不動産物件購入・売却

不動産屋が物件を紹介しない理由とは?囲い込みの真実

「気になる物件を問い合わせたのに、なぜか紹介してもらえなかった」「希望条件を伝えたのに、なかなか物件を見せてもらえない」——そんな経験をしたことはないでしょうか。実は、不動産屋が物件を紹介しない背景には、業界特有の仕組みが深く関わっています。この記事では、不動産屋が物件を紹介しない理由として最も多い「囲い込み」という慣行を中心に、その仕組みや売主・買主それぞれへの影響、そして自分を守るための対策まで、初心者にも分かりやすく解説します。知っておくだけで、不動産取引の落とし穴を避けられる可能性が高まりますので、ぜひ最後までお読みください。

不動産屋が物件を紹介しない最大の理由「囲い込み」とは

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まず押さえておきたいのは、不動産屋が物件を紹介しない最大の理由が「囲い込み」と呼ばれる行為だということです。これは一部の不動産会社が自社の利益を最大化するために、意図的に物件情報を他社へ流さない慣行を指します。

不動産取引では、売主から依頼を受けた不動産会社(売主側仲介)と、買主を連れてきた不動産会社(買主側仲介)がそれぞれ仲介手数料を受け取るのが一般的です。しかし、売主側の不動産会社が買主も自社で見つければ、両方から手数料を得ることができます。この「両手取引」を狙って、他社からの問い合わせを意図的にシャットアウトするのが囲い込みの本質です。

国土交通省の資料では、囲い込みの具体例として、事実に反して物件を「売主都合で一時紹介停止中」などと虚偽登録し、他社からの紹介を意図的に拒否する行為が挙げられています。つまり、売主の利益よりも自社の手数料収入を優先した行為であり、本来あってはならない慣行です。

囲い込みが行われると、買主候補が限られてしまうため、売主にとっては売却のチャンスを逃すことになります。また、競争が生まれないことで値下げ交渉を迫られるリスクも高まります。一見すると売主側の問題のように思えますが、買主にとっても「本来出会えたはずの物件に出会えない」という不利益が生じます。

囲い込みの具体的な手口を知っておこう

囲い込みの具体的な手口を知っておこうのイメージ

囲い込みの手口を知っておくことで、自分が被害を受けているかどうかを判断しやすくなります。実際の現場では、巧妙な言い訳が使われることが多いため、注意が必要です。

最もよく使われる手口は、他の不動産会社から物件の問い合わせがあった際に「売り止め」や「契約予定」を理由に断るというものです(LIFULL HOME’S https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00365/)。実際には売り止めでも契約予定でもないのに、他社の買主候補を遠ざけるためにこうした虚偽の説明をするわけです。問い合わせをした不動産会社は「その物件は動いていない」と思い込み、買主への紹介を諦めてしまいます。

また、「内覧の調整が難しい」「売主の都合で今は見せられない」といった曖昧な理由で時間を引き延ばすケースも見られます。こうした対応が続く場合、囲い込みが行われている可能性を疑ってみることが大切です。

さらに、不動産業者間の物件情報共有システム「レインズ(REINS)」に物件を登録しているように見せかけながら、取引状況を操作して他社からの問い合わせを実質的に遮断するという手口もあります。レインズとは「Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)」の略称で、全国の宅建業者が物件情報を閲覧・共有できるシステムです(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html)。このシステムを悪用した囲い込みへの対策として、近年重要な制度改正が行われました。

2025年1月から始まった囲い込み対策の新ルール

重要なのは、囲い込み問題に対して国が具体的な対策を講じ始めたという点です。国土交通省は宅地建物取引業法施行規則を改正し、2025年1月1日より、宅建業者に対してレインズへの物件の取引状況の登録を義務付けました(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001853467.pdf)。

この改正によって義務化が強化されたのが、以前から存在する「ステータス管理機能」の活用です。宅建業者は物件をレインズに登録した際、売主に登録証明書を交付し、売主専用画面へのアクセス方法を説明することが2025年1月1日から新たに義務付けられました(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001853467.pdf)。売主は自分の物件の取引状況を「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時紹介停止中」の3つの区分で確認できます。売主専用の画面にアクセスすることで、自分の物件がどのような状態に置かれているかをリアルタイムで把握できる仕組みです。

この機能が特に重要なのは、囲い込みの発見に直結するからです。たとえば、売主が依頼した覚えがないのに物件のステータスが「売主都合で一時紹介停止中」になっていた場合、買主側の不動産会社はその物件に問い合わせができない状態になっています。つまり、売主が知らないうちに囲い込みが行われている可能性を示すサインとなります。

2025年1月以降は、売主が自分の物件の取引状況を確実かつ簡単に確認できるようになったことで、囲い込みの有無に気づきやすくなっています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001853467.pdf)。制度の整備によって、以前よりも透明性が高まっていると言えるでしょう。

媒介契約の種類と囲い込みリスクの関係

実は、囲い込みが起きやすいかどうかは、売主が不動産会社と結ぶ「媒介契約」の種類によっても変わってきます。媒介契約とは、不動産会社に売却活動を依頼する際に締結する契約のことで、主に3種類あります。

専属専任媒介契約と専任媒介契約は、どちらも1社の不動産会社にのみ売却を依頼する契約で、レインズへの登録が義務付けられています。一方、国土交通省によると、一般媒介契約は複数の不動産会社に同時に依頼できる契約ですが、レインズ登録は媒介契約の条件や特約次第であり、専任・専属専任のような法定登録義務ではありません(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/015/74000432/74000432.html)。

囲い込みが特に問題になりやすいのは、専属専任媒介契約や専任媒介契約を結んだケースです。これらの契約では1社だけに依頼するため、その会社が囲い込みを行っても売主は気づきにくい状況になります。一方、一般媒介契約では複数社が競って買主を探すため、囲い込みが起きにくいという側面があります。ただし、一般媒介契約には別のデメリットもあるため、どちらが良いかは一概には言えません。

売主の立場から見ると、囲い込みによって売却タイミングが延びたり、必要以上に値下げを求められたりするリスクがあります(SUUMO https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/msbaikyaku_chuiten)。こうした不利益を避けるためにも、媒介契約の種類と囲い込みリスクの関係を理解しておくことが大切です。

囲い込みに気づいたときの対処法と自分を守る方法

囲い込みの被害を防ぐためには、売主・買主それぞれの立場で取れる行動があります。まず自分の状況を正しく把握することが、対策の第一歩となります。

売主の場合、最も有効な方法は前述のレインズのステータス管理機能を活用することです。売主専用画面で自分の物件の取引状況を定期的に確認し、不審な点があれば担当の不動産会社に問い合わせましょう。また、知人や別の不動産会社に「この物件を紹介してもらえますか?」と確認してもらうことで、他社からの問い合わせが正常に通るかどうかをテストする方法も有効です。

買主の場合は、複数の不動産会社に同じ物件を問い合わせてみることで、特定の会社だけが「紹介できない」と言っているかどうかを確認できます。一社だけに頼らず、複数の窓口を持つことが自分を守る基本的な姿勢です。

もし囲い込みに気づいた場合は、まず不動産会社にその旨を直接指摘することが大切です。それでも改善が見られないのであれば、不動産会社の変更を検討することも必要です(SUUMO https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/manshon_urenai)。信頼できる不動産会社を選ぶ際は、過去の実績や口コミ、担当者の対応の誠実さなどを総合的に判断するとよいでしょう。また、不動産会社の選び方に迷ったときは、複数社に査定を依頼して比較することも有効な手段です(SUUMO https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/fudosangyousya-osusume)。

まとめ

不動産屋が物件を紹介しない理由の多くは、両手取引を狙った「囲い込み」という慣行にあります。売主・買主の双方に不利益をもたらすこの問題に対して、2025年1月からはレインズへの取引状況登録の義務化やステータス管理機能の導入など、制度面での対策が進んでいます。大切なのは、こうした仕組みを知ったうえで、自分自身でも定期的に物件の状況を確認し、複数の不動産会社を比較検討する姿勢を持つことです。不動産取引は人生の中でも大きな決断のひとつ。正しい知識を武器に、信頼できるパートナーを見つけて、納得のいく取引を実現してください。

参考文献・出典

  • 国土交通省「レインズの機能強化について、物件の売主向けのリーフレットを作成しました!」 — https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001853467.pdf
  • 国土交通省「消費者の皆様向け:不動産取引に関するお知らせ」 — https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html
  • 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用」 — https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/015/74000432/74000432.html
  • SUUMO「2025年1月から不動産取引の囲い込み規制が始まる!そもそも囲い込みとは?規制方法は?を分かりやすく解説」 — https://suumo.jp/journal/2024/12/18/206752/
  • SUUMO「マンション売却の流れ・注意点。失敗しないためのコツと準備」 — https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/msbaikyaku_chuiten
  • LIFULL HOME’S「物件情報の囲い込みが横行? 不動産会社の姿勢が問われている」 — https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00365/
  • LIFULL HOME’S「どこの不動産会社でも同じ物件情報が出てくるのは何故?レインズの仕組みと課題に迫る」 — https://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_00023/
  • SUUMO「マンションが売れない10の理由とは?査定~マンション売却を早く成功させるためのコツを解説」 — https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/manshon_urenai
  • SUUMO「不動産仲介業者のおすすめの選び方とは。」 — https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/fudosangyousya-osusume

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