さいたま市で収益物件を探しているものの、「首都圏に近いだけで本当に採算は合うのか」と不安を感じる人は多いはずです。実は同市は人口増加率とインフラ整備の両面で全国的に注目されるエリアであり、初心者でも安定した家賃収入を得やすい環境が整っています。本記事では、最新データと筆者の経験をもとに、物件選びから融資、管理までを段階的に解説します。最後まで読むことで、自分に合った投資プランを描き、具体的に行動へ移すイメージを持てるでしょう。
さいたま市が投資先として注目される背景

まず押さえておきたいのは、人口動態と交通網が示す将来性です。総務省の住民基本台帳人口移動報告によると、2024年までの直近5年間でさいたま市の人口は約2.7%増加し、政令指定都市の中でも上位の伸びを維持しています。増加の中心は20〜40代で、賃貸需要の厚みが読み取れます。
さらに、JR東北・高崎・京浜東北各線のターミナルである大宮駅を中心に、新幹線や高速道路が放射状に伸びています。都心主要駅まで30分以内で到達できる利便性は、共働き世帯や単身ビジネスパーソンに好まれ、空室リスクを抑える大きな要因です。一方で市内の地価は東京23区平均の約6割にとどまり、取得コストを抑えたうえで想定利回りを確保しやすい点も魅力と言えます。
なお、2025年度の都市計画によると、さいたま市は地下鉄7号線延伸の事業化を国と協議中です。実現すれば岩槻区や見沼区など、これまで交通の便で敬遠されがちだった地域でも需要拡大が見込めます。つまり将来の値上がり益(キャピタルゲイン)も視野に入れた投資戦略が描きやすいわけです。
収益物件のタイプと選定基準

ポイントは、自分のリスク許容度と管理負担のバランスを見極めることです。さいたま市で流通している主な収益物件は、区分マンション、一棟アパート、一棟マンションの三つに大別できます。それぞれの特徴と適切な選び方を整理しましょう。
区分マンションは価格帯が2,000万〜3,500万円程度で、自己資金が限られる初心者でも始めやすい反面、管理費や修繕積立金が毎月発生します。ただ、管理組合があるため建物保全は任せやすく、手間を省ける点は利点です。一方、一棟アパートは5,000万〜1億円が中心で、土地付きのため長期保有で価値が落ちにくい特徴があります。空室が続くと収入がゼロになるリスクがあるものの、複数戸の家賃でリスクを分散できます。
実は一棟マンションは1億円超の物件が多く、中規模以上の法人投資家が主に対象です。耐用年数と維持コストを細かく検証しないと、減価償却による節税メリットが薄れる場合もあります。初心者であっても、将来のステップアップを見据えて各タイプの特徴を理解しておくと、物件提案を受けたときに判断が速くなります。
価格動向とキャッシュフローの作り方
重要なのは、利回りの数字だけではなく手取りの現金収支、いわゆるキャッシュフロー(手元に残る現金収支)を重視する視点です。不動産情報サービスのレインズ東日本公表データでは、2025年上期のさいたま市区分マンション平均利回りは4.8%、一棟アパートは7.2%でした。
しかし、固定資産税や共用部電気代、入居募集費用などを差し引くと、実質の現金利回りは1〜1.5ポイント下がるのが一般的です。例えば購入価格3,000万円、表面利回り5%の区分マンションなら、年間家賃150万円から経費25万円、ローン返済90万円を引いた残り35万円程度がキャッシュフローとなります。この数字を基準にリスクシナリオを当てはめ、空室率10%でも赤字にならないか確認すると安心です。
また、市内でも大宮区、浦和区など中心エリアは利回りが低めですが、賃料下落が緩やかで空室期間も短く済む傾向があります。対して岩槻区や西区は取得価格が抑えられ、高利回りが期待できますが、家賃相場の変動幅が大きくなりがちです。言い換えると、高利回り=高リスクではなく、将来の賃料の安定性とセットで判断することが鍵となります。
融資・税制・2025年度の制度活用
まず、融資面では地元金融機関の埼玉りそな銀行や埼玉縣信用金庫が、投資家の実績や物件評価に応じて最長35年、金利1.4%前後のローン商品を用意しています。メガバンクよりも物件所在地に対する理解が深く、管理会社の紹介まで含めたサポートが期待できる点は見逃せません。
税制では、2025年度も不動産所得に対する青色申告特別控除65万円が利用可能です。家族を専従者として給与計上する仕組みも引き続き有効であり、節税と資金繰りの両立が狙えます。また、新築から3年間の固定資産税が半額となる住宅用地特例は、一定条件を満たすアパートにも適用されます。期限付きの補助金制度は投資用では対象外が多いため、確実に使える減価償却と控除を軸に計画を立てると良いでしょう。
融資審査では、空室リスクを想定した保守的なシミュレーションを提出すると評価が高まります。例えば金利を2%上乗せ、空室率20%で試算したキャッシュフローが黒字なら、銀行は長期安定と判断しやすくなります。実際、筆者の顧客でもこの方法で1億円の一棟アパートを自己資金1,500万円で取得し、融資期間30年、金利1.45%を実現しました。
管理戦略と出口戦略
まず物件取得後の運営では、入居者ニーズを汲み取る小規模なリフォームが効果的です。国土交通省の賃貸住宅市場景況調査によると、単身向け物件で最も選ばれる設備は高速インターネットと宅配ボックスで、導入後に物件の平均入居期間が2割伸びたという結果があります。初期費用は数十万円で済むため、家賃を維持しながら空室期間を短縮する投資として有効です。
管理会社選びでは、さいたま市内に店舗網を持つ業者が地場客付け力に優れます。賃料改定や退去立会いの判断が早いので、遠方のオーナーでも安心して委託できます。一方で手数料の相場は集金代行で家賃の5%前後です。手数料率だけでなく、入居率や対応スピードを総合評価しましょう。
出口戦略としては、売却益を狙うタイミングと相続対策を兼ねる二つの方向があります。交通インフラ拡充のニュースが出た直後は物件価格が上昇しやすく、売却を検討する好機です。相続を視野に入れる場合は、土地建物の収益評価が相続税評価額より高いケースが多いため、家族信託などと組み合わせ、長期保有でメリットを最大化できます。
まとめ
さいたま市の収益物件は、人口増と優れた交通網に支えられ、安定した賃貸需要が見込めます。物件タイプごとの特徴を把握し、実質キャッシュフローを基準に投資判断を行うことが成功への近道です。さらに、地元金融機関を活用した低金利融資と2025年度も有効な青色申告特別控除などの税制を組み合わせれば、手取りを高められます。最後に、適切な管理と出口戦略を準備し、計画的に資産を伸ばす姿勢が重要です。今すぐ情報収集を始め、自分に合った一歩を踏み出してみてください。
参考文献・出典
- 総務省統計局 住民基本台帳人口移動報告 – https://www.stat.go.jp
- 国土交通省 賃貸住宅市場景況調査 – https://www.mlit.go.jp
- REINS東日本 不動産取引価格情報 – https://www.reins.or.jp
- さいたま市 都市計画情報 – https://www.city.saitama.jp
- 日本銀行 金融システムレポート – https://www.boj.or.jp