会社帰りにスマホで物件情報を眺めながら「自分も不動産投資で収入の柱を増やしたい」と考えるサラリーマンは多いものです。しかし現実には、ローン返済が家計を圧迫したり、入居者が決まらず赤字を抱えたりと、思わぬ失敗に直面するケースが後を絶ちません。本記事では、よくある落とし穴を具体的に示しながら、2025年12月時点で使える制度やデータを交えて解決策を解説します。読み終えたころには、失敗要因を先回りして防ぐ視点が身につき、安心して次の一歩を踏み出せるはずです。
なぜサラリーマンが失敗しやすいのか

重要なのは、時間と情報の非対称性がサラリーマンの弱点になりやすい点を自覚することです。平日は本業に追われ、物件調査や管理会社との折衝に割ける時間は限られます。その結果、営業担当の言葉を鵜吞みにして高値づかみをしたり、修繕計画を見落としていたりという事態が起こりがちです。
国土交通省の「住宅市場動向調査2025」によると、投資用区分マンションの平均利回りは5.0%前後ですが、実質利回り(管理費・修繕積立金・税金を差し引いた後)は3%台に低下します。手取り3%では、金利2%のローンを組んだ場合にキャッシュフローがほぼゼロになることも珍しくありません。つまり、表面利回りだけで判断すると資金繰りがすぐに苦しくなるのです。
また、会社員という安定属性は融資審査で有利に働く一方、借入余力を過信して過大なレバレッジを取る危険をはらみます。金融庁の「金融モニタリングレポート2025」は、自己資金10%未満で取得した物件の延滞率が19%に達すると指摘しています。与信枠を使い切る前に、ローン返済比率と生活費のバランスを冷静に検討する必要があります。
購入前に見落としがちな資金計画

まず押さえておきたいのは、購入時にかかる諸費用が物件価格の7〜10%に及ぶ点です。仲介手数料、登記費用、ローン事務手数料、火災保険料などが重なり、自己資金をギリギリで組むと初月から資金繰りが窮屈になります。さらに、固定資産税や都市計画税は翌年にまとめて請求されるため、最初の年度ほど負担感が大きくなるのが実情です。
修繕積立金や空室リスクも織り込んだ長期キャッシュフロー表を作ると、投資判断がブレにくくなります。例えば、入居率90%・金利上昇1%・家賃下落1%という保守的シナリオでも黒字が続くかを確認しておけば、景気変動に強いポートフォリオを組めます。一方で楽観的な数字だけを並べたシミュレーションは、都合の悪い事実を覆い隠しがちです。
2025年度の「賃貸住宅省エネ改修等支援事業」は、外壁断熱や高効率給湯器への更新費用を最大120万円補助します。申請期限は2026年2月末で、採択枠には限りがありますが、長期的に光熱費を下げて入居者満足度を高める効果は大きいです。制度活用を前提にした資金計画を立てると、自己資金の目減りを抑えつつ物件価値を底上げできます。
物件選びでありがちな落とし穴
ポイントは、数字に現れにくいリスクを定量化することです。築年数が古い木造アパートは利回りこそ高く見えますが、全国平均空室率が14%に対し、築30年以上は22%まで上昇しています(総務省「住宅・土地統計調査2025」)。高い表面利回りが、実は高い空室リスクの裏返しであるケースも珍しくありません。
立地については、最寄り駅からの距離だけでなく人口動態を確認しましょう。東京都心でも、単身世帯の流入が頭打ちの区では家賃が伸び悩んでいます。市区町村が発表する「地域別将来人口推計」を照らし合わせると、5年先の賃貸需要がおおむね見えてきます。またハザードマップで洪水・液状化リスクを確認しておくと、保険料や修繕費の急増を防げます。
さらに、管理組合が機能不全に陥っている区分マンションは避けるべきです。修繕積立金が不足し、突発的な一時金徴収が発生するとキャッシュフローが一気に悪化します。管理組合議事録を取得し、直近の大規模修繕費用と積立残高をチェックする手間を惜しまないようにしましょう。
長期運用で損を広げない管理術
実は、購入後の運用フェーズこそ差がつく場面です。入居者対応や設備トラブルの初動が遅れると、SNSや口コミサイトでネガティブ情報が拡散し、想像以上にリーシングコストが跳ね上がります。信頼できる管理会社を選ぶ際は、管理戸数だけでなく退去後の原状回復期間の平均値を開示してもらうと、業務品質を客観的に比較できます。
家賃改定のタイミングも重要です。国交省「賃貸住宅市場の実態調査2025」によれば、同じ築年数でも、2年ごとに1%の小幅値上げを実施した物件は、10年間据え置いた物件より総収入が約12%多い結果が出ています。心理的抵抗がある場合は、宅配ボックスや無料Wi-Fi設置とセットで家賃を調整すると入居者の納得感が高まります。
また、長期保有を前提とするなら、建物保険の見直しが欠かせません。近年は水災補償を外した格安プランを勧められることもありますが、気候変動で豪雨被害が増える中、免責金額の設定や補償範囲を狭めすぎると修繕費の自己負担が急増します。見積もりは最低3社取り、補償内容をエクセルで比較すると判断しやすくなります。
失敗を防ぐためのチェックリスト
最後に、行動前に確認したい要点を整理します。
- 自己資金は物件価格の20%+予備費100万円を確保したか
- 実質利回りが返済金利を常に2ポイント上回るシナリオを描けるか
- 将来人口推計とハザードマップを照合したか
- 管理組合の積立残高と大規模修繕計画を確認したか
- 2025年度の補助金・減税の適用可否を専門家に相談したか
この五つをクリアできれば、致命的な失敗リスクは大幅に減らせます。
まとめ
本記事では、サラリーマンが不動産投資で失敗しやすい理由と具体的な対策を解説しました。時間制約から生じる情報不足、資金計画の甘さ、物件選定の偏り、運用管理の軽視が主な落とし穴です。しかし、実質利回りで判断し、保守的なシミュレーションを作り、公的データで需要とリスクを検証すれば、失敗は予防できます。次の休日には、紹介したチェックリストを片手に、ご自身の投資計画を棚卸ししてみてください。慎重な準備がゆるぎない収益基盤を築く近道になります。
参考文献・出典
- 国土交通省 住宅市場動向調査2025年版 – https://www.mlit.go.jp/statistics/
- 国土交通省 賃貸住宅市場の実態調査2025 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/
- 総務省統計局 住宅・土地統計調査2025 – https://www.stat.go.jp/
- 金融庁 金融モニタリングレポート2025 – https://www.fsa.go.jp/
- 国土交通省 賃貸住宅省エネ改修等支援事業 2025年度概要 – https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/