マンション投資に興味はあるけれど、「節税になると聞いたけど、どういう仕組みなの?」と疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。不動産投資の節税効果は確かに魅力的ですが、その仕組みを正しく理解しないまま始めると、思わぬ落とし穴にはまることもあります。この記事では、マンション投資の節税の仕組みを初心者にもわかりやすく、国税庁の公式情報をもとに丁寧に解説します。節税の基本から、減価償却・損益通算・青色申告のメリットまで、順を追って確認していきましょう。
不動産所得の計算が節税の出発点

マンション投資で節税を考えるとき、まず押さえておきたいのは「不動産所得」の計算方法です。国税庁によると、不動産所得の金額は「総収入金額-必要経費」という計算式で求められます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm)。
総収入金額には、毎月の家賃収入だけでなく、返還不要の敷金・保証金や、共益費として受け取る水道光熱費なども含まれます。一方、必要経費として認められるものには、固定資産税・損害保険料・減価償却費・修繕費などがあります。これらの経費を正しく計上することで、課税対象となる不動産所得を合法的に圧縮できるのが、マンション投資における節税の基本的な考え方です。
重要なのは、すべての支出が経費になるわけではないという点です。たとえば、借入金の返済額のうち元本に相当する部分は必要経費になりません。また、所得税・住民税・延滞税・加算税なども必要経費の対象外とされています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2024/pdf/019.pdf)。経費として認められるものとそうでないものをしっかり区別することが、正確な申告と節税の両立につながります。
減価償却費が節税の核心

マンション投資の節税において、最も大きな役割を果たすのが「減価償却費」です。減価償却とは、建物などの資産を取得した年に全額経費化するのではなく、その使用可能期間にわたって分割して必要経費に計上していく仕組みです(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm)。
ここで重要なのは、土地は減価償却の対象にならないという点です。時の経過によって価値が減少しない資産は減価償却資産ではないとされており、経費化できるのは主に建物・建物附属設備などに限られます。マンションを購入した際は、土地と建物の取得価額を合理的に按分して、建物部分のみを減価償却の対象とする必要があります。
建物の法定耐用年数は構造によって異なります。国税庁の耐用年数表によると、住宅用の鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造(いわゆるRC造)の建物の法定耐用年数は47年とされています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf)。つまり、新築のRC造マンションであれば、建物取得価額を47年間にわたって毎年少しずつ経費として計上できることになります。
中古マンションを購入した場合は、簡便法という計算方法で耐用年数を短く設定できる場合があります。耐用年数が短くなると、毎年計上できる減価償却費が大きくなるため、節税効果が高まりやすいという特徴があります。ただし、取得価額の50%を超える資本的支出を行った場合は、この簡便法を使えないルールがあります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2108.htm)。
損益通算で給与所得の税負担を軽減する
マンション投資の節税効果として特に注目されるのが「損益通算」の仕組みです。不動産所得に赤字(損失)が生じた場合、原則として給与所得など他の黒字の所得金額から差し引くことができます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1391.htm)。
たとえば、会社員として給与所得がある方がマンション投資を行い、減価償却費などの経費が家賃収入を上回って不動産所得が赤字になった場合、その赤字分を給与所得から差し引いて課税所得を減らすことができます。課税所得が減れば、所得税・住民税の負担も軽くなるというのが、損益通算による節税の仕組みです。
ただし、損益通算には重要な例外があります。土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の損失は、損益通算の対象外とされています。また、趣味・娯楽・保養・鑑賞を主な目的として所有する不動産の損失も対象外です。さらに、令和3年以後は国外中古建物の減価償却費に相当する損失についても損益通算できない特例が設けられています。これらの例外を正しく理解した上で、節税計画を立てることが大切です。
青色申告でさらに節税効果を高める
マンション投資の節税をより効果的に進めるために活用したいのが「青色申告」制度です。青色申告を選択することで、白色申告にはない様々な税務上のメリットを受けられます。
青色申告特別控除は、その代表的なメリットのひとつです。国税庁の資料によると、事業的規模でない不動産貸付業を営む青色申告者であれば、所得金額から最高10万円を控除できます。さらに、事業的規模の不動産所得があり、正規の簿記で記帳して期限内に確定申告書を提出した場合は、最高55万円の控除が受けられます。加えて、e-Taxによる電子申告など一定の要件を満たすと、最高65万円まで控除額が拡大します(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/kichou07.pdf)。
また、青色申告者は事業等から生じた純損失の金額を、翌年以後3年間にわたって順次各年分の所得金額から差し引くことができます。これを「純損失の繰越控除」といい、ある年に大きな損失が出た場合でも、翌年以降の利益と相殺できるため、長期的な税負担の平準化に役立ちます。
なお、青色申告を行うには事前に税務署への届出が必要です。また、確定申告の期間は原則として翌年2月16日から3月15日までとされています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1000.htm)。申告の際には、青色申告者は「青色申告決算書」を、白色申告者は「収支内訳書」を申告書と一緒に提出する必要があります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/04/4_01.htm)。
節税を正しく活用するための注意点
マンション投資の節税は、正しく理解して活用すれば有効な手段ですが、いくつかの重要な注意点があります。まず、節税はあくまでも投資の副次的なメリットであり、節税目的だけで物件を選ぶのは危険です。空室リスクや修繕費の増大など、不動産投資特有のリスクを十分に考慮した上で、収益性と節税効果のバランスを見極めることが大切です。
また、修繕積立金の取り扱いにも注意が必要です。区分マンション投資における修繕積立金は、原則として実際に修繕等が行われ完了した日の属する年分の必要経費となります。ただし、一定の要件を満たす場合には、支払期日の属する年分の必要経費に算入して差し支えないとされています(国税庁 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/12.htm)。
さらに、売却時の税務にも目を向けておく必要があります。建物の売却時の取得費は、購入代金から減価償却費相当額を控除して計算します(国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm)。また、通常の投資用不動産の譲渡損失は、給与所得など他の所得と損益通算できないルールがあります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3203.htm)。保有中の節税効果と売却時の税負担を合わせてトータルで考えることが、賢いマンション投資の基本です。
税務上の判断に迷った場合は、一人で抱え込まず専門家や税務署に相談することをおすすめします。一般的な国税相談は電話相談センターで対応しており、書類や事実関係の確認が必要な場合は所轄税務署への事前予約が案内されています(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/)。
まとめ
マンション投資の節税は、不動産所得の計算・減価償却・損益通算・青色申告という4つの仕組みを組み合わせることで成り立っています。それぞれの制度には細かいルールや例外があるため、正確な知識を持つことが節税効果を最大化する第一歩です。大切なのは、節税だけを目的にするのではなく、物件の収益性や長期的なリスクも含めてトータルで判断することです。まずは国税庁の公式情報を確認しながら基礎知識を固め、必要に応じて税理士などの専門家にも相談しながら、着実な不動産投資を目指してください。
参考文献・出典
- 国税庁 No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得) — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1370.htm
- 国税庁 No.2210 必要経費の知識 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
- 国税庁 令和6年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2024/pdf/019.pdf
- 国税庁 No.2100 減価償却のあらまし — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
- 国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf
- 国税庁 No.2108 中古資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2108.htm
- 国税庁 No.1391 不動産所得が赤字のときの他の所得との通算 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1391.htm
- 国税庁 No.2250 損益通算 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2250.htm
- 国税庁 賃貸の用に供するマンションの修繕積立金の取扱い — https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/04/12.htm
- 国税庁 土地や建物を売ったとき — https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm
- 国税庁 No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3203.htm
- 国税庁 不動産所得者用 帳簿の記帳のしかた — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kojin_jigyo/kichou07.pdf
- 国税庁 No.1000 所得税のしくみ — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1000.htm
- 国税庁 令和7年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2025/04/4_01.htm
- 国税庁 国税に関するご相談について — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/
- 大阪市 所得金額の計算 — https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000370541.html