賃貸経営

賃貸のオートロック故障、修理費用は誰が負担する?

賃貸マンションに住んでいると、ある日突然オートロックが動かなくなった、という経験をされた方もいるのではないでしょうか。「修理費用は自分が払うの?」「管理会社に連絡すればいいの?」と不安になる気持ちはよく分かります。実は、オートロックの故障は誰の責任で修理するかが法律によって一定のルールが定められており、入居者が不当に費用を負担させられるケースも少なくありません。この記事では、賃貸のオートロック故障における費用負担の考え方から、正しい対処手順、万が一の際の交渉方法まで、初心者にも分かりやすく解説します。

オートロック故障の費用負担は誰が持つのか

オートロック故障の費用負担は誰が持つのかのイメージ

まず押さえておきたいのは、オートロックが「共用設備」に当たるかどうかという点です。マンションのエントランスに設置されたオートロックシステムは、一般的に建物全体で共有する設備とみなされます。専門メディアの解説によると、エントランスのオートロックシステムが故障した場合は共用設備にあたるため、管理会社やオーナー負担になることが多いとされています。

この考え方は、民法の規定とも深く結びついています。民法第606条では、「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、この限りでない」と定められています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001258039.pdf)。つまり、入居者の過失によらない故障であれば、原則として貸主側が修繕する義務を負うということです。

一方で、費用負担の判断は「誰の責任で故障したか」によって変わります。経年劣化や製品の不具合によるものであれば管理会社やオーナーの負担となりますが、入居者が誤った使い方をしたり、故意に壊したりした場合は入居者側の負担になることがあります。どちらの責任かが曖昧な場合は、後述する手順で記録を残しながら協議を進めることが大切です。

故障を発見したらまず取るべき行動

故障を発見したらまず取るべき行動のイメージ

オートロックの不具合に気づいたら、最初にすべきことは「記録を残すこと」です。国土交通省の事例集では、借主は一部使用不能の状態を発見した際は遅滞なく貸主に通知するとともに、その発生日時・経緯・日常の使用方法を文書で整理し、写真等で記録しておくよう努めることが望ましいとされています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001399740.pdf)。

具体的には、故障に気づいた日時・状況をメモし、故障箇所をスマートフォンで撮影しておきましょう。その後、管理会社または貸主に速やかに連絡します。口頭だけでなく、メールやLINEなど文字として残る手段で連絡すると、後々のトラブル防止につながります。「いつ連絡したか」という記録が、修繕対応の遅れを指摘する際にも重要な証拠になります。

また、連絡の際には「いつ頃修繕してもらえるか」を確認することも忘れないでください。修繕が長期間放置されると、日常生活に支障が出るだけでなく、防犯上のリスクも高まります。管理会社から明確な回答が得られない場合は、再度文書で催促することをおすすめします。

修繕が遅れた場合に借主ができること

管理会社や貸主に通知したにもかかわらず、相当の期間内に修繕が行われない場合、借主には一定の権利が認められています。民法の規定によると、賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、または賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないときは、賃借人が自ら修繕をすることができる場合があります(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001258039.pdf)。

ただし、この「自ら修繕する権利」はあくまで例外的な対応であり、実際に行使する前に専門家や行政の相談窓口に確認することを強くおすすめします。オートロックは建物全体に関わる設備であるため、個人が勝手に業者を手配すると、管理規約との兼ね合いや費用の精算でトラブルになる可能性もあります。まずは管理会社への再通知を繰り返し、それでも対応がない場合に次の手段を検討するという順序が現実的です。

さらに、オートロックの故障が長期間続き、居住の安全性や出入りに実質的な支障をきたしている場合は、賃料の減額交渉の根拠にもなり得ます。民法第611条では、賃借物の一部が借主の責めに帰さない理由で使用できなくなった場合、賃料はその使用不能部分の割合に応じて当然に減額されると定められています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001258039.pdf)。

賃料減額交渉の進め方と注意点

実は、賃料の減額は自動的に行われるものではなく、実務上は貸主と借主が協議して決めるのが一般的です。国土交通省の事例集では、一部使用不能があった場合は借主が貸主に通知し、賃料について協議し、適正な減額割合や減額期間・減額の方法を合意の上で決定することが望ましいとされています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001399740.pdf)。

交渉を進める際には、まず双方が「借主に帰責事由がないこと」を確認することが重要です。同事例集でも、借主・貸主双方の資料を突き合わせて、借主に帰責事由がないことを確認することが示されています。そのためにも、故障発見時の記録や通知の履歴が大きな役割を果たします。

減額の割合や期間については、オートロックが居住全体に占める重要度や、故障によって生じた不便の程度によって異なります。具体的な数値は個別の事情によりますので、交渉が難航する場合は、各都道府県の宅地建物取引業協会や消費生活センターなどの相談窓口を活用することも選択肢のひとつです。感情的にならず、記録に基づいて冷静に協議を進めることが、円満解決への近道となります。

まとめ

賃貸のオートロック故障における費用負担は、原則として入居者の過失でなければ貸主側が負うものです。民法の規定と国土交通省の事例集が示すように、借主には修繕を求める権利があり、長期間放置された場合には賃料減額の交渉も可能です。大切なのは、故障を発見したらすぐに記録を残し、文書で管理会社に通知するという初動対応です。感情的にならず、証拠を積み重ねながら冷静に対処することで、不当な費用負担を避けることができます。オートロックのトラブルは誰にでも起こり得ますが、正しい知識を持っていれば焦らず対応できます。ぜひこの記事を参考に、いざというときに備えておいてください。

参考文献・出典

  • 国土交通省「民法改正法が令和2年4月1日に施行されました。」 – https://www.mlit.go.jp/common/001258039.pdf
  • 国土交通省「改正民法施行に伴う民間賃貸住宅における対応事例集」 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001399740.pdf
  • 国土交通省「住宅:『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』(再改訂版)のQ&A」 – https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000024.html
  • 国土交通省「制度解説 | 賃貸住宅管理業法ポータルサイト」 – https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/pm_portal/system_commentary.html
  • MeetsMore「オートロック付きマンションの鍵交換は管理会社に連絡を!費用相場や交換の流れを解説」 – https://www.meetsmore.com/services/lock-exchange/media/109926

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