個人事業主として不動産投資を検討しているとき、「アパートローンの審査は厳しいのだろうか」「金利はどのくらいになるのか」と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。会社員と異なり、収入の安定性を証明しにくい個人事業主にとって、融資条件の把握は投資計画の出発点となります。この記事では、2026年6月時点の実際の金融機関データをもとに、個人事業主がアパートローンの金利を比較する際に知っておきたいポイントを、初心者にも分かりやすく解説します。審査条件の傾向から各金融機関の金利水準まで、具体的な情報をまとめましたので、ぜひ最後までお読みください。
個人事業主がアパートローンで直面する審査の壁

まず押さえておきたいのは、個人事業主と会社員では、金融機関が収入をどのように評価するかが大きく異なるという点です。会社員であれば源泉徴収票で年収を証明できますが、個人事業主の場合は確定申告書の所得金額が審査の基準となります。経費を多く計上して節税している場合、帳簿上の所得が低くなり、融資審査で不利になるケースがあります。
金融機関が個人事業主に求める条件は、各行によって異なりますが、いくつかの共通した傾向があります。たとえば福岡中央銀行のアパートローンVでは、個人事業主に対して「前年度所得金額(不動産収入含む)300万円以上」かつ「同一事業継続1年以上」という条件を設けています(福岡中央銀行公式サイト)。一方、室蘭信用金庫のむろしんアパートローンでは「営業年数2年以上」が条件とされており(室蘭信用金庫公式サイト)、金融機関によって求める事業継続年数が異なることが分かります。
また、北見信用金庫の日専連ジェミス・きたしんアパートローンでは、申込人に対して「本件賃貸収入以外に一定額以上の収入」を求めています。これは賃貸事業だけに依存せず、他の収入基盤があるかどうかを重視する設計です。個人事業主の場合、事業収入と賃貸収入の両方を持っていることが、審査上のプラス材料になり得ます。
さらに広島銀行のビル・アパートローンでは、個人事業主について「申告所得がプラス、もしくはマイナスが減価償却の範囲内」という条件を設けています(広島銀行公式サイト)。減価償却による帳簿上の赤字は認めるものの、実態として赤字の事業者は対象外とする考え方です。節税目的で所得を圧縮している個人事業主は、この点に注意が必要です。
主要金融機関のアパートローン金利を比較する

実際の金利水準を知ることは、借入コストを正確に把握するうえで欠かせません。ただし、金融機関によって金利の公開方法が異なり、一概に比較しにくい面もあります。ここでは、公式情報として確認できた金利データをご紹介します。
地方銀行・信用金庫系では、だて信用金庫のアパートローンが固定3年2.650%・5年2.850%・10年3.450%を明示しています(だて信用金庫、2026年5月時点)。室蘭信用金庫のむろしんアパートローンは変動3.100%以上・固定3年3.200%以上・5年3.600%以上・10年4.100%以上となっており(室蘭信用金庫公式サイト)、固定期間が長くなるほど金利が高くなる傾向が見て取れます。福岡中央銀行のアパートローンVは、保証料の払い方や団信(団体信用生命保険)の加入有無によって金利が異なり、詳細は公式サイトでご確認ください(福岡中央銀行公式サイト)。
大手地方銀行系では、Wealth Agentの2026年6月時点の比較情報によると、横浜銀行が1.7%〜2.3%、千葉銀行が1.9%〜2.0%、静岡銀行が2.0%〜3.6%、オリックス銀行が2.6%〜2.8%というレンジが示されています(Wealth Agent、2026年6月)。ただし、これらは同サイトの整理情報であり、各行の公式サイトで最新の金利を必ず確認することをおすすめします。
広島銀行の変動金利型「ランド・オーナー」は「当行新長期プライムレート+0.50」という形式で、取扱手数料は110,000円、保証料は不要となっています(広島銀行公式サイト、2025年7月時点)。北見信用金庫は短期プライムレートに年0.70%上乗せ、団信加入でさらに年0.60%上乗せという構造で、保証料年0.35%は金利込みとなっています(北見信用金庫公式サイト、2024年7月時点)。このように、金利の「見た目の数字」だけでなく、保証料や手数料の有無も含めて総コストを比較することが重要です。
金利タイプと諸費用の違いを正しく理解する
金利を比較する際、変動金利と固定金利のどちらを選ぶかは重要な判断ポイントです。変動金利は一般的に固定金利より低い水準から始まりますが、市場金利の動向によって返済額が変わるリスクがあります。一方、固定金利は返済期間中の金利が確定するため、収支計画を立てやすいというメリットがあります。
固定期間についても、3年・5年・10年・15年など複数の選択肢がある場合が多く、期間が長いほど金利が高くなる傾向があります。たとえば常陽銀行のアパートローンでは、固定金利として3年・5年・10年・15年から選択でき、最高3億円・35年以内の融資が可能です(常陽銀行公式サイト)。長期の固定金利を選ぶことで金利上昇リスクを回避できますが、その分コストが高くなる点は理解しておく必要があります。
諸費用の面では、保証料と取扱手数料の扱いが金融機関によって大きく異なります。室蘭信用金庫やだて信用金庫、広島銀行のランド・オーナーは保証料不要としている一方、保証料が必要な金融機関では一括払いか分割払い(金利上乗せ)かを選べる場合があります。碧海信用金庫のへきしんアパートローンは取扱手数料として5,000万円未満で110,000円、5,000万円以上で165,000円を設定しており(碧海信用金庫公式サイト、2023年2月時点)、金利以外のコストも借入総額に影響します。
また、団信の加入有無も金利に影響します。福岡中央銀行や室蘭信用金庫では団信加入時に年0.30%の上乗せがあり、北見信用金庫では年0.60%の上乗せとなっています。団信は万が一の際に残債が保険で返済される仕組みですが、その分の金利コストも含めて総合的に判断することが大切です。
銀行以外の選択肢と日本政策金融公庫の活用
銀行や信用金庫のアパートローンが難しいと感じた場合、別の選択肢を検討することも一つの方法です。AGビジネスサポートの不動産担保ビジネスローンは、法人または個人事業主を対象とした商品で、固定金利2.99%〜14.80%というレンジが提示されています(AGビジネスサポート公式サイト)。金利レンジが広いことからも分かるように、審査結果によって適用金利が大きく変わる商品です。銀行融資が難しい場合の代替候補として検討できますが、金利水準が高くなる可能性がある点は注意が必要です。
日本政策金融公庫の国民生活事業も、個人事業主が利用できる公的融資制度の一つです。ただし、同公庫の利率は「融資制度、お使いみち、ご融資期間、担保の有無などによって異なる」とされており(日本政策金融公庫公式サイト)、民間アパートローンのような単純な金利比較には馴染みにくい性格があります。また、1先あたりの平均融資残高は約800万円とされており(日本政策金融公庫公式サイト)、小口の事業資金向けという色合いが強いため、大規模なアパート取得には向かない場合もあります。
信用金庫系のローンについては、営業区域の制約がある点も覚えておきましょう。室蘭信用金庫や北見信用金庫、だて信用金庫などは、それぞれの営業エリア内に居住または事業所がある方を対象としているため、全国どこからでも利用できるわけではありません。地元の信用金庫に相談することで、地域密着型の柔軟な対応が期待できる場合もあります。
個人事業主が融資審査を有利に進めるための準備
金利の比較と同時に、審査を有利に進めるための準備も重要です。まず、確定申告書の内容を見直すことが基本となります。節税を優先して所得を大きく圧縮している場合、融資審査では不利になることがあります。投資計画を立てる段階から、融資審査を意識した所得管理を検討することが大切です。
事業継続年数も審査に影響します。前述のとおり、金融機関によって1年以上や2年以上といった条件が設けられており、開業直後は融資を受けにくい場合があります。事業を安定させてから不動産投資に踏み出すことが、審査通過の可能性を高める一つの方法です。また、自己資金の割合(頭金)を増やすことで、金融機関からの信頼度が上がり、より有利な条件を引き出せる可能性があります。
複数の金融機関に相談することも有効な戦略です。同じ物件・同じ条件でも、金融機関によって審査の基準や金利の提示が異なります。一つの金融機関に断られたからといって諦めず、地方銀行・信用金庫・ノンバンクなど複数の選択肢を並行して検討することをおすすめします。ただし、短期間に多数の金融機関へ申し込むと信用情報に影響する場合があるため、事前相談の段階で各行の条件を丁寧に確認することが大切です。
まとめ
個人事業主がアパートローンの金利を比較する際は、金利の数字だけでなく、審査条件・保証料・手数料・団信の有無まで含めた総合的なコストで判断することが重要です。2026年6月時点の情報では、地方銀行・信用金庫系の金利はおおむね2%台〜4%台のレンジに分布しており、固定期間の長さや保証料の扱いによって実質的なコストが変わります。また、所得金額や事業継続年数など、個人事業主特有の審査条件を事前に把握しておくことが、スムーズな融資申し込みにつながります。まずは複数の金融機関に相談し、自分の状況に合った最適な融資先を見つけることから始めてみてください。金利情報は随時変動するため、各金融機関の公式サイトや窓口で最新情報を必ずご確認ください。
参考文献・出典
- 福岡中央銀行 アパートローンV — https://www.fukuokachuo-bank.co.jp/loan/apart_v.html
- 室蘭信用金庫 むろしんアパートローン — https://www.shinkin.co.jp/muroshin/corporate/fund/appart_loan.html
- だて信用金庫 アパートローン商品概要 — https://www.shinkin.co.jp/dateshin/common/asset/data/pdf/business_loan02_260504.pdf
- 北見信用金庫 日専連ジェミス・きたしんアパートローン — https://www.shinkin.co.jp/kitami/borrow/jemis_apart.html
- 常陽銀行 アパートローン — https://www.joyobank.co.jp/personal/loan/apartment/
- 広島銀行 ビル・アパートローン — https://www.hirogin.co.jp/service/loan/building/
- 広島銀行 ランド・オーナー(変動金利型)商品概要説明書 — https://www.hirogin.co.jp/service/manual/pdf/loan_071.pdf
- 碧海信用金庫 へきしんアパートローン — https://www.hekishin.jp/business/service/apartloan.php
- AGビジネスサポート 不動産担保ビジネスローン — https://www.aiful-bf.co.jp/products/mortgage_loan/business.html
- 日本政策金融公庫 金利情報(国民生活事業 主要利率一覧表) — https://www.jfc.go.jp/n/rate/index.html?referral=base
- 日本政策金融公庫 小規模事業者・個人事業主向け事業資金 — https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/index_k.html
- Wealth Agent 主要14銀行の不動産投資ローン比較 — https://www.agent-hp.com/real-estate-investment-loan-comparison/