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リフォーム投資の資金調達法|投資物件の借入先を解説

築古の収益物件を安く購入し、リノベーションで価値を高めてから賃貸に出す。この「リフォーム投資」は、多くの不動産投資家にとって魅力的な戦略です。しかし、いざ実行しようとすると、リフォーム資金をどう調達するかという壁にぶつかります。自宅なら住宅ローンとリフォーム費用をまとめて借りられますが、投資物件でも同じ手が使えるのでしょうか。

この記事では、投資物件のリフォーム資金を調達する現実的な方法を整理します。一般的なリフォームローンが使えない理由から、住宅金融支援機構(JHF)の公的融資、地方銀行のアパートリフォームローン、事業者向け不動産担保ローンまで、実務で選ばれるルートを具体的な条件とともに解説していきます。物件購入前の資金計画にぜひお役立てください。

一般的なリフォームローンは投資物件に使えない

まず押さえておきたいのは、個人向けの無担保リフォームローンの多くが、賃貸物件や投資物件のリフォーム資金を対象外にしているという事実です。これは一部の金融機関だけの話ではなく、業界全体に共通する傾向といえます。

実際に各行の商品説明を確認すると、その姿勢は明確です。みずほ銀行のリフォームローンは「賃貸用物件のリフォームにはご利用いただけません」と明記しています。イオン銀行も、店舗など事業性リフォームの資金は対象外としています。中央ろうきんに至っては、対象外資金として「賃貸の用に供する不動産の取得・リフォームに係る資金」をはっきり除外しています。

なぜここまで一律に断られるのでしょうか。理由は、賃貸物件のリフォーム資金が「事業性資金」とみなされるからです。千葉興業銀行のFAQでは、賃貸物件(貸家、収益物件等)は個人で所有していても事業性資金となるため、一般のリフォームローンは利用できないと説明しています。つまり、たとえ個人名義であっても、収益を生む物件への投資は「事業」と扱われ、消費者向けの低金利ローンの枠組みからは外れてしまうのです。

この点を理解しないまま資金計画を立ててしまうと、物件購入後にリフォーム資金の当てが外れるという事態になりかねません。投資物件のリフォームには、専用の調達ルートを最初から想定しておく必要があります。

投資物件のリフォーム資金を調達する主な方法

では、一般のリフォームローンが使えないとして、実際にはどこから資金を借りればよいのでしょうか。実務では大きく分けて三つのルートがあります。住宅金融支援機構(JHF)による公的な賃貸住宅リフォーム融資、地方銀行や信用金庫が提供するアパートリフォームローン、そしてノンバンク系の事業者向け不動産担保ローンです。それぞれ金利や条件、向いているケースが異なるため、自分の投資戦略に合ったものを選ぶことが重要になります。

JHFの賃貸住宅リフォーム融資という選択肢

住宅金融支援機構は、賃貸住宅のオーナー向けにいくつかのリフォーム融資制度を用意しています。全期間固定金利で、比較的低い水準の金利が魅力です。

省エネ改修を対象とした「賃貸住宅リフォーム融資(省エネ住宅)」では、融資の対象となる工事費の80%までを借りられます。返済期間は20年以内で、申込時の金利が適用される全期間固定金利です。融資手数料や繰上返済手数料が不要な点も、コストを抑えたい投資家には見逃せないメリットでしょう。適用金利は住宅金融支援機構の公式サイトで案内されており、耐震改修工事を併せて行う場合は優遇措置が適用されます。ただし、この融資では保証能力のある法人または個人の連帯保証人が必要で、法人申込の場合は保証機関の利用も可能です。

もう一つ注目したいのが「住宅セーフティネット(SN住宅)」向けの融資です。これは住宅確保要配慮者の受け入れを前提とした制度で、リフォーム後のSN住宅の所有権と、その土地の所有権または借地権を持つ個人・法人が申込対象になります。こちらも工事費の80%まで借りられ、全期間固定金利である点は省エネ住宅向けと共通します。大きな違いは保証人が不要である点で、適用金利は住宅金融支援機構の公式サイトで案内されています。建て方や延べ面積、戸数、構造といった制限が緩く、戸建て住宅も対象になるため、幅広い物件で使いやすい制度といえます。ただし、工事完了時の精算報告までにSN住宅としての登録または認定を受ける必要があり、完済まで継続する必要がある点は覚えておきましょう。

大規模なリニューアルを考えているなら、「長期耐用耐震改修」向けの融資が候補になります。これは耐震性が不足している賃貸住宅を、耐震改修と間取り・内装・設備の全面リニューアルによって新築並みの水準まで引き上げる工事を対象とした制度です。最長35年の長期固定金利で、最大で工事費の100%まで融資を受けられます。着工時、屋根工事完了時、竣工時に分けて資金を受け取れる中間資金の利用ができる点も、大型工事では実用的です。参考金利は住宅金融支援機構の公式サイトで案内されており、実際の借入金利は申込受付月の約2か月後に決まるため参考金利と異なる場合があります。繰上返済制限を選ぶと繰上返済元金の5%相当の違約金が発生する点には注意が必要です。

地方銀行のアパートリフォームローン

JHFと並ぶ現実的な選択肢が、地方銀行や信用金庫、JAが扱うアパートリフォームローンです。これらは賃貸経営を営むオーナーを対象に設計されており、地域によっては使いやすい条件を提示してくれます。

たとえば北洋銀行のアパートリフォームローンは、本人または同居家族が所有する賃貸アパート等の改修に利用でき、他社からの借換にも対応します。融資額は10万円以上2,000万円以内、期間は6か月以上20年以内の変動金利で、保証料・事務取扱手数料・担保がいずれも不要という手軽さが特徴です。なお団体信用生命保険への加入は任意ですが、701万円以上を借りる場合は加入が条件になります。

東北地方であれば七十七銀行の商品があります。岩手・宮城・秋田・山形・福島の信用保証協会の保証を受けられる不動産賃貸業の法人・個人が対象で、賃貸用建物のリフォーム資金に使えます。融資額は3,000万円以内、期間は1年以上15年以内で、変動金利のほか2年・3年・5年・10年の固定金利特約も選べます。担保は不要ですが信用保証協会の保証を利用し、取扱手数料は融資額の0.55%(最低16.5万円)がかかります。

関西エリアでは関西みらい銀行の商品が知られていますが、こちらは個人限定で、資産管理法人などの法人名義では申し込めません。アパート経営歴3年以上、本人所有物件であること、そしてリフォーム対象物件に関する年間返済額が前年度の年間家賃収入の80%以内であることが条件です。利用可能額は200万円以上1,000万円以内で、原則として団信加入が求められます。JAでも同様の商品があり、JA山武郡市のアパートオーナー向けローンは家主業歴3年以上・安定した家賃収入を条件とし、返済負担比率を前年度税込家賃収入の80%以内としています。手数料が3,300円と低く抑えられている点も特徴的です。

これらのローンでは「経営歴3年以上」「返済額が家賃収入の80%以内」といった条件が繰り返し登場します。つまり、すでに安定した賃貸経営の実績があるオーナーほど利用しやすい設計になっているのです。一方で、これから初めて投資物件を買う人には、条件のハードルが高い場合がある点も理解しておきましょう。なお、こうした商品は改廃も多く、みなと銀行のアパートリフォームローンは2026年7月17日をもって新規申込受付を終了しています。利用を検討する際は、各金融機関の最新情報を必ず確認してください。

事業者向け不動産担保ローンという代替案

銀行の専用ローンが条件に合わない、あるいは審査が通らないという場合には、ノンバンク系の事業者向け不動産担保ローンが代替案になります。物件を担保に入れることで、資金使途の自由度が高く、まとまった金額を借りやすいのが特徴です。

セゾンファンデックスの事業者向け不動産担保ローンは、設備投資やローンの組換えなど幅広い目的に使え、法人・個人事業主が対象です。融資金額は500万円から5億円と大きく、2025年6月時点で変動金利が3.15%〜4.95%、固定金利が4.50%〜9.90%となっています。アサックスの法人・個人事業者向け不動産担保ローンは、300万円から10億円、金利は年2.20%〜8.76%、融資期間は3か月から35年で、連帯保証人が原則不要という柔軟さがあります。

ただし、これらのローンは表面金利だけで判断すると誤ります。アサックスの場合、融資額の0%〜3.3%の融資取扱手数料に加え、期限前に返済すると返済元金の0%〜3.0%の中途解約金がかかる場合があります。金利水準は魅力的でも、手数料を含めた実質的な負担を確認したうえで比較することが欠かせません。

資金調達を成功させるための実務ポイント

調達ルートを選んだら、次は審査を通し、実際に工事を進めるための実務に目を向けましょう。ここで見落としがちなのが、工事代金の支払いタイミングです。

多くのリフォーム融資では、工事が着工していることが融資実行の条件になります。千葉興業銀行のFAQでも、対象のリフォーム工事が着工していることを条件としています。前払いや中間金が必要な工事では、工事請負契約書などで支払スケジュールと支払金額を確認できる場合に限り、着工金・中間金・引渡金をまとめて一括で実行できるとされています。つまり、契約書で支払い条件を明確にしておかないと、資金の受け取り時期と業者への支払い時期がずれてしまう恐れがあるのです。JHFの長期耐用耐震改修のように中間資金を分割で受け取れる制度もあるため、大型工事では資金の受け取り方まで含めて計画する必要があります。

審査面では、物件の収益性と経営実績が重視される点を意識しましょう。地方銀行のアパートリフォームローンで「返済額が家賃収入の80%以内」という基準が共通していることからも分かるように、家賃収入で返済をまかなえるかどうかが判断の中心になります。リフォーム後に家賃上昇が見込める場合は、周辺相場のデータを添えて根拠を示すと、審査を有利に進めやすくなります。

資金計画そのものにも余裕を持たせることが大切です。リフォームでは着工後に予期せぬ劣化が見つかり、追加工事が発生するケースが珍しくありません。当初の見積もりに10〜20%程度の予備費を上乗せしておくと安心です。あわせて、空室期間に備えた運転資金や突発的な修繕への備えも確保しておきましょう。楽観・標準・悲観の複数シナリオでキャッシュフローを試算し、悲観シナリオでも赤字にならない計画を立てられれば、金融機関からの信頼も得やすくなります。

まとめ|投資物件のリフォームは専用ルートで資金を組む

投資物件のリフォーム資金は、一般的な個人向けリフォームローンでは調達できません。賃貸物件のリフォームは事業性資金とみなされるため、みずほ銀行や中央ろうきんなど多くの金融機関が明確に対象外としているからです。この前提を知らずに購入を進めると、資金計画が大きく狂ってしまいます。

現実的な調達ルートは、住宅金融支援機構の賃貸住宅リフォーム融資、地方銀行やJAのアパートリフォームローン、そして事業者向け不動産担保ローンの三つです。全期間固定で工事費の8割まで借りられるJHFの制度は、コストを抑えたい場合に有力です。すでに経営実績があるなら、地域の銀行のアパートリフォームローンも使いやすいでしょう。条件が合わなければ、不動産担保ローンで柔軟に資金を確保する道も残されています。

いずれのルートを選ぶにしても、金利だけでなく手数料や工事代金の支払いタイミング、審査条件までを総合的に見て判断することが成功の鍵です。ここで紹介した金利や条件は執筆時点の各機関の公表情報に基づくものであり、制度内容や適用金利は変更される可能性があります。実際に検討する際は、各金融機関や住宅金融支援機構の公式サイトで最新情報を確認し、不安があれば不動産投資に詳しい専門家に相談することをおすすめします。

参考文献・出典

  • 住宅金融支援機構「賃貸住宅リフォーム融資 金利」 – https://www.jhf.go.jp/kinri/chintaireform.html
  • 住宅金融支援機構「賃貸住宅リフォーム融資(省エネ住宅)ご利用条件」 – https://www.jhf.go.jp/kanri/syoenechintai_reform/jouken.html
  • 住宅金融支援機構「賃貸住宅リフォーム融資(住宅セーフティネット)ご利用条件」 – https://www.jhf.go.jp/kanri/chintaireform_safety/jouken.html
  • 住宅金融支援機構「賃貸住宅リフォーム融資(長期耐用耐震改修)」 – https://www.jhf.go.jp/kanri/chintaireform_taishin2/index.html
  • みずほ銀行「リフォームローン 商品詳細」 – https://www.mizuhobank.co.jp/loan_reform/detail.html
  • イオン銀行「リフォームローン 商品概要説明書」 – https://www.aeonbank.co.jp/products_list/pdf/reform_loan.pdf
  • 千葉興業銀行「個人向けローンのよくあるご質問(リフォーム)」 – https://www.chibakogyo-bank.co.jp/kojin_loan/faq/reform.html

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