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東急百貨店本店が2023年に閉店した3つの理由と跡地の今

長年にわたって渋谷の顔として親しまれてきた東急百貨店本店が、2023年1月31日をもって営業を終了しました。突然の閉店発表に驚いた方も多いのではないでしょうか。「なぜあれほど有名な百貨店が閉まってしまったのか」「跡地はいったいどうなるのか」という疑問を持つ方は少なくありません。この記事では、閉店の背景にある理由を丁寧に解説しながら、現在進行中の再開発計画についても詳しくお伝えします。渋谷という街の変化を知ることで、都市開発や不動産の動きに対する理解も深まるはずです。

東急百貨店本店はいつ閉店したのか

東急百貨店本店はいつ閉店したのかのイメージ

まず押さえておきたいのは、閉店の日付です。東急百貨店本店は2023年1月31日(火)をもって、その長い歴史に幕を下ろしました(東急百貨店公式サイト)。渋谷の道玄坂に位置し、地域の人々に長く愛されてきた百貨店だっただけに、閉店当日は多くのファンが別れを惜しみに訪れたと伝えられています。

東急百貨店本店は、渋谷の商業エリアと松濤の住宅エリアをつなぐ結節点という、非常に恵まれた立地にありました。交通の便がよく、周辺には多くの商業施設が集まるエリアでありながら、閉店という決断が下された背景には、単純な業績不振だけでは語れない複合的な事情がありました。閉店の理由を正確に理解するためには、建物の状態、都市開発の流れ、そして百貨店業界全体の変化という三つの視点から考えることが大切です。

閉店の最大の理由は建物の老朽化だった

閉店の最大の理由は建物の老朽化だったのイメージ

閉店の直接的な理由として最も大きかったのは、建物の老朽化です。親会社である東急の広報担当者は「建物が老朽化したことに伴い、建て替える必要が生じたため」と明確に説明しています(東洋経済オンライン、2023年2月)。長年使い続けてきた建物は、安全性や設備の維持という観点から、いずれ大規模な改修か建て替えかの判断を迫られます。東急百貨店本店の場合、その答えが「建て替え」だったわけです。

建物の老朽化は、百貨店の運営コストにも直結します。古い設備を維持するためには継続的な修繕費用がかかり、耐震性能や省エネ基準といった現代の要求水準を満たすためには、部分的な改修では対応しきれないケースも出てきます。そのような状況の中で、思い切って建て替えを選択し、跡地を新たな形で活用するという判断は、長期的な視点から見れば合理的な選択といえるでしょう。

また、老朽化という問題は東急百貨店本店に限った話ではありません。高度経済成長期からバブル期にかけて建設された大型商業施設の多くが、同様の課題を抱えています。建物の寿命と事業の将来性を天秤にかけたとき、再開発という選択肢を選ぶ企業が増えているのは、日本の都市部で広く見られる傾向です。

渋谷全体の再開発という大きな流れ

老朽化という直接的な理由の背景には、渋谷エリア全体で進む大規模な都市再開発という大きな流れがありました。渋谷駅周辺では近年、複数の大型再開発プロジェクトが相次いで進められており、東急百貨店本店の跡地もその流れの中に位置づけられています。

東急百貨店本店が立地する渋谷区道玄坂二丁目の土地は、渋谷の商業エリアと松濤の住宅エリアの結節点という希少な場所にあります(東急株式会社プレスリリース)。このような立地条件を持つ土地を、老朽化した百貨店のまま維持するよりも、時代のニーズに合った複合施設として生まれ変わらせることが、街全体の価値向上にもつながると判断されたのです。

さらに、コロナ禍を経て消費者の行動様式が大きく変化したことも、百貨店業態の見直しを後押しした要因の一つです。オンラインショッピングの普及により、従来型の百貨店が担ってきた「品揃えの豊富さ」という強みは相対的に薄れてきました。一方で、実際に足を運んで体験することの価値は高まっており、商業施設に求められる役割そのものが変化しています。東急百貨店本店の閉店と再開発は、こうした時代の変化への対応という側面も持っています。

跡地はどうなる?2027年度竣工を目指す複合施設

閉店後の跡地については、すでに具体的な再開発計画が動き出しています。東急・L Catterton Real Estate・東急百貨店の3社が開発計画を正式に合意し、2027年度の竣工を目指して共同で推進しています(東急株式会社プレスリリース)。

計画されている新施設は、地上36階・地下4階の大規模な複合施設です(東急株式会社プレスリリース)。その内容は、洗練されたライフスタイルを提案するリテール(商業施設)、ワールドクラスのスモールラグジュアリーホテル、そしてハイクオリティな都市型居住を実現する賃貸レジデンスという三つの機能を組み合わせたものになる予定です。単なる百貨店の後継施設ではなく、商業・宿泊・居住が一体となった新しい都市型施設として生まれ変わることになります。

東急はこの計画を通じて、「感動」「高揚」など真の豊かさを感じる、日本を代表するワールドクラスクオリティの施設を渋谷エリアに創出するという方針を示しています(東急株式会社プレスリリース)。また、東急百貨店としても閉店後に渋谷を拠点として新たなお買い物体験を提供する方針を示しており(東急百貨店プレスリリース、2022年12月)、百貨店としての機能が完全に消えるわけではないことも注目されます。

百貨店業界全体の変化という背景

東急百貨店本店の閉店を理解するうえで、百貨店業界全体が置かれている状況を知ることも重要です。実は、電鉄系百貨店を中心に、コロナ禍を機に撤退や縮小の動きが加速しているという指摘があります(東洋経済オンライン、2023年2月)。東急百貨店本店の閉店は、こうした業界全体のトレンドとも無縁ではありません。

百貨店という業態は、かつては「高品質な商品を一か所で揃えられる場所」として絶大な支持を集めていました。しかし現在では、専門店やECサイトの充実により、百貨店ならではの優位性を打ち出すことが難しくなっています。特に若い世代の百貨店離れは顕著であり、次世代の顧客をどのように取り込むかが業界全体の課題となっています。

このような状況の中で、老朽化した建物を抱えながら従来型の百貨店を続けることよりも、時代のニーズに合った新しい形の施設へと転換することを選んだ東急の判断は、長期的な視点から見れば理解できるものです。東急百貨店自身も、閉店後に「新しいお客さまや次世代のお客さまなど、より多くの方にもご利用いただくことを目指す」という方針を明確に示しており(東急百貨店プレスリリース、2022年12月)、変化への積極的な姿勢がうかがえます。

まとめ

東急百貨店本店が2023年1月31日に閉店した理由は、建物の老朽化による建て替えの必要性が直接的な要因でした。そこに渋谷エリア全体の再開発という大きな流れと、百貨店業界全体の変化という背景が重なり、閉店という決断につながりました。跡地では2027年度の竣工を目指して、商業・ホテル・賃貸レジデンスを含む地上36階の複合施設の建設が進んでいます。長年愛された百貨店の閉店は寂しいことですが、渋谷という街が新たなステージへと進む姿を、引き続き注目していきたいところです。

参考文献・出典

  • 東急株式会社 — 渋谷区道玄坂二丁目24番土地における開発計画を3社で推進していくことに合意 https://www.tokyu.co.jp/company/news/detail/322.html
  • 東急株式会社 — 渋谷の新たなランドマーク”Shibuya Upper West Project”が2027年度竣工に向け始動 https://www.tokyu.co.jp/company/news/detail/434.html
  • 東急百貨店 — 本店営業終了後の新しい取り組み(プレスリリース、2022年12月16日) https://www.tokyu-dept.co.jp/corporate/press/whats_new/2022_1216_2.pdf
  • 東急百貨店 — 東急百貨店「友の会」TFC東急ファミリークラブ(本店営業終了告知) https://www.tokyu-dept.co.jp/tfc/index.html
  • 東洋経済オンライン — 東急本店閉店の水面下でうごめく「外商」争奪戦 コロナ禍を機に電鉄系百貨店の「撤退」加速へ https://www.toyokeizai.net/articles/-/650155
  • 東急株式会社 — コンテンポラリーラグジュアリーホテル”The House Collective”の日本初進出が決定 https://www.tokyu.co.jp/image/news/pdf/20220721-1.pdf
  • 東急株式会社 — 東急100年史 9章 2015-2022 https://www.tokyu.co.jp/history/chapter09_4_1/

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