東京タワーのすぐそばで長年愛されてきた「東京芝とうふ屋うかい」が2026年3月末に閉店し、多くのファンが惜しむ声を上げました。閉店後、気になるのは「あの場所に何ができるのか」という点ではないでしょうか。再開発計画の発表を心待ちにしている方も多いはずです。この記事では、現時点で確認できる解体工事の状況から、跡地活用の可能性、うかいブランドの今後まで、公開情報をもとに整理してお伝えします。「何ができるか」という問いに対する正直な答えも含め、最新の状況をわかりやすく解説していきます。
東京芝とうふ屋うかいが閉店した理由

まず押さえておきたいのは、今回の閉店が経営不振によるものではなく、土地の契約期間満了によるものだという点です。株式会社うかいの公式情報によれば、閉店の理由は「定期借地権の契約期間終了」とされています。うかいは「最終的には定期借地権の契約期間終了によるものと割り切って従業員とともに次のステップに進もうと決意した」と説明しており、ブランドそのものが消えるわけではありません。
定期借地権とは、あらかじめ決められた期間だけ土地を借りて建物を建てる権利のことです。契約期間が終われば、借りていた側は建物を取り壊して土地を返還する義務があります。つまり、東京芝とうふ屋うかいの建物は、もともとこの土地に永続的に建ち続けることを前提としていなかったということになります。
この仕組みを理解すると、解体工事が進んでいることも自然な流れとして受け取れます。土地の所有者はうかいではなく別の地権者であり、うかいはあくまで借地人として営業を続けてきたのです。そのため、跡地に何が建つかを決めるのはうかいではなく、土地の所有者側ということになります。
解体工事の現状と完了予定時期

建設通信新聞Digitalの報道(2026年4月14日付)によると、解体工事は「東京芝とうふ屋うかい原状回復工事」という名称で進められています。工事は三恵建設が請け負い、施工はASAHIが担当。2026年5月7日に着手し、2027年4月末の完了を目指す計画で進められています。
解体される建物の規模は、鉄骨造一部木造の地下1階・地上2階建てで、延べ床面積は2928平方メートルとなっています。工事場所は東京都港区芝公園に位置し、用途地域は住居地域に指定されており、建ぺい率・容積率についても都市計画に基づいた条件が設定されています。これらの数値は、将来的にこの土地に建てられる建物の規模感を考えるうえでの参考になります。
重要なのは、この工事はあくまで「原状回復」、つまり借りた土地を元の状態に戻すための解体であるという点です。新しい建物を建てるための準備工事とは性質が異なります。したがって、解体が完了した後も、すぐに新しい建物が着工されるとは限りません。
跡地の再開発計画は現時点で未公表
実は、2026年8月現在において、跡地に何が建つかの正式な発表は確認されていません。建設通信新聞Digitalの報道でも「跡地再開発に対し、周辺の高層化により眺望や景観が損なわれることが心配だ」という周辺住民の声が紹介されており、地域の関心が高いことはうかがえます。しかし、事業者名・建物用途・規模・完成予定時期といった具体的な再開発情報は、現時点では公開されていません。
なお、関連する検索情報として「東京タワーを運営する日本電波塔が三井不動産と再開発を検討しており、高層複合ビル計画が報じられている」という情報が流れていますが、この記事のリサーチ結果では規模・用途・事業者の確定情報は確認できていません。断定的な情報としてお伝えできる段階ではないため、最新情報は港区や関係機関の公式発表をご確認いただくことをお勧めします。
一方で、この土地が置かれている環境的な条件は明らかになっています。港区の景観計画では、この一帯は「芝公園周辺景観形成特別地区」に位置付けられており、東京タワー・増上寺をはじめとする周辺の歴史的・文化的資源との調和を重視した景観形成が求められています(東京都都市整備局「景観計画」、港区ホームページ「東京タワー隣接地の跡地活用について」)。建物の高さや規模、意匠、周辺景観との関係性について届出・協議の仕組みが設けられているため、仮に再開発が進む場合でも、景観への配慮が求められることになります。
景観規制が再開発の方向性を左右する
この土地の特性を理解するうえで、景観規制の存在は非常に重要です。港区の景観条例・景観計画に基づく「芝公園周辺景観形成特別地区」の指定は、開発の自由度に一定の制約をもたらします。東京タワー・増上寺をはじめとする周辺の歴史的・文化的資源との調和を守ることへの地域の関心は高く、周辺住民からも景観への懸念が示されています。
用途地域の条件と、景観形成特別地区としての規制が組み合わさることで、この土地に建てられる建物の規模や形状には自ずと方向性が生まれます。景観規制の観点から、周辺環境との調和が重視されることになります。
ただし、これはあくまで現行の規制に基づく一般的な見方であり、将来的な規制変更や特例措置の可能性を否定するものではありません。具体的な開発計画が公表された際には、港区の景観審査や建築確認の内容を確認することが、正確な情報を得るための近道となります。
うかいブランドの今後と新店舗の動向
跡地の話とは別に、うかいというブランド自体は着実に次のステップへ進んでいます。株式会社うかいの公式情報によれば、東京都新宿区西新宿2-2-1の京王プラザホテル本館2階に『THE UKAI TOFUYA』を新規出店し、2026年12月の開業を目指しています。京王プラザホテル側のプレスリリース(2025年10月2日付、PRTimes掲載)でも「新たに誕生する店舗は、来春に営業を終了する『東京 芝 とうふ屋うかい』のDNAを受け継ぐ」と説明されており、料理の哲学や世界観は新たな場所で継承されることになります。
新店舗の場所は新宿の京王プラザホテルとなるため、芝公園の地を離れることになりますが、うかいの豆腐料理を楽しみたいファンにとっては朗報といえるでしょう。また、株式会社うかいは「長期経営構想2035」を策定しており、グループ全体として中長期的な成長を描いていることも公開されています。
東京タワーのそばという唯一無二のロケーションで育まれた「東京芝とうふ屋うかい」の記憶は、多くの人の心に残り続けるはずです。一方で、跡地がどのように活用されるかは、土地の所有者側の判断に委ねられており、現時点では静かに解体工事が進んでいる段階です。
まとめ
「とうふ屋うかい跡地に何ができるか」という問いに対する現時点の答えは、「正式な再開発計画はまだ公表されていない」というものです。解体工事は契約に基づいた期間で進行中です。跡地は港区の景観計画に基づく「芝公園周辺景観形成特別地区」に位置しており、東京タワー・増上寺をはじめとする周辺の歴史的・文化的資源との景観調和が求められるエリアであることから、開発の方向性には一定の制約があると考えられます。今後の動向を追うには、港区の公式発表や建築確認情報を定期的に確認することをお勧めします。うかいブランド自体は新宿の京王プラザホテルで新たな歴史を刻み始めます。跡地の未来とともに、その動向も温かく見守っていきたいところです。
参考文献・出典
- 株式会社うかい 企業情報(株主・投資家の皆様へ) — https://www.ukai.co.jp/corporate/ir/message.html
- 建設通信新聞Digital「東京・芝公園の『とうふ屋うかい』を解体へ」 — https://www.kensetsunews.com/sokuho/1213390
- 港区ホームページ「東京タワー隣接地の跡地活用について」 — https://www.city.minato.tokyo.jp/kouchou/kuse/kocho/ikenshokai49/3834.html
- THE UKAI TOFUYA 公式ページ — https://www.ukai.co.jp/the-ukai-tofuya/
- PRTimes「うかい豆腐をメインにした和食店(仮称)THE UKAI とうふ屋 京王プラザホテルに新規出店 2026年12月開業予定」 — https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000296.000085388.html
- 株式会社うかい 長期経営構想2035 — https://www.ukai.co.jp/corporate/ir/pdf/strategy/20250519.pdf?20250519114139=
- 東京都都市整備局「景観計画」 — https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/ryokuchi_keikan/kekan_kese/keikan/machinami_13