不動産の税金

収益物件 選び方 店舗で賢く稼ぐ方法

家賃収入だけでなく事業用家賃を得られる店舗物件は、利回りが高い一方で空室期間が長引くリスクもあります。「どのエリアを選べばいいのか」「融資は住宅より厳しいのでは」と悩む初心者は多いはずです。本記事では店舗向け収益物件の選び方を、立地分析から資金計画、2025年度の最新制度まで網羅的に解説します。読み終えるころには、物件検索サイトの情報を見た瞬間に投資判断の方向性がつかめるようになるでしょう。

店舗物件投資が注目される理由

店舗物件投資が注目される理由のイメージ

まず押さえておきたいのは、店舗物件が住宅系より高利回りになりやすい構造です。賃料は売り上げ連動方式や定額方式を選択でき、テナントの事業成功がオーナー収入に直結します。一方で、事業撤退が続くと入居者募集に時間がかかり、空室期間が伸びる点が大きな違いです。つまり、高利回りと高リスクは表裏一体と心得てください。

国土交通省「不動産価格指数」によると、2024年から24か月連続で都市部の商業地は年3%前後上昇しています。住宅地よりボラティリティが高いものの、人口集中が続く駅前エリアでは需要が底堅いことが分かります。加えて、インバウンド復活で小売・飲食需要が拡大しており、店舗系の家賃水準はコロナ禍前の95%まで回復しました。この潮流が2025年も続くと想定すれば、今が仕込みどきと考える投資家が増えるのは自然な流れです。

収益を左右する立地の読み解き方

収益を左右する立地の読み解き方のイメージ

重要なのは、住宅以上にミクロな立地条件を精査することです。同じ駅徒歩3分でも、乗降客の動線か裏通りかで想定売り上げが大きく変わります。総務省「小地域人口データ」で昼間人口と夜間人口を比較し、ターゲット業種に合う人通りか確認しましょう。また、競合店舗の出店状況を見れば、需要と供給のバランスがつかめます。

次に、都市計画図で用途地域を調べ、重飲食が可能かなど用途制限を把握します。商業系地域なら排気ダクトや深夜営業が認められやすく、テナント候補の幅が広がるため空室リスクを下げられます。一方、第一種住居地域では騒音や臭気の制限があり、軽飲食や物販にテナントが限定される点に注意が必要です。つまり、法律的な視点とマーケット視点を掛け合わせてこそ、立地選定の精度が高まるのです。

資金調達とキャッシュフロー設計

ポイントは、店舗物件への融資審査が住宅より厳しい事実を前提に計画を立てることです。日本政策金融公庫「2025年度事業用不動産融資ガイドライン」では、自己資金20%以上を基本とし、想定利回りを7%超とするケースが多いと示されています。この条件を満たす物件を選ぶか、自己資金を厚くするかで融資可否が分かれると覚えてください。

キャッシュフローを計算する際は、空室率を少なくとも15%で見積もるのが無難です。さらに、原状回復費や内装工事の負担割合をテナントと協議する際、オーナー側が初期費用を一部負担すると退去リスクを抑えられます。言い換えると、目先の利回りより長期の総収益を最大化する視点が欠かせません。修繕積立として年間家賃収入の5%を別口座でプールしておけば、突発的な設備交換にも慌てず対処できます。

契約・運営で押さえるリスク管理

実は、収益物件の失敗例の多くは契約条件の見落としに起因します。賃貸借契約書では、用途変更や転貸の可否、原状回復範囲を明確に定めてください。とりわけ中途解約違約金を家賃の6か月分以上に設定すれば、短期撤退のリスクを軽減できます。また、保証会社の活用により家賃滞納リスクを抑えられるうえ、保証料をテナント負担とする商習慣が定着している点も心強い要素です。

運営面では、定期的なテナントヒアリングを行い、売り上げ動向や課題を共有する姿勢が大切です。売り上げ連動賃料を採用していれば、オーナーも売り上げ向上を支援するメリットがあります。例えば、共用部の照明をLED化して電気代を削減し、浮いた分を販促費に充てる提案はテナント満足度を高め、長期入居につながります。つまり、オーナーは不動産提供者であると同時に、ビジネスパートナーとして関与することで収益の安定化を図れるわけです。

2025年度の制度活用と税優遇

基本的に、店舗物件投資で活用できる代表的な制度は「中小企業経営強化税制」(2025年度継続予定)です。一定の耐震・省エネ基準を満たす建物を取得し、認定経営革新等支援機関の確認を受けると、即時償却または10%税額控除が選択できます。減価償却を早めに計上すれば、初年度のキャッシュフローが改善し、融資返済に充当しやすくなります。

さらに、地方自治体によっては「商店街活性化事業補助金」が2025年度も継続中です。新規出店テナントの内装工事費や家賃の一部を補助する仕組みで、原則としてオーナーとテナントが共同申請します。期限は2026年3月末までですが、予算枠到達次第で締め切られるため、物件購入前に自治体窓口へ確認しておくとよいでしょう。結論として、制度活用は融資条件を上回る利回り向上をもたらす可能性があるため、必ずチェックしてください。

まとめ

ここまで、店舗向け収益物件の選び方を立地分析、資金計画、契約管理、制度活用の順に整理しました。高利回りを狙うと同時に、空室リスクや融資難易度が上がる点を踏まえ、自己資金と修繕積立を厚く確保する姿勢が成功の鍵です。人口動態や用途地域を丁寧に読み解き、テナントと協働して売り上げを伸ばす仕組みを作れば、安定収益は十分実現できます。まずは気になるエリアの昼間人口を調べ、現地の人流を自分の目で確認するアクションから始めてみてください。

参考文献・出典

  • 国土交通省 土地総合情報システム – https://www.land.mlit.go.jp/
  • 国土交通省 不動産価格指数 – https://www.mlit.go.jp/statistics/
  • 総務省統計局 小地域人口データ – https://www.stat.go.jp/
  • 日本政策金融公庫 2025年度事業用不動産融資ガイドライン – https://www.jfc.go.jp/
  • 中小企業庁 2025年度税制改正概要 – https://www.chusho.meti.go.jp/
  • 不動産流通推進センター 不動産投資レポート2025 – https://www.retpc.jp/

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