アパート経営を始めようと考えたとき、「どの銀行でローンを組めばいいのか」と悩む方は多いのではないでしょうか。特に地方銀行は都市銀行やネット銀行とは異なる特徴を持っており、金利や融資条件が銀行ごとに大きく異なります。この記事では、2026年6月時点の公式情報をもとに、主要な地方銀行のアパートローン金利や条件を比較しながら、初心者でも理解しやすいよう丁寧に解説します。どの銀行が自分に合っているかを判断するための基準も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
地方銀行のアパートローンとは?基本の仕組みを理解しよう

まず押さえておきたいのは、アパートローンが一般的な住宅ローンとは根本的に異なる商品だという点です。住宅ローンは自分が住む家を購入するための融資ですが、アパートローンは賃貸収入を得ることを目的とした「事業性融資」の性格を持っています。そのため、審査基準や金利水準も住宅ローンとは別の基準で設定されています。
地方銀行がアパートローンを提供する場合、多くは「担保となる物件の収益性」と「借り手の属性(年収・資産・職業など)」の両面を審査します。都市銀行と比べると、地方銀行は地域密着型の営業スタイルを持つため、担当者との関係性や物件の地域性が審査に影響することもあります。一方で、融資条件が柔軟な場合もあり、初めてアパート投資に挑戦する方にとっても相談しやすい窓口となっています。
金利の種類については、大きく「変動金利型」と「固定金利型(固定金利特約型)」に分かれます。変動金利は市場金利の動向に連動して定期的に見直されるため、金利が低い時期には返済負担を抑えられますが、将来的な金利上昇リスクを伴います。固定金利は一定期間の返済額が確定するため、収支計画が立てやすいというメリットがあります。どちらを選ぶかは、自分のリスク許容度や投資計画の期間によって判断することが大切です。
主要地方銀行の金利・条件を比較する

実際に各地方銀行のアパートローン条件を見ていきましょう。銀行によって公開している情報の詳細度が異なりますが、公式情報をもとに整理します。
西日本シティ銀行(NCB不動産オーナーズローン)は、複数の固定金利期間を用意した割引金利を公開しています(西日本シティ銀行 https://www.ncbank.co.jp/loan/housing/realestate-owners/)。この商品の特徴は、金利に保証料が含まれている点です。契約時に保証料を一括で支払う必要がなく、初期費用を抑えやすい設計になっています。申込時の年齢条件は満20歳以上満70歳以下、完済時は満84歳以下(地銀協一般団信の場合)となっています。
静岡銀行のアパートローン(保証人扱)は、融資額1億円以内・融資期間35年以内という条件で提供されています(静岡銀行 https://www.shizuokabank.co.jp/pdf.php?id=5259)。金利は短期プライムレートに連動する長期貸出最優遇金利に一定利率を上乗せする方式で、固定金利特約期間は2・3・5・7・10年から選択できます。団体信用生命保険(団信)への加入も可能で、保険料は銀行が負担します。繰上返済や条件変更の手数料は原則11,000円と明確に定められており、コスト管理がしやすい商品です。
横浜銀行のアパートローンは融資額3億円以内と規模が大きく、構造によって融資期間が異なります(横浜銀行 https://www.boy.co.jp/kojin/apart-loan/gaiyou_apartment.html)。木造は20〜35年、鉄骨造は30〜35年、RC(鉄筋コンクリート)造は35年が基本で、一定のZEH等新築賃貸アパートは最長40年まで対応しています。団信の保険料は銀行負担で、取扱手数料は110,000円(購入資金の場合は121,000円)です。ただし、実際の適用金利は公式サイトには掲載されておらず、融資窓口への問い合わせが必要です。
中国銀行のアパートローン(一般口)は、融資金額が原則3億円以内ですが、団信加入時の上限は2億円となっています(中国銀行 https://www.chugin.co.jp/up_load_files/personal/product-overview/ap_ippan.pdf)。融資期間は構造によって異なり、木造30年以内、鉄骨造・軽量鉄骨造35年以内、RC造・SRC造は40年以内と設定されています。変動金利型(6か月固定・3年・5年・10年固定)と長期固定金利型を用意しており、保証人は原則不要です。取扱手数料は1件あたり110,000円(消費税等含む)で、実行金利は窓口照会が必要です。
金利の違いが返済総額に与える影響
地方銀行のアパートローン金利を比較する際、わずかな金利差が長期的に大きな差を生むことを理解しておくことが重要です。金利が1%違うだけで、毎月の返済額や長期間の金利総額に大きな差が生じるという試算があります。この数字を見ると、0.1%単位での金利比較がいかに大切かがよくわかります。
また、金利の低さだけでなく、保証料の扱いや事務手数料も総コストに影響します。たとえば、保証料を金利に含めるタイプ(西日本シティ銀行のように)と、保証料を別途一括払いするタイプでは、表面上の金利が同じでも実質的な負担が異なります。さらに、繰上返済手数料や固定金利選択手数料なども積み重なると無視できない金額になるため、複数の銀行を比較する際は「総コスト」で考えることが大切です。
頭金の準備も金利に影響します。一定額の頭金を用意することで、利用できる金融機関の幅が広がり、金利が下がる可能性があります。すでに高金利でローンを組んでいる方は、2.0%以上の金利で借りている場合は借り換えを検討してみることも選択肢のひとつです。
銀行ごとの特徴と対象エリアを把握しよう
地方銀行のアパートローンには、それぞれ独自の特徴や対象エリアの制限があります。この点を事前に把握しておくことで、無駄な申し込みを避けられます。
北陸銀行のアパートローンは「副業として賃貸を目的とする建物の建築資金」向けに設計されており、賃貸を専業としている方は融資対象外となっています(北陸銀行 https://www.hokugin.co.jp/data/product_gaiyo/index_loan_apartment02.pdf)。また、融資対象物件の家賃収入で返済可能であること、土地を自己所有するか自己資金で所定の担保掛目を充足することが条件として求められます。本業を持ちながら副収入としてアパート経営を始めたい方向けの商品設計といえます。
北洋銀行は、申込人の居住地・勤務地・物件所在地のすべてが北海道内であることを条件としており、地方銀行の中でも特に地域制限が強い商品です(北洋銀行 https://www.hokuyobank.co.jp/person/loan/house/j_fudousanloan.html)。固定金利特約期間は3・5・10・15・20年から選択でき、特約期間終了後は自動的に変動金利に移行します。北海道内で完結した投資を考えている方には選択肢のひとつになります。
千葉銀行は、東京都・千葉県・埼玉県の収益物件を対象としており、低金利寄りの条件が示されています(www.agent-hp.com/chiba-bank/)。ただし、必要年収1,500万〜3,000万円、金融資産5,000万〜1億円という高属性向けの商品であり、誰でも利用できるわけではありません。このように、地方銀行によって対象エリアや必要な属性が大きく異なるため、自分の条件に合った銀行を絞り込むことが効率的な比較の第一歩です。
公的機関のローンも選択肢に入れておこう
地方銀行以外にも、公的機関が提供するアパートローンという選択肢があります。住宅金融支援機構の「機構 すまい・る賃貸ローン」は、複数の固定金利期間から選択でき、長期の借入期間が設定できる商品です(住宅金融支援機構 https://www.jhf.go.jp/lp/rent-build/index.html)。金利上昇による返済額の増加を抑えられる点が大きなメリットで、長期にわたって安定した収支計画を立てたい方に向いています。
同機構の賃貸住宅建設融資では、長期の借入期間と元金据置期間(利息のみの支払期間)を設定できます(住宅金融支援機構 https://www.jhf.go.jp/files/topics/5378_ext_99_0.pdf)。住宅金融支援機構によると、賃貸住宅建設融資は複数の固定金利タイプで、当初固定金利は申込条件や引下げ制度によって変わります。ただし、子育て省エネ型等では土地取得費を融資対象とする取扱いを原則として停止しているため、土地の購入も含めて検討している方は注意が必要です。
一方、日本政策金融公庫の中小企業事業については、投資目的の不動産取得資金やアパート・マンション経営のための資金は融資対象外と明記されています(日本政策金融公庫 https://www.jfc.go.jp/n/faq/a300.html)。「公庫でアパートローンを組めるのでは」と考える方もいますが、この点は事前に確認しておくことが大切です。
まとめ
地方銀行のアパートローンは、銀行ごとに金利・融資上限・対象エリア・審査基準が大きく異なります。西日本シティ銀行のように保証料込みで金利が明示されている商品もあれば、横浜銀行や中国銀行のように実際の適用金利は窓口で確認が必要な銀行もあります。まずは自分の居住地・物件所在地・年収・資産状況を整理したうえで、条件に合う銀行を複数ピックアップし、比較検討することをおすすめします。金利の差が長期間で大きな差になることを念頭に置き、表面金利だけでなく保証料や手数料を含めた総コストで判断することが、賢いアパートローン選びの基本です。まずは気になる銀行の窓口に相談することから始めてみましょう。
参考文献・出典
- 西日本シティ銀行 NCB不動産オーナーズローン — https://www.ncbank.co.jp/loan/housing/realestate-owners/
- 静岡銀行 アパートローン(保証人扱)商品概要説明書 — https://www.shizuokabank.co.jp/pdf.php?id=5259
- 横浜銀行 商品概要説明書(アパートローン) — https://www.boy.co.jp/kojin/apart-loan/gaiyou_apartment.html
- 中国銀行 アパートローン(一般口)商品概要説明書 — https://www.chugin.co.jp/up_load_files/personal/product-overview/ap_ippan.pdf
- 北陸銀行 商品概要説明書 アパートローン — https://www.hokugin.co.jp/data/product_gaiyo/index_loan_apartment02.pdf
- 北洋銀行 アパートローン — https://www.hokuyobank.co.jp/person/loan/house/j_fudousanloan.html
- 住宅金融支援機構 機構 すまい・る賃貸ローン — https://www.jhf.go.jp/lp/rent-build/index.html
- 住宅金融支援機構 賃貸住宅を建設する場合 — https://www.jhf.go.jp/files/topics/5378_ext_99_0.pdf
- 日本政策金融公庫 中小企業の方(中小企業事業)よくあるご質問 — https://www.jfc.go.jp/n/faq/a300.html
- モゲチェック 不動産投資ローンはどの銀行がオススメ?金利水準や審査基準の比較も — https://mogecheck.jp/articles/show/9xjkPQV3qGWrqWdrbNg6