不動産の売買を検討しているとき、「仲介手数料っていくらかかるの?」と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。物件価格が高額になるほど手数料も大きくなるため、事前にしっかり把握しておかないと、資金計画が狂ってしまうこともあります。この記事では、売買における仲介手数料の法定上限の計算方法から、2024年に改正された低廉な空き家向けの特例、さらに手数料がかからないケースまで、初心者の方にもわかりやすく解説します。読み終えるころには、自分の取引でいくら必要かを自分で計算できるようになるはずです。
仲介手数料は「上限額」が法律で決まっている

まず押さえておきたいのは、仲介手数料は不動産会社が自由に決められるわけではなく、法律によって上限額が定められているという点です。この上限を超えて請求することは違法となります。
仲介手数料の上限は、国土交通省が定める「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(国土交通省)によって規定されています。具体的には、国土交通省によると、売買代金の金額帯ごとに異なる料率が設けられており、依頼者一方につき、200万円以下の部分は5%、200万円を超え400万円以下の部分は4%、400万円を超える部分は3%という計算になります(いずれも消費税等前)。
重要なのは、この手数料はあくまでも「上限額」であるという点です。つまり、不動産会社と依頼者が合意すれば、上限より低い金額で契約することも可能です。媒介契約を結ぶ際には、手数料の金額をしっかり確認し、上限内の金額で合意しておくことが大切です(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html)。
また、料率を掛ける「売買代金の額」には、消費税額および地方消費税額に相当する額を含めないとされています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/1970/26197000/26197000.html)。これは実務上の計算でよく見落とされがちなポイントなので、注意が必要です。
速算式で簡単に計算できる仕組み

400万円を超える物件の場合、3段階の料率を個別に計算しなくても、速算式を使えば一発で上限額を求めることができます。国土交通省によると、速算式は「売買価格×3%+6万円」であり、消費税は別途加算されます(いずれも税抜き)。
この速算式がなぜ成り立つのかというと、3段階の料率を合算したときに生じる差額を補正するための「6万円」が加算されているためです。複雑な計算を省略できる便利な式として、不動産業界では広く使われています。
具体的な金額で見てみると、売買価格1,000万円の場合は上限が39万6,000円、3,000万円の場合は105万6,000円、5,000万円の場合は171万6,000円(いずれも税込)となります(LIFULL HOME’S https://www.homes.co.jp/cont/money/money_00360/)。物件価格が上がるにつれて手数料も増えますが、料率自体は逓減する仕組みになっているため、高額物件ほど割合としての負担感は小さくなります。
なお、仲介手数料の支払いタイミングについては、契約書に定められた支払い時期に従うことが一般的です(東急リバブル https://www.livable.co.jp/baikyaku/fudosan-baikyaku-faq/cost-001/)。一度に全額を用意する必要がない場合もありますが、支払い時期を資金計画に組み込んでおきましょう。
2024年7月から変わった低廉物件の特例
実は、2024年7月1日以降、価格800万円以下の宅地・建物については、仲介手数料に関する特例が設けられています。国土交通省によると、この特例では、売主または買主のいずれか一方から受領できる仲介手数料は「30万円の1.1倍」が上限です。税込33万円はこの上限額に相当します(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001753240.pdf)。
通常の計算式で800万円の物件を計算すると、上限は「800万円×3%+6万円+消費税」で33万円となり、実は800万円ちょうどの価格では特例を使っても使わなくても上限額は同じです。特例の効果が大きいのはより低価格帯で、例えば400万円の物件では通常計算だと19万8,000円(税込)ですが、特例を使えば33万円まで受け取れます。これにより、不動産会社にとっては低価格帯の物件でも一定の報酬を確保しやすくなります。これは、地方の空き家問題や低価格物件の流通促進を後押しする目的で設けられた制度です。
注意したいのは、この特例の対象が「使用の状態は問わない」とされている点です(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html)。つまり、空き家だけでなく、現在居住中の物件であっても価格が800万円以下であれば対象となります。「空き家特例」と呼ばれることもありますが、実際には価格基準で判断される点を覚えておきましょう。
仲介手数料がかからないケースもある
仲介手数料は必ずかかるものだと思っている方も多いですが、実は取引の形態によっては発生しないケースもあります。ポイントは、物件の「取引態様」を確認することです。
不動産の取引態様には大きく「仲介(媒介)」「売主」「販売代理」の3種類があります。仲介手数料がかかるのは「仲介(媒介)」の場合のみで、「売主」や「販売代理」の場合は通常発生しません(SUUMO https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/chukaitesuryo)。新築マンションや新築分譲住宅では「売主」や「販売代理」の取引態様が多く、その場合は仲介手数料を支払わずに購入できます。
また、不動産会社が直接物件を買い取る「買取」を選択した場合も、仲介手数料は発生しません。たとえば東急リバブルの「リバブル不動産買取」のような直接買取サービスでは、仲介を介さないため手数料がかからない仕組みになっています(東急リバブル https://www.livable.co.jp/baikyaku/kaitori/)。ただし、買取の場合は仲介による売却と比べて売却価格が低くなる傾向があるため、手数料の有無だけでなく手取り額全体で比較することが重要です。
さらに、案内料や申込料、依頼者が依頼していない広告費などを別途請求することは認められていません。一方で、遠隔地の調査など特別な依頼があり、事前に承諾を得た実費については別途受領できる場合もあります(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/000006571.pdf)。不明な費用を請求された場合は、その根拠を必ず確認するようにしましょう。
媒介契約で知っておくべき注意点
仲介手数料に関しては、媒介契約の内容もしっかり理解しておく必要があります。国土交通省の標準媒介契約約款では、仲介会社は契約が成立した時点で報酬を請求できますが、融資不成立等で売買契約が解除された場合は受領済み報酬を全額返還する定めとなっています(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/1990/26196400/26196400.html)。
また、住宅ローンの審査が通らず融資不成立を理由に売買契約が解除された場合、受領済みの仲介手数料は全額返還されます(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/1990/26196400/26196400.html)。これはローン特約と呼ばれる保護の仕組みで、買主にとって重要な権利です。
一方で注意が必要なのは、仲介会社の紹介で知り合った相手と、業者を排除して直接取引した場合です。この場合、標準媒介契約約款に基づき、成立への寄与割合に応じた相当額の報酬を請求される可能性があります(国土交通省 https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/1990/26196400/26196400.html)。「手数料を節約しよう」と考えて直接取引に切り替えることは、トラブルの原因になりかねないため避けるべきでしょう。
まとめ
売買における仲介手数料は、法律で上限が定められており、400万円超の物件であれば「売買価格×3%+6万円+消費税」の速算式で簡単に計算できます。2024年7月1日以降は、価格800万円以下の物件に30万円の1.1倍(税込33万円)を上限とする特例も設けられました。また、取引態様が「売主」や「販売代理」の場合、あるいは直接買取を選んだ場合は手数料が発生しないケースもあります。まずは自分が検討している物件の取引態様を確認し、手数料の概算を計算してみることが資金計画の第一歩です。不明な点は不動産会社に遠慮なく質問し、納得のいく形で取引を進めてください。
参考文献・出典
- 国土交通省「消費者の皆様向け:不動産取引に関するお知らせ」 – https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html
- 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」 – https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/1970/26197000/26197000.html
- 国土交通省「宅地建物取引業法施行規則第十五条の七第四号の規定に基づく標準媒介契約約款」 – https://www.mlit.go.jp/notice/noticedata/sgml/1990/26196400/26196400.html
- 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」 – https://www.mlit.go.jp/common/000006571.pdf
- SUUMO「不動産売却時にかかる仲介手数料とは?計算方法や上限額について解説」 – https://suumo.jp/baikyaku/guide/entry/chukaitesuryo
- LIFULL HOME’S「不動産の仲介手数料が無料になる・割引される仕組みとは?」 – https://www.homes.co.jp/cont/money/money_00360/
- 東急リバブル「仲介手数料はいくら?など『不動産 仲介手数料』についてのよくあるご質問」 – https://www.livable.co.jp/baikyaku/fudosan-baikyaku-faq/cost-001/
- 東急リバブル「リバブル不動産買取」 – https://www.livable.co.jp/baikyaku/kaitori/