不動産の税金

配偶者の扶養内で不動産投資を始める方法|収入調整の完全ガイド

配偶者の扶養に入りながら不動産投資を始めたいと考えている方は多いのではないでしょうか。家計の足しにしたい、将来の資産形成をしたいという思いがある一方で、扶養から外れて税金や社会保険料の負担が増えるのは避けたいというジレンマを抱えている方も少なくありません。実は、不動産投資は給与所得とは異なる計算方法が適用されるため、正しい知識を持てば扶養内で収益を得ることも可能です。この記事では、扶養の仕組みから具体的な収入調整の方法、注意すべきポイントまで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

扶養の基本を理解しよう

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扶養について考える際、まず押さえておきたいのは「税制上の扶養」と「社会保険上の扶養」という2つの異なる制度があることです。多くの方がこの2つを混同してしまい、正確な収入調整ができていないケースが見られます。

税制上の扶養とは、配偶者控除や配偶者特別控除を受けられる範囲のことを指します。2026年現在、配偶者の合計所得金額が48万円以下であれば配偶者控除の対象となり、48万円を超えても133万円以下であれば配偶者特別控除が適用されます。給与収入に換算すると、103万円の壁や150万円の壁として知られている基準です。

一方、社会保険上の扶養は健康保険や厚生年金の被扶養者として認定される範囲を意味します。一般的には年収130万円未満が基準とされていますが、こちらは給与収入を基準とした金額です。重要なのは、不動産所得の場合は給与所得とは計算方法が異なるという点です。

不動産投資を行う場合、家賃収入から必要経費を差し引いた金額が「不動産所得」として扱われます。つまり、家賃収入が年間200万円あったとしても、必要経費が160万円かかっていれば、不動産所得は40万円となり、税制上の扶養内に収まる可能性があるのです。この仕組みを理解することが、扶養内での不動産投資を成功させる第一歩となります。

不動産所得の計算方法を知る

不動産所得の計算方法を知るのイメージ

不動産所得を正確に把握するためには、収入と経費の計算方法を理解する必要があります。まず収入面では、家賃収入だけでなく、礼金や更新料、駐車場代なども含まれます。ただし、敷金は預かり金であり返還義務があるため、収入には含まれません。

必要経費として認められる項目は多岐にわたります。代表的なものとして、固定資産税や都市計画税といった税金、火災保険料や地震保険料などの保険料、管理会社への管理委託費、修繕費や原状回復費用などが挙げられます。さらに、物件を購入するために借り入れたローンの利息部分も経費として計上できます。

特に重要なのが減価償却費です。建物部分の購入価格を法定耐用年数で割った金額を、毎年経費として計上できる仕組みです。例えば、木造アパートの場合は法定耐用年数が22年なので、建物価格2200万円であれば年間100万円を減価償却費として計上できます。この減価償却費は実際の現金支出を伴わない経費であるため、キャッシュフローを維持しながら所得を圧縮できる大きなメリットがあります。

青色申告を選択すれば、さらに最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。不動産所得が100万円の場合、青色申告特別控除を適用すれば所得は35万円まで圧縮され、配偶者控除の対象範囲内に収まる可能性が高まります。このように、不動産投資では経費計上の方法次第で所得金額を大きくコントロールできるのです。

扶養内に収めるための物件選びのポイント

扶養内で不動産投資を行うためには、物件選びの段階から戦略的に考える必要があります。重要なのは、高い家賃収入を得ることよりも、経費率の高い物件を選ぶという視点です。

築年数が経過した木造物件は、この目的に適した選択肢の一つです。木造建物は法定耐用年数が22年と短いため、減価償却費を多く計上できます。さらに、築古物件は修繕費が発生しやすく、これらも必要経費として計上できるため、所得を抑えやすい傾向にあります。ただし、あまりに古すぎる物件は入居者が見つかりにくいリスクもあるため、立地条件や物件の状態を慎重に見極める必要があります。

地方の一棟アパートも検討に値します。都心のワンルームマンションと比較すると、建物価格に占める土地の割合が低く、建物部分の減価償却費を多く計上できる傾向があります。また、管理費や修繕積立金などの固定費も、複数の部屋で分散できるため、経費率を高めやすいメリットがあります。

融資を活用する場合は、借入金額と金利のバランスも重要です。借入金が多ければローン利息も増え、経費として計上できる金額が大きくなります。しかし、返済負担が重くなりすぎると、キャッシュフローが悪化するリスクがあります。一般的には、物件価格の70〜80%程度の融資を受け、残りを自己資金で賄うバランスが推奨されています。

物件価格の目安としては、年間の不動産所得を48万円以内に抑えたい場合、家賃収入から経費を差し引いた実質利回りが3〜5%程度の物件で、1000万円から2000万円程度の投資規模が現実的です。ただし、これはあくまで目安であり、個々の物件の条件や経費の内容によって大きく変動します。

社会保険の扶養判定における注意点

税制上の扶養と社会保険上の扶養では、不動産所得の扱いが異なる点に注意が必要です。特に社会保険の扶養判定は、加入している健康保険組合によって基準が異なるため、事前に確認することが極めて重要です。

多くの健康保険組合では、不動産所得を判定する際に「総収入から直接的な経費のみを差し引いた金額」を基準とします。この場合、減価償却費や青色申告特別控除は経費として認められないケースが多く見られます。つまり、税制上は所得が48万円以内に収まっていても、社会保険上は扶養から外れる可能性があるのです。

協会けんぽの場合、不動産所得の判定では固定資産税、損害保険料、修繕費などの直接的な経費のみが認められ、減価償却費は経費として扱われません。一方、企業の健康保険組合の中には、確定申告書の所得金額をそのまま採用するところもあります。このように判断基準が統一されていないため、配偶者が加入している健康保険組合に直接問い合わせて確認することが不可欠です。

また、社会保険の扶養判定では「今後1年間の収入見込み」が基準となります。不動産投資を始めた初年度は、取得費用などで赤字になることもありますが、翌年以降の収入見込みが130万円を超える場合は、扶養から外れる可能性があります。将来的な収入の変動も考慮に入れた計画が必要です。

さらに、不動産所得以外に給与収入やパート収入がある場合は、それらの収入と合算して判定されます。例えば、パート収入が年間80万円あり、不動産所得が60万円の場合、合計140万円となり、社会保険の扶養から外れる可能性が高くなります。複数の収入源がある場合は、総合的な収入管理が求められます。

確定申告と記帳の実務

不動産投資を行う場合、確定申告は避けて通れません。扶養内で投資を続けるためには、正確な記帳と適切な申告が不可欠です。まず、不動産所得が20万円を超える場合は、必ず確定申告を行う必要があります。

青色申告を選択することを強くお勧めします。青色申告を行うためには、開業届と青色申告承認申請書を税務署に提出する必要があります。開業届は事業開始から1か月以内、青色申告承認申請書は青色申告を行いたい年の3月15日まで、または開業から2か月以内に提出します。2026年現在、これらの手続きはe-Taxを利用してオンラインで完結できるため、以前よりも手軽に行えるようになっています。

日々の記帳では、収入と支出を漏れなく記録することが重要です。家賃収入が振り込まれた日付と金額、管理費や修繕費などの支出の日付と金額、領収書やレシートを整理して保管します。最近では、スマートフォンで領収書を撮影するだけで自動的に記帳してくれる会計ソフトも普及しており、簿記の知識がない方でも比較的容易に記帳できるようになっています。

経費として計上できるものとできないものの区別も重要です。物件の管理や運営に直接関係する費用は経費として認められますが、私的な支出は認められません。例えば、物件の視察のための交通費は経費になりますが、家族旅行のついでに物件を見に行った場合の旅費は経費として認められません。グレーゾーンの支出については、税理士に相談することをお勧めします。

減価償却の計算は複雑に感じるかもしれませんが、会計ソフトを使えば自動的に計算してくれます。ただし、建物と土地の価格を適切に按分する必要があるため、購入時の売買契約書や固定資産税評価証明書を保管しておくことが大切です。中古物件の場合は、簡便法という計算方法を使うこともでき、より多くの減価償却費を計上できる場合があります。

扶養から外れた場合の影響を知る

扶養内での投資を目指していても、予想外に収入が増えて扶養から外れる可能性もあります。その場合の影響を事前に理解しておくことで、冷静な判断ができるようになります。

税制上の扶養から外れた場合、配偶者控除または配偶者特別控除が受けられなくなり、配偶者の税負担が増加します。配偶者控除の場合は最大38万円の所得控除が受けられなくなるため、配偶者の所得税率が20%であれば約7.6万円、住民税を含めると約11万円程度の税負担増となります。ただし、配偶者特別控除は段階的に減少する仕組みのため、所得が少し超えただけで急激に負担が増えるわけではありません。

社会保険の扶養から外れた場合の影響はより大きくなります。国民健康保険と国民年金に加入する必要があり、年間で30万円から40万円程度の負担増となるケースが一般的です。ただし、不動産所得が大きく増えている場合は、この負担増を上回る収益が得られている可能性もあります。重要なのは、扶養から外れることを恐れるのではなく、トータルでの収支を冷静に計算することです。

一方で、扶養から外れることで得られるメリットもあります。国民年金に加入することで、将来の年金受給額が増加します。また、所得が増えれば、より大きな融資を受けられる可能性が高まり、投資規模を拡大できるチャンスも生まれます。さらに、事業的規模(一般的には5棟10室以上)で不動産投資を行えば、青色事業専従者給与を活用できるなど、税制上のメリットも増えます。

扶養の範囲内で投資を続けるか、扶養から外れてより大きな投資を目指すかは、ライフステージや家計の状況、将来の目標によって異なります。子育て中で一時的に収入を抑えたい時期は扶養内で、子どもが独立した後は本格的に投資規模を拡大するといった、段階的なアプローチも有効です。

専門家の活用と相談先

扶養内での不動産投資を成功させるためには、適切な専門家のサポートを受けることが重要です。特に初めて不動産投資を行う場合は、税務や社会保険の複雑な仕組みを一人で理解するのは困難です。

税理士は確定申告のサポートだけでなく、物件購入前の収支シミュレーションや、扶養の範囲内で投資を続けるための戦略立案にも協力してくれます。不動産投資に詳しい税理士を選ぶことが大切で、初回相談は無料で行っている事務所も多くあります。年間の顧問料は10万円から30万円程度が相場ですが、確定申告のみの依頼であれば5万円から10万円程度で対応してくれる場合もあります。

社会保険労務士は、社会保険の扶養判定について専門的なアドバイスを提供してくれます。特に配偶者が加入している健康保険組合の基準が不明確な場合や、扶養の継続可否について判断に迷う場合は、相談する価値があります。多くの社労士事務所では、スポット相談を1時間1万円程度で受け付けています。

不動産会社や管理会社も重要な相談先です。物件選びの段階から、扶養内での投資を目指していることを伝えれば、経費率の高い物件を提案してくれる可能性があります。また、管理を委託する場合は、経費の領収書発行や収支報告をしっかり行ってくれる会社を選ぶことで、確定申告の負担を軽減できます。

最近では、不動産投資に特化したファイナンシャルプランナーも増えています。家計全体の視点から、扶養内での投資が本当に最適なのか、将来的にどのような投資戦略を取るべきかなど、総合的なアドバイスを受けられます。初回相談は無料で行っているFPも多いため、まずは気軽に相談してみることをお勧めします。

長期的な視点での資産形成戦略

扶養内での不動産投資は、あくまでも資産形成の一つのステップとして捉えることが大切です。目先の扶養維持にこだわりすぎて、長期的な資産形成の機会を逃してしまっては本末転倒です。

不動産投資の大きなメリットは、時間をかけて資産を形成できることです。ローンを活用すれば、少ない自己資金で大きな資産を持つことができ、家賃収入でローンを返済しながら、最終的には物件が自分の資産となります。扶養内で始めた小規模な投資も、10年、20年と続けることで、老後の安定した収入源となる可能性があります。

また、不動産投資で得た知識や経験は、将来的に投資規模を拡大する際の貴重な財産となります。最初は扶養内で1戸の区分マンションから始め、経験を積んだ後に一棟アパートへステップアップするといった段階的なアプローチも有効です。焦らず、着実に経験を積むことが、長期的な成功につながります。

家族のライフステージの変化も考慮に入れた計画が重要です。子どもの教育費がかかる時期は扶養内で投資を続け、教育費の負担が減った後に本格的に投資規模を拡大するといった柔軟な戦略も考えられます。また、配偶者の退職や転職といったライフイベントも、投資戦略を見直す良い機会となります。

不動産市場の動向にも注意を払う必要があります。2026年現在、日本の不動産市場は地域によって大きく状況が異なります。人口減少が進む地方では空室リスクが高まる一方、都心部や主要都市では需要が堅調に推移しています。長期的な視点で、人口動態や地域の発展性を考慮した物件選びが求められます。

まとめ

配偶者の扶養内で不動産投資を行うことは、正しい知識と適切な戦略があれば十分に可能です。重要なのは、税制上の扶養と社会保険上の扶養の違いを理解し、不動産所得の計算方法を正確に把握することです。

家賃収入から必要経費を差し引いた不動産所得を48万円以内に抑えることで、税制上の配偶者控除を受けられます。減価償却費や青色申告特別控除を活用すれば、実際のキャッシュフローを維持しながら所得を圧縮できます。ただし、社会保険の扶養判定では、加入している健康保険組合によって基準が異なるため、事前の確認が不可欠です。

物件選びでは、高い家賃収入を追求するのではなく、経費率の高い物件を選ぶという視点が重要です。築古の木造物件や地方の一棟アパートなど、減価償却費を多く計上できる物件が扶養内投資に適しています。また、確定申告と日々の記帳を正確に行うことで、適切な所得管理が可能になります。

扶養内での投資にこだわりすぎず、長期的な資産形成の視点を持つことも大切です。ライフステージの変化に応じて、扶養内での投資から本格的な投資へとステップアップする柔軟な戦略も検討してください。

不動産投資は、正しい知識と計画的な実行によって、家計を支える安定した収入源となります。この記事で紹介した内容を参考に、まずは専門家に相談しながら、自分に合った投資計画を立ててみてください。小さな一歩から始めることで、将来の豊かな生活につながる資産形成が実現できるはずです。

参考文献・出典

  • 国税庁 – タックスアンサー(所得税)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/shotoku.htm
  • 国税庁 – 確定申告書等作成コーナー https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kakutei.htm
  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)- 被扶養者とは https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3163/
  • 日本年金機構 – 国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/seido-shikumi.html
  • 国土交通省 – 不動産市場動向マンスリーレポート https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html
  • 総務省統計局 – 住宅・土地統計調査 https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/index.html
  • 日本不動産研究所 – 不動産投資家調査 https://www.reinet.or.jp/

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