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表面利回りの高い・低いを正しく見分ける3つの基準

不動産投資を始めようとポータルサイトを眺めていると、「利回り10%」「利回り3%台」といった数字が並んでいて、どれが良い物件なのか判断に迷う方は多いのではないでしょうか。「高い利回りの物件を選べば儲かる」と思いがちですが、実はそう単純ではありません。利回りの数字には、エリアや物件タイプ、計算方法の違いによって大きな意味の差があります。この記事では、表面利回りの高い・低いを正しく見分けるための基準と、数字に惑わされないための実践的な考え方を、最新データを交えながら解説します。

表面利回りとは何か、まず仕組みを理解する

表面利回りとは何か、まず仕組みを理解するのイメージ

まず押さえておきたいのは、表面利回りの計算式そのものです。表面利回りとは「年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100」で求められる、最もシンプルな収益指標です。計算が簡単なため、物件比較の入口として広く使われています。

しかし重要なのは、この計算式には諸経費や維持費が一切含まれていないという点です。固定資産税・都市計画税・火災保険料・管理費・修繕積立金といった年間コストも、購入時にかかる印紙税・登録免許税・仲介手数料・ローン保証料なども、表面利回りの計算には反映されません。そのため、表面利回りは実際の手取り収益よりも高めに出やすい数字だということを、最初に理解しておく必要があります。

さらに注意が必要なのは、不動産ポータルサイトに掲載されている「利回り」の種類が統一されていないことです。表面利回り・想定利回り・実質利回りが混在して表示されており、まず「何の利回りか」を確認しないと、物件同士の比較自体が成立しません。特に「想定利回り」は、現在空室の部屋に対して募集想定家賃をあてはめて計算するため、実際に入居者が決まったときの収益とは大きく異なる場合があります。

たとえば「想定家賃5万円・利回り12%」と表示されている物件でも、そのエリアで実際に成約している家賃が4万円であれば、実現できる表面利回りは9.6%まで下がります(LIFULL HOME’S調べ)。数字の大きさだけで判断するのではなく、まず「何の利回りか」「その家賃は実現可能か」を確認することが、正しい見分け方の第一歩です。

全国平均データで「高い・低い」の基準を知る

全国平均データで「高い・低い」の基準を知るのイメージ

利回りの高低を判断するには、物件タイプごとの市場平均を知ることが不可欠です。LIFULLの「収益物件 市場動向四半期レポート」(2026年4〜6月期)によると、全国の区分マンション、一棟アパート、一棟マンションなど物件タイプごとに異なる平均表面利回りが報告されています。

これらの数字を基準にすると、区分マンションは市場の平均的な水準、一棟アパートは全国的な目安として参考になります。ただし、この平均値はあくまでも「掲載されている物件」の数字であり、最終的な成約価格ベースではない点には留意が必要です。

エリアによって「普通の利回り」は大きく異なります。同じ区分マンションでも、東京23区では売り手と買い手の利回り水準に差が小さく、5%台でも活発に取引されています。さらに築年数別に見ると、東京23区では築年数による利回りの開きが小さい傾向が続いています。これは立地の強さが価格を下支えしているためで、「東京23区で5%台は低い」とは一概に言えないのです。

一方、不動産投資家調査(2026年4月現在、日本不動産研究所)によると、東京・城南エリアの一棟賃貸住宅に対する期待利回りは、物件タイプによって異なる水準が報告されています。つまり、優良立地では3〜4%台でも「妥当な利回り」として投資家に受け入れられているということです。高い利回りが必ずしも良い物件を意味せず、低い利回りが必ずしも悪い物件を意味しないという事実を、まずしっかりと頭に入れておきましょう。

高利回り物件が持つリスクを正しく読む

実は、利回りが高い物件には「高い理由」が必ず存在します。LIFULL HOME’Sのデータによると、高利回り物件に共通しやすい条件として、地方・郊外の立地、築年数が古い、駅から遠い、現況が空室、退去後の原状回復やリフォームが未了、といった特徴が挙げられています。これらは物件の競争力が低いことを示すサインであり、利回りが高く見えるのはその分だけリスクが価格に織り込まれているからです。

また、表面利回りと実質利回りの差は想像以上に大きくなることがあります。たとえば物件価格1,000万円・年間家賃収入100万円で表面利回り10%の物件でも、購入時諸費用80万円・年間運営経費25万円を加味すると、実質利回りは6.9%まで低下します。「10%だから高い」と飛びつくのは危険で、実質利回りを自分で計算し直す習慣が欠かせません。

さらに、空室リスクというマクロ環境も見逃せません。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家数は900万戸、空き家率は13.8%と過去最高を記録しています。特に地方・郊外の高利回り物件では、「入居者が付く前提」を楽観的に置くことは危険です。高利回りの物件を検討する際は、そのエリアの賃貸需要の実態を別途調査することが必要です。

大阪市の一棟アパートは、東京23区の一棟アパートと比較して高い利回り水準にあります。同じ「6%台」でも、東京23区の6%台と地方都市の6%台では、背景にある需給環境や将来的な資産価値の安定性がまったく異なります。利回りの数字だけでなく、「なぜその利回りなのか」という背景を読む力が、投資判断の精度を高めます。

レントロールで利回りの実態を検証する

物件の利回りが本当に信頼できるかどうかを確かめるには、レントロール(賃料明細表)の確認が欠かせません。レントロールとは、各部屋の現行家賃・入居時期・空室状況などをまとめた一覧表で、売主や仲介業者に請求することができます。

レントロールで最低限確認すべきポイントは3つあります。1つ目は、各部屋の家賃が「現行契約の家賃」か「募集想定の家賃」かの区別です。2つ目は入居時期で、長期入居者がいる場合は現行家賃が相場より低い可能性があります。3つ目は空室部屋の空室期間で、半年以上埋まっていない部屋がある場合は、家賃設定か物件の競争力に問題がある可能性が高いとされています(LIFULL HOME’S)。

これらを確認したうえで、実際にそのエリアで成約している家賃水準と比較することが重要です。ポータルサイトに掲載されている募集家賃ではなく、実際に契約が成立した「成約家賃」を調べることで、想定利回りの実現可能性を検証できます。成約家賃のデータは、仲介業者に問い合わせるか、不動産情報サービスを活用して確認するとよいでしょう。

一棟マンションでは、主要都市の平均利回りが報告されており、優良一棟マンションは「5%台でも普通」という相場観を持つことが重要です。レントロールで実態を丁寧に検証する姿勢が、失敗しない物件選びにつながります。

まとめ

表面利回りの高い・低いを正しく見分けるには、3つの視点が必要です。まず「何の利回りか」を確認し、表面・想定・実質の違いを理解すること。次に、物件タイプとエリアごとの市場平均と比較して、その利回りが相場の中でどのような位置にあるかを把握すること。そして、高利回りには必ず「高い理由」があることを前提に、レントロールや実質利回りの計算で実態を検証することです。

数字の大きさだけに惑わされず、「なぜその利回りなのか」を問い続ける習慣が、不動産投資の成功を左右します。まずは市場平均データを頭に入れ、気になる物件があれば実質利回りを自分で計算してみることから始めてみてください。

参考文献・出典

  • LIFULL「全国の区分・一棟マンション価格が最高値を更新 収益物件 市場動向四半期レポート 2026年4月〜6月期」 — https://lifull.com/news/49354/
  • 日本不動産研究所「第54回 不動産投資家調査(2026年4月現在)」 — https://www.reinet.or.jp/?p=38949
  • at home「不動産投資の利回りって?最低ラインや計算方法について解説」 — https://www.athome.co.jp/contents/for-owners/toushi-kiso/realestate-yield/
  • Yahoo!不動産「物件情報の見方」 — https://realestate.yahoo.co.jp/new/house/view/
  • LIFULL HOME’S「不動産投資で利回りが高い物件の特徴とは?高利回りの「理由」と失敗しない見極め方を解説」 — https://www.homes.co.jp/cont/money/money_00119/
  • 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果」 — https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/g_kekka.pdf

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