を取得した場合は、相続関係説明図を戸籍謄本などと一緒に提出すると、登記の調査が終了した後に戸籍謄本の原本を返してもらえます(法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html)。原本還付を受けることで、他の手続きにも同じ書類を使い回せるため、積極的に活用したい制度です。

戸籍謄本や住民票、印鑑証明書などの取得手数料は自治体によって異なります。事前に各市区町村の窓口やウェブサイトで確認しておくと、費用の見積もりが立てやすくなります。

登記にかかる費用の目安を知っておこう

配偶者居住権の設定登記にかかる費用は、大きく「登録免許税」と「司法書士報酬」の2つに分けられます。それぞれの内容を理解しておくことで、費用の全体像が見えてきます。

登録免許税は、登記を申請する際に国に納める税金です。法務局の資料(法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001325692.pdf)によると、配偶者居住権設定登記の課税標準は固定資産課税台帳の「価格」(評価額)であり、「固定資産税課税標準額」とは異なる点に注意が必要です。ある司法書士事務所の案内(中嶋国際法務事務所 https://nakajimalaw.net/archives/catalog/spouse)では、登録免許税は不動産価格(固定資産税評価額)の1,000分の2とされており、不動産価格が1,000万円の場合は登録免許税が2万円になるという例が示されています。計算した額に100円未満の端数があるときは切り捨て、計算額が1,000円未満の場合は1,000円になります(法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001325692.pdf)。

登録免許税の納付方法については、原則として現金で国(税務署等)に納付し、その領収証書を申請書に貼り付けて提出します。ただし、税額が3万円以下の場合などは収入印紙での納付も認められています(法務局 https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001325693.pdf)。

司法書士報酬については、法定の全国一律額はなく、各事務所が額・算定方法・諸費用を明示したうえで依頼者との合意によって決まります(日本司法書士会連合会 https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/remuneration/)。参考として、いくつかの事務所の料金例を見ると、45,000円〜(司法書士・行政書士ゆうなぎ法務事務所 https://you-nagi-office.com/fee/)、55,000円〜(中嶋国際法務事務所 https://nakajimalaw.net/archives/catalog/spouse)、110,000円〜(マザーズ法務司法書士事務所 https://souzokuplus.com/experts/list/tokyo/ty131091/46095/service/)といった幅があります。なお、これらはあくまで個別事務所の掲載額であり、別途実費が発生する場合もあります。複数の事務所に見積もりを依頼して比較することをおすすめします。

登記事項証明書(謄抄本)の手数料は、書面請求の場合1通600円です(法務省 https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/index.html)。登記完了後に内容を確認するために取得することが一般的です。

まとめ

配偶者居住権の登記手続きは、権利を守るうえで非常に重要なステップです。登記がなければ第三者への対抗力がなく、せっかくの権利が十分に機能しない恐れがあります。手続きの流れとしては、まず相続登記が完了しているかを確認し、必要書類を揃えたうえで、管轄の法務局に共同申請するのが基本です。費用面では、登録免許税(固定資産税評価額の1,000分の2が目安)と司法書士報酬(事務所によって異なる)が主な支出となります。手続きは複雑な部分も多いため、司法書士などの専門家に相談しながら進めることが、トラブルを防ぐ最善の方法です。大切な住まいを守るために、早めに準備を始めてみてください。

参考文献・出典

  • 国税庁 — https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hyoka/200701/pdf/01.pdf
  • 法務省(配偶者居住権の概要) — https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00028.html
  • 法務局(不動産登記の申請書様式) — https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html
  • 法務局(配偶者居住権設定登記申請書様式) — https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001320218.pdf
  • 法務局(解説及び注意事項等) — https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001444593.pdf
  • 法務省(令和2年3月30日民事局長通達) — https://www.moj.go.jp/content/001377498.pdf
  • 法務局(登録免許税の計算) — https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001325692.pdf
  • 法務局(登録免許税の納付) — https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001325693.pdf
  • 法務省(登記手数料について) — https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/index.html
  • 日本司法書士会連合会(司法書士の報酬) — https://www.shiho-shoshi.or.jp/about/remuneration/

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