「RC造は固定資産税が高い」と聞いて、不動産投資をためらう方は少なくありません。実際にRC造(鉄筋コンクリート造)は木造より固定資産税評価額が高くなりやすい構造です。しかし、その仕組みを正しく理解し、減税制度や減価償却を活用すれば、長期的には税務メリットを享受できます。
本記事では「RC造 固定資産税」で検索する方の疑問に答えるため、評価額の計算方法から木造との税額比較、活用できる軽減措置、さらには確定申告における減価償却の実務ポイントまで網羅的に解説します。
RC造の固定資産税が高いと言われる理由

RC造の固定資産税が木造より高くなる主な理由は、評価額の算定方法にあります。固定資産税評価額は「再建築価格方式」で計算され、その建物を新築した場合の建築費をベースに経年劣化分を差し引いて算出されます。
法定耐用年数と経年減点補正率の違い
建物の評価額は毎年下落しますが、その下落ペースは構造によって異なります。木造住宅の法定耐用年数は22年、RC造は47年と設定されており、耐用年数が長いほど評価額の下落が緩やかになります。
| 構造 | 法定耐用年数 | 補正率の下限到達時期 | 下限補正率 |
|---|---|---|---|
| 木造 | 22年 | 約20年 | 20% |
| 鉄骨造(軽量) | 19〜27年 | 約25〜30年 | 20% |
| RC造 | 47年 | 約45年 | 20% |
木造は約20年で経年減点補正率が下限の20%に到達しますが、RC造は約45年かけて下落します。築20年の木造アパートと築20年のRC造マンションを比較すると、RC造の方が相対的に高い評価額を維持しているケースが多く見られます。つまりRC造は長期間にわたって評価額が高く維持されるため、固定資産税の負担も長く続くのです。
建築コストの違いも影響
RC造は鉄筋とコンクリートを組み合わせた頑丈な構造であり、建築コストは木造の1.5〜2倍程度になることが一般的です。再建築価格方式では建築費が高いほど評価額も高くなるため、RC造は初期の評価額自体が高水準となります。
固定資産税の計算方法と構造別シミュレーション

固定資産税の計算式は非常にシンプルです。
固定資産税額 = 固定資産税評価額 × 税率(標準1.4%)
都市計画区域内では、都市計画税(標準0.3%)も加算されます。これらは地方税であり、毎年1月1日時点の所有者に対して課税される仕組みとなっています。実際の税負担を把握するため、延床面積120㎡の住宅を例にシミュレーションしてみましょう。
新築時・築20年・30年累計の税額比較
| 項目 | 木造 | RC造 |
|---|---|---|
| 新築時評価額(建物) | 約1,200万円 | 約2,000万円 |
| 新築時の固定資産税(年間) | 約16.8万円 | 約28万円 |
| 築20年時の評価額 | 約360万円 | 約1,200万円 |
| 築20年時の固定資産税(年間) | 約5万円 | 約16.8万円 |
| 30年間累計税額(建物分) | 約570万円 | 約1,050万円 |
30年間の累計で見ると、RC造は木造の約1.8倍の固定資産税を負担することになります。ただし、この数字だけで判断するのは早計です。RC造には耐久性や資産価値の維持といったメリットがあり、トータルの投資収益で評価する必要があります。
固定資産税・都市計画税の経費計上と納付時期
賃貸物件として活用しているRC造マンションの場合、確定申告において固定資産税と都市計画税は全額を必要経費として計上できます。納税通知書は通常4月から6月にかけて届き、年4回に分けて納付するか、一括で納付するかを選択できます。経費計上のタイミングについては、納税通知書が届いた課税年度分を一括でその年の経費として処理することが認められています。
RC造物件は土地と建物それぞれに固定資産税がかかりますが、投資用不動産の場合は両方とも経費計上の対象となります。ただし自宅を兼ねた賃貸併用住宅の場合は、賃貸部分の面積按分に応じた金額のみが経費として認められる点に注意が必要です。納税通知書には土地と建物の評価額が個別に記載されているため、按分計算の根拠資料として保管しておきましょう。
固定資産税の納付時期は自治体によって異なりますが、多くの場合4月、7月、12月、2月の年4回となっています。特に3月から4月は確定申告の所得税納付と固定資産税の第1期納付が重なりやすい時期であり、融資の月次返済も考慮すると資金繰りが逼迫しやすくなります。年間のキャッシュフロー表を作成して各種支出のタイミングを把握しておくことで、資金不足を事前に回避できます。
RC造で活用できる固定資産税の軽減措置
固定資産税には複数の軽減措置があり、条件を満たせばRC造でも税負担を抑えられます。
新築住宅の減額特例
新築住宅の場合、床面積120㎡までの部分について固定資産税が2分の1に減額されます。減額期間は構造によって異なります。
- 一般住宅(木造など):新築後3年間
- 耐火建築物(RC造など):新築後5年間
- 長期優良住宅(一般):新築後5年間
- 長期優良住宅(耐火):新築後7年間
RC造は耐火建築物として5年間の減額を受けられるため、この期間の税負担は大幅に軽減されます。さらに長期優良住宅の認定を取得すれば7年間に延長可能です。
例えば建物評価額2,000万円のRC造住宅の場合、本来の年間税額は約28万円ですが、新築特例期間中は約14万円で済みます。5年間で約70万円、7年間なら約98万円の節税効果が見込めます。
住宅用地の特例
土地に対する固定資産税にも軽減措置があります。住宅用地については課税標準額が以下のとおり軽減されます。
- 小規模住宅用地(200㎡以下):課税標準額が6分の1
- 一般住宅用地(200㎡超):課税標準額が3分の1
この特例は建物の構造に関係なく適用されるため、RC造の賃貸物件でも住宅として使用されていれば活用できます。
RC造の減価償却費を正しく計算する方法
RC造マンションの確定申告において最も重要なポイントの一つが、減価償却費の正確な計算です。減価償却とは、建物などの高額な資産を購入した際に、その取得価額を法定耐用年数にわたって分割し、毎年少しずつ経費として計上していく仕組みを指します。この減価償却費は実際の現金支出を伴わない経費であるため、家賃収入から差し引くことで課税所得を圧縮し、手取りキャッシュフローを改善できる強力な節税手段となります。
RC造の建物は法定耐用年数が47年と定められており、新築のRC造物件を購入した場合、減価償却の計算は比較的シンプルです。取得価額に定額法の償却率を乗じた金額を、毎年均等に経費計上していきます。たとえば建物部分の取得価額が4,700万円であれば、年間の減価償却費は100万円となり、この金額が47年間にわたって毎年経費として認められます。なお、2025年度の税制においても、RC造の減価償却は定額法のみが認められており、定率法への変更はできません。そのため、購入前の段階で長期的な損益予測を立て、融資の返済計画と照らし合わせて検討することが求められます。
中古RC造の残存耐用年数計算と節税効果
中古のRC造物件を購入した場合、残存耐用年数を計算し直すことができます。この仕組みを上手に活用すれば、新築物件よりも大きな減価償却費を計上できる可能性があります。計算式は「(法定耐用年数47年-経過年数)+経過年数×20%」となり、結果が2年未満になる場合は一律2年を使用します。
具体例として、築30年のRC造マンションを考えてみましょう。この場合、残存耐用年数は「(47-30)+30×0.2=23年」と計算されます。同じ4,700万円の建物価額であっても、年間の減価償却費は約204万円となり、新築時の2倍以上の節税効果が得られる計算になります。記事Aで解説した「簡便法」も同様の考え方で、例えば築20年のRC造を個人が購入した場合、残存耐用年数は「47年×20%=9年」で計算可能であり、9年間で加速度的に償却できるため大きな節税効果を得られます。
ただし注意すべきは、残存耐用年数が短くなるほど初期の減価償却費は大きくなる一方で、その分早い時期に償却が終わってしまう点です。物件の保有期間と減価償却期間のバランスを考慮しながら、投資戦略を組み立てることが重要です。特に物件取得後5年以内の売却を想定している場合は、短期譲渡所得として高い税率が適用されることも考慮に入れておきましょう。
RC造投資の税務メリットとデメリット
固定資産税だけを見るとRC造は不利に思えますが、不動産投資全体で考えると異なる結論になります。
RC造の税務上のメリット
- 長期の減価償却:法定耐用年数47年により、毎年安定して課税所得を圧縮できる
- 資産価値の維持:耐久性が高く、売却時に譲渡益を得やすい
- 火災保険料の軽減:耐火性能が高いため木造より約40%安い傾向
- 相続評価の圧縮:貸家建付地評価減と貸家評価減の二重効果で相続税を軽減
RC造の税務上のデメリット
- 固定資産税負担が長期化:評価額の下落が緩やかで税額が高止まり
- 短期の節税効果は限定的:耐用年数が長いため年間の償却費が薄くなる
- 売却時の課税リスク:資産価値が残りやすく、譲渡所得税が発生しやすい
確定申告で経費として計上できる費用の判断基準
確定申告における経費計上の基本原則は、「家賃収入を得るために直接必要な支出であるか」という点にあります。RC造マンションの運営では、この原則に基づいて様々な費用を経費として処理できますが、すべての支出が無条件に経費になるわけではありません。費用の性質や金額によって処理方法が変わることを理解しておくことが大切です。
RC造特有の経費として押さえておきたいのが、修繕積立金やエレベーター保守料、防水層の定期点検費用などです。これらは鉄筋コンクリート造の建物を維持管理するために不可欠な支出であり、原則として全額を必要経費に計上できます。管理会社に支払う管理委託費や、入居者募集のための広告宣伝費、仲介手数料なども同様に経費として認められます。火災保険料や地震保険料は、契約期間に応じて均等配分する必要があり、たとえば5年分の保険料を一括で支払った場合、当年分のみを経費計上し、残りの4年分は前払費用として翌年以降に繰り越します。融資を利用している場合の支払利息も、元本返済分を除いた利息部分のみが経費として認められます。
修繕費と資本的支出の区分
経費計上で特に注意が必要なのは、修繕費と資本的支出の区分です。単なる維持管理のための修繕であれば修繕費として一括計上できますが、建物の価値を高めたり耐用年数を延長したりする工事は「資本的支出」に該当し、減価償却で按分処理しなければなりません。
税務上の判断基準として、工事金額が20万円未満であれば修繕費として処理できます。また、おおむね3年以内の周期で行われる修繕や、原状回復を目的とした工事も修繕費に該当します。一方で、外壁タイルの全面貼り替えや屋上防水の大規模改修、間取り変更を伴うリノベーションなどは、建物の価値を向上させる工事として資本的支出に分類される可能性が高くなります。判断に迷う場合は、60万円未満の工事、またはその建物の取得価額の10%相当額未満の工事であれば修繕費として処理できるという基準も参考になります。大規模な工事を予定している場合は、事前に税理士へ相談して適切な処理方法を確認しておくと安心です。工事の見積書や契約書、施工前後の写真などを保管しておくことで、税務調査時にも工事の目的を客観的に説明できるようになります。
なお、青色申告者の場合、30万円未満の減価償却資産については「少額減価償却資産の特例」を適用して一括経費化できます。配管工事や給湯器の交換など比較的小規模な修繕については、この特例の適用可否を事前に確認しておくと節税効果が高まります。ただしこの特例には年間300万円の上限があるため、複数の物件を所有している場合は計画的に活用することが求められます。
固定資産税と減価償却のバランス戦略
RC造投資で重要なのは、減価償却費と固定資産税のバランスを長期視点で管理することです。
減価償却費は経費として計上でき、課税所得を圧縮します。一方、固定資産税は3年ごとの評価替えで徐々に軽減されます。総務省の統計によると、築30年超のRC造建物の評価額は新築時の約35%まで下落するのが一般的です。
投資初期は減価償却費が固定資産税を上回り、キャッシュフローにプラスに働きます。償却期間終了後は固定資産税のみの負担となりますが、この時期には評価額も大幅に下落しているため、負担感は軽減されます。
法人名義で物件を保有する場合は、修繕費や原状回復費を損金計上しやすく、実効税率約30%分の節税効果も見込めます。長期修繕計画と税務戦略をセットで検討することが、RC造投資成功のカギとなります。
また、前年の所得が一定額を超えると予定納税の対象となり、7月と11月にも所得税を前払いする必要が生じます。予定納税は前年の所得を基に計算されるため、物件売却などで一時的に所得が増加した翌年は、実際の所得に比べて過大な予定納税を求められることもあります。そのような場合は予定納税の減額申請を検討するなど、状況に応じた対応が求められます。
確定申告の実務と注意点
2025年度の確定申告では、電子申告(e-Tax)の利用がさらに推奨されています。e-Taxでマイナンバーカード方式を利用すると、青色申告特別控除を65万円満額で受けることができます。紙での申告では青色申告特別控除が55万円に減額されるため、10万円の控除額の差は決して小さくありません。電子申告の初期設定には多少の手間がかかりますが、翌年以降はスムーズに申告できるようになるため、早めの導入を検討する価値があります。
RC造マンションのオーナーが確定申告で陥りやすいミスとして最も多いのが、減価償却費の計上漏れです。特に初めて不動産所得の申告をする場合、減価償却の仕組み自体を理解していないまま申告期限を迎えてしまうケースが見られます。減価償却費を計上せずに申告すると、本来よりも所得が大きく計算されてしまい、過大な税金を納めることになります。この失敗を避けるためには、物件を購入した時点で税理士に相談するか、国税庁が提供する耐用年数計算ツールを活用して試算しておくことが大切です。特に中古物件の場合は残存耐用年数の計算を誤ると減価償却費が大きく変わってしまうため、築年数と経過年数を正確に把握したうえで計算する必要があります。
日々の実務としては、管理会社から提供される年間収支報告書を基に、家賃収入と各種経費を会計ソフトに入力していきます。RC造は修繕費や管理費が高額になりやすいため、月次で仕訳を済ませておくと申告期間に慌てずに済みます。クラウド型の会計ソフトを活用すれば、領収書や証憑をデジタル保管しながら自動仕訳機能を利用でき、書類管理の負担を大幅に軽減できます。申告期限は原則として翌年の3月15日ですが、余裕を持って2月中に書類を整えておくことをおすすめします。
まとめ
RC造の固定資産税が木造より高くなるのは事実です。法定耐用年数が長く、評価額の下落ペースが緩やかなため、30年間の累計では木造の約1.8倍の税負担となるケースもあります。
しかし、新築特例(耐火建築物で5年間半額)や長期優良住宅認定による延長、住宅用地の特例など、活用できる軽減措置は複数あります。さらに減価償却による所得圧縮、資産価値の維持による売却益、相続評価の圧縮効果など、長期的な税務メリットも見逃せません。確定申告においては、固定資産税・都市計画税の全額経費計上、修繕費と資本的支出の的確な区分、少額減価償却資産の特例活用なども、手取り収益を高めるうえで重要なポイントです。
RC造投資の判断は、固定資産税単体ではなく、取得から保有、売却・承継までのトータルコストと収益で行うべきです。具体的な数字でシミュレーションを行い、税理士や不動産の専門家と相談しながら、あなたに最適な投資戦略を組み立ててください。
参考文献・出典
- 総務省「固定資産評価基準」
- 総務省統計局「住宅・土地統計調査」
- 国税庁「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」
- 国税庁「耐用年数(建物・建物附属設備)」
- 国税庁「減価償却のあらまし」
- 国土交通省「長期優良住宅の認定制度」
- 国土交通省「建築物の構造別耐用年数」
- 東京都主税局「固定資産税・都市計画税のあらまし」
- e-Tax(国税電子申告・納税システム)