名古屋の物件に興味はあるけれど、情報が多すぎて何から手を付ければよいか分からない――そんな悩みを抱える方は少なくありません。実際、同じ市内でも駅からの距離や再開発計画の有無によって収益性は大きく変わります。本記事では、15年以上にわたり東海エリアで投資を続けてきた筆者が、初心者でも押さえやすい「名古屋 コツ」を体系的に紹介します。読み進めることで、市場の特徴から税制優遇の活用法まで一通り理解でき、自分に合う物件選びの軸が見えてくるはずです。
名古屋市場を正しくとらえる

重要なのは、名古屋の人口動態と産業構造を把握したうえで投資判断を下すことです。総務省の住民基本台帳によると、2025年の名古屋市の人口は約235万人で微増傾向が続いています。またトヨタグループを筆頭に製造業が盛んで、賃貸需要を押し上げる転勤者が多い点も特徴です。
第一のポイントは、地下鉄網が放射状に伸びているため、都心3区(中区・東区・中村区)へのアクセスが賃料水準を左右する点です。名古屋駅周辺では再開発が加速し、平均賃料は過去5年でおよそ7%上昇しました。一方で、市南部の港区や緑区は賃料が横ばいで、利回りは高めでも空室リスクを見極める必要があります。
次に、名古屋市が公表する将来人口推計では、2040年時点でも20〜39歳の若年層が全体の27%を占める見込みです。つまり単身者向け物件の需要は当面堅調と考えられます。とはいえ、供給過多の区もあるため、最新の新築着工戸数をチェックし、供給バランスを常に確認しましょう。
さらに、JR東海が進めるリニア中央新幹線の開業予定(2030年目標)が与える影響も見逃せません。駅周辺の地価上昇期待はありますが、短期的な過熱感に流されず、家賃設定と融資条件の両面で慎重なシミュレーションを行うことが大切です。
立地選びで差をつける具体的エリア戦略

まず押さえておきたいのは「名駅か栄か、それとも地下鉄沿線か」という分かれ道です。都心3区は物件価格が高い半面、空室率は5%前後で安定しています。利回りは表面で4〜5%と控えめですが、出口戦略まで見通すと総合収益は十分に狙えます。
一方で、地下鉄東山線と桜通線の沿線は、都心アクセスと家賃水準のバランスが良く、初心者でも検討しやすい地域です。特に今池・星ヶ丘周辺は大学や商業施設があり、ワンルームでも回転が速い傾向があります。価格帯は都心より2割ほど安く、実質利回り6%前後を確保しやすい点が魅力です。
郊外で注目されるのが、リニア関連で注目度が上がる中川区や、子育て世帯の流入が続く守山区です。ただし、通勤利便性が劣るエリアでは、家賃を数千円下げても空室が埋まらないケースがあります。賃貸需要の主役が単身かファミリーかを見極め、間取りや駐車場の有無を柔軟に選ぶことが収益安定のカギになります。
最後に、再開発計画の有無を市の公式サイトで確認する習慣を持ちましょう。例えば2025年度着工予定の「ささしまライブ24」追加区画では、商業施設とオフィスが増え、近隣賃料の上昇が期待されています。行政資料を読み解く力が、ライバルとの差を広げる決定打になります。
キャッシュフローを守る運営と管理のコツ
ポイントは、購入直後から長期の資金計画を逆算しておくことです。名古屋市内の区分マンションの場合、管理費と修繕積立金で月額1万円前後が平均ですが、大規模修繕の前後で変動があるため、理事会の積立状況を確認することが欠かせません。
続いて、賃貸管理会社の選び方も収支に直結します。管理手数料は通常家賃の5%前後ですが、名古屋では4%台の業者も存在します。とはいえ、安さだけに注目すると入居者対応が遅れ、結果として空室期間が延びるリスクがあります。平均入居期間と原状回復費の実績を必ず比較して判断しましょう。
また、名古屋特有の季節要因として、春の人事異動と大学入学シーズンがピークになります。この時期に空室を出さないため、退去連絡が入った段階でリフォーム見積もりと募集条件の見直しを同時に動かすことが重要です。早期対応が一か月の空室ロスを防ぎ、年間利回りを0.5ポイント以上押し上げる効果があります。
さらに、エネルギーコスト高騰を踏まえ、2025年から名古屋市が推進する高効率給湯器への交換補助(上限10万円、2026年3月申請締切)も活用したいところです。省エネ設備は募集時の差別化要素になるうえ、将来的な売却時に評価されやすい点がメリットとなります。
2025年度の税制優遇を賢く使う
実は、税制を味方に付けると現金収支を大きく改善できます。2025年度も住宅ローン減税は、省エネ基準適合住宅で借入残高上限5,000万円・控除期間13年が維持されています。区分マンションでも基準を満たせば適用されるため、売主に適合証明書の有無を確認することが第一歩です。
次に、個人投資家なら減価償却を活用した所得税・住民税の圧縮効果が大きい点に注目しましょう。築25年超の木造アパートを購入し、短期償却で経費計上する戦略は依然有効です。ただし、金融機関は耐用年数を重視するため、融資期間が短く返済額が増えるデメリットもあります。手残りがマイナスにならないよう、複数シナリオでシミュレーションを行ってください。
法人化を検討している場合、名古屋市内に本店を置けば愛知県の法人事業税が適用されます。実効税率は所得800万円以下で約16%と個人の最高税率より低いケースが多く、将来的に規模拡大を考えるなら早期検討が有利です。とはいえ、設立コストや社会保険料負担も増えるため、税理士と長期視点で計画を立てることが重要になります。
最後に、2025年度から続く固定資産税の軽減措置にも触れておきます。新築住宅の固定資産税が3年間半額になる制度は、床面積が50〜120平方メートルの物件が対象です。名古屋市内の新築ワンルーム(約25平方メートル)は対象外ですが、ファミリー向け区分や一棟物件なら恩恵を受けられます。取得前に必ず登記面積を確認しましょう。
初心者が陥りやすい落とし穴とその回避法
まず、表面利回りだけで判断すると失敗しやすい点を理解してください。名古屋市外縁部の利回り8%以上の物件でも、実際には修繕履歴が乏しく、突発的な大規模修繕で手残りが吹き飛ぶ事例があります。購入前に建物診断を依頼し、10年先の修繕費を数値化することが安全策です。
次に、金融機関の審査に過度な期待を抱くケースが増えています。特にフルローンを狙うと金利が2%台に乗ることも珍しくなく、利回り6%程度ではキャッシュフローを圧迫します。自己資金2割を投入し、金利1%台を確保する方が長期の安定につながります。
さらに、賃貸需要をインターネット検索数だけで判断するのは危険です。現地の不動産会社にヒアリングし、退去理由や平均入居期間を聞き取ると、数字だけでは見えないリスクが浮かび上がります。コミュニケーションコストを惜しまない姿勢が、結果的に投資効率を高めます。
最後に、出口戦略を描かずに購入すると資産が塩漬けになる恐れがあります。名古屋の中古市場では、築20年を超えると価格下落が緩やかになり、築30年以降は賃料減少が目立ちます。5年、10年後に売却する想定価格を初期段階で試算し、想定利回りと比較しながら投資判断を行いましょう。
まとめ
ここまで「名古屋 コツ」として、市場分析、立地選び、運営管理、税制優遇、リスク回避の五つの視点から解説しました。人口と産業の安定が支える賃貸需要、地下鉄網に沿った立地戦略、早期対応で守るキャッシュフロー、2025年度の税優遇活用、そして慎重なリスク管理がそろえば、名古屋での不動産投資は高い再現性を持ちます。あなたも今日から具体的なエリア調査と資金計画を始め、将来の資産形成を一歩前に進めてみてください。結論として、基本を押さえた投資こそが最短で成果につながる王道ルートです。
参考文献・出典
- 名古屋市 総務局統計課 – https://www.city.nagoya.jp
- 総務省 住民基本台帳人口移動報告 – https://www.stat.go.jp
- 国土交通省 住宅着工統計 – https://www.mlit.go.jp
- 国税庁 令和7年度税制改正の手引 – https://www.nta.go.jp
- 名古屋市 省エネ機器導入補助金案内 – https://www.city.nagoya.jp/kurashi