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札幌の家賃はなぜ安い?理由と築古投資の判断軸

札幌で不動産投資を検討している方や移住を考えている方にとって、家賃の安さは大きな魅力です。総務省の令和5年「住宅・土地統計調査」の結果によると、借家(専用住宅)の1か月当たり家賃は全国で59,656円となっており、2018年比で7.1%増加しています。東京都区部と比べると、その差は歴然としています。

ただし、安いからといって単純に飛びつくのは危険です。家賃が抑えられている背景には複数の構造的な要因があり、それを理解しないまま投資判断を下すと思わぬリスクを抱えかねません。この記事では、札幌の家賃がなぜ安いのかを公的データにもとづいて整理したうえで、築古アパート投資を検討する際の判断基準を丁寧に解説していきます。

そもそも札幌の家賃は「最安」ではない

まず押さえておきたいのは、札幌の家賃が全国で突出して安いわけではないという点です。先述の住宅・土地統計調査では、1か月当たり家賃は大都市のなかでも中程度の水準にあり、いわば「最安級ではないが低め」という位置づけになります。むしろ札幌の安さがはっきり表れるのは、床面積当たりの家賃単価です。

同じ調査では、1畳当たりの家賃が東京都区部と比べて札幌市は割安な水準にとどまっています。この数字は北九州市や熊本市に近い水準であり、面積あたりで見ると割安な都市であることがわかります。実際、札幌市の中長期的な成長可能性を分析した報告書でも、住宅コスト全体は決して安いとはいえない一方で、延べ面積1㎡当たりの家賃は比較都市のなかで安い部類だと整理されています。

つまり札幌の魅力は「単純に月額が安い」ことではなく、「同じ家賃でより広い部屋に住める」ことにあります。総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の専用住宅は1住宅当たり延べ面積90.86㎡、1人当たり居住室の畳数14.65畳です。この「広さのコスパの良さ」こそが、札幌の家賃を語るうえで重要なポイントになります。

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札幌の家賃が安く保たれる主な理由

では、なぜ札幌では家賃が抑えられているのでしょうか。背景には地価や賃金といった要因だけでなく、住宅の需給バランスが大きく関わっています。ここでは公的データから読み取れる主な理由を見ていきます。

住宅ストックが世帯数を大きく上回っている

最も影響が大きいのは、住宅の供給過剰です。令和5年の住宅・土地統計調査によれば、札幌市の総住宅数は世帯数を大きく上回っており、この需給の緩みが家賃を押し上げにくい構造をつくっています。

さらに注目すべきは空き家の内訳です。居住世帯のない住宅が相当数存在し、そのうち「賃貸用の空き家」が最も多い割合を占めています。賃貸市場に供給圧力が強くかかっているため、大家は入居者を確保するために家賃を下げざるを得ない場面が多いのです。

共同住宅ストックの厚さと新規供給の継続

札幌はアパートやマンションといった共同住宅のストックが厚い都市です。同調査では、昭和58年以降、共同住宅は一戸建てを上回る規模で増え続けており、昭和58年に約5割だった共同住宅の割合はさらに高まっています。供給が豊富であるほど競争が働き、賃料は上がりにくくなります。

加えて、新規供給も止まっていません。札幌市の住まいに関する協議会の資料では、相当規模の賃貸住宅が新築されている状況が示されています。新しい物件が供給され続ける環境では、既存物件が家賃を大きく引き上げるのは難しく、これも相場を抑える一因になっていると考えられます。

物件タイプによる家賃差

札幌の平均家賃には、物件タイプの構成も影響しています。総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の借家(専用住宅)は公営の借家24,961円、民営借家(木造)54,409円、民営借家(非木造)68,548円と、種類によって差が大きくなっています。木造や公営住宅の比率が一定程度あることが、平均値を押し下げる方向に働いているといえます。

「札幌はどこでも安い」は誤解

安いというイメージが先行しがちですが、札幌市内でも家賃やエリア価値は一律ではありません。ここを理解しておかないと、投資でも部屋探しでも判断を誤ります。

民間の家賃相場データを見ると、区によってはっきりとした差があります。複数の不動産情報サイトの調査では、中央区が相対的に高い相場であるのに対し、北区や東区といった周辺区は低めの水準となっており、安いエリアを探すなら区別に見る必要があります。

地価の面でも同様です。札幌市の地価公示の資料では、中央区の都心近接の一等地は決して安くありません。「札幌はどこでも安い」という前提は不正確であり、エリアごとの実勢をきちんと見極めることが欠かせません。

家賃は「ずっと安いまま」ではない

投資判断で見落としがちなのが、家賃が上昇に転じているという事実です。総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査によると、借家(専用住宅)の1か月当たり家賃は全国で59,656円となっており、2018年比で7.1%増加しています。「札幌はずっと安いまま」という前提で長期のシミュレーションを組むのは危険だといえます。

需要の母数も依然として大きい状況です。札幌市の人口統計によれば、令和8年7月1日時点で世帯数は1,003,324世帯、人口は1,963,070人にのぼります。短中期的に見れば、賃貸需要そのものが消えている市場ではありません。供給過剰による下押し圧力と、堅調な需要や家賃上昇という両面を踏まえて判断することが重要です。

見落としがちな北海道特有のコスト

札幌の家賃が安いと聞くと生活費全体が抑えられると考えがちですが、住居費は家賃だけでは測れません。特に冬期の暖房費は本州に比べて大きな負担となることを理解しておく必要があります。

北海道の冬はおおむね11月から3月頃まで暖房が欠かせません。灯油ストーブやガスヒーターを使う場合、燃料費だけで月に相応の出費が発生します。プロパンガスは都市ガスより割高になりやすく、古い物件ほど断熱性能が低いため暖房効率も悪くなりがちです。結果として、家賃が安くても光熱費を含めた住居費全体では期待したほど節約にならないケースがあります。

投資家の視点で考えると、この暖房費の問題は入居者の負担に直結します。断熱性能が低い物件は、家賃が安くても敬遠される傾向があります。リノベーションを行う際には、窓の二重サッシ化や断熱材の追加といった省エネ対策も検討すべきポイントです。暖房設備の種類や状態の確認も欠かせません。

築古アパート投資のメリットと注意点

札幌では築年数の古いアパートが投資対象として注目されています。デメリットばかりに見える築古物件ですが、見逃せないメリットも存在します。重要なのは、それらを正しく理解し、自分の投資戦略に合致するかを見極めることです。

最大の魅力は初期投資額の低さです。立地によっては1棟数百万円から1000万円程度で取得できる物件があり、少ない自己資金で不動産投資を始められます。物件価格に対して家賃が下がりにくいため、比較的高い表面利回りを期待できる物件も見られます。ただし修繕費や空室率を織り込んだ実質利回りは下がる点に注意が必要です。さらに新築や築浅では難しい大胆なリノベーションを行える自由度の高さも、築古物件ならではの強みといえます。

一方で、忘れてはならないのが「家賃が安い=買いも安い」ではないという事実です。札幌市の都市計画に関する検討資料によると、住宅地の地価公示価格は10年で約1.7倍に、木造住宅の建築費指数も平成27年比で約1.4倍に増加しています。取得コストや修繕コストは上昇傾向にあるため、安い家賃を前提にしつつ高い取得コストを負う構図にならないか、冷静な計算が求められます。

投資判断で必ずチェックすべきポイント

札幌の築古アパートへの投資を検討する際、利回りの数字だけで判断するのは危険です。冷静に投資価値を見極めるために、いくつかの視点を押さえておきましょう。

建物の構造・設備・修繕履歴

木造、鉄骨造、RC造によって耐久性や修繕費用は大きく異なります。旧耐震基準の物件については、耐震診断の有無や補強工事の状況を確認することが大切です。札幌市では耐震診断や改修に関する制度が用意されている場合もあるため、詳細は札幌市の公式サイトで最新情報をご確認ください。あわせて配管や電気設備、屋根、外壁、そして冬に欠かせない給湯・暖房設備の状態と過去の修繕履歴も入念にチェックし、購入後すぐに大きな出費が発生しないか見極めましょう。

立地と将来の入居需要

地下鉄駅から徒歩圏内か、周辺に大学や病院があるかによって入居需要は大きく変わります。前述のとおり札幌市内でも区ごとに家賃や需要に差があるため、物件周辺の人口推移や年齢構成まで調べておくことが重要です。単に現在の入居率だけで判断するのではなく、10年後、20年後の需要まで見据えた視点を持ちましょう。

現在の入居状況と資金計画

満室稼働しているのか、現在の家賃が周辺相場と比べて適正かを確認します。築古物件では長期入居者が相場より安い家賃で住んでいることもあり、退去時にリフォームして新規募集する必要が生じる場合もあります。物件価格だけでなく、購入時の諸費用や想定される修繕費、空室率、管理費用を織り込んだ現実的な収支計画を立て、複数のシナリオで最悪の場合にも耐えられるかを検証しておくことが成功への鍵です。

融資を受ける際の注意点

築古アパートへの投資では、融資面に特有の難しさがあります。多くの金融機関では融資期間を「法定耐用年数から築年数を引いた年数」で計算するため、木造アパートの法定耐用年数22年を超えた物件では、新規融資が受けられないか極めて短期間になることが多いのが実情です。

ただし、すべての金融機関が同じ基準というわけではありません。地方銀行や信用金庫のなかには、物件の収益性や土地の担保価値を重視して柔軟に対応するところもあります。特に札幌に地盤を持つ金融機関は地域の不動産市場を熟知しているため、相談する価値があります。日本政策金融公庫の融資も選択肢の一つとして検討してみてください。融資条件は個別事情によって異なるため、複数の窓口で確認することをおすすめします。

自己資金の割合も重要です。築古物件では物件価格の全額を融資してもらえることは稀で、一定の自己資金が求められるのが一般的です。購入後の修繕費用も見込むと、物件価格以上の資金を用意しておく心構えが必要でしょう。

成功するための戦略

築古アパート投資で成功するには、明確な戦略が欠かせません。まず重要なのはターゲット層を絞ることです。札幌には大学が多く、学生向け物件の需要は比較的安定しています。家賃を抑えつつインターネット無料などの付加価値を提供すれば、入居を獲得しやすくなります。「家賃が安い」というメリットを求める層に的確にアプローチすることがポイントです。

リノベーションは、空室が出るたびに1室ずつ進める方法が有効です。初期投資を抑えながら徐々に物件価値を高められます。ただし供給過剰の市場では家賃を大きく上げにくいため、改装費用が家賃上昇分で回収できるか慎重に計算しましょう。あわせて、設備トラブルに迅速に対応できる管理体制を整えることも大切です。札幌の冬は暖房設備のトラブルが入居者の生活に直結するため、地元の信頼できる管理会社や修繕業者との連携が安心につながります。

最後に、出口戦略を最初から描いておくことが重要です。建物を維持し続けるのか、ある時点で解体して土地として売却するのか、あるいは建て替えるのか。立地が良ければ建物が老朽化しても土地の価値は残ります。地価が上昇傾向にある札幌の市場動向を注視しながら、最適なタイミングで出口を迎えられるよう計画しておきましょう。

まとめ

札幌の家賃が安く保たれている背景には、世帯数を上回る住宅ストック、賃貸用空き家の多さ、共同住宅の厚い供給、そして新規供給の継続といった需給要因があります。ただし月額そのものは大都市のなかで中程度の水準であり、本当の割安さは「面積あたりの単価の低さ」に表れているという点を押さえておきましょう。

また、市内でも区によって家賃や地価には差があり、平均家賃は上昇に転じています。取得コストも上がっているため、「安い家賃」だけを前提にした投資判断は禁物です。暖房費など北海道特有のコストも含めて総合的に見極め、建物の状態、立地、資金計画をしっかり確認したうえで検討してください。制度や補助、融資条件は個別に異なるため、最新情報は各公的機関や金融機関の公式サイトでご確認いただくことをおすすめします。まずは気になる物件を実際に見学し、地元の不動産業者や金融機関に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。

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