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賃貸のエレベーター故障、修繕費の負担は誰がする?

賃貸マンションに住んでいて、突然エレベーターが故障してしまったとき、「修繕費は誰が払うの?」「家賃は減額してもらえるの?」と不安になる方は多いのではないでしょうか。特に高層階に住んでいる場合は、日常生活への影響も大きく、早急な対応が求められます。この記事では、エレベーター故障が起きたときの費用負担の考え方や、賃料減額の仕組み、貸主・借主それぞれが取るべき対応について、初心者にもわかりやすく解説します。法律の基本的な考え方から実際の交渉のポイントまで、順を追って説明しますので、ぜひ最後までお読みください。

エレベーター故障の修繕費は誰が負担するのか

エレベーター故障の修繕費は誰が負担するのかのイメージ

まず押さえておきたいのは、賃貸物件のエレベーター修繕費は、原則として貸主(オーナー)が負担するという考え方です。これは日本の民法に基づいた基本的なルールです。

e-Gov法令検索に掲載されている民法第606条第1項では、「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」と定められています。つまり、貸主は借主が物件を問題なく使えるよう維持する責任があり、エレベーターのような共用設備の修繕もその義務に含まれると一般的に解釈されています。国土交通省の「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集」でも、貸主は借主に帰責事由がある場合を除き、物件の使用に必要な修繕をする義務を負うと整理されています。

ただし、例外となるケースもあります。借主の故意や過失によってエレベーターが故障した場合、その修繕費用は借主が負担しなければならない可能性があります。たとえば、引越し作業中に大型家具をぶつけて機器を破損させた場合などが、これに当たると考えられます。ただし、「故意・過失があったかどうか」の判断は個別の事情によりますので、トラブルになった際は専門家への相談をおすすめします。

通常の使用の範囲内で起きた故障であれば、基本的に貸主が修繕費を負担するのが原則です。借主としては、故障を発見したらすぐに管理会社や貸主に連絡し、修繕を求めることが大切です。国土交通省の事例集でも、借主が修繕の必要性を訴えているのであれば、貸主は誠実に対応する必要があると明記されています(国土交通省「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集」https://www.mlit.go.jp/common/001230068.pdf)。

故障中の家賃は減額してもらえるのか

故障中の家賃は減額してもらえるのかのイメージ

エレベーターが使えない期間、家賃を払い続けることに納得できないと感じる方も多いでしょう。実は、一定の条件を満たせば賃料の減額を求めることができます。

国土交通省の「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集」によると、改正民法第611条第1項に基づき、借主に帰責事由がなく、一部使用不能の状態が一般社会生活上受忍すべき程度を超えているのであれば、賃料が減額されることが基本とされています。エレベーターの故障は同事例集の中でも一部使用不能トラブルの実例として取り上げられており、複数の相談事例が記録されています。

国土交通省によると、賃料減額の目安については、通常の居住ができなくなった期間に加え、使用できなくなった範囲(面積按分など)を考慮して減額額を算定するのが一般的な考え方とされています。たとえば、エレベーターが使用できない場合は、修繕完了までの期間や生活への影響の程度に応じて減額額が検討されるというイメージです。ただし、これはあくまで一般的な考え方であり、実際の減額額は個別の交渉によって決まります。

また、同事例集では、賃料の減額だけでなく、相当額の金銭や代替品を提供するといった柔軟な対応が取られているケースもあると紹介されています。高層階に住んでいて階段の使用が困難な場合など、生活への影響が大きいほど、より手厚い対応を求める根拠になり得ます。いずれにせよ、まずは貸主や管理会社に状況を丁寧に伝え、話し合いの場を設けることが重要です。

貸主・管理会社はどのような対応をすべきか

不動産投資家や賃貸物件のオーナーにとって、エレベーターの故障は入居者との信頼関係に直結する重大な問題です。適切な対応を知っておくことが、長期的な安定経営につながります。

国土交通省の事例集では、物件の一部使用不能が発生した場合、貸主(または管理会社等)と借主との話し合いによってトラブルの解決が図られることが一般的であると説明されています。また、修繕が完了するまでの期間が長い場合に賃料の減額が行われていることが多くなっている傾向も示されています。つまり、問題を放置せず、迅速かつ誠実に対応することが求められます。

管理会社の役割も重要です。国土交通省の賃貸住宅管理業法ポータルサイト(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/business_manager.html)によると、賃貸住宅管理業者は管理業務として建物・設備の点検、維持、修繕などを行うこととされています。管理会社に物件を委託しているオーナーは、管理会社が適切に対応しているかを確認し、必要に応じて自らも入居者への説明や対応に関わることが大切です。

さらに、エレベーターの故障を未然に防ぐためには、日頃からの定期点検が欠かせません。国土交通省は「昇降機の適切な維持管理に関する指針」および「エレベーター保守・点検業務標準契約書」を策定・公表しており、適切な維持管理の重要性を示しています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000105.html)。定期的な保守点検契約を結び、計画的なメンテナンスを行うことが、トラブル防止の基本となります。

借主が取るべき具体的な行動ステップ

エレベーターが故障したとき、借主として何をすればよいか迷う方も多いでしょう。ここでは、実際に起きたときの対応の流れを整理します。

まず最初にすべきことは、管理会社または貸主への速やかな連絡です。口頭だけでなく、メールや書面など記録が残る形で連絡することをおすすめします。連絡の際は、故障を発見した日時、現在の状況、生活への影響(特に高層階の場合は階段使用が困難であることなど)を具体的に伝えましょう。記録を残しておくことで、後の交渉がスムーズになります。

次に、修繕の見通しを確認することが重要です。修繕にどれくらいの期間がかかるのかを早めに把握し、長期化しそうな場合は賃料の減額や代替手段(仮設の昇降手段の提供など)について相談を始めましょう。先述のとおり、修繕期間が長引く場合ほど賃料減額が認められやすい傾向があります。

それでも貸主や管理会社が誠実に対応してくれない場合は、各都道府県の宅地建物取引業協会や、国土交通省が設置する相談窓口を活用することも一つの手段です。国土交通省の「民間賃貸住宅」に関するページ(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000016.html)では、賃貸住宅に関する相談先の情報も提供されています。一人で抱え込まず、専門機関に相談することで、適切な解決策が見つかることもあります。

まとめ

賃貸物件のエレベーター故障における費用負担は、原則として貸主が負うものです。民法第606条に基づき、貸主は借主が物件を使用するために必要な修繕義務を負っており、借主の過失によらない故障であれば、修繕費は貸主が負担するのが基本的な考え方です。また、故障によって生活に支障が生じている場合は、賃料の減額を求めることも可能です。

大切なのは、問題が起きたときに貸主・借主双方が誠実に話し合い、早期解決を目指すことです。日頃から管理会社や貸主とのコミュニケーションを大切にし、何か気になることがあれば早めに相談する習慣をつけておきましょう。エレベーターの定期点検や適切な維持管理を行うことで、そもそもの故障リスクを減らすことも、オーナーとして重要な取り組みです。この記事が、いざというときの参考になれば幸いです。

参考文献・出典

  • 国土交通省「建築:昇降機(エレベーター、エスカレーター等)について」 — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000105.html
  • 国土交通省「住宅:民間賃貸住宅」 — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000016.html
  • 国土交通省「住宅:『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』について」 — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html
  • 国土交通省「住宅:『民間賃貸住宅に関する相談対応事例集』について」 — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000117.html
  • 国土交通省「民間賃貸住宅に関する相談対応事例集(PDF)」 — https://www.mlit.go.jp/common/001230068.pdf
  • e-Gov法令検索「民法(第606条)」 — https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/20220401_430AC0000000059
  • e-Gov法令検索「借地借家法」 — https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000090?occasion_date=20250324
  • 国土交通省「賃貸住宅管理業法ポータルサイト:業務管理者について」 — https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/business_manager.html

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