不動産融資

法人で不動産投資するなら固定金利と変動金利どちらを選ぶべきか

法人として不動産投資を始めるとき、融資の金利タイプ選びに悩む方は少なくありません。「固定金利と変動金利、どちらが得なのか」「法人名義で借りると条件は変わるのか」といった疑問を持ちながら、なかなか答えが見つからないケースも多いでしょう。この記事では、法人向け不動産投資ローンにおける固定金利と変動金利の違いを、実際の金融機関の商品情報をもとに解説します。それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、自分の投資スタイルに合った選択ができるよう、具体的な情報をお伝えします。

法人向け不動産投資ローンの基本的な仕組み

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まず押さえておきたいのは、法人向けの不動産投資ローンは個人向けとは審査基準や商品設計が大きく異なるという点です。個人の住宅ローンと混同しがちですが、法人融資には独自のルールがあります。

法人が不動産投資ローンを利用する場合、多くの金融機関では法人代表者の連帯保証を求めます。たとえばりそな銀行の「不動産購入ローン(法人向け)」では、連帯保証人として法人代表者が必要とされています(りそな銀行 https://www.resonabank.co.jp/hojin/service/kakushu/real_estate/?lin=service)。三井住友銀行のアパートローンでも、不動産管理会社名義で借り入れる場合は会社代表者の連帯保証が必要です(三井住友銀行 https://www.smbc.co.jp/kojin/apartment/)。法人格があっても、代表者個人の信用力が審査に大きく影響する点は、あらかじめ理解しておく必要があります。

融資条件の幅も金融機関によってかなり異なります。りそな銀行の法人向け「不動産購入ローン」は3,000万円以上3億円以内・期間1年以上35年以内という枠組みで、AGビジネスサポートの不動産投資ローンは100万円から5億円・最長30年と、より広い範囲をカバーしています(AGビジネスサポート https://www.aiful-bf.co.jp/products/mortgage_loan/investment.html)。このように商品ごとに融資額や期間の上限が異なるため、自社の投資規模に合った金融機関を選ぶことが重要です。

また、日本政策金融公庫の中小企業事業では、投資目的の不動産取得資金やアパート・マンション経営のための資金は融資対象外とされています(日本政策金融公庫 https://www.jfc.go.jp/n/faq/a300.html)。「公庫なら法人の不動産投資にも使える」と思い込んでいると、申し込み段階で弾かれてしまうため注意が必要です。

固定金利と変動金利、それぞれの特徴

固定金利と変動金利、それぞれの特徴のイメージ

不動産投資ローンにおける固定金利と変動金利の違いは、返済計画の安定性とコストのバランスに直結します。どちらが優れているかは一概には言えず、投資戦略や資金繰りの状況によって判断が変わります。

変動金利は、一般的に短期プライムレートを基準として定期的に見直される仕組みです。福岡銀行のアパートローンでは、変動金利を選択した場合に「基準の短期プライムレートの変更の都度、融資利率を見直す」と明記されています(福岡銀行 https://www.fukuokabank.co.jp/personal/service/apartloan/gaiyou/index.html)。伊達信用金庫のアパートローンでも、変動金利型は年2回(4月1日・10月1日を基準日)に見直しが行われます(伊達信用金庫 https://www.shinkin.co.jp/dateshin/common/asset/data/pdf/business_loan02_260504.pdf)。金利が低い局面では返済負担を抑えられる一方、金利上昇局面では返済額が増えるリスクがあります。

固定金利は、一定期間または完済まで金利が変わらない仕組みです。日本政策金融公庫の国民生活事業では「契約時の利率が完済まで適用される固定金利」となっており、長期にわたって返済額が安定するのが特徴です(日本政策金融公庫 https://www.jfc.go.jp/n/finance/first/kokumin.html)。住宅金融支援機構の賃貸住宅融資も固定金利系で、35年固定または15年固定の2タイプが用意されています(住宅金融支援機構 https://www.jhf.go.jp/kinri/chintai.html)。ただし一般的に、固定金利は変動金利よりも初期の金利水準が高めに設定される傾向があります。

固定金利選択型(固定金利特約型)という中間的な選択肢もあります。三井住友銀行のアパートローンでは、2・3・5・10・15・20年の中から固定期間を選べ、固定期間終了後は変動金利型に移行します(三井住友銀行 https://www.smbc.co.jp/kojin/apartment/)。福岡銀行も同様に、2・3・5・7・10年の固定期間を選択できます(福岡銀行 https://www.fukuokabank.co.jp/personal/service/apartloan/gaiyou/index.html)。ただし、固定期間中に変動金利へ切り替えることはできない点に注意が必要です。

主要金融機関の法人向けローン金利を比較する

実際にどの程度の金利水準になるのか、公開されている情報をもとに確認してみましょう。ただし、多くの銀行は審査後に個別提示する形をとっており、公開金利はあくまで参考値です。

りそな銀行の法人向け「不動産購入ローン」は、りそな銀行によると2026年2月3日から年2.45%〜3.50%の変動金利が適用されています(りそな銀行 https://www.resonabank.co.jp/hojin/service/kakushu/real_estate/?lin=r_navi)。伊達信用金庫のアパートローンでは、複数の固定期間タイプが用意されており、固定期間が長くなるほど金利が高くなる傾向が見られます(伊達信用金庫 https://www.shinkin.co.jp/dateshin/common/asset/data/pdf/business_loan02_260504.pdf)。

ノンバンク系では金利水準が高めになる傾向があります。AGビジネスサポートの不動産投資ローンは、固定・変動ともに2.49%〜7.99%(2025年3月時点)という幅広いレンジで、属性や物件条件によって大きく変わります(AGビジネスサポート https://www.aiful-bf.co.jp/products/mortgage_loan/investment.html)。セゾンファンデックスの法人向け不動産購入ローンは変動金利4.4%〜5.2%(2026年5月時点)が公開されており、銀行系と比べると高めです(セゾンファンデックス https://www.fundex.co.jp/business/investment/)。一方で、L&Fアセットファイナンスは借入額5,000万円超で3.05%〜3.45%と、ノンバンクながら比較的低い水準を提示しています(Wealth Agent https://www.agent-hp.com/lf-asset-financ/)。

Wealth Agentの情報によると、横浜銀行では変動金利2.0%〜(属性によっては1.7%〜)、固定金利5年2.4%という水準で法人融資にも対応しているとされています(Wealth Agent https://www.agent-hp.com/yokohama-bank/)。ただしこれは第三者情報であり、実際の条件は直接銀行に確認することをお勧めします。なお、都市銀行や地方銀行の多くはアパートローン金利を公式サイトで公開しておらず、面談や仮審査を経て初めて具体的な条件が提示されるケースが一般的です。

法人で借りるときの費用と注意点

金利だけでなく、諸費用の違いも法人融資を選ぶ際の重要な判断材料になります。事務手数料や保証料の有無によって、実質的なコストは大きく変わることがあります。

事務手数料については、りそな銀行の法人向け「不動産購入ローン」では「融資金額×1.0%+消費税」が設定されています(りそな銀行 https://www.resonabank.co.jp/hojin/service/kakushu/real_estate/?lin=service)。三井住友銀行のアパートローンでは新規融資時のローン取扱手数料が110,000円、固定金利特約への変更時に11,000円が必要です(三井住友銀行 https://www.smbc.co.jp/kojin/apartment/)。福岡銀行は不動産担保取扱手数料として1件につき55,000円(消費税込)で、保証料は不要とされています(福岡銀行 https://www.fukuokabank.co.jp/personal/service/apartloan/gaiyou/index.html)。

団体信用生命保険(団信)の取り扱いも金融機関によって異なります。三井住友銀行では団信加入は任意で、加入する場合は融資利率に年0.3%が上乗せされます(三井住友銀行 https://www.smbc.co.jp/kojin/apartment/)。福岡銀行では団信加入時に0.4%が加算されます(福岡銀行 https://www.fukuokabank.co.jp/personal/service/apartloan/gaiyou/index.html)。法人名義の融資では団信が任意扱いになるケースが多く、代表者に万が一のことがあった場合のリスク管理は別途検討する必要があります。

また、住宅金融支援機構の賃貸住宅融資は固定金利系ですが、申込時点では金利が確定しない点に注意が必要です。2026年8月に申し込んだ場合、適用金利は2026年10月下旬に決定される仕組みになっています(住宅金融支援機構 https://www.jhf.go.jp/kinri/chintai.html)。民間ローンと比較する際は、この時差を考慮したうえで判断することが大切です。

固定か変動か、法人投資家としての選び方

重要なのは、固定・変動のどちらが「正解」かではなく、自社の財務状況と投資戦略に合った選択をすることです。金利タイプの選択は、キャッシュフロー管理と密接に関わっています。

変動金利を選ぶ場合は、金利上昇リスクへの備えが不可欠です。一般的には、手元に十分な内部留保があり、金利が上昇しても返済に耐えられる収益構造を持つ法人に向いているとされています。また、短期間での売却や借り換えを想定している場合は、固定期間中の制約がない変動金利のほうが柔軟に対応できます。

固定金利または固定金利選択型は、返済額を長期にわたって確定させたい場合に有効です。特に複数物件を保有する法人では、金利変動による収支の乱れがポートフォリオ全体に影響するため、一定期間の返済額を固定することでリスクを管理しやすくなります。ただし、固定期間終了後に変動金利へ移行する商品では、その時点の金利水準によって返済額が大きく変わる可能性があることも念頭に置いてください。

銀行が難しいと判断する案件、たとえば築古物件や再建築不可物件などでは、ノンバンク系の活用も選択肢になります。L&Fアセットファイナンスは築30〜40年の物件や再建築不可・借地にも対応しており、全国対応・最大30年・LTV70%という条件を提示しています(Wealth Agent https://www.agent-hp.com/lf-asset-financ/)。ただしノンバンク系は金利が高めになる傾向があるため、収益シミュレーションを慎重に行うことが求められます。

まとめ

法人で不動産投資ローンを組む際の固定金利・変動金利の選択は、金利水準だけでなく、返済の安定性・諸費用・融資条件の柔軟性を総合的に判断する必要があります。変動金利は低コストで始められる反面、金利上昇リスクを自社で管理する必要があり、固定金利は安定性が高い一方で初期コストが高めになる傾向があります。固定金利選択型はその中間として、一定期間の安心感と将来の柔軟性を両立できる選択肢です。まずは複数の金融機関に相談し、自社の財務状況と投資計画に合った条件を比較検討することから始めてみてください。金利タイプの選択は一度決めたら終わりではなく、借り換えや固定期間終了時に再検討できる機会もあります。焦らず、長期的な視点で最適な資金調達を目指しましょう。

参考文献・出典

  • りそな銀行 アパート・マンションローン(資産管理会社タイプ) — https://www.resonabank.co.jp/hojin/service/bs/apaman/
  • りそな銀行 ビジネスローン「不動産購入ローン」 — https://www.resonabank.co.jp/hojin/service/kakushu/real_estate/?lin=service
  • 三井住友銀行 アパートローン — https://www.smbc.co.jp/kojin/apartment/
  • 福岡銀行 アパートローン 商品概要 — https://www.fukuokabank.co.jp/personal/service/apartloan/gaiyou/index.html
  • 伊達信用金庫 アパートローン 商品概要説明書 — https://www.shinkin.co.jp/dateshin/common/asset/data/pdf/business_loan02_260504.pdf
  • AGビジネスサポート 不動産投資ローン — https://www.aiful-bf.co.jp/products/mortgage_loan/investment.html
  • セゾンファンデックス 法人向け不動産購入ローン — https://www.fundex.co.jp/business/investment/
  • 住宅金融支援機構 賃貸住宅融資金利 — https://www.jhf.go.jp/kinri/chintai.html
  • 日本政策金融公庫 国民生活事業をはじめてご利用の方へ — https://www.jfc.go.jp/n/finance/first/kokumin.html
  • 日本政策金融公庫 中小企業の方(中小企業事業)FAQ — https://www.jfc.go.jp/n/faq/a300.html
  • 日本政策金融公庫 融資制度一覧 国民生活事業 — https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/index_k_02.html
  • Wealth Agent 横浜銀行の不動産投資ローン — https://www.agent-hp.com/yokohama-bank/
  • Wealth Agent L&Fアセットファイナンスの不動産投資ローン — https://www.agent-hp.com/lf-asset-financ/

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