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家賃滞納の内容証明、正しい書き方と文例3ステップ

賃貸経営をしていると、ある日突然「今月の家賃が振り込まれていない」という事態に直面することがあります。最初は「うっかり忘れているだけかも」と思っても、連絡が取れなかったり、滞納が続いたりすると、どう対処すればよいか途方に暮れてしまう方も多いでしょう。そんなときに重要な役割を果たすのが「内容証明郵便」です。この記事では、家賃滞納が発生したときに送る内容証明の書き方を、初心者の方でも迷わないよう、文例を交えながら順を追って解説します。内容証明を正しく活用することで、その後の交渉や法的手続きをスムーズに進めることができます。

内容証明郵便とは何か、なぜ家賃滞納に使うのか

内容証明郵便とは何か、なぜ家賃滞納に使うのかのイメージ

まず押さえておきたいのは、内容証明郵便の仕組みと、家賃滞納の場面でなぜ使われるのかという理由です。

内容証明郵便とは、差出人が送った書面の写しを郵便局が保存することで、「いつ・どんな内容の手紙を送ったか」を公的に証明できる制度です(日本郵便)。重要なのは、あくまで「書面の内容」を証明するものであり、相手がその手紙を受け取ったことまでは証明しない点です。そのため、実務では「配達証明」を合わせて付けることが一般的とされています。配達証明を付けることで、相手への到達日も記録に残すことができます。

では、なぜ家賃滞納の督促に内容証明を使うのでしょうか。実は、内容証明郵便で送らなくても、催告や契約解除の法的効果そのものは変わりません。しかし、後々「そんな連絡は受けていない」「解除の通知は来なかった」と言われたときに、証拠として使えるかどうかが大きく変わってきます。裁判になった場合に備えて内容証明で送っておくことが、賃貸オーナーにとって「無難な選択」とされているのはこのためです(弁護士法人ポートの不動産法律相談)。

また、内容証明郵便は一般書留として差し出す必要があり、文書は1通のみが対象です。返信用封筒や図面などを同封することはできないため、この点も事前に確認しておきましょう(日本郵便)。

内容証明の書式ルールと字数制限

内容証明の書式ルールと字数制限のイメージ

内容証明を郵便局の窓口で差し出す場合、書式に関する厳格なルールがあります。これを守らないと受け付けてもらえないため、文章を書く前に必ず確認しておく必要があります。

郵便局窓口で利用する場合、謄本(書面のコピー)の字数・行数には制限があります。縦書きの場合は1行20字以内・1枚26行以内、横書きの場合は「1行20字以内・1枚26行以内」「1行13字以内・1枚40行以内」「1行26字以内・1枚20行以内」のいずれかで作成しなければなりません(日本郵便)。文章を書いてから字数を数えると意外と手間がかかるため、最初からこの制限を意識して下書きすることをおすすめします。

なお、インターネットを通じて差し出す「e内容証明」という方法もあります。こちらは専用のソフトウェアを使って作成するため、字数制限の管理がしやすく、24時間いつでも申し込めるという利点があります。ただし、利用方法や対応状況は日本郵便の公式サイトで最新情報を確認してください。

書式ルールを守ったうえで、次は実際に何を書けばよいかという「内容」の部分に移りましょう。

内容証明に書くべき3つの要素

家賃滞納の内容証明を書く際に、実務上欠かせない要素は大きく3つあります。これらを漏れなく盛り込むことで、法的に有効な催告書として機能します。

1つ目は「契約と物件の特定」です。 誰と誰の間の、どの不動産に関する賃貸借契約についての通知なのかを、文書の中で明確にする必要があります(弁護士法人ポートの不動産法律相談)。物件の住所・部屋番号、契約締結日、賃料の金額などを冒頭に記載することで、後から「どの契約の話か分からない」という混乱を防ぐことができます。

2つ目は「滞納額の明示」です。 何年何月分から何月分まで、合計いくらの家賃が未払いになっているかを具体的に計算して記載します(弁護士法人ポートの不動産法律相談)。たとえば「令和○年6月分から9月分まで、家賃9万円・共益費1万円の合計10万円×4か月分=40万円」のように、内訳が分かる形で書くと丁寧です。金額が明確であることは、相手にとっても支払うべき義務の範囲を理解しやすくし、後の交渉をスムーズにします。

3つ目は「支払期限と解除の意思表示」です。 契約書に定められた支払期限を設定し、その期間内に全額を支払うよう求めます(弁護士法人ポートの不動産法律相談)。さらに、契約解除を視野に入れている場合は、「期限内に支払いがない場合は賃貸借契約を解除する」という意思表示を同じ文書に盛り込んでおくことが有効です。これは民法541条が定める「催告解除」の仕組みに基づくもので、相当の期間を定めて催告し、その期間内に履行がなければ契約を解除できるとされています(e-Gov法令検索)。

文例で確認する内容証明の書き方

ここでは、実際の文例をもとに内容証明の構成を確認してみましょう。以下はあくまで参考例であり、個別の状況によって内容を調整する必要があります。

通知書

私は貴殿に対し、後記記載の不動産を1か月あたり家賃9万円、共益費1万円の合計10万円で賃貸しておりますが、貴殿は令和○年6月分から同年9月分までの家賃・共益費合計40万円(1か月10万円)の支払いを遅滞しています。

よって、本書到達後5日以内に上記金額全額を下記口座にお振り込みいただくよう催告いたします。万一、上記期間内にお支払いがない場合は、賃貸借契約を解除することを併せて通知いたします。

記 物件所在地:○○県○○市○○町○丁目○番○号 ○○マンション○○号室 振込先:○○銀行 ○○支店 普通 口座番号○○○○○○○ 名義:○○○○

令和○年○月○日 差出人住所・氏名 受取人住所・氏名

この文例は弁護士法人の実務解説(弁護士法人ポートの不動産法律相談)をもとに構成したものです。実際に送付する際は、弁護士などの専門家に確認を取ることを強くおすすめします。

内容証明を送る際の注意点と受け取り拒否への対応

内容証明を作成したら、送付の際にもいくつか注意すべき点があります。

まず、前述のとおり「配達証明」を合わせて付けることが重要です。内容証明だけでは相手への到達を証明できないため、配達証明を付けることで「いつ届いたか」という記録が残ります。裁判所の記載例でも、内容証明郵便で催告した場合はその到達日と催告時に定めた支払期限を記載するよう案内されています(裁判所)。

次に、受け取り拒否への対応です。内容証明郵便は相手が受け取りを拒否すると、差出人のもとに返送されてしまいます。そのような事態が想定される場合は、同じ内容の通知を「特定記録郵便」で同時に送るという方法があります(弁護士法人)。特定記録郵便は受け取りのサインが不要なため、ポストに投函されて配達が完了します。内容証明と特定記録郵便を組み合わせることで、「送った事実」と「届いた可能性」の両方をカバーできます。

また、遅延損害金を請求したい場合は、契約書に定められた利率を確認したうえで、どの金額に対していつからの遅延損害金かを明記する必要があります(裁判所)。遅延損害金の根拠は契約書によって異なるため、必ず個別の契約内容を確認してください。さらに、保証会社が付いている場合は保証会社への通知も必要になることがあるため、契約内容を改めて確認することをおすすめします。

まとめ

家賃滞納が発生したとき、内容証明郵便は「催告の事実」と「解除の意思表示」を証拠として残すための重要な手段です。書き方のポイントは、契約と物件を特定すること、滞納額を明確に計算して記載すること、そして支払期限と解除の意思表示を盛り込むことの3点です。書式ルールを守り、配達証明を合わせて付けることで、その後の法的手続きに備えることができます。ただし、内容証明は法的効力を持つ文書であるため、実際に作成・送付する前には弁護士などの専門家に相談することを強くおすすめします。適切な対応を早めに取ることが、問題の長期化を防ぐ最善の策です。

参考文献・出典

  • 日本郵便 「内容証明 ご利用の条件等」 — https://www.post.japanpost.jp/service/send/domestic/option/syomei/use.html
  • 日本郵便 「内容証明」 — https://www.post.japanpost.jp/service/send/domestic/option/syomei/
  • 弁護士法人ポートの不動産法律相談 「家賃滞納者に出す内容証明は何を書けばよいですか」 — https://www.realestatelaw.jp/faq01/04/naiyousyomei.html
  • 家賃滞納建物明渡しに強い埼玉の弁護士 「家賃滞納が起きた場合の契約解除・内容証明郵便の書き方」 — https://www.g-fudousan.jp/yachintaino/column/20220729-1/
  • 裁判所 「(11−賃料)記載例と解説 申立ての趣旨及び紛争の要点」 — https://www.courts.go.jp/kushiro/vc-files/kushiro/2020/05_11_tinryo_rei.pdf
  • 裁判所 「説明・記載例(訴状・賃料)」 — https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/2025/syoshiki/minzi/sosyou/202510sojouchinryoukisairei.pdf
  • 法務省 「供託制度の概要」 — https://www.moj.go.jp/MINJI/minji07
  • e-Gov法令検索 「民法(第541条)」 — https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089?occasion_date=20220220

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