不動産投資を検討する際、物件購入と同時にリフォームも必要になるケースは少なくありません。築古物件を安く購入してリノベーションし、賃貸に出すという戦略は魅力的ですが、その資金調達方法に悩む方も多いでしょう。リフォーム一体型ローンという便利な商品がありますが、投資物件でも利用できるのか気になるところです。この記事では、リフォーム一体型ローンの基本から投資物件での利用可否、さらに代替手段まで詳しく解説します。資金計画を立てる前に知っておくべき重要な情報をお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
リフォーム一体型ローンの基本的な仕組み

リフォーム一体型ローンとは、住宅の購入資金とリフォーム費用を一つのローンでまとめて借りられる金融商品です。通常、住宅ローンとリフォームローンは別々に契約する必要がありますが、この商品を利用すれば手続きが一度で済み、金利も住宅ローン並みの低い水準で借りられるメリットがあります。
具体的な仕組みを見ていきましょう。たとえば2000万円の中古物件を購入し、500万円のリフォームを行う場合、合計2500万円を一つのローンとして借り入れます。金利は通常の住宅ローンと同水準の変動金利で1.5〜2.0%程度、固定金利なら2.5〜3.0%程度が一般的です。これに対して、リフォームローン単体で借りると金利は3〜5%程度になることが多いため、大きな金利差が生まれます。
審査の流れも特徴的です。物件の購入前にリフォーム計画と見積もりを提出し、購入資金とリフォーム費用を合わせた総額で審査を受けます。承認されれば、物件購入時に全額が融資実行され、そこからリフォーム業者への支払いを行う形になります。このため、リフォーム計画は事前にしっかり固めておく必要があります。
返済期間は最長35年まで設定できることが多く、月々の返済負担を抑えられる点も魅力です。ただし、リフォーム部分だけを短期間で返済したい場合は、一部繰り上げ返済を活用する方法もあります。金融機関によっては、リフォーム費用部分のみ返済期間を短く設定できる商品もあるため、複数の選択肢を比較検討することが大切です。
投資物件でリフォーム一体型ローンは利用できるのか

結論から言うと、一般的なリフォーム一体型ローンは投資物件には利用できません。この商品は基本的に「自己居住用」の住宅を対象としており、賃貸に出す投資物件は対象外となっています。金融機関の商品説明を見ると、ほぼすべてに「本人が居住する住宅」という条件が明記されています。
なぜ投資物件が対象外なのか、その理由を理解しておきましょう。住宅ローンは国の政策的な支援もあり、低金利で提供されています。これは国民の住宅取得を促進するための措置であり、投資目的の不動産には適用されないのです。また、投資物件は空室リスクや収益変動リスクがあるため、金融機関としても住宅ローンより高いリスクと判断し、別の商品体系で対応しています。
ただし例外的なケースも存在します。一部の金融機関では「賃貸併用住宅」であれば、リフォーム一体型ローンに近い商品を利用できる場合があります。賃貸併用住宅とは、建物の一部に自分が住み、残りを賃貸に出す形態です。この場合、自己居住部分が全体の50%以上であれば、住宅ローンとして扱われることがあります。
実際の審査では厳格なチェックが行われます。融資実行後に本人が居住しているか確認されることもあり、虚偽の申告をすれば一括返済を求められるリスクもあります。2026年現在、金融機関のモニタリングは以前より厳しくなっており、投資目的での不正利用は絶対に避けるべきです。
投資物件のリフォーム資金を調達する正しい方法
投資物件でリフォームを行う場合、適切な資金調達方法を選ぶことが重要です。最も一般的なのは「不動産投資ローン」と「リフォームローン」を組み合わせる方法です。不動産投資ローンで物件を購入し、別途リフォームローンでリノベーション費用を調達します。
不動産投資ローンの特徴を押さえておきましょう。金利は住宅ローンより高く、2026年4月現在で変動金利2.5〜4.0%、固定金利3.5〜5.0%程度が相場です。審査では物件の収益性が重視され、想定される家賃収入や利回りが重要な判断材料となります。頭金は物件価格の20〜30%を求められることが多く、自己資金の準備が必要です。
リフォームローン単体で借りる場合、金利は3〜5%程度と高めですが、無担保で借りられる商品もあります。ただし借入限度額は500万〜1000万円程度と制限があるため、大規模なリノベーションには向きません。返済期間も10〜15年と短めに設定されることが多く、月々の返済負担は大きくなります。
より有利な方法として「リフォーム費用込みの不動産投資ローン」を提供している金融機関もあります。これは物件価格とリフォーム費用を合算して、一つの不動産投資ローンとして借りられる商品です。金利は不動産投資ローンの水準ですが、リフォームローン単体より低く抑えられ、返済期間も長く設定できます。事前にリフォーム見積もりを提出し、総額で審査を受ける点はリフォーム一体型ローンと似ていますが、あくまで投資用の商品として設計されています。
金融機関選びと審査通過のポイント
投資物件のリフォーム資金を調達する際、金融機関選びが成功の鍵を握ります。まず検討すべきは、不動産投資に積極的な金融機関を見つけることです。メガバンクは審査が厳しい傾向にある一方、地方銀行や信用金庫は地域の不動産投資に前向きなケースが多く見られます。
審査で重視されるポイントを理解しておきましょう。第一に物件の収益性です。想定家賃収入が年間ローン返済額の1.3倍以上あることが一つの目安とされています。これを「債務償還年数」や「返済比率」として計算し、安全性を判断します。リフォーム後の家賃上昇が見込める場合は、その根拠となる周辺相場データを提示することが効果的です。
第二に本人の属性も重要な審査項目です。年収は最低でも500万円以上、できれば700万円以上あると審査に通りやすくなります。勤続年数は3年以上が望ましく、正社員であることも有利に働きます。既存の借入状況もチェックされ、他のローン返済額と合わせて年収の40%以内に収まることが求められます。
第三にリフォーム計画の妥当性が審査されます。過剰な設備投資は避け、家賃上昇に直結する効果的なリフォーム内容を提案しましょう。たとえば水回りの刷新や間取り変更は入居者ニーズが高く、評価されやすい項目です。複数の業者から相見積もりを取り、適正価格であることを示すことも大切です。
事前準備として、物件の収支シミュレーションを詳細に作成しておくことをお勧めします。購入価格、リフォーム費用、想定家賃、管理費、修繕積立金、固定資産税などすべての収支を明確にし、10年間の収支計画を立てます。空室率20%を想定した保守的なシナリオでも黒字を維持できることを示せれば、審査担当者の信頼を得られます。
リフォーム一体型ローンと投資ローンの比較
両者の違いを明確に理解することで、自分に適した選択ができます。まず金利面では大きな差があります。リフォーム一体型ローン(自己居住用)は1.5〜2.0%程度ですが、不動産投資ローンは2.5〜4.0%程度です。仮に2500万円を30年で借りた場合、金利1.5%なら総返済額は約3200万円、金利3.0%なら約3800万円となり、600万円もの差が生じます。
審査基準も大きく異なります。自己居住用のリフォーム一体型ローンは本人の返済能力が中心ですが、投資ローンは物件の収益性が重視されます。年収500万円の会社員が3000万円の自宅を買う場合と、同じ人が3000万円の投資物件を買う場合では、後者の方が審査のハードルは高くなります。投資物件では物件自体が生み出すキャッシュフローが返済原資となるため、立地や築年数、想定利回りが厳しくチェックされます。
頭金の要件も違います。自己居住用なら頭金なしのフルローンも可能な場合がありますが、投資物件では最低でも20%、できれば30%の頭金を求められます。2500万円の物件なら500万〜750万円の自己資金が必要です。これは投資リスクを考慮した金融機関の方針であり、自己資金が多いほど審査に通りやすくなります。
返済期間の設定にも特徴があります。自己居住用は最長35年が一般的ですが、投資物件では物件の築年数や構造によって制限されることがあります。たとえば築30年の木造物件なら、残存耐用年数を考慮して返済期間が15〜20年に制限される場合もあります。これは月々の返済額を増やす要因となるため、事前に確認が必要です。
投資物件リフォームで失敗しないための資金計画
成功する投資のためには、綿密な資金計画が欠かせません。まず総投資額を正確に把握することから始めましょう。物件価格だけでなく、諸費用として物件価格の7〜10%程度が必要です。2000万円の物件なら140万〜200万円の諸費用がかかります。内訳は仲介手数料、登記費用、不動産取得税、火災保険料などです。
リフォーム費用の見積もりは余裕を持って設定します。当初の見積もりから10〜20%程度の予備費を確保しておくと安心です。リフォーム中に予期せぬ劣化が見つかることは珍しくなく、追加工事が発生するケースも多いためです。500万円のリフォーム予算なら、550万〜600万円を想定しておきましょう。
運転資金として、最低でも6ヶ月分の空室期間に耐えられる資金を用意します。月10万円の家賃を想定するなら60万円です。さらに突発的な修繕に備えて100万円程度の予備資金があると理想的です。これらを合計すると、2000万円の物件に500万円のリフォームを行う場合、自己資金として800万〜1000万円程度が必要になります。
キャッシュフローのシミュレーションは複数のシナリオで行います。楽観シナリオ(空室率5%、家賃下落なし)、標準シナリオ(空室率15%、5年後に家賃5%下落)、悲観シナリオ(空室率25%、3年後に家賃10%下落)の3パターンを作成し、悲観シナリオでも赤字にならない計画を立てることが重要です。
リフォーム内容の優先順位付けも大切です。すべてを一度に行うのではなく、入居に必須の工事と、後回しにできる工事に分けて考えます。水回りや内装など入居者の目に触れる部分を優先し、外壁塗装など外観に関わる部分は入居後の収益を見ながら計画的に実施する方法もあります。段階的なリフォームにより、初期投資を抑えつつ、確実に収益を上げていく戦略が取れます。
賃貸併用住宅という選択肢
投資と居住を両立させたい方には、賃貸併用住宅が有力な選択肢となります。これは建物の一部に自分が住み、残りを賃貸に出す形態で、うまく活用すればリフォーム一体型ローンに近い条件で資金調達できる可能性があります。
賃貸併用住宅で住宅ローンを利用するための条件を確認しましょう。最も重要なのは、自己居住部分が建物全体の床面積の50%以上を占めることです。たとえば延床面積200㎡の建物なら、自宅部分が100㎡以上必要です。この条件を満たせば、物件全体を住宅ローンの対象とできる金融機関が多く存在します。
金利面でのメリットは大きいです。通常の不動産投資ローンなら3〜4%の金利が、住宅ローンとして1.5〜2.0%で借りられます。3000万円を30年で借りる場合、金利1.5%なら月々の返済額は約10.4万円、金利3.5%なら約13.5万円となり、月3万円以上の差が生まれます。
収益面でも魅力があります。賃貸部分からの家賃収入で住宅ローンの返済を一部カバーできるため、実質的な住居費負担を大幅に軽減できます。たとえば月10万円の返済に対して、賃貸部分から月6万円の家賃収入があれば、実質負担は月4万円です。これは通常の賃貸住宅に住むより安く、持ち家を手に入れられる計算になります。
注意点もあります。第一に建築コストが通常の住宅より高くなることです。賃貸部分と自宅部分で玄関や水回りを分ける必要があり、設計も複雑になります。第二に管理の手間がかかります。賃貸部分の入居者対応や設備トラブルへの対処が必要です。第三に将来的な制約です。転勤などで自分が住めなくなった場合、住宅ローンの条件違反となる可能性があります。
賃貸併用住宅を成功させるポイントは立地選びです。自分が住みたい場所であると同時に、賃貸需要が高いエリアを選ぶ必要があります。駅から徒歩10分以内、周辺に商業施設や学校がある、治安が良いといった条件を満たす場所が理想的です。また、間取りは単身者向けの1Kや1DKより、ファミリー向けの2LDKや3LDKの方が長期入居が見込めます。
まとめ
リフォーム一体型ローンは基本的に自己居住用の住宅を対象としており、投資物件には利用できません。投資目的で物件を購入しリフォームする場合は、不動産投資ローンとリフォームローンを組み合わせるか、リフォーム費用込みの不動産投資ローンを利用することになります。金利は住宅ローンより高くなりますが、これは投資リスクを反映した適正な水準です。
資金調達を成功させるためには、物件の収益性を明確に示すこと、十分な自己資金を用意すること、そして保守的な収支計画を立てることが重要です。金融機関は物件が生み出すキャッシュフローを重視するため、周辺相場を調査し、現実的な家賃設定と空室率を想定したシミュレーションを作成しましょう。
賃貸併用住宅という選択肢も検討する価値があります。自己居住部分が50%以上あれば住宅ローンを利用でき、低金利で資金調達しながら賃貸収入も得られます。ただし建築コストや管理の手間、将来的な制約も考慮する必要があります。
不動産投資は長期的な視点で取り組むべき事業です。目先の金利差だけでなく、物件の収益性、立地の将来性、自分のライフプランなど総合的に判断することが成功への道です。不明な点があれば、不動産投資に詳しいファイナンシャルプランナーや税理士に相談し、専門家のアドバイスを受けることをお勧めします。適切な資金計画と堅実な物件選びで、安定した不動産投資を実現してください。
参考文献・出典
- 国土交通省「令和8年度住宅市場動向調査」 – https://www.mlit.go.jp/
- 全国銀行協会「住宅ローン利用状況調査(2026年4月)」 – https://www.zenginkyo.or.jp/
- 住宅金融支援機構「フラット35利用者調査」 – https://www.jhf.go.jp/
- 金融庁「金融機関の不動産融資に関する実態調査」 – https://www.fsa.go.jp/
- 不動産流通推進センター「不動産投資市場の動向(2026年版)」 – https://www.retpc.jp/
- 日本銀行「貸出約定平均金利の推移」 – https://www.boj.or.jp/
- 総務省統計局「住宅・土地統計調査」 – https://www.stat.go.jp/