年収が300万円前後だと、「ローンも通りにくいし、アパート経営なんて無理では」と感じるかもしれません。しかし近年は金融機関の融資基準が多様化し、堅実な計画さえ立てれば低年収でも不動産投資に挑戦できる環境が整っています。本記事では、初心者の疑問に寄り添いながら、自己資金の作り方から物件選び、運営のポイントまでを網羅。最後まで読めば、年収300万でも着実にキャッシュフローを確保し、アパート経営で成功するための具体的な道筋が見えてくるはずです。
年収300万でも融資を受けられる現実

まず押さえておきたいのは、年収300万でも融資実績は存在する点です。金融庁のモニタリングレポートによると、2024年以降、地方銀行や信用金庫は返済負担率35%以内であれば年収300万台の投資ローンを積極的に取り扱っています。つまり、年間返済額を105万円以下に抑えられる計画なら審査通過の可能性は十分あると言えます。
一方で、同じ年収帯でもカードローンやリボ払いが多いと審査は厳しくなります。投資に先立ち、既存の高金利負債を整理し、個人信用情報をクリーンに保つことが欠かせません。さらに、副業収入や配偶者の所得を合算できれば返済余力は高まり、金利交渉でも有利になります。
実は、金融機関が重視するのは年収額より事業計画の整合性です。想定家賃、空室率、修繕積立の根拠を公的データで示せば、数字の説得力が増し、低年収でも融資枠が広がります。国土交通省の2025年10月統計で全国アパート空室率は21.2%ですが、物件の立地・築年数ごとに差が大きい点を示すことで、個別物件の実現性をアピールできます。
自己資金と融資戦略をどう組み立てるか

ポイントは、自己資金を「頭金」と「予備費」に分けて準備することです。一般的に投資向けローンでは物件価格の10〜20%を自己資金とする金融機関が多く、年収300万の場合でも200万〜400万円を用意できれば選択肢は広がります。頭金を多く入れれば返済比率は下がり、金利が年0.2〜0.5%優遇されるケースも少なくありません。
また、忘れてはならないのが購入後に発生する修繕や入居付け費用です。国交省の「建築物維持保全調査」によると、木造アパートでは築15年以降に外壁・屋根の大規模修繕が平均120万円規模で必要になります。急な出費に備え、最低でも家賃収入の6カ月分を現金でキープしておくと安心です。
融資先は都市銀行より地方銀行、さらに信用組合やノンバンクへと分散して打診すると良いでしょう。特に地域金融機関はエリア内の空室データを細かく把握しており、適切な物件であれば年収基準を柔軟に判断してくれます。2025年度時点で最大80%融資、期間30年、金利2.5%前後が標準的なレンジですが、属性と物件評価が合致すれば90%融資・金利2%台前半も狙えます。
物件選びで押さえるべき三つの視点
実は、低年収投資家ほど立地選定がリターンを左右します。第一に「人口動態」を見ること。総務省の2025年住民基本台帳では、20〜39歳人口が微増した中核市は地方でも存在します。そのような市街地周辺は家賃下落が緩やかで、安定収益を得やすいエリアと言えます。
第二に「物件規模と築年数」のバランスが重要です。新築は利回りが低く、築古は修繕費がかさみます。築10〜20年の木造一棟アパートは価格と家賃のバランスが取れており、表面利回り8〜10%ならキャッシュフローを確保しやすいと経験上感じます。
第三に「再貸付けしやすい間取り」を選ぶこと。国交省の住宅市場動向調査では、1Kよりバストイレ別の1LDKやコンパクト2DKが地方でも成約期間が短い傾向です。実際に筆者が2024年に取得した6戸の1LDKアパート(築17年、表面利回り9.2%)では、広告開始から平均23日で成約し、空室損が最小限に抑えられました。つまり、賃貸ニーズにマッチした間取りかどうかが長期運営の肝になります。
キャッシュフロー管理で失敗を防ぐ
まず押さえておきたいのは、家賃収入からローン返済と運営費を差し引いた「手残り」を常に把握することです。国税庁の所得税通達に基づき、減価償却費は帳簿上の経費になる一方、現金流出を伴いません。この仕組みを活用すれば、課税所得を抑えつつ内部留保を厚くできます。
しかし、あくまでキャッシュが回らなければ経営は成り立ちません。筆者は空室率15%、修繕費年間家賃収入の10%というシビアなシミュレーションを推奨しています。この条件で月々5万円以上の黒字が出る物件であれば、金利上昇や想定外の修繕にも対応できるため安心です。
さらに、家賃は自主管理より管理会社を活用した方が回収リスクが減り、入居促進キャンペーンも打ちやすくなります。管理手数料は家賃の5%前後ですが、安定稼働とトラブル対応を外注できるメリットは大きいでしょう。
2025年度の節税・補助制度を賢く利用する
重要なのは、合法的に経費と補助金を活用し、手元資金を厚くする視点です。2025年度も賃貸住宅の固定資産税は新築後3年間、税額が1/2に減額される特例が継続しています。新築木造アパートであれば年間数十万円の負担軽減が見込めます。
また、環境省と国交省が共同で実施する「賃貸住宅省エネ改修支援事業(2025年度)」では、断熱窓や高効率給湯器の導入費用の1/3、上限100万円/戸が補助されます。古いアパートを取得して省エネ改修を行えば、入居者満足度を高めつつ初期費用を抑えられるため一石二鳥です。
さらに、小規模企業共済やiDeCoといった国の制度を併用してリスク分散を図る投資家も増えています。事業所得と年金積立で税控除を二重に享受できるため、年収300万でも可処分所得を増やしやすくなるでしょう。
まとめ
本記事では、年収300万の会社員でもアパート経営で成功するための具体策を解説しました。融資審査は返済負担率と計画の説得力がカギとなり、自己資金は頭金と予備費を分けて準備することが安心材料になります。物件選びでは人口動態、築年数、間取りを吟味し、キャッシュフローは厳しめのシナリオで確認することが欠かせません。さらに、2025年度の固定資産税減額や省エネ改修補助を活用すれば純利益を底上げできます。今日からできる行動として、まず家計の見直しと信用情報の整理、そして自分が住む地域の空室率をチェックするところから始めてみてください。
参考文献・出典
- 国土交通省 住宅統計調査(2025年10月速報) – https://www.mlit.go.jp/statistics/
- 金融庁 金融モニタリングレポート2024 – https://www.fsa.go.jp/
- 総務省 住民基本台帳人口移動報告2025 – https://www.stat.go.jp/
- 国税庁 令和6年分所得税法令通達 – https://www.nta.go.jp/
- 一般財団法人 住宅金融普及協会 不動産投資ローン実態調査2025 – https://www.jhf.or.jp/