「としまえんって、なぜ閉園したんだろう?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。1926年に開園し、約94年にわたって東京都民に親しまれてきたとしまえんが、2020年8月31日に突然その歴史に幕を下ろしたことは、多くの人に驚きと寂しさをもたらしました。単なる遊園地の閉園ではなく、その背景には東京都の都市計画や大規模な再開発計画が深く絡み合っています。この記事では、閉園の時期や理由、そして跡地が現在どのように生まれ変わっているかを、わかりやすく解説します。
としまえんが閉園したのはいつ?

まず押さえておきたいのは、としまえんが正式に閉園した日付です。西武鉄道の発表によると、としまえんは2020年8月31日をもって閉園しました。閉園の発表自体は同年6月12日に行われており、発表からわずか約2か月半という短い期間で長い歴史に幕が下りたことになります。
1926年の開園以来、としまえんは東京西部を代表するレジャースポットとして、世代を超えて多くの人々に愛されてきました。プールやジェットコースター、カルーセルエルドラドと呼ばれる歴史的な回転木馬など、数多くのアトラクションが人々の記憶に刻まれています。それだけに、閉園の知らせは多くのファンにとって突然のことのように感じられました。しかし実際には、閉園に向けた動きは長年にわたって水面下で進んでいたのです。
としまえんが閉園した理由とは

閉園の最も根本的な理由は、としまえんの土地が長年にわたって都市計画の対象地に指定されていたことにあります。西武鉄道の公式発表によれば、としまえんを中心とした一帯のエリアは、1957年(昭和32年)に都市計画公園「練馬城址公園」として指定を受けていました。つまり、閉園の60年以上前から、この土地は公園として整備される運命にあったとも言えます。
さらに2011年には、東京都がこのエリアを「優先整備区域」に指定しました。練馬区の公式情報によると、としまえんを含む約22ヘクタールが、令和2年度(2020年度)までに事業化を図る優先整備区域として位置付けられていました。つまり、2020年の閉園はこの計画のタイムラインと完全に一致しており、行政側の整備スケジュールに沿った動きだったことがわかります。
一方で、利用者数の減少や収益の悪化が直接の閉園理由だったかどうかについては、公開されている一次資料だけでは明確に確認できません。西武鉄道が公表した資料においても、閉園の理由として都市計画と再開発の文脈が中心に語られており、経営判断の詳細な内部事情は明らかにされていません。そのため、「老朽化や赤字が原因」という見方もネット上では広まっていますが、それを断定できる公式資料は現時点では確認されていないことを念頭に置いておく必要があります。
東京都が跡地に描いた都市計画の全体像
東京都が練馬城址公園として整備するにあたって掲げた基本目標は、「緑と水」「広域防災拠点」「にぎわい」の3つです(東京都、2020年10月)。単なる緑地公園ではなく、大規模災害時に機能する防災拠点としての役割も期待されていた点が、この計画の大きな特徴です。
防災機能については、東京都議会の環境・建設委員会の答弁においても言及されています。としまえんは閉園後も引き続き避難場所に指定されており、防災機能を踏まえた整備が進められると説明されています。東京という大都市の中心部に近い場所に、これだけの広さの土地を確保できる機会は非常に限られています。そのため、行政としてはこの土地を単なる商業施設として活用するのではなく、都民全体の安全と緑の確保に役立てることを優先したと考えられます。
また、としまえんの跡地整備は西武鉄道と東京都が連携して進めるプロジェクトでもありました。長年にわたって遊園地を運営してきた西武鉄道にとっても、都市計画の枠組みの中で跡地の活用方針を決定していくことが求められていたのです。
跡地は今どうなっているのか
閉園後のとしまえん跡地は、大きく2つの用途に分かれて活用されています。西武鉄道の案内によると、跡地の大部分は練馬城址公園として整備が進められており、一部の未開園エリアは「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 ‐メイキング・オブ ハリー・ポッター」として開発されることが発表されました(伊藤忠商事、2020年8月)。
ワーナー ブラザース スタジオツアー東京は、映画「ハリー・ポッター」シリーズの世界観を体験できる大型施設で、映画ファンや家族連れにとって新たな東京の観光スポットとして注目を集めています。かつて子どもたちが歓声を上げたとしまえんの跡地が、今度は別の形で夢と興奮を提供する場所へと生まれ変わったことは、時代の変化を象徴するような出来事とも言えるでしょう。
練馬城址公園としての整備については、「緑と水」「広域防災拠点」「にぎわい」という3つの目標に沿って段階的に進められています。都市の中に広大な緑地と防災機能を備えた公園が誕生することは、周辺住民にとっても大きな恩恵となるはずです。かつての遊園地の賑わいとは異なる形ですが、この土地は引き続き多くの人々が集う場所として機能し続けることになります。
まとめ
としまえんが2020年8月31日に閉園した背景には、1957年から続く都市計画公園「練馬城址公園」の指定と、2011年に定められた優先整備区域としての位置付けがありました。「緑と水」「広域防災拠点」「にぎわい」という3つの目標を掲げた東京都の都市計画が、長年の歴史を持つ遊園地の閉園を後押しした形です。跡地は現在、練馬城址公園とワーナー ブラザース スタジオツアー東京という新たな顔を持つ場所へと変わりつつあります。懐かしさを感じる方も多いかと思いますが、跡地が都民の安全と新たな賑わいのために活用されていることを知ると、閉園の意味が少し違って見えてくるのではないでしょうか。
参考文献・出典
- 西武鉄道「としまえんの閉園について(豊島園庭の湯を除く)」 — https://www.seiburailway.jp/file.jsp?news/news-release/2020/20200612_toshimaen.pdf
- 西武鉄道「としまえんの閉園に際して(御礼)」 — https://www.seiburailway.jp/file.jsp?id=3449
- 東京都「公園・墓地・河川|東京都」(2020年10月29日) — https://www.spt.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/10/29/11_10.html
- 練馬区「都市計画練馬城址公園の整備:練馬区公式ホームページ」 — https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/sougoukeikaku/kikakukakentoucyu/jyoushi/nerimajoshi.html
- 東京都議会「令和二年 東京都議会環境・建設委員会速記録第十三号」 — https://www.gikai.metro.tokyo.lg.jp/record/environmental-construction/2020-13.html
- 伊藤忠商事「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京 ‐メイキング・オブ ハリー・ポッター としまえん跡地にオープン決定」(2020年8月18日) — https://www.itochu.co.jp/ja/news/press/2020/200818.html