賃貸経営

東急百貨店本店跡地は2029年に生まれ変わる

渋谷の道玄坂を長年にわたって彩ってきた東急百貨店本店が、2023年1月に閉店してから早くも数年が経ちました。「あの場所はいったいどうなるの?」「いつ新しい施設ができるの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。跡地の再開発は、渋谷エリアの不動産価値や街の雰囲気にも大きな影響を与えるため、地域住民だけでなく投資家や不動産に関心を持つ方々からも注目を集めています。この記事では、東急百貨店本店が閉店した背景から、跡地に誕生する新施設の詳細、そして周辺エリアへの影響まで、わかりやすく解説します。

東急百貨店本店はなぜ閉店したのか

東急百貨店本店はなぜ閉店したのかのイメージ

東急百貨店本店は、2023年1月31日をもって長年の歴史に幕を下ろしました。閉店の直接的な理由は、跡地での大規模な再開発計画が決定したことにあります。ただし、その背景には百貨店業界全体が直面していた構造的な課題も重なっていました。

インターネット通販の普及や消費者の購買行動の変化により、百貨店という業態そのものが転換期を迎えていたことは広く知られています。特に渋谷エリアは、渋谷スクランブルスクエアや渋谷ヒカリエなど、新世代の商業施設が次々と誕生し、競争環境が大きく変化していました。こうした状況の中で、老朽化した建物をそのまま維持するよりも、時代に合った新しい複合施設へと生まれ変わらせる判断が下されたと考えられます。

また、東急百貨店本店と一体的に運営されてきた文化複合施設「Bunkamura」も、この再開発計画に伴い、オーチャードホールを除いて2023年4月10日から長期休館に入りました(Bunkamura公式サイト)。長年にわたって渋谷の文化発信拠点として親しまれてきたBunkamuraの休館は、多くの人々に惜しまれましたが、新施設への移転という形で文化の灯を引き継ぐことが決まっています。

跡地に何ができるのか――新施設の全貌

跡地に何ができるのか――新施設の全貌のイメージ

跡地に誕生するのは、「Shibuya Upper West Project(渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト)」と名付けられた大規模な複合施設です。この計画は、東急株式会社・L Catterton Real Estate・東急百貨店の3社が正式に合意して推進しているもので、2021年5月に発表されました(東急株式会社ニュースリリース)。

新施設の最大の特徴は、商業・ホテル・居住・文化という多彩な機能を一棟に集約した点にあります。まず商業ゾーンには、洗練されたライフスタイルを提案するリテールが入ります。ホテルゾーンには、スモールラグジュアリーホテルとして日本初進出となる「The House Collective(ザ・ハウス・コレクティブ)」が開業する予定です。さらに、都市型居住を実現する賃貸レジデンスも設けられ、住む・泊まる・買い物するという機能が一体となった施設が誕生します(東急株式会社ニュースリリース 2025年3月12日)。

文化面でも大きな動きがあります。長期休館中のBunkamuraザ・ミュージアムが、新施設の7階へ拡大移転することが正式に決定しています。休館前よりも広いスペースで再スタートを切ることになるため、アートファンにとっても朗報といえるでしょう。渋谷の文化的な顔として長く愛されてきたBunkamuraの精神が、新しい形で受け継がれることになります(東急株式会社ニュースリリース 2025年3月12日)。

完成はいつ?――2029年度竣工に向けて着工済み

新施設の完成時期について、すでに明確なスケジュールが示されています。東急株式会社の公式発表によると、このプロジェクトは2025年3月11日に起工式を執り行い、正式に着工しました。竣工は2029年度を予定しており、現在は工事が着実に進んでいる段階です(東急株式会社ニュースリリース 2025年3月12日)。

2026年8月現在、渋谷の道玄坂エリアでは工事が進行中です。完成まではまだ数年を要しますが、プロジェクトの規模や内容を考えると、渋谷の街並みを大きく塗り替える存在になることは間違いないでしょう。日本初進出のホテルブランドや拡張されたミュージアムを擁する施設が完成すれば、国内外から多くの来訪者を集めることが期待されます。

なお、建物の正式な階数や延床面積などの詳細な建築規模については、現時点で公式リリースから確認できる情報が限られています。最新の工事状況や詳細スペックについては、東急株式会社の公式サイトで随時確認されることをおすすめします。

「Shibuya Upper West」エリアとは何か

このプロジェクトを理解する上で欠かせないのが、「Shibuya Upper West(渋谷アッパー・ウエスト)」というエリア概念です。東急の公式説明によると、このエリアは渋谷スクランブル交差点を中心とした渋谷駅周辺と、東京を代表する高級住宅地である松濤の結節点にあたる東急百貨店本店跡地から、富ヶ谷・上原・駒場などに向かって西側へと広がるエリアを指しています(東急株式会社ニュースリリース 2025年3月12日)。

渋谷といえば若者文化やスクランブル交差点のイメージが強いですが、その西側には閑静な高級住宅街が広がっています。松濤や富ヶ谷は、都内でも有数の高級住宅エリアとして知られており、落ち着いた雰囲気の中に個性的なカフェやギャラリーが点在しています。東急百貨店本店跡地はまさにその玄関口に位置しており、にぎやかな渋谷駅前と静かな住宅街をつなぐ重要な結節点です。

この「Shibuya Upper West」というブランディングは、単なる一施設の再開発にとどまらず、エリア全体の価値を高めようとする戦略的な取り組みといえます。ラグジュアリーホテルや高級リテールが集まることで、エリア全体のイメージが底上げされ、周辺の街づくりにも波及効果をもたらすことが期待されています。

周辺の不動産相場への影響はどうなるか

大規模な再開発プロジェクトが周辺の不動産価値に影響を与えることは、一般的によく知られています。特に今回のように、ラグジュアリーホテルや高級商業施設、賃貸レジデンスが一体となった複合施設が誕生する場合、その影響は多方面に及ぶと考えられます。

まず注目したいのは、エリアのブランドイメージの変化です。「Shibuya Upper West」というコンセプトのもと、松濤・富ヶ谷・上原といった既存の高級住宅エリアと渋谷駅前が一体的に位置づけられることで、周辺エリア全体の認知度と魅力が高まる可能性があります。高級ホテルや洗練された商業施設が集まるエリアとして認識されれば、周辺の賃貸物件や分譲マンションへの需要が高まることも考えられます。

一方で、工事期間中は騒音や交通量の増加といったデメリットも生じます。2029年度の竣工まで工事が続くため、近隣にお住まいの方や物件を検討している方は、この点も考慮に入れておく必要があります。また、施設完成後に人流が大きく変化することで、周辺の商業環境や生活環境がどのように変わるかも、長期的な視点で見守っていく必要があるでしょう。

不動産投資の観点からは、渋谷エリアは需要が高い地域として知られています。今回の再開発によってエリアの魅力がさらに高まれば、賃料水準の維持・上昇が期待できるという見方もあります。ただし、不動産市場は様々な要因によって変動するため、具体的な投資判断は最新の市場データと専門家のアドバイスをもとに慎重に行うことが重要です。

まとめ

東急百貨店本店の跡地では、「Shibuya Upper West Project」として大規模な複合施設の建設が進んでいます。2025年3月に着工し、2029年度の竣工を目指して工事が進行中です。新施設には日本初進出のラグジュアリーホテル「The House Collective」、高級リテール、賃貸レジデンス、そして拡大移転するBunkamuraザ・ミュージアムが入る予定で、渋谷の新たな文化・生活拠点として生まれ変わります。

渋谷の西側エリアを「Shibuya Upper West」として一体的にブランディングするこの取り組みは、周辺の不動産価値や街の魅力にも長期的な影響を与えることが予想されます。完成まではまだ数年かかりますが、渋谷の街がどのように変わっていくのか、引き続き注目していきましょう。最新情報は東急株式会社の公式サイトで随時確認できます。

参考文献・出典

  • 東急株式会社 ニュースリリース(2021年5月13日)「渋谷区道玄坂二丁目24番土地における開発計画を3社で推進していくことに合意」 – https://www.tokyu.co.jp/company/news/detail/322.html
  • 東急株式会社 ニュースリリース(2025年3月12日)「Shibuya Upper West Project 着工・Bunkamuraザ・ミュージアム拡大移転決定」 – https://www.tokyu.co.jp/company/news/detail/55806.html
  • 東急株式会社 ニュースリリースPDF(2025年3月12日) – https://www.tokyu.co.jp/image/news/pdf/20250312_suw_t.pdf
  • Bunkamura 公式サイト「Bunkamuraの長期休館および施設休館中の活動について」 – https://www.bunkamura.co.jp/topics/6988.html
  • Bunkamura 公式サイト「Shibuya Upper West Project 着工・Bunkamuraザ・ミュージアム拡大移転決定」 – https://www.bunkamura.co.jp/topics/9552.html
  • 東急株式会社「Greater SHIBUYA 開発プロジェクト」ファクトブック – https://www.tokyu.co.jp/shibuya-redevelopment/assets/pdf/210719_factbook.pdf
  • 東急株式会社「都市開発」 – https://www.tokyu.co.jp/company/biz_topics/urban_development/

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