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賃貸の収納扉が故障したら誰が負担する?

賃貸住宅に住んでいると、ある日突然クローゼットや押し入れの扉が壊れてしまうことがあります。「これって自分で直さないといけないの?」「退去時に高額な修理費を請求されたらどうしよう」と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。実は、収納扉の故障にかかる費用負担は、壊れた原因によって大きく変わります。この記事では、国土交通省のガイドラインをもとに、賃貸の収納扉が故障したときの費用負担の考え方を、初心者にもわかりやすく解説します。正しい知識を持っておくことで、不当な請求を防ぎ、貸主との話し合いをスムーズに進めることができます。

費用負担の基本的な考え方

費用負担の基本的な考え方のイメージ

まず押さえておきたいのは、賃貸住宅における修繕費用の負担は「誰の責任で壊れたか」によって決まるという点です。国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html)では、通常の使用による経年劣化や通常損耗は原則として貸主(大家さん)が負担し、借主の故意・過失や不注意による損傷は借主が負担するという考え方が示されています。

この考え方の背景には、借主はすでに毎月の家賃の中に通常損耗分のコストを支払っているという前提があります。国土交通省のガイドラインでは、「経年変化や通常損耗が含まれており、賃借人はその分を賃料として支払っています」と明記されています。つまり、普通に生活していて自然に傷んだ部分まで退去時に請求されるのは、費用配分の観点から合理的ではないとされているのです。

収納扉に当てはめて考えると、長年の使用でレールが摩耗したり、蝶番がゆるんだりといった劣化は通常損耗に該当する可能性が高く、貸主側の負担となるのが基本です。一方で、扉を強く蹴って割ってしまったり、重いものをぶつけて変形させてしまったりした場合は、借主の過失として修繕費を求められることになります。

収納扉は原状回復の対象になる

収納扉は原状回復の対象になるのイメージ

実は、収納扉は国土交通省のガイドラインの別表でも明確に原状回復の検討対象として挙げられています。同ガイドライン(https://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf)の別表には、「押入れ・天袋」「戸棚類」「室内ドア・扉」が洗浄・補修・調整・交換の対象箇所として記載されており、収納扉もこれらの建具・戸棚類として扱われます。

重要なのは、対象箇所として挙げられているからといって、自動的に借主負担になるわけではないという点です。あくまでも「誰の責任で損傷が生じたか」という原因の判断が先に来ます。経年劣化による扉の変形や、建付けの悪化といった自然な劣化であれば、貸主が対応すべき修繕として整理されます。

また、国土交通省の賃貸住宅標準契約書(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/keiyaku/kei01.html)でも、貸主は賃貸住宅の使用に必要な修繕を行う義務を負うと定められています。借主の故意・過失によらない故障であれば、貸主に修繕を求めることが基本的な整理となります。

故障に気づいたらすぐに連絡することが大切

収納扉の不具合を発見したときに、多くの方が「大したことないから後でいいか」と放置してしまいがちです。しかし、これは大きなリスクを伴います。国土交通省のガイドラインQ&A(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000024.html)では、物件や設備が壊れて修繕が必要になった場合、借主は賃貸人に通知する必要があるとされており、通知を怠って被害が拡大した場合には損害賠償を求められる可能性があると説明されています。

たとえば、収納扉のレールが外れたまま放置して扉が落下し、床や壁を傷つけてしまった場合、その二次的な損傷については借主の責任を問われる可能性があります。小さな不具合でも早めに管理会社や大家さんへ連絡することが、自分自身を守ることにもつながります。

連絡する際は、故障の状況を写真に撮っておくことをおすすめします。いつ・どのような状態で壊れていたかを記録しておくことで、退去時のトラブルを防ぐ証拠として活用できます。また、連絡した日時や対応内容もメモや文書で残しておくと、後々の話し合いで役立ちます。

退去時に不当な請求をされたときの対処法

退去の立会い時に、収納扉の修理費を請求されて困惑するケースも少なくありません。ここで知っておきたいのは、立会い時に損傷確認のサインをしたからといって、すべての費用を自動的に負担しなければならないわけではないという点です。国土交通省のガイドラインQ&Aでは、「賃借人の故意・過失等によるものでない損傷については、その分についてまで負担する必要はありません」と明記されています。

費用の請求内容に納得できない場合は、まず貸主や管理会社に対してガイドラインを根拠に説明を求め、話し合いの場を設けることが第一歩です。消費者トラブルFAQ(https://www.faq.kokusen.go.jp/faq/show/225?site_domain=default)でも、納得できない費用を請求された場合は国土交通省のガイドラインを参考に貸主へ説明を求めて話し合うことが案内されています。

また、修繕費用の金額についても注意が必要です。国土交通省のガイドラインQ&Aでは、借主が負担すべき費用は経過年数と通常損耗を考慮した状態にすることが前提であり、高級品へのグレードアップ費用などは負担する必要がないとされています。たとえば、古い収納扉を最新の高級品に交換する費用全額を請求されても、それは不当な請求となる可能性があります。

話し合いで解決しない場合は、国民生活センターや消費生活センターへの相談という選択肢もあります。さらに、国土交通省のガイドラインQ&Aでは、60万円以下の金銭の支払いを求める訴えであれば少額訴訟制度を利用できるとも紹介されています。収納扉の修理費程度の金額であれば、この制度が選択肢の一つになります。

特約がある場合は内容をよく確認する

賃貸契約の中には、通常であれば貸主負担となる費用を借主が負担するよう定めた「特約」が含まれていることがあります。こうした特約は一定の条件のもとで有効とされることがありますが、国土交通省のガイドラインQ&Aでは、有効性の判断基準として次の点が示されています。借主が負担すべき内容と範囲が明確に示されているか、通常損耗まで負担させる趣旨と具体的な範囲が明記または口頭で説明されているか、そして費用が妥当かどうかという点です。

同Q&Aでは、「ルームクリーニングに要する費用は賃借人が負担する」程度の文言では、通常損耗まで負担させる特約とは言えないと判断された例も紹介されています。つまり、漠然とした文言の特約は有効性が認められない場合があるということです。

収納扉に関する特約が契約書に含まれている場合は、その内容が具体的かどうかをよく確認してください。「収納扉の修繕費用は借主が負担する」という一文だけでは、特約として有効と認められない可能性があります。契約時に不明な点があれば、署名する前に必ず確認・交渉することが大切です。

まとめ

賃貸住宅の収納扉が故障した場合の費用負担は、「通常の使用による経年劣化か」「借主の故意・過失によるものか」という原因の判断が基本となります。国土交通省のガイドラインでは、通常損耗は貸主負担、借主の過失は借主負担という考え方が示されており、退去時に不当な請求をされた場合はこのガイドラインを根拠に話し合いを求めることができます。また、故障に気づいたら放置せず、早めに管理会社や大家さんへ連絡することが自分自身を守ることにもつながります。正しい知識を持っておくことで、トラブルを未然に防ぎ、万が一の際にも冷静に対処できるようになります。賃貸生活をより安心して送るために、ぜひ今回の内容を参考にしてください。

参考文献・出典

  • 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html
  • 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)のQ&A — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000024.html
  • 国土交通省 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(PDF) — https://www.mlit.go.jp/common/001016469.pdf
  • 国土交通省 賃貸住宅標準契約書について — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/torikumi/keiyaku/kei01.html
  • 国民生活センター 消費者トラブルFAQ「賃貸住宅 退去後、敷金が返還されない。返金してほしい。」 — https://www.faq.kokusen.go.jp/faq/show/225?site_domain=default
  • 国民生活センター「賃貸住宅の原状回復トラブルにご注意!」 — https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20260217_1.html
  • UR都市機構「賃貸物件の退去費用。内訳や負担区分、費用を抑えるポイント」 — https://www.ur-net.go.jp/chintai/college/202206/000902.html
  • UR都市機構「原状回復ガイドラインとは?賃貸住宅に安心して住むための基準」 — https://www.ur-net.go.jp/chintai/college/202304/001043.html

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