不動産の税金

マイホーム売却の3000万円特別控除|適用できる5つの条件

マイホームを売ったとき、思いがけず大きな利益が出て「税金はどうなるの?」と不安になる方は少なくありません。特に相続した実家や、住み替えで手放す自宅を売る場合、譲渡所得税という税金が発生することがあります。そんなときに強力な味方になるのが「3,000万円特別控除」という制度です。この記事では、国税庁の公式情報をもとに、控除の仕組みから適用できるケース・できないケースまで、専門用語をできるだけ使わずに説明します。「自分は使えるのかどうか」を確かめながら読み進めてください。

3000万円特別控除とはどんな制度か

3000万円特別控除とはどんな制度かのイメージ

まず、この制度の基本的な仕組みを押さえておきましょう。マイホームを売ると、売った金額から購入時の費用や売却にかかった費用を引いた「もうけ」に対して税金がかかります。この「もうけ」のことを「譲渡所得(じょうとしょとく)」と呼びます。

3,000万円特別控除とは、この譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける制度です(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm)。売った金額そのものから引くのではなく、「もうけ」の部分から引く点が重要です。たとえば譲渡所得が2,500万円であれば、控除額は3,000万円ではなく2,500万円が上限になります。つまり、もうけが3,000万円未満なら、実質的に税金がゼロになる可能性がある制度です。

また、この制度は所有期間の長さに関係なく使えます。「5年以上持っていないとダメ」という縛りはありません。売った年に確定申告をすることが条件ですが、それさえ満たせば幅広いケースで活用できます。

ここまでのまとめ: 3,000万円特別控除は「売却益(譲渡所得)」から最高3,000万円を引ける制度で、所有期間は問わない。

適用できる主な条件

適用できる主な条件のイメージ

重要なのは、「どんなマイホームでも使えるわけではない」という点です。国税庁の情報をもとに、主な適用条件を確認していきましょう(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm)。

まず、売る家は「自分が所有者として住んでいた家」であることが必要です。現在住んでいる家はもちろん、以前住んでいた家でも対象になります。ただし、以前住んでいた家の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが条件です。たとえば2023年6月に引っ越した場合、2026年12月31日までに売却を完了させる必要があります。

次に、売る相手が「親子や夫婦など特別の関係がある人」ではないことが求められます。生計を一にする親族や内縁関係の方への売却も、この「特別の関係」に含まれます。家族間での売買は、たとえ正式な契約であっても控除の対象外となる点に注意が必要です。

さらに、売った年の前年・前々年に同じ特例や、マイホームの買換え特例などを使っていないことも条件のひとつです。つまり、3年に1回しか使えないイメージです。過去に使ったことがある方は、いつ使ったかを確認しておきましょう。

ここまでのまとめ: 「自分が住んでいた家」「売り先が身内でない」「過去3年以内に同じ特例を使っていない」の3点が主な条件。

使えないケースと注意が必要な状況

ポイントは、一見使えそうに見えても、実は対象外になるケースがあることです。代表的な落とし穴をいくつか確認しておきましょう。

まず、節税目的だけで一時的に住んだ家には使えません。「控除を受けるためだけに住民票を移した」「数週間だけ住んだ」といったケースは対象外です。また、別荘や保養目的の家も対象外となります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm)。

家を取り壊して土地だけを売る場合も、原則として特例は使えません。ただし、取り壊した日から1年以内に売買契約を結び、かつ住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売ること、さらに取り壊してから契約までの間に駐車場などとして貸していないことが条件を満たせば、例外的に使える場合があります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3320.htm)。更地にした後に駐車場として貸してしまうと、特例が使えなくなるため、売却を急ぐ場合でも安易に貸し出さないことが大切です。

店舗兼住宅(1階が店舗、2階が自宅など)の場合は、居住部分だけが対象です。ただし、居住部分が全体の一定割合以上であれば、建物全体を居住用として扱える場合があります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3452.htm)。

ここまでのまとめ: 一時的な居住・別荘・更地売却・身内への売却は原則対象外。取り壊し後の土地は貸し出し前に売ることが重要。

共有名義・家屋と土地の所有者が違う場合

実は、共有名義のマイホームや、家屋と土地の所有者が異なるケースでは、控除の計算方法が変わります。相続した実家などでよく起こる状況なので、しっかり確認しておきましょう。

共有名義の場合、3,000万円の控除は「全員で3,000万円」ではありません。適用を受けられる共有者1人につき最高3,000万円が控除されます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3308.htm)。たとえば兄弟2人で共有しているマイホームを売る場合、それぞれが条件を満たせば、それぞれ最高3,000万円の控除を受けられる可能性があります。これは大きなメリットです。

一方、家屋と土地の所有者が異なる場合(たとえば家屋は夫、土地は妻など)は少し複雑です。原則として特例を使えるのは家屋の所有者だけですが、同時に売ること・親族関係にあること・生計を一にしていること・同居していることの全条件を満たせば、土地の所有者も使える場合があります(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3311.htm)。ただしこの場合、控除の合計は2人合わせて3,000万円が上限となり、まず家屋の所有者から差し引かれます。

ここまでのまとめ: 共有名義は1人ずつ最高3,000万円が使えるが、家屋と土地の所有者が違う場合は合計3,000万円が上限になる。

確定申告の手続きと住宅ローン控除との関係

この特例を受けるには、必ず確定申告が必要です。「自動的に適用される」ものではないため、手続きを忘れると控除を受けられません(国税庁 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm)。

申告期間は、マイホームを売った年の翌年2月16日から3月15日までです(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm)。3月15日が土曜・日曜の場合は翌日が期限になります。提出書類は「譲渡所得の内訳書」が基本で、住民票の住所と売却した物件の所在地が異なる場合は「戸籍の附票の写し」なども必要になります。また、土地・建物の売却がある場合は「申告書第三表(分離課税用)」も一緒に提出します。

もうひとつ注意したいのが、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)との関係です。新しく購入した家で住宅ローン控除を使う予定がある場合、入居した年またはその前後2〜3年以内に3,000万円特別控除を使うと、住宅ローン控除が受けられなくなります。住み替えをする方は、どちらの控除を優先するかを事前に検討することが大切です。

一方で、所有期間が10年を超えるマイホームを売る場合は、3,000万円特別控除と「軽減税率の特例」を重ねて使うことができます(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm)。ただし、マイホームの買換え特例とは選択適用となり、同時には使えません。

ここまでのまとめ: 確定申告は翌年2月16日〜3月15日が期限。住宅ローン控除との併用はできないため、住み替えの場合は事前に比較検討を。

まとめ

3,000万円特別控除は、マイホームを売ったときの税負担を大きく減らせる制度です。ただし「自分が住んでいた家であること」「売り先が身内でないこと」「過去3年以内に同じ特例を使っていないこと」など、いくつかの条件を満たす必要があります。更地にして売る場合や、共有名義・家屋と土地の所有者が異なる場合は、さらに細かいルールがあります。

また、特例を受けるには確定申告が必須です。住宅ローン控除との兼ね合いも含め、売却前に全体像を把握しておくことが、後悔のない判断につながります。不明な点は国税相談専用ダイヤル(0570-00-5901)や、所轄の税務署に事前予約のうえ相談することをおすすめします(国税庁 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shirabekata/9200.htm)。

ご自身の物件がいくらで売れるか、実際の成約データで確かめてみるのが、次の一歩として最も早道です。

参考文献・出典

  • 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
  • 国税庁 No.3314 過去に居住していたマイホームを売ったとき — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3314.htm
  • 国税庁 No.3320 マイホームを取り壊した後に敷地を売ったとき — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3320.htm
  • 国税庁 No.3308 共有のマイホームを売ったとき — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3308.htm
  • 国税庁 No.3311 家屋と敷地の所有者が異なるとき — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3311.htm
  • 国税庁 No.3317 配偶者等だけが住んでいるマイホームを売ったとき — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3317.htm
  • 国税庁 No.3452 店舗併用住宅を売ったときの特例 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3452.htm
  • 国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm
  • 国税庁 No.2020 確定申告 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2020.htm
  • 国税庁 No.2036 確定申告書の税務署への送付 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2036.htm
  • 国税庁 税についての相談窓口 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shirabekata/9200.htm
  • 国税庁 土地や建物を売ったとき — https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm
  • 国税庁 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例適用チェック表 — https://www.nta.go.jp/about/organization/nagoya/topics/tokurei/pdf_r06/16.pdf
電宅男
監修 電宅男 宅地建物取引士 / MBA|株式会社青山地所 営業部

一橋大学大学院MBA修了。大手デベロッパー法人部門、買取再販会社を経て現職。区分リノベ再販・都心事業用物件の買取再販を手がけ、業界7年の知見で記事を監修。

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