「小田急百貨店新宿店がなくなったあと、あの場所はどうなるの?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。2022年10月に長年親しまれた本館が閉店し、新宿西口の風景は大きく変わりました。実はその跡地では、新宿の街を根本から変えるような巨大な再開発プロジェクトが進行中です。この記事では、「新宿駅西口地区開発計画」の概要から完成時期、どんな施設ができるのかまで、最新情報をわかりやすくお伝えします。新宿の未来に興味がある方はもちろん、不動産や都市開発に関心のある方にも参考になる内容です。
小田急百貨店新宿店本館はなぜ閉店したのか

まず押さえておきたいのは、閉店の背景です。小田急百貨店新宿店本館は、2022年10月2日を最終営業日として長い歴史に幕を閉じました(小田急電鉄公式発表)。閉店後も「新宿西口ハルク」を改装して営業を継続しているため、小田急百貨店そのものがなくなったわけではありません。
本館が閉店した最大の理由は、跡地を活用した大規模再開発計画の実施です。新宿駅西口エリアは長年にわたって老朽化が指摘されており、駅周辺の機能を抜本的に刷新する必要がありました。単なるビルの建て替えではなく、駅と街全体のつながりを再設計するという、非常に大きなビジョンのもとで計画が進められています。
閉店当時、多くの人が「あの場所がなくなってしまう」と寂しさを感じたことでしょう。しかし実際には、新宿の玄関口をより魅力的な場所へと生まれ変わらせるための、前向きな一歩だったと言えます。長年の歴史を持つ百貨店が姿を変えることで、新宿の次の100年が始まろうとしているのです。
新宿駅西口地区開発計画の全体像

この再開発の正式名称は「新宿駅西口地区開発計画」といいます。東京都の都市整備局が公表している資料によると、計画の主要用途は商業・業務・駅施設の3つで構成されており、単なる商業施設の建て替えではなく、オフィスや駅機能も一体的に整備する複合開発です(東京都都市整備局)。
建物の規模は非常に大きく、地上48階・地下5階建て、最高高さは約260メートルに達する予定です(新宿駅西口地区の開発計画について、小田急電鉄)。これは新宿エリアでも有数の超高層建築物となります。東京都の工事情報ポータルでも同様の情報が案内されており、2029年度の竣工を目指して工事が進められています(新宿駅直近地区工事情報ポータル、東京都)。
小田急電鉄の最新資料(2025年5月公表)では、この施設を「オフィス、商業、ビジネス創発の機能を兼ね備えた、都内有数の駅直上の大型複合施設」と説明しています。「駅直上」という表現が示すように、新宿駅と建物が一体化した構造になる点が大きな特徴です。駅を降りてすぐに商業施設やオフィスへアクセスできる利便性は、これまでの新宿西口にはなかった新しい体験をもたらすことになるでしょう。
施設の中身——何ができるのか
実は、この開発で最も注目されているのが「何が入るのか」という点です。現時点で公表されている情報によると、施設の主な機能はオフィス・商業・ビジネス創発・駅施設の4つです。ただし、具体的なテナント名や商業フロアの詳細な構成については、2026年8月時点ではまだ正式に発表されていません。
オフィス機能については、新宿駅直上という圧倒的な立地を活かした大型オフィスフロアが整備される見込みです。「ビジネス創発」という言葉が計画に盛り込まれていることから、単なる賃貸オフィスにとどまらず、スタートアップ支援やコワーキングスペースのような新しい働き方に対応した機能も含まれると考えられます。
商業機能については、旧百貨店の後継となる商業フロアが設けられる予定です。ただし、かつての百貨店形式とは異なり、現代の消費者ニーズに合わせた新しい商業スタイルになると予想されます。駅施設との一体化により、乗り換え客や通勤客が自然に立ち寄れる動線設計が期待されます。具体的なテナントや施設名については、今後の公式発表を待つ必要があります。
街づくりの視点——歩行者ネットワークと広場整備
この開発が単なる高層ビル建設と異なるのは、街全体の歩行者環境を大きく改善しようとしている点です。計画の整備方針には、「駅とまちの連携を強化する重層的な歩行者ネットワークの整備」「にぎわいと交流を生み出す滞留空間の整備」「人中心の駅前広場整備への協力」が明記されています(新宿駅西口地区の開発計画について、小田急電鉄)。
特に注目したいのが、2階レベルの歩行者デッキの再整備です。東京都の案内によると、新宿駅西口地区開発計画の一環として、2階レベルの歩行者デッキが再整備される予定となっています(新宿駅直近地区工事情報ポータル、東京都)。現在の新宿西口は地上レベルの人の流れが中心ですが、2階デッキが整備されることで、雨の日でも快適に移動できる立体的な歩行者空間が生まれます。
「人中心の駅前広場」という方針も重要なポイントです。これまでの新宿西口は車や交通機能が優先されがちでしたが、新しい計画では人が集い、休み、交流できる広場空間を重視しています。こうした発想の転換は、近年の都市開発における世界的なトレンドとも一致しており、新宿が国際的な都市として進化していく姿を予感させます。
完成はいつ?スケジュールと投資規模
気になる完成時期について、小田急電鉄の2025年5月公表の資料では「2029年度竣工予定は現時点では変更がなく、開業は2030年度中を予定している」と明記されています(小田急電鉄 成長戦略説明資料)。つまり、建物が完成するのが2029年度、実際に施設として使えるようになるのが2030年度という2段階のスケジュールです。
投資規模についても、同資料で「新宿開発に要する当社の総投資額は約1,300億円の見込み」と公表されています(小田急電鉄 成長戦略説明資料)。1,300億円という数字は、民間企業の単独プロジェクトとしては非常に大規模なものです。それだけ小田急電鉄がこの開発に強い意欲を持っていることが伝わります。
2026年8月現在、工事は着実に進行中です。完成まであと数年かかりますが、新宿西口を訪れるたびに工事の進捗を感じられる状況が続いています。2030年度の開業に向けて、今後は具体的なテナントや施設名の発表など、さらに詳しい情報が順次公開されていくことが予想されます。新宿の変化を楽しみに待ちながら、公式情報をチェックしていくとよいでしょう。
まとめ
小田急百貨店新宿店本館の跡地には、地上48階・地下5階・高さ約260メートルの超高層複合施設が誕生します。オフィス・商業・ビジネス創発・駅施設を一体化した「都内有数の駅直上の大型複合施設」として、2029年度の竣工・2030年度の開業を目指して工事が進んでいます。総投資額は約1,300億円という大規模プロジェクトであり、歩行者デッキの再整備や人中心の広場づくりも含めた、街全体の刷新が計画されています。新宿西口の景色は今まさに変わりつつあります。完成後の姿を楽しみにしながら、小田急電鉄や東京都の公式サイトで最新情報を確認してみてください。
参考文献・出典
- 小田急電鉄 — 新宿駅西口地区の開発計画について(PDF): https://www.odakyu.jp/news/o5oaa1000001t94w-att/o5oaa1000001t953.pdf
- 東京都 新宿駅直近地区工事情報ポータル — 新宿駅西口地区開発計画: https://www.shinjuku-kojiinfo.metro.tokyo.lg.jp/author/author21232/inprogress_01.html
- 東京都都市整備局 — 建築物のデザイン協議事項(新宿駅西口地区開発計画): https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/toshiseibi/pdf_kenchiku_keikan_machinami_14_28_01
- 小田急電鉄 — 2025年度の主な取り組み・成長戦略説明資料(PDF): https://www.odakyu.jp/ir/financial/eeles40000000cg2-att/250516_t.pdf
- 東京都環境局 — 手続きの進捗状況(仮称)新宿駅西口地区開発事業: https://www.kankyo1.metro.tokyo.lg.jp/archive/assessment/information/projects_list/368dtl.html
- 小田急電鉄 — 小田急グループリリース 2022年: https://www.odakyu.jp/company/group/news/2022.html