アパート経営を始めるとき、多くの方が最初につまずくのが「どの銀行でローンを組むか」という問題です。地方銀行は都市銀行やネット銀行とは異なる特徴を持ち、金利水準や融資条件が銀行ごとに大きく変わります。この記事では、中国銀行と北陸銀行を中心に、各地方銀行のアパートローンの仕組みや条件を公式情報にもとづいて整理します。どの銀行が自分に合っているかを見極める判断基準もあわせて紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
地方銀行のアパートローンとは?基本の仕組み
まず押さえておきたいのは、アパートローンが一般的な住宅ローンとは根本的に異なる商品だという点です。住宅ローンが自分の住まいを買うための融資であるのに対し、アパートローンは賃貸収入を得ることを目的とした「事業性融資」の性格を持ちます。そのため審査基準や金利水準も、住宅ローンとは別の物差しで設定されています。
地方銀行がアパートローンを審査する際は、担保となる物件の収益性と、借り手の年収や資産、職業といった属性の両面を見るのが一般的です。都市銀行と比べると地方銀行は地域密着型の営業スタイルが強く、物件の所在地や担当者との関係性が審査に影響することもあります。一方で融資条件が柔軟なケースもあり、初めてアパート投資に挑戦する方にとって相談しやすい窓口となっています。
金利の種類は大きく「変動金利型」と「固定金利型(固定金利特約型)」に分かれます。変動金利は市場金利に連動して定期的に見直されるため、金利が低い局面では返済負担を抑えられますが、将来の金利上昇リスクを負います。固定金利は一定期間の返済額が確定するので、収支計画が立てやすいのが利点です。どちらを選ぶかは、自分のリスク許容度と投資計画の期間を踏まえて判断することが大切になります。
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中国銀行のアパートローンを詳しく見る
中国銀行のアパートローンには、実は複数の区分があります。同行は公式に「一般口」「提携口」「一般口・手数料定率タイプ」「提携口・手数料定率タイプ」という4つのタイプで案内しています(中国銀行 https://www.chugin.co.jp/personal/product-overview/)。同じ「アパートローン」でも、手数料の計算方法や提携先の有無によって性格が異なるため、まず自分がどの区分に当てはまるかを整理しておくことが重要です。
最も基本となる「一般口」は、賃貸用集合住宅、つまりアパートや賃貸マンションの新築資金または借換資金を対象としています(中国銀行 https://www.chugin.co.jp/up_load_files/personal/product-overview/ap_ippan.pdf)。ただし販売目的のものや、マンション一室の賃貸、建築床面積の50%以上が店舗や貸事務所となる物件は対象外です。融資額は原則3億円以内ですが、団体信用生命保険(団信)に加入する場合は2億円以内が上限となります。
融資期間は建物の構造によって細かく設定されており、木造は30年以内、軽量鉄骨造や鉄骨造、コンクリートブロック造は35年以内、RC造・SRC造は40年以内が上限です。金利は変動金利型として「変動(6か月固定)」「3年固定」「5年固定」「10年固定」から選べるほか、長期固定金利型では全期間固定も用意されています。取扱手数料は1件あたり110,000円で、保証人は原則不要ですが、相続予定者や事業承継予定者をあらかじめ決めておく必要があります。
気をつけたいのは、中国銀行が一般口の実行金利レンジをWeb上で公開していない点です。同行は「住宅ローン金利」を基準金利とし、具体的な金利は窓口で照会する運用としています(中国銀行)。そのため、正確な条件を知りたい場合は、物件情報を整理したうえで窓口へ相談するのが確実です。
より長い返済期間を検討したい方には「提携口」も選択肢になります。提携口では期間設定が一般口より長く、木造や軽量鉄骨造、鉄骨造、コンクリートブロック造で40年以内、RC造・SRC造で45年以内まで対応します(中国銀行 https://www.chugin.co.jp/up_load_files/personal/product-overview/ap_teikei.pdf)。さらに、一般口では対象外となるマンション一室の賃貸でも、提携企業またはそのグループ会社が販売と一括借上げを行うものであれば対象になりうる点が特徴です。
手数料の考え方で選び分けたい方には「一般口・手数料定率タイプ」もあります。このタイプは取扱手数料が融資金額×1.1%となり、変動金利の見直しは6か月ごとに行われます(中国銀行 https://www.chugin.co.jp/up_load_files/personal/product-overview/ap_ippan_teiritsu.pdf)。定額手数料型より初期コストは重くなりますが、金利条件によっては総支払額で比較する余地が生まれます。融資額が大きいほど定率手数料の負担も膨らむため、シミュレーションでの見極めが欠かせません。
北陸銀行のアパートローンの特徴
北陸銀行のアパートローンは、対象者の設計に大きな特徴があります。2025年5月20日現在の商品概要説明書によると、この商品は「副業として賃貸を目的とする建物の建築資金ならびに同資金の借換資金」を対象としており、賃貸を専業としている方は対象外とされています(北陸銀行 https://www.hokugin.co.jp/data/product_gaiyo/index_loan_apartment02.pdf)。本業を持ちながら副収入としてアパート経営を始めたい方に向いた商品といえます。
利用条件としては、融資時の年齢が18歳以上70歳未満であること、融資対象物件の家賃収入で返済が可能であること、そして土地を自己所有するか自己資金で所定の担保掛目を満たすことが主に求められます。融資額は100万円以上2億円以内で、所要資金と担保価格の範囲内に収まる必要があります。堅実に返済できる収支計画を組めるかどうかが、審査を通過するうえでの鍵になります。
金利については、北陸銀行も適用金利をWeb上で公開していません。変動標準型は毎年2回、4月1日と10月1日時点の新長期プライムレート(5年以上)を基準に見直され、固定金利特約型は2年・3年・5年・10年から選べます。融資期間は構造によって異なり、新築の場合はRC造で最長35年、重量鉄骨で35年、軽量鉄骨で30年、木造の2×4で30年、木造で25年が目安です。ただし軽量鉄骨や2×4、木造でも劣化対策等級2以上であれば最長35年まで延ばせる仕組みになっています。
事務取扱手数料は220,000円で、保証人は原則不要です。団信、あるいはガン保障特約付団信を付保できるため、万一のリスクへの備えも組み込めます。なお、北陸銀行の一覧ページには「アパートローン(北陸保証サービス㈱保証型)」という商品も掲載されていますが、確認できたPDFの基準日は2019年10月1日と古く、現行の販売状況や条件は変わっている可能性があります。保証型を検討する場合は、最新の内容を必ず窓口で確認してください。
他の地方銀行との金利・条件の比較
中国銀行や北陸銀行を検討する際は、他行と横並びで見てみると相場感がつかみやすくなります。地方銀行の不動産投資ローンは、金利水準や融資割合が銀行ごとに異なり、地方銀行の中でも低めのレンジを提供する銀行がある一方で、より高い金利水準を設定する銀行もあります。金利が低い銀行ほど、その分だけ自己資金や属性への要求も相応に強くなる傾向があります。
高属性向けの商品を提供する銀行では、金利と融資割合の両面で条件が設定されており、自己資金の要求水準も比較の論点になります。地方銀行の具体例では、保証料の支払い方によって表面上の金利が異なる銀行もあり、同じ地方銀行でも金利設定に幅がある点は見逃せません。
参考までに、ノンバンク系のアパートローンは銀行融資と比べて金利水準が高めに設定されています。銀行融資が難しい場合の選択肢にはなりますが、金利負担は相応に重くなります。こうして並べてみると、中国銀行や北陸銀行のように金利を非公開としている銀行は、窓口で提示される条件が他行と比べて有利かどうかを、相場感を頭に入れたうえで見極めることが大切だとわかります。
金利差と総コストの考え方
アパートローンを比較するうえで最も意識したいのは、わずかな金利差が長期的に大きな差を生むという事実です。金利が1%違うだけで、毎月の返済額や返済期間全体の利息総額に無視できない差が生まれます。だからこそ、0.1%単位での金利比較が重要になるのです。
ただし、金利の低さだけで判断するのは危険です。保証料の扱いや事務手数料も、総コストに大きく影響します。中国銀行の一般口のように定額110,000円の手数料を採用する商品もあれば、定率タイプのように融資金額×1.1%で計算される商品もあり、融資額が大きいほど後者の負担は膨らみます。北陸銀行の220,000円という事務取扱手数料も含め、こうした費用を積み上げると総支払額は大きく変わってきます。
つまり、複数の銀行を比べるときは表面金利だけでなく、保証料・手数料・繰上返済時のコストまで含めた「総コスト」で考えることが欠かせません。頭金を厚めに準備すれば利用できる金融機関の幅が広がり、条件が改善する可能性もあります。すでに高い金利で借りている方は、借り換えによって総返済額を抑えられないか、一度シミュレーションしてみる価値があります。
公的機関の賃貸住宅向け融資という選択肢
地方銀行以外に、公的機関が提供する賃貸住宅向け融資も検討に値します。住宅金融支援機構の「機構 すまい・る賃貸ローン」は、沖縄県を除く全国を対象とし、最長40年、35年固定または15年固定を選べる公的な固定金利ローンです(住宅金融支援機構 https://www.jhf.go.jp/lp/rent-build/index.html)。変動金利中心の地方銀行商品とは性格が異なり、長期にわたって返済額を固定したい方に向いています。
この商品には金利引下げの仕組みもあります。長期優良住宅なら当初15年間年0.3%、ZEH-Mなら年0.2%、子育て配慮賃貸住宅なら年0.2%の引下げが受けられ、条件が重なれば最大で年0.5%の引下げとなります(住宅金融支援機構)。省エネ性能や子育て配慮を備えた物件を計画している方にとっては、実質的な負担軽減につながる点が魅力です。
賃貸住宅建設融資の水準も参考になります。同機構が示す2026年8月の参考金利では、35年固定が3.94%または4.10%、15年固定が3.19%または3.64%とされており、繰上返済制限制度を利用するかどうかで差が生じます(住宅金融支援機構 https://www.jhf.go.jp/files/topics/5378_ext_99_0.pdf)。固定金利ならではの安定感と、地方銀行の変動金利の低さを天秤にかけて、自分の投資期間に合う方を選ぶとよいでしょう。
まとめ:自分の条件に合う銀行を絞り込もう
地方銀行のアパートローンは、銀行ごとに金利・融資上限・対象者・審査基準が大きく異なります。中国銀行は一般口・提携口・手数料定率タイプなど複数の区分を用意し、期間や手数料の設計に幅があります。北陸銀行は副業として賃貸を始める方に絞った商品設計で、融資額は2億円以内、事務手数料は220,000円と明確です。いずれも実行金利はWeb非公開のため、正確な条件は窓口での照会が前提となります。
大切なのは、まず自分の居住地・物件所在地・年収・資産状況を整理し、条件に合う銀行を複数ピックアップして比較することです。金利差が長期で大きな差になることを念頭に置き、表面金利だけでなく保証料や手数料を含めた総コストで判断してください。公的機関の固定金利ローンも視野に入れつつ、まずは気になる銀行の窓口に相談することから始めてみましょう。
参考文献・出典
- 中国銀行 商品概要説明書一覧 — https://www.chugin.co.jp/personal/product-overview/
- 中国銀行 ちゅうぎんアパートローン(一般口)商品概要説明書 — https://www.chugin.co.jp/up_load_files/personal/product-overview/ap_ippan.pdf
- 中国銀行 ちゅうぎんアパートローン(提携口)商品概要説明書 — https://www.chugin.co.jp/up_load_files/personal/product-overview/ap_teikei.pdf
- 中国銀行 ちゅうぎんアパートローン(一般口・手数料定率タイプ)商品概要説明書 — https://www.chugin.co.jp/up_load_files/personal/product-overview/ap_ippan_teiritsu.pdf
- 北陸銀行 アパートローン 商品概要説明書 — https://www.hokugin.co.jp/data/product_gaiyo/index_loan_apartment02.pdf
- 住宅金融支援機構 機構 すまい・る賃貸ローン — https://www.jhf.go.jp/lp/rent-build/index.html
- 住宅金融支援機構 賃貸住宅融資金利 — https://www.jhf.go.jp/kinri/chintai.html
- 住宅金融支援機構 令和8年8月の参考金利のお知らせ(賃貸住宅を建設する場合) — https://www.jhf.go.jp/files/topics/5378_ext_99_0.pdf