不動産の税金

新築vs中古アパート収益比較|エクセルシミュレーションの作り方

「新築と中古、どちらのアパートに投資すべきか」という疑問は、不動産投資を始めようとする多くの方が最初にぶつかる壁です。表面利回りだけを見て判断してしまうと、後から想定外のコストが発生して収益が大きく下がるケースも少なくありません。この記事では、新築と中古アパートの収益構造の違いを丁寧に解説したうえで、エクセルを使ったシミュレーションの作り方まで、初心者の方にもわかりやすくご紹介します。数字を自分の手で動かしながら比較することで、より納得感のある投資判断ができるようになります。

新築と中古アパートの収益構造の違い

新築と中古アパートの収益構造の違いのイメージ

まず押さえておきたいのは、新築と中古では「収益の出方」が根本的に異なるという点です。表面利回りの数字だけで比べると、中古のほうが圧倒的に有利に見えることが多いのですが、実態はもう少し複雑です。

新築アパートの最大の強みは、入居者を集めやすいことと、当面の修繕費がほとんどかからないことです。建物が新しいため設備の故障リスクが低く、キャッシュフローが安定しやすい傾向があります。一方で、物件価格が高いぶん利回りは低くなりがちで、一般的には表面利回りが比較的低めに収まることが多いとされています。また、購入直後から建物の価値が下がり始めるため、売却時に損失が出やすいという側面もあります。

中古アパートは、新築に比べて購入価格が低く抑えられるため、表面利回りが相対的に高く見えることがよくあります。しかし、築年数が経過しているほど修繕費や設備交換のコストが増え、実質利回りが大きく下がるリスクがあります。さらに、融資期間が短くなりやすいという点も見逃せません。国税庁の定めによると、木造建物の法定耐用年数は22年で、法定耐用年数を全部経過した中古資産の耐用年数は「法定耐用年数の20%」で計算されます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm)。たとえば築22年以上の木造アパートであれば、国税庁によると残存耐用年数は4年(22年×20%=4.4年、1年未満切り捨て)となり、融資期間が短くなって月々の返済額が増えることがあります。

つまり、新築は「安定性重視」、中古は「高利回り狙いだが管理コストに注意」という性格の違いがあると理解しておくことが大切です。

エクセルシミュレーションで比較すべき5つの項目

エクセルシミュレーションで比較すべき5つの項目のイメージ

収益を正確に比較するには、エクセルを使って複数の数値を同時に管理することが効果的です。重要なのは、表面利回りだけでなく「実質的な手取り額」を計算することです。

シミュレーションに組み込むべき項目は大きく5つあります。まず「年間家賃収入」は、満室時の収入に空室率を掛けて現実的な数字を出します。空室率は物件の立地や築年数によって異なりますが、保守的に見積もることが大切です。次に「ローン返済額」は、借入金額・金利・返済期間によって決まります。たとえばオリックス銀行の不動産投資ローンでは、オリックス銀行によると2026年7月1日現在、変動金利型は年2.425%〜4.425%の範囲で審査により決定されると案内されており、借入期間は1年以上35年以内(1カ月単位)となっています(オリックス銀行 https://www.orixbank.co.jp/personal/property/?id=51040201307)。

3つ目は「管理費・修繕積立費」で、一般的に家賃収入の一定割合を見込むことが多いとされています。4つ目は「固定資産税・火災保険料」などの諸経費で、これらも年間コストとして必ず計上してください。5つ目は「減価償却費」で、これは実際の支出ではありませんが、税務上の節税効果を計算するうえで欠かせない数字です。これら5つをエクセルの各列に並べ、新築と中古を横に並べて比較すると、どちらが手元に残るお金が多いかが一目でわかります。

エクセルシミュレーションの具体的な作り方

実際にエクセルでシミュレーションを作る際は、「入力シート」「計算シート」「グラフシート」の3枚構成にすると管理しやすくなります。

入力シートには、物件価格・自己資金・借入金額・金利・返済期間・想定家賃・空室率・管理費率・修繕費率などを入力するセルを用意します。ここを変えるだけで計算結果が自動的に更新される仕組みにしておくと、条件を変えながら素早く比較できます。計算シートでは、年間家賃収入から諸経費とローン返済額を引いた「年間キャッシュフロー」を算出します。さらに、10年後・20年後・30年後の累計キャッシュフローも計算しておくと、長期的な収益性の違いが見えてきます。

オリックス銀行では最長50年間のキャッシュフローシミュレーションを無料で提供しているとされ、賃料相場・築年数・賃貸面積などで物件比較ができるとされています(オリックス銀行 https://www.orixbank.co.jp/personal/property/)。ただし提供状況は変更される場合があるため、利用の際は金融機関公式サイトで最新情報をご確認ください。こうした金融機関の無料ツールを活用しながら、自分のエクセルと照らし合わせることで、より精度の高い分析が可能になります。グラフシートには、年ごとのキャッシュフロー推移を折れ線グラフで表示すると、新築と中古の収益曲線の違いが視覚的に把握できて便利です。

融資条件の違いが収益に与える影響

シミュレーションを作るうえで、融資条件の違いが収益に大きく影響することを忘れてはいけません。同じ物件価格でも、金利や返済期間が変わるだけで月々のキャッシュフローは数万円単位で変わることがあります。

たとえば、借入金額3,000万円・金利3%・返済期間35年の場合と、同じ金額で返済期間20年の場合を比べると、月々の返済額は大きく異なります。中古アパートは築年数が古いほど融資期間が短くなりやすく、月々の返済負担が重くなる傾向があります。これが「表面利回りは高いのに手元にお金が残らない」という状況を生む原因の一つです。

また、変動金利を選ぶ場合は金利上昇リスクも考慮が必要です。オリックス銀行の変動金利は年2回見直しがあり、返済額の増額は従前返済額の1.25倍が上限とされています(オリックス銀行 https://www.orixbank.co.jp/personal/property/repayment.html)。エクセルのシミュレーションでは、金利が1%・2%上昇した場合のキャッシュフローも計算しておくと、リスク管理の観点から非常に役立ちます。住宅金融支援機構の賃貸住宅建設融資のように固定金利を選べる選択肢もあり(住宅金融支援機構 https://www.jhf.go.jp/files/a/public/jhf/300127901.pdf)、金利タイプの違いもシミュレーションに組み込んで比較することをおすすめします。

中古アパートの減価償却を活用した節税効果の計算

中古アパートには、節税という観点から見ると独自のメリットがあります。実は、築年数が経過した中古物件ほど耐用年数が短くなり、毎年の減価償却費が大きくなるため、所得税の節税効果が高くなる場合があります。

国税庁の簡便法によると、法定耐用年数を全部経過した中古資産の耐用年数は「法定耐用年数の20%」で計算します(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm)。木造アパートの法定耐用年数は22年ですので、築22年以上の物件を取得した場合の耐用年数は4年(22年×20%=4.4年を端数切捨て)となります。これは4年間で建物取得費用を経費として計上できることを意味し、節税効果が期待できます。ただし、耐用年数が短いということは融資期間も短くなりやすいという裏返しでもあるため、節税効果とキャッシュフローのバランスをエクセルで必ず確認してください。

また、中古資産を事業用に供するための資本的支出が取得価額の50%を超える場合は、この簡便法が使えなくなる点にも注意が必要です(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm)。大規模なリフォームを行う場合は、事前に税理士に相談することをおすすめします。エクセルのシミュレーションには、減価償却費による税負担の軽減額も組み込むことで、より実態に近い手取り収益が計算できます。

まとめ

新築と中古アパートの収益比較は、表面利回りだけで判断するのではなく、融資条件・修繕費・減価償却・税効果まで含めた総合的なシミュレーションが欠かせません。エクセルを使って「入力シート」「計算シート」「グラフシート」の3枚構成でシミュレーションを作れば、条件を変えながら柔軟に比較検討できます。新築は安定性が高く、中古は高利回りと節税効果が魅力ですが、どちらにも一長一短があります。大切なのは、自分の投資目的・資金力・リスク許容度に合った選択をすることです。まずはエクセルで数字を動かしてみることから始め、不明点は金融機関や税理士などの専門家にも相談しながら、納得のいく投資判断を進めてください。

参考文献・出典

  • オリックス銀行 不動産投資ローン — https://www.orixbank.co.jp/personal/property/
  • オリックス銀行 借入金利と返済方法 — https://www.orixbank.co.jp/personal/property/repayment.html
  • オリックス銀行 借り入れに必要な諸費用 — https://www.orixbank.co.jp/personal/property/charges.html
  • 国税庁 No.5404 中古資産の耐用年数 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5404.htm
  • 住宅金融支援機構 賃貸住宅を建設する場合 — https://www.jhf.go.jp/files/a/public/jhf/300127901.pdf
  • 日本政策金融公庫 一般貸付 — https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/jiyusij_m.html
  • 日本政策金融公庫 金利情報(小規模事業者/個人事業主の方) — https://www.jfc.go.jp/n/rate/index.html
  • 東京スター銀行 スター不動産担保ローン — https://www.tokyostarbank.co.jp/products/loan/mortgage_collateral/
  • Wealth Agent 主要14銀行の不動産投資ローン比較 — https://www.agent-hp.com/real-estate-investment-loan-comparison/

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