不動産の税金

SRC造 確定申告で賢く節税!初心者向け完全ガイド

鉄骨鉄筋コンクリート、いわゆるSRC造のマンションやオフィスを購入したものの、「減価償却はどう計算するのか」「経費になる修繕費の線引きがわからない」と悩む投資家は少なくありません。特に確定申告の時期になると、耐用年数や修繕の扱いで迷いがちです。本記事では、2025年度の最新税制に基づき、SRC造 確定申告のポイントを基礎から解説します。読み終えたころには、減価償却の仕組みや書類作成の流れがつかめるはずですので、ぜひ最後までお付き合いください。

SRC造が投資家に人気の理由と税務上の特徴

SRC造が投資家に人気の理由と税務上の特徴のイメージ

重要なのは、SRC造が鉄骨造(S造)や鉄筋コンクリート造(RC造)と比べて耐久性に優れ、長期運用に向いている点です。国土交通省の資料によれば、SRC造の平均寿命は60年以上とされ、賃貸経営では空室リスクの低さにつながります。一方で、税務上の法定耐用年数は47年に設定されているため、実際の使用年数より短い期間で減価償却が可能です。つまり、現金収入は続くのに帳簿上の経費が先行し、キャッシュフローが潤いやすい構造だと言えます。

次に、建物部分と設備部分の区分が収益計算に影響します。SRC造は構造体が重厚なぶん建物価格の割合が高く、設備に比べて償却期間が長い傾向があります。購入時に資産計上を適切に分けておくと、初年度から経費を最大化できるため、税負担を抑える効果が高まります。また、2025年度時点でSRC造に対する特別な加速度償却制度はありませんが、賃貸住宅の場合は一般的な定額法が選択可能で、安定した節税効果を得られます。

まず押さえておきたい減価償却の基本と計算例

まず押さえておきたい減価償却の基本と計算例のイメージ

まず押さえておきたいのは、減価償却費が「見えない経費」である点です。実際に現金が出ていかないため、損益計算書では赤字でも、手元資金は黒字という状況が生まれます。SRC造の法定耐用年数は47年ですが、中古で取得した場合は、残存耐用年数を用いるか、簡便法で「法定耐用年数×20%」を選択できます。例えば築20年のSRC造を取得したケースでは、47年−経過年数20年=27年が残存耐用年数です。簡便法なら47年×20%=9.4年(端数切り捨てで9年)となり、より短期で償却可能になります。

一方で、耐用年数を極端に短くすると毎年の経費が膨らむ半面、帳簿価額の圧縮が早く進みます。将来売却時の譲渡所得が大きくなり、長期的な税負担が増える可能性がある点は無視できません。資金繰り表と合わせ、売却シナリオまで試算しておくことが重要です。また、2025年度税制では定額法と定率法を自由に選択できるわけではなく、鉄骨鉄筋コンクリート造の場合は定額法が原則です。方法変更には税務署への届出が必要なため、初年度の選択が肝心です。

ポイントは賃貸収入と経費のバランス

ポイントは、家賃収入を増やすだけでなく経費を漏れなく計上することです。SRC造は共用部分の管理費や修繕積立金が高めに設定される傾向がありますが、これらは全額経費にできます。さらに、賃貸管理会社への手数料、火災保険料、固定資産税、そしてローンの利息部分も必要経費です。国税庁の統計では、賃貸経営者の約25%が通信費やセミナー参加費を経費計上し忘れていると指摘されています。月数千円の漏れでも年間では大きな差になるため、領収書の整理を習慣化しましょう。

また、減価償却費を計算する際に、建物附属設備と区分できるものは耐用年数を15年または13年に短縮できます。エレベーターや給排水ポンプが該当するケースが多いので、購入時の見積書から価格を抜き出し、科目を分けるだけで節税効果が高まります。賃料からローン返済額を差し引いた後に、減価償却費を重ねると帳簿上の利益はさらに圧縮され、住民税を含む所得税負担が軽くなります。適正な赤字を作ることで、給与所得との損益通算を狙う戦略が実現できるわけです。

実は節税を左右する修繕と長期修繕計画

実は、修繕費の扱いがSRC造 確定申告の成否を分ける場合があります。国税庁は「資本的支出」と「修繕費」を区別しており、耐用年数を延ばすような大規模改修は資本的支出として資産計上し、減価償却で費用化します。たとえば外壁全面の張り替えや屋上防水の総張り替えは資本的支出に該当しやすいです。一方で、ひび割れ補修や部分的な防水工事は修繕費として一括経費計上が可能です。金額基準も存在し、1件20万円未満の工事は原則として修繕費にできます。

SRC造は大規模修繕のサイクルが12〜15年と言われます。長期修繕計画を立て、その年度に合わせてキャッシュを確保しておけば、会計処理を選択する余裕が生まれます。2025年度の税制では、修繕引当金を任意に計上することは認められていないため、資金繰りと税務処理を別々に考えなければなりません。融資を利用する場合、修繕積立金を高めに設定すると金融機関の評価が向上するケースもあり、金利交渉にも有利に働くことがあります。税金だけでなく、資金調達面でも修繕計画は欠かせない要素です。

確定申告書の作り方とよくあるミス

まず、青色申告の承認を受けていれば65万円の特別控除が利用でき、複式簿記による帳簿付けが求められます。2025年分の申告からは、国税庁の「e-Tax」システムがマイナポータルと連携し、減価償却費の自動計算機能が拡充されました。取り込んだ固定資産台帳から耐用年数を選択するだけで償却費が自動入力されるため、入力ミスが大幅に減ります。ただし、設備と建物を混同したまま登録すると、償却期間が誤ってしまう点には注意が必要です。

よくあるミスとしては、購入初年度の登録免許税や司法書士報酬を経費に入れ忘れるケースが挙げられます。これらは取得時の諸費用として建物の取得価額に含めるか、「租税公課」や「支払手数料」として一括経費にするか判断が分かれる部分です。金額が大きい場合は資産計上して減価償却する方が後々有利になることもあります。さらに、ローンの事務手数料や保証料を前払費用として数年にわたり按分する処理も見落とされがちです。税務署からの指摘を受ける前に、不明点は税理士へ相談するのが安全策と言えます。

まとめ

SRC造 確定申告では、法定耐用年数47年を起点にした減価償却と、修繕費の区分が節税効果を左右します。建物と設備の価格配分を見直し、家賃収入とのバランスで適正な赤字を作れば、現金を残しながら税負担を軽減できます。また、長期修繕計画と資金繰りを連動させることで、将来の大規模改修や売却にも柔軟に対応できるでしょう。今日紹介した要点を実践し、早めに帳簿と領収書を整理しておけば、2026年3月の申告期限前に慌てる必要はなくなります。まずは自分の物件データを整理し、e-Taxで試算してみることから始めてみてください。

参考文献・出典

  • 国土交通省 住宅市場動向調査2024年度版 – https://www.mlit.go.jp
  • 国税庁 タックスアンサー No.2100「減価償却のあらまし」 – https://www.nta.go.jp
  • 財務省 2025年度税制改正のポイント – https://www.mof.go.jp
  • 総務省 家計調査報告(家計収支編)2024 – https://www.stat.go.jp
  • 独立行政法人住宅金融支援機構 2025年度融資ハンドブック – https://www.jhf.go.jp

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