マンションを売却しようと考えたとき、「いったいどれくらいの費用がかかるのだろう?」と不安に感じる方は多いはずです。売却価格ばかりに目が向きがちですが、実際には仲介手数料・税金・各種清算金など、さまざまな費用が発生します。これらを事前に把握しておかないと、手元に残る金額が想定より大幅に少なくなってしまうことも珍しくありません。この記事では、マンション売却にかかる費用を一覧形式でわかりやすく整理し、それぞれの仕組みや節約のポイントまで丁寧に解説します。初めての売却でも安心して準備を進められるよう、基礎から順を追って説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。
売却費用の全体像を把握しよう

マンション売却にかかる費用は、大きく「取引に伴う費用」「税金」「ローン関連費用」「清算金」の4つに分けて考えると整理しやすくなります。それぞれの性質が異なるため、まとめて「諸費用」と呼ぶだけでは実態が見えにくくなってしまいます。
取引に伴う費用の代表格は仲介手数料です。不動産会社に売却を依頼した場合、成功報酬として支払うもので、売却価格が高くなるほど金額も大きくなります。国土交通省の資料(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html)によると、売却価格が1,000万円の場合の仲介手数料の上限は税込39.6万円とされています。3,000万円のマンションを売却する場合は、同じ料率の計算式から税込105.6万円が上限の目安となります。この金額は売却費用の中でも最大級のウェイトを占めるため、最初に意識しておくことが大切です。
税金については、売買契約書に貼る印紙税と、売却益が出た場合の譲渡所得税が主なものです。ローン関連費用は、住宅ローンが残っている場合に発生する繰上返済手数料などが該当します。清算金は固定資産税や管理費など、引渡し日を基準に売主と買主で分け合う費用です。これら4つの柱を頭に入れておくと、後述する個別の費用も理解しやすくなります。
仲介手数料と印紙税の仕組み

まず押さえておきたいのは、売却費用の中で最も金額が大きくなりやすい仲介手数料の計算方法です。仲介手数料には法律で定められた上限があり、売却価格に応じた料率を組み合わせて計算します。先ほど触れたとおり、3,000万円の売却なら上限は税込105.6万円が目安となります(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html)。多くの不動産会社はこの上限額を請求するケースが一般的ですが、交渉の余地がある場合もあります。
次に印紙税についてです。売買契約書を作成する際には、契約金額に応じた印紙税を納める必要があります。国税庁の資料(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_1.htm)によると、売却価格が500万円超〜1,000万円以下なら5,000円、1,000万円超〜5,000万円以下なら1万円、5,000万円超〜1億円以下なら3万円とされています。3,000万円のマンション売却であれば、印紙税は1万円が目安です。仲介手数料と比べると金額は小さいものの、忘れずに準備しておきましょう。
また、売却に際して司法書士に登記手続きを依頼する場合は、その報酬も費用として発生します。司法書士報酬は事務所や地域、登記の件数によって異なるため、事前に複数の事務所に見積もりを取ることをおすすめします。住宅ローンの抵当権を抹消する際の登録免許税については、法務局の資料(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001443859.pdf)によると不動産1個につき1,000円とされており、土地と建物の2件分で通常2,000円となります。
譲渡所得税の基本と節税の特例
売却益が出た場合に課税される譲渡所得税は、費用の中でも特に注意が必要な項目です。計算の仕組みを理解しておくことで、思わぬ税負担を防ぐことができます。
譲渡所得税は「売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いた利益(譲渡所得)」に対して課税されます。国税庁の資料(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm)によると、所有期間が5年を超える長期譲渡所得の場合、所得税15%・住民税5%が基本税率で、これに復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が加わります。実務上は合計20.315%として扱われることが一般的です。仮に譲渡所得が1,000万円あれば、約203万円の税負担が生じる計算になります。
ただし、自分が住んでいたマンションを売る場合には、強力な節税特例が用意されています。国税庁の資料(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm)によると、一定の要件を満たせば所有期間に関係なく譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「居住用財産の3,000万円特別控除」が利用できます。この特例を使えば、多くのケースで譲渡所得税がゼロになるため、非常に大きなメリットがあります。
重要なのは、この特例には適用条件があるという点です。現在住んでいる家だけでなく、以前住んでいた家でも「住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売れば対象になりえます。ただし、親子や夫婦など特別な関係にある人への売却は対象外となります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm)。また、購入時の資料が手元にない場合、取得費は売却額の5%として計算されます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm)。この場合、取得費が大きく圧縮されて譲渡所得が膨らみやすくなるため、購入時の契約書や領収書は大切に保管しておくことが重要です。
なお、個人が自分で住んでいたマンションを売る行為自体には、原則として消費税はかかりません。国税庁の資料(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6109_qa.htm)によると、生活の用に供している資産の売却は「事業として」行うものではないため、消費税の課税対象とはならないとされています。ただし、仲介手数料や司法書士報酬などのサービス費用には消費税がかかる点は覚えておきましょう。
ローン完済費用と清算金の扱い
住宅ローンが残っているマンションを売却する場合、売却代金でローンを一括返済する必要があります。その際に発生するのが繰上返済手数料です。手数料の金額は金融機関や申込経路によって異なります。
たとえば、みずほ銀行の住宅ローンでは、インターネットバンキング(みずほダイレクト)を利用した繰上返済は無料ですが、店舗での手続きは33,000円かかります(2026年4月1日現在 / みずほ銀行 https://www.mizuhobank.co.jp/loan_housing/lineup/housingloan_lineup/index.html)。三井住友銀行でも同様に、ネット経由の全額繰上返済は無料、窓口では33,000円となっています(2025年10月1日現在 / 三井住友銀行 https://www.smbc.co.jp/kojin/fee/loan.html)。三菱UFJ銀行ではインターネット経由で16,500円、店頭窓口では33,000円という設定です(三菱UFJ銀行 https://www.bk.mufg.jp/tesuuryou/jutaku.html)。なお、手数料は商品の種類や借入時期によっても変わるため、2026年8月時点での最新情報は各金融機関に直接ご確認ください。
清算金については、固定資産税・都市計画税の扱いを理解しておくことが大切です。固定資産税の法的な納税義務者は、その年の1月1日時点の所有者です(東京都主税局 https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shitsumon/real_estate/o)。つまり、年の途中で売却しても、納税通知は売主側に届くのが原則です。しかし実務では、引渡し日を基準に売主と買主で日割り清算するのが一般的な慣行とされています(SUUMO https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/20251126/001)。
また、マンション特有の費用として管理費・修繕積立金・駐車場使用料の清算があります。これらも引渡し日を基準に日割り清算されるのが通例です(SUUMO https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/20250731/001)。税務上の扱いとして、固定資産税・都市計画税の清算金は譲渡所得の計算上「収入金額」に加算する必要がある一方、管理費や修繕積立金の清算金は収入金額に含まないという整理が実務上有用とされています(SUUMO https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/mansionbaikyaku_hiyou)。
任意でかかる費用も忘れずに
売却を有利に進めるために任意で支出する費用も存在します。これらは必須ではありませんが、売却価格や売れやすさに影響することがあるため、状況に応じて検討する価値があります。
代表的なものがハウスクリーニングです。内覧時の印象を良くするために専門業者に依頼するケースがあり、費用は物件の広さや状態によって大きく異なります。また、壁の傷や床の汚れを補修するリペア費用、不要な家具や家電を処分する残置物処分費なども発生することがあります。これらの費用は条件によって差が大きいため、事前に複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
引越し費用も忘れてはならない出費のひとつです。売却後に新居へ移る際の引越し代は、時期や荷物の量によって変動します。繁忙期(3〜4月)は費用が高くなりやすいため、スケジュールに余裕を持って計画することが重要です。これらの任意費用は「必ず発生するもの」ではありませんが、資金計画に組み込んでおくと安心です。
まとめ
マンション売却にかかる費用は、仲介手数料・印紙税・譲渡所得税・ローン完済費用・清算金・任意費用と多岐にわたります。特に仲介手数料と譲渡所得税は金額が大きくなりやすいため、早めに把握しておくことが大切です。一方で、居住用財産の3,000万円特別控除のような節税特例を活用すれば、税負担を大幅に軽減できる可能性があります。まずは自分の売却ケースにどの費用が発生するかを整理し、不動産会社や税理士に相談しながら計画を立てることが成功への近道です。費用の全体像を把握した上で売却に臨めば、手元に残る金額を最大化できるはずです。ぜひこの記事を参考に、安心してマンション売却の準備を進めてください。
参考文献・出典
- 国土交通省「消費者の皆様向け 不動産取引に関するお知らせ」 – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html
- 国税庁「マイホームを持ったとき(印紙税)」 – https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_1.htm
- 国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm
- 国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
- 国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm
- 国税庁「No.6109 事業者が事業として行うものとは」 – https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6109_qa.htm
- 法務局「登録免許税の計算」 – https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001443859.pdf
- 東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」 – https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shitsumon/real_estate/o
- SUUMO「不動産売却で固定資産税はどうなる?日割り清算や確定申告の方法もくわしく解説」 – https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/20251126/001
- SUUMO「マンション売却の注意点!失敗例・流れ・費用・税金特例まで徹底解説」 – https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/20250731/001
- SUUMO「マンション売却の費用と、知ってトクする税金の控除と特例」 – https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/mansionbaikyaku_hiyou
- みずほ銀行「みずほ住宅ローン商品概要」 – https://www.mizuhobank.co.jp/loan_housing/lineup/housingloan_lineup/index.html
- 三井住友銀行「ローン手数料(住宅ローン等)」 – https://www.smbc.co.jp/kojin/fee/loan.html
- 三菱UFJ銀行「借入後に必要な住宅ローン手数料」 – https://www.bk.mufg.jp/tesuuryou/jutaku.html