賃貸経営を始めたばかりの方や、毎月の収支管理に手間を感じている方は多いのではないでしょうか。「家賃の入金確認だけで精一杯」「確定申告の時期になると数字がバラバラで困る」という悩みは、オーナーさんに共通する課題です。実は、無料で使えるエクセルテンプレートをうまく活用するだけで、こうした手間を大幅に減らすことができます。この記事では、賃貸経営の収支管理にエクセルテンプレートを活用する方法を、初心者にもわかりやすく解説します。テンプレートの選び方から、確定申告に役立つ経費の考え方まで、順を追って説明していきますので、ぜひ最後までお読みください。
賃貸経営の収支管理でエクセルを使うメリット

賃貸経営における収支管理は、毎月の家賃収入の確認から年間の決算準備まで、幅広い作業を含んでいます。これをすべて手書きや頭の中だけで管理しようとすると、ミスや見落としが生じやすくなります。エクセルを使えば、数式による自動計算や、月ごとのシート分けによる整理が簡単にできるため、管理の精度と効率が一気に上がります。
まず押さえておきたいのは、エクセルテンプレートの「自動計算」機能の便利さです。収支項目を入力していくだけで合計金額が自動的に計算される仕組みになっているテンプレートを使えば、電卓を使う手間が省けるだけでなく、計算ミスのリスクも減らせます(Microsoft Office テンプレートより)。特に物件数が増えてくると、手計算では限界が生じるため、こうした自動化の恩恵は大きくなります。
また、月ごとにシートを分けて管理する方法も非常に有効です。月別のシートを用意しておくと、年間の家賃収支を一覧で確認しやすくなり、決算準備や年度更新の作業にも役立ちます(ビズ研より)。たとえば、1月から12月までの各シートに収入と支出を入力しておけば、年末に確定申告の資料をまとめる際にもスムーズに対応できます。
さらに、エクセルは多くの方がすでに使い慣れているツールであるため、新しいソフトを覚える必要がありません。無料テンプレートをダウンロードして、自分の物件情報に合わせて少し調整するだけで、すぐに使い始められる点も大きな魅力です。
家賃管理に役立つテンプレートの選び方

賃貸経営向けのエクセルテンプレートには、さまざまな種類があります。自分の管理スタイルや物件の規模に合ったものを選ぶことが、長続きする収支管理の第一歩です。
実用的なテンプレートとして特に役立つのは、部屋ごとの家賃・管理費・入金状況を月次で記録できるタイプです(Roomlyより)。複数の部屋を持つオーナーさんにとって、どの部屋の家賃がいつ入金されたかを一目で把握できる機能は欠かせません。部屋番号や入居者名、家賃額、入金日などを横並びで確認できるレイアウトになっているものが使いやすいでしょう。
さらに便利なのは、滞納管理の機能が組み込まれたテンプレートです。支払期日と実際の支払日を入力するだけで、「未納」「遅延」「支払い済み」のステータスが自動的に判定されるものがあります(ビズ研より)。具体的には、支払日が未入力なら「未納」、支払期日を過ぎてから入金されれば「遅延」、期日どおりまたは期日前に入金されれば「支払い済み」と自動表示される仕組みです。こうした機能があれば、滞納が発生した際の初動対応を速くすることができます。
テンプレートを選ぶ際は、自分が青色申告か白色申告かによっても、必要な項目が変わってきます。青色申告を選択している方は青色申告決算書、白色申告の方は収支内訳書を確定申告時に提出する必要があります(国税庁より)。確定申告の様式に合わせた項目が最初から設定されているテンプレートを選ぶと、年末の作業がよりスムーズになります。
収支管理に必要な「収入」と「経費」の整理方法
エクセルで収支を管理するにあたって、何を「収入」として、何を「経費」として記録するかを正しく理解しておくことが重要です。ここを曖昧にしたまま管理を続けると、確定申告の際に修正作業が発生してしまいます。
収入側では、家賃収入だけでなく、管理費・共益費・駐車場代なども含めて記録するのが基本です。また、実際の収支管理では、満室時の総収入(総潜在賃料収入)から空室損・滞納損を差し引いた「実効総収入」を把握することが、実態に近い経営判断につながります(Wealth Agentより)。楽観的な満室想定だけで計画を立てると、空室が続いたときに資金繰りが苦しくなるため、現実的な数字で管理することが大切です。
経費側については、国税庁の手引きに明示されている項目を参考にするのが確実です。不動産所得の必要経費として認められる代表的なものには、建物などの減価償却費、物件取得のための借入金の利子、固定資産税などの租税公課、損害保険料、修繕費などがあります(国税庁「令和5年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方」より)。これらをエクセルの経費欄にあらかじめ項目として設定しておくと、日々の入力が楽になります。
一方で、経費として計上できないものも正しく把握しておく必要があります。借入金の返済額のうち元本に相当する部分は必要経費になりません(国税庁より)。また、所得税・住民税・国民健康保険税・国民年金の保険料なども必要経費には含められません(国税庁より)。さらに、家事上の費用は必要経費にならず、家事と業務の両方にかかわる費用(家事関連費)については、業務上必要な部分だけを区分できる場合に限って必要経費として扱えます(国税庁「No.2210 必要経費の知識」より)。これらの区分を誤ると、税務上のトラブルにつながる可能性があるため、不明な点は税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
事業計画と収支管理を連動させるコツ
収支管理は、日々の記録だけでなく、長期的な事業計画と連動させることで本来の力を発揮します。賃貸経営の事業収支計画では、家賃設定・借入・返済計画・管理委託・修繕費見積などを最初に整理しておくことが重要とされています(国土交通省資料より)。これらの計画値をエクセルに入力しておき、実績値と比較できる形にしておくと、経営の現状把握がしやすくなります。
たとえば、年間の修繕費を計画値として設定しておき、実際に発生した修繕費を月ごとに入力していくと、年度末に「計画に対して実際はどうだったか」を振り返ることができます。こうした計画と実績の比較は、翌年の経営改善に直結する貴重な情報になります。また、管理会社への管理費・清掃費用・広告費なども運営費として分けて記録しておくと、どのコストが大きいかが見えやすくなります(Wealth Agentより)。
エクセルテンプレートを活用する際は、最初から完璧を目指す必要はありません。まずは家賃の入金記録と主要な経費の記録から始め、慣れてきたら項目を追加していくという段階的なアプローチが、長続きする管理の秘訣です。月に一度、決まった日に入力する習慣をつけるだけで、年間を通じた収支の流れが自然と見えてくるようになります。
確定申告に向けた年間収支のまとめ方
賃貸経営の収支管理の最終的なゴールの一つは、確定申告をスムーズに行うことです。国税庁では、令和7年分の収支内訳書(不動産所得用)と青色申告決算書(不動産所得用)の様式を用意しています(国税庁より)。これらの様式に合わせた形でエクセルを整理しておくと、申告書類の作成が格段に楽になります。
年間を通じて月別シートに収支を記録してきた場合、年末には各月のデータを集計シートに集約する作業が必要になります。この集計作業を見越して、最初から「年間集計シート」を用意しておくテンプレートを選ぶと、作業の手間を大幅に省けます。収支項目を入力していくことで確定申告で使用する様式に記載する合計金額が自動計算される形式のテンプレートは、特に申告準備の効率化に役立ちます(Microsoftより)。
確定申告の際には、経費の領収書や契約書などの証拠書類を保管しておくことも忘れずに行いましょう。エクセルの記録と実際の書類が一致していることを確認する習慣をつけておくと、万が一税務署から問い合わせがあった場合にも落ち着いて対応できます。具体的な申告方法や経費の判断については、最新情報を国税庁の公式サイトでご確認いただくか、税理士にご相談ください。
まとめ
賃貸経営の収支管理は、無料のエクセルテンプレートを活用することで、初心者でも効率よく行うことができます。自動計算機能や滞納ステータスの自動判定、月別シートによる年間管理など、テンプレートの機能を上手に使えば、日々の手間を大幅に減らせます。また、国税庁が定める必要経費の範囲を正しく理解し、収入と経費を正確に記録しておくことが、確定申告をスムーズに進める鍵となります。まずは自分の管理スタイルに合ったテンプレートを一つ選び、今月の収支から記録を始めてみてください。小さな一歩の積み重ねが、長期的に安定した賃貸経営の土台を作ります。
参考文献・出典
- 国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和7年分)」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/syotoku/r07.htm
- 国税庁「No.2210 必要経費の知識」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
- 国税庁「令和5年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki/2023/pdf/019.pdf
- 国土交通省「資料5 賃貸住宅の経営について」 — https://www.mlit.go.jp/common/001017686.pdf
- Microsoft Office テンプレート「収支管理表」 — https://www.microsoft.com/ja-jp/office-pipc-template/result.aspx?id=14128
- Roomly「家賃管理表テンプレート(Excel・無料ダウンロード)」 — https://hp.roomly.jp/templates/rent-ledger
- ビズ研「家賃管理表の無料テンプレート(Excel・スプレッドシート)」 — https://biztemplatelab.com/template/yatin_kanri/
- Wealth Agent「不動産投資は儲かるの?キャッシュフローツリーを学ぼう!」 — https://www.agent-hp.com/real-estate-cashflow-tree-basics/