相続・空き家

豊島区の空き家バンクを徹底解説!活用制度と相談窓口

「豊島区 空き家バンク」で検索したとき、他の地方自治体のように物件が並んだ一覧ページを想像する方は多いかもしれません。しかし豊島区の空き家活用は、公開物件を並べるタイプではなく、相談とマッチングを軸にした支援制度が中心です。この記事では、区が運営に関わる「としま居住支援バンク」の仕組みから、地域貢献型の改修補助、複数ある相談窓口まで、2026年6月時点の情報を整理して解説します。空き家を持つオーナーはもちろん、住まい探しに困っている方にも役立つ内容になっています。

豊島区に「空き家バンクの物件一覧」を期待すると戸惑う理由

まず知っておきたいのは、豊島区の公式サイトにある「登録されている空き家」ページでは、公開できる物件が現在ないと明記されている点です。実際にページには「現在、登録されていて公開できる空き家はありません」と記されており、いわゆる物件一覧型の空き家バンクを期待して訪れると肩透かしを受けます。地方の空き家バンクのように、掘り出し物の戸建てが並ぶ市場を想像していると、実情とのギャップに戸惑うかもしれません。

とはいえ、これは豊島区に空き家対策がないという意味ではありません。むしろ逆で、公開物件が見えにくい一方、相談・マッチング・補助といった支援の仕組みは手厚く整えられています。同じ公式ページでも「お住まいを借りたい方は、住宅相談を受けることができます」と案内されており、物件を眺めて選ぶのではなく、まず相談から入るのが豊島区流の使い方です。この構図を理解しておくことが、制度を上手に活用する出発点になります。

背景には、豊島区特有の空き家事情があります。区の公式資料によると、平成30年の住宅・土地統計調査をもとにした空き家は約2.7万戸、空き家率は13.3%で、これは23区で最も高い水準とされています。さらに65歳以上の単身持ち家世帯が約5,500世帯あり、将来の「空き家予備軍」として注視されています。数字の上では空き家が多い一方、公開されている戸建て物件が豊富とは限らない点が、豊島区を読み解くうえで重要なポイントです。

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としま居住支援バンクの仕組みと対象者

豊島区の空き家活用の中核を担うのが「としま居住支援バンク」です。これは住まいの確保に困っている方と、空き家・空き室を持つオーナーをつなぐ制度で、豊島区居住支援協議会が運営しています。協議会の説明でも「住まいの確保にお困りの方と、空き家・空き室をお持ちのオーナー様をつなぐ制度です」と明記されており、投資物件を売買するポータルサイトとは性格が大きく異なります。

ここで注意したいのは、この制度が主に住宅確保要配慮者を対象にしている点です。住宅確保要配慮者とは、高齢者や障害のある方、低所得の方、子育て世帯など、一般の賃貸市場では入居を断られやすい人々を指します。つまり、購入を検討する人向けの「掘り出し物件市場」ではなく、住まいのセーフティネットを支える仕組みだと理解しておく必要があります。登録された物件は、協議会の専用ホームページのほか、豊島区くらし・居住支援課(居住支援グループ)の窓口でも紹介されます。

登録件数の感覚もつかんでおくと役立ちます。居住支援協議会によると、としま居住支援バンクの登録件数は決して多くなく、相談を通じて丁寧にマッチングしていく規模感です。だからこそ、まず窓口に相談して自分の状況を伝えることが、住まい探しでもオーナーの活用でも近道になります。

空き家オーナーが取るべき手順と登録の流れ

空き家を持つオーナーがまず知っておきたいのは、登録の入口が複数用意されていることです。協議会の案内では「登録方法は2つです」と説明されており、区の「空家の活用登録」を経由する方法と、協議会の「としま居住支援バンク」へ直接登録する方法があります。どちらから入っても支援につながりますが、それぞれ受けられるサポートが少し異なります。

区の「空家の活用登録」を行うと、としま居住支援バンクへの登録に加え、専門家派遣や活用支援事業者によるサポートを受けられます。一方、協議会への直接登録では、一部の用途について「耐震・法令適合確認を行わず、空き家バンクに登録できます」と案内されている場合があります。ただし用途や条件によって扱いが変わるため、自分の物件がどのルートに向いているかは、登録前に窓口で確認するのが安全です。

手順としては、最初に区の利活用相談窓口へ問い合わせ、空き家の状態や希望する活用方法を伝えることから始めます。その後、活用登録または直接登録を行い、必要に応じて専門家派遣を利用して具体的な活用方針を固め、地域貢献型やセーフティネット住宅など用途を選び、条件が合えば補助を申請する、という流れが基本になります。空き家をどう使うか決まっていない段階でも相談できるので、方針が固まっていないことを理由に足踏みする必要はありません。

専門家派遣で使えるプロのサポート

活用方針を固めるうえで心強いのが、豊島区の専門家派遣制度です。この制度では、利活用のために専門家を派遣してもらえ、同一の空き家につき同一年度内に4回まで、1回あたり2時間以内という枠が設けられています。無料で専門家の助言を受けられるため、初めて空き家活用に取り組むオーナーにとって貴重な機会です。

派遣の対象には幅広い専門家が含まれます。不動産の宅地建物取引業者や建築士事務所協会、相続や登記に関わる司法書士、境界などを扱う土地家屋調査士、税金の相談に応じる税理士、行政書士などが対象団体に入っています。売却か賃貸か、相続手続きはどうするか、税金はどうなるかといった複数の論点を、それぞれの専門家に相談しながら整理できる点が大きなメリットです。

地域貢献型・共同居住型の利活用と改修補助

空き家を地域のために役立てたいオーナーには、より踏み込んだ支援制度があります。代表的なのが「地域貢献型空き家利活用事業」で、区が「仲人役」となって戸建て空き家のオーナーと、NPO法人や社会福祉法人などの団体をマッチングします。改修補助は改修費の3分の2、上限200万円で、オーナー・団体ともに改修完了後少なくとも10年間の活用意思が求められます。長期の地域貢献を前提とした制度設計になっている点が特徴です。

もうひとつの選択肢が「共同居住型空き家利活用事業」です。こちらは空き家をシェアハウスに改修したいオーナーと運営団体を区がマッチングする仕組みで、少なくとも5年間の活用と、1部屋以上を住宅確保要配慮者向けに使うことが要件とされています。加えて、東京都の住宅確保要配慮者円滑入居賃貸住宅登録基準を満たす必要があります。地域貢献型よりも活用年数の条件が短い一方、シェアハウスという特定の使い方に向いた制度です。

さらに、住宅セーフティネット制度に基づく専用住宅への補助も見逃せません。豊島区の案内によると、2026年度時点で専用住宅の家賃低廉化補助は月額5万円/戸を上限とし、家賃債務保証料の低廉化補助は1.5万円/戸、少額短期保険料等の補助は年6千円/戸が上限です。改修費についても3分の2で上限250万円/戸と、地域貢献型より手厚い金額が設定されています。加えて、1契約につき5万円の成約謝礼や、空室期間の補償、見守り機器の設置補助といった協力金も用意されています。

これらの違いを大づかみに整理すると、次のようになります。地域貢献型はNPO等による地域活動に建物を提供する用途で、10年間の活用が前提です。共同居住型はシェアハウス化が対象で、5年間かつ要配慮者向けの部屋確保が条件です。セーフティネット住宅は賃貸として登録し、家賃低廉化や改修など複数の補助を組み合わせられます。どれが最適かは物件の状態や地域のニーズによって変わるため、専門員と相談しながら選ぶのが賢明です。

制度 主な用途 改修補助の上限 活用年数の目安
地域貢献型空き家利活用事業 NPO等の地域貢献活動 3分の2・200万円 10年以上
共同居住型空き家利活用事業 シェアハウス 5年以上
セーフティネット専用住宅 要配慮者向け賃貸 3分の2・250万円/戸

空き家売却時に使える税制上の特例

活用ではなく売却を考えているオーナーには、相続した空き家の譲渡所得に対する特別控除が関係します。この特例を利用するには、市区町村長が確認事項を記載した「被相続人居住用家屋等確認書」が必要です。国税庁の案内によれば、一定の要件を満たした相続空き家の売却で、譲渡所得から控除を受けられる仕組みです。適用の可否や控除額は個別事情によって異なるため、詳細は国税庁の公式サイトで確認してください。

豊島区では、この確認書を交付する窓口が設けられています。ただし区が確認書を交付できるのは、対象となる家屋やその敷地が豊島区内に所在する場合に限られます。区外の物件については、それぞれの所在地の市区町村へ問い合わせる必要があります。税制の特例は手続きが複雑になりがちなので、税理士や区の担当窓口に相談しながら進めると安心です。

相談窓口の使い分けと外部の支援

豊島区の空き家に関する窓口は、目的ごとに分かれているため、自分の相談内容に合った窓口を選ぶことが大切です。空き家の利活用に関する相談は、住宅・マンション課空き家対策グループ(豊島区役所6階、電話03-3981-2655)が担当します。一方、管理不全の空き家など適正管理に関する相談は、建築課監察グループ(同6階、電話03-3981-9503)が窓口です。使う目的によって連絡先が変わる点を覚えておくと、たらい回しを避けられます。

まだ空き家になっていない自宅について備えたい方には、「住まいの終活相談」があります。これは自宅の管理・活用・相続などについて、空き家の専門員が相談に応じる仕組みで、空き家の発生を予防する観点から用意されています。将来の相続や実家の扱いに不安がある方は、早めに相談しておくと選択肢を広げやすくなります。

豊島区の窓口に加え、東京都の支援も活用できます。東京都空き家ワンストップ相談窓口は、空き家の所有者や活用希望者を対象に無料で相談を受け付け、現地調査から解決策の提案、必要経費の試算、協力事業者の紹介、フォローアップまで一貫して対応します。電話番号は0120-776-735で、受付は平日9時から18時です。売買や賃貸については宅建協会(03-3264-8000)や全日本不動産協会東京都本部(03-5338-0370)、相続・登記は東京司法書士会(03-3353-2700)、税金は東京税理士会(03-3356-7137)といった提携窓口も案内されています。

実際に売却や賃貸、リフォームを進める段階では、事業者選びも重要です。豊島区では登録仲介事業者について「2団体88事業者登録」と公表されており、地域で対応する事業者に一定の広がりがあることが分かります。相談で方針を固めたうえで、こうした登録事業者につないでもらうと、安心して次の一歩を踏み出せます。

まとめ

豊島区の空き家活用は、物件一覧を眺めて選ぶタイプではなく、相談とマッチングを軸にした支援が中心です。公式の「登録されている空き家」ページに公開物件が並んでいなくても、としま居住支援バンクや専門家派遣、地域貢献型・共同居住型の改修補助、セーフティネット住宅への補助といった制度が幅広く整えられています。空き家率が23区で最も高い豊島区だからこそ、放置せず制度を使う価値は大きいといえます。まずは住宅・マンション課空き家対策グループや東京都のワンストップ窓口に相談し、自分の状況に合った活用方法を見つけることが、解決への確かな第一歩です。

参考文献・出典

  • 豊島区公式ホームページ「豊島区居住支援協議会」 — https://www.city.toshima.lg.jp/310/machizukuri/sumai/kekaku/027286.html
  • 豊島区公式ホームページ「豊島区の空き家問題の概略」 — https://www.city.toshima.lg.jp/508/jutaku/akiya/2108051605.html
  • 豊島区公式ホームページ「空き家に関する相談支援・セミナー」 — https://www.city.toshima.lg.jp/508/jutaku/akiya/2108051028.html
  • 豊島区公式ホームページ「専門家派遣」 — https://www.city.toshima.lg.jp/508/jutaku/akiya/2108181029.html
  • 豊島区公式ホームページ「地域貢献型空き家利活用事業」 — https://www.city.toshima.lg.jp/508/2012241623.html
  • 豊島区公式ホームページ「共同居住型住宅の空き家利活用事業」 — https://www.city.toshima.lg.jp/508/1906271416.html
  • 豊島区公式ホームページ「セーフティネット住宅に対する補助」 — https://www.city.toshima.lg.jp/308/2606051437.html
  • 豊島区公式ホームページ「リフォーム・仲介の事業者情報」 — https://www.city.toshima.lg.jp/508/machizukuri/sumai/akiya/jigyoshalist.html
  • 豊島区公式ホームページ「東京都が提携している相談窓口」 — https://www.city.toshima.lg.jp/508/jutaku/akiya/2108311339.html
  • 東京都住宅政策本部「東京都空き家ワンストップ相談窓口」 — https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/akiya/mado/tokyo
  • 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
  • 豊島区居住支援協議会「としま居住支援バンク」 — https://kyoju-shien-toshima.com/

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