不動産の税金

相続した土地の測量・境界確定にかかる費用と2026年の注意点

親や祖父母から土地を相続したとき、「測量や境界確定って本当に必要なの?」「費用はどのくらいかかるの?」と戸惑う方は少なくありません。特に2024年4月から相続登記が義務化されたことで、手続きの流れを正確に把握しておくことがこれまで以上に重要になっています。この記事では、相続した土地で測量・境界確定が必要になる場面から、現況測量と確定測量の違い、費用の目安、隣地の立会いが取れないときの対処法まで、初心者にもわかりやすく解説します。相続手続きをスムーズに進めるための参考として、ぜひ最後までお読みください。

相続登記の義務化と測量が必要になる場面

相続登記の義務化と測量が必要になる場面のイメージ

まず押さえておきたいのは、2024年4月1日から相続登記が義務化されたという点です。法務省の案内(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html)によると、義務の起算点は「特定の不動産を相続で取得したことを知った日」であり、原則としてそこから3年以内に登記を申請しなければなりません。3年以内に遺産分割が難しい場合は、相続人申告登記という簡易な手続きで義務を一時的に履行する余地もあります。

では、相続登記に際して測量が必ず必要かというと、そうではありません。測量が必要になりやすいのは、特定の状況が重なったときです。具体的には、古い土地で境界が不明確な場合、登記簿上の地積(面積)と実際の面積に差がある場合、相続人ごとに土地を分ける分筆を希望する場合、売却予定があって正確な境界を示す必要がある場合、そして隣地との境界トラブルを未然に防ぎたい場合などが代表的です。

法務省の案内(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00519.html)でも、分筆登記や地積更正登記の申請には土地を測量し、地積測量図などの資料を法務局へ提出する必要があると明示されています。また、不動産登記法では地目や地積に変更があった場合、変更日から1か月以内に変更登記を申請することが原則とされています(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123)。相続した土地の状況をまず確認し、測量が必要かどうかを土地家屋調査士に相談することが、手続き全体をスムーズに進める第一歩となります。

現況測量と確定測量の違いを正しく理解する

現況測量と確定測量の違いを正しく理解するのイメージ

測量には大きく分けて「現況測量」と「確定測量(境界確定測量)」の2種類があり、目的と費用が異なります。この違いを理解しておくことが、無駄な出費を防ぐうえで非常に重要です。

現況測量とは、隣地所有者の立会いや同意を得ずに、現時点での土地の形状や面積を把握するために行う測量です。境界の法的な確定はしないため、あくまで「現状の把握」にとどまります。費用の目安は、民間の不動産情報サイトなどで一定の相場が示されていますが、実際の費用は土地の規模や条件によって異なります。

一方、確定測量(境界確定測量)は、隣地所有者全員の立会いと署名・押印を得て、境界を法的に確定させる測量です。売却や分筆を伴う相続では、確定測量が必要になるケースがほとんどです。費用は土地の規模や隣接地の筆数によって異なりますが、民間の情報では数十万円程度の相場が示されています。また、日本土地家屋調査士会連合会(日調連)の2022年度報酬ガイド(https://www.chosashi.or.jp/media/hoshuguide_single_r04.pdf)によると、土地地積更正登記の全国平均報酬額は390,316円、土地分筆登記は422,909円でした。

ここで注意したいのは、「境界」という言葉が実は2つの意味を持つ点です。一般的に「境界」と呼ばれるものには、公法上の「筆界」と私法上の「所有権界」があり、両者がずれることがあります。確定測量で確定するのは主に筆界であり、所有権の範囲まで自動的に解決されるわけではありません。この区別を知っておくと、後のトラブルを防ぐことができます。

費用を押し上げる要因と官民査定の注意点

確定測量の費用は、条件によって大きく変わります。アットホームの情報によると、費用が高くなりやすい要因として、隣接する土地所有者が多いこと、隣接地が国や市区町村の場合(官民査定が必要になること)、境界標が残っていないまたは資料が少ないこと、土地の形状が複雑で境界点が多いことが挙げられています。

なかでも注意が必要なのが、道路(公道)に接している土地の場合です。公道に面した土地では、国や自治体との官民境界確定が別途必要になり、費用と期間が増加することがあります。土地家屋調査士に相談することで、官民査定の手続きにかかる期間や費用の目安を確認し、相続手続き全体のスケジュールに影響を与えることを念頭に置いておく必要があります。

また、日調連の説明によると、土地家屋調査士の報酬は2003年8月1日から自由化されており、事務所ごとに報酬を定めることができます。そのため、同じ土地でも依頼先によって費用が異なることがあります。複数の土地家屋調査士に見積もりを依頼し、費用だけでなく対応の丁寧さや実績も比較したうえで選ぶことをおすすめします。

費用を抑えるための第一歩として、法務局で既存の地積測量図を確認することも有効です。法務局のオンラインサービス(https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/shomeisho_000001.html)では、地積測量図などの図面証明書をオンラインで取得できます。過去に測量が行われていれば、その図面が残っている可能性があり、再測量の必要性を判断する材料になります。

隣地の立会いが取れないときはどうなるのか

確定測量を進めるうえで、現実的な壁となりやすいのが隣地所有者の立会い問題です。隣地の所有者が遠方に住んでいる、連絡が取れない、あるいは立会いを拒否するといったケースは珍しくありません。

このような場合、まず土地家屋調査士が隣地所有者への連絡・調整を代行します。それでも合意が得られない場合の選択肢の一つが、法務局の「筆界特定制度」です。法務省の案内(https://www.moj.go.jp/MINJI/minji104.html)によると、この制度は公的機関が筆界の位置を特定するものです。ただし、東京法務局のQ&A(https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/hikkai-qanda.html)では、筆界特定は新たに筆界を決めるものではなく、行政処分でもないため、法的に不可争力をもって筆界を確定するものではないと明示されています。あくまで公的機関による判断の証明にとどまる点は理解しておく必要があります。

筆界特定の申請手数料は、固定資産課税台帳に登録された土地の価格をもとに計算されます。また、筆界特定の手続きで専門家による測量が必要になった場合、費用が発生することがあり、その費用は申請人が負担することになります。隣地との関係が複雑な場合は、早い段階で土地家屋調査士や弁護士に相談することが、時間と費用の節約につながります。

測量費用は誰が負担するのか、登記費用も含めて確認する

相続した土地を売却する場合、測量費用は原則として売主(相続人)が負担するのが一般的です。買主は正確な境界が確定した土地を購入したいと考えるため、売主側が確定測量を済ませておくことが取引の前提条件となるケースが多くあります。ただし、費用負担の取り決めは当事者間の合意によるものであり、個別の事情によって異なります。

相続人同士で土地を分ける分筆の場合は、分筆にかかる測量・登記費用を相続人全員で分担するケースが多いですが、こちらも話し合いによって決まります。費用の分担方法は、遺産分割協議の段階で明確にしておくことがトラブル防止につながります。

登記費用についても確認しておきましょう。国税庁の情報(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm)によると、相続による土地の所有権移転登記の登録免許税は不動産価額の1000分の4です。また、2027年3月31日まで、課税標準100万円以下の土地には免税措置が設けられています。分筆登記の登録免許税については、登録免許税法(https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035/20240401_504AC0000000069)により、分筆後の不動産1個につき1,000円とされています。測量費用だけでなく、登記費用も含めた総費用を事前に把握しておくことが、資金計画の精度を高めます。

まとめ

相続した土地の測量・境界確定は、状況によって必要性も費用も大きく異なります。現況測量は比較的低額で済む一方、確定測量はより高額になることもあり、官民査定が加わるとさらに費用と期間が増えます。相続登記の義務化により手続きの期限も生じているため、まずは法務局で既存の地積測量図を確認し、土地家屋調査士に早めに相談することをおすすめします。隣地との関係や土地の状況を整理したうえで、測量の種類と費用を見極めることが、相続手続きを円滑に進める鍵となります。費用や手続きの詳細は個別事情によって異なるため、最新情報は各公的機関の公式サイトや専門家にご確認ください。

参考文献・出典

  • 法務省 相続登記の申請義務化に関するQ&A — https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00565.html
  • 法務省 筆界特定制度 — https://www.moj.go.jp/MINJI/minji104.html
  • 東京法務局 筆界特定制度に関するよくある質問 — https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/static/hikkai-qanda.html
  • 法務省 隣の土地の所有者が分からなくてお困りの方へ — https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00519.html
  • e-Gov法令検索 不動産登記法 — https://laws.e-gov.go.jp/law/416AC0000000123
  • e-Gov法令検索 不動産登記令 — https://laws.e-gov.go.jp/law/416CO0000000379
  • e-Gov法令検索 登録免許税法 — https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000035/20240401_504AC0000000069
  • 国税庁 No.7191 登録免許税の税額表 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
  • 法務局 登記事項証明書・地図・図面証明書の取得 — https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/shomeisho_000001.html
  • 日本土地家屋調査士会連合会 報酬ガイド(2022年度) — https://www.chosashi.or.jp/media/hoshuguide_single_r04.pdf
  • アットホーム 測量費用の相場と測量が必要なケース — https://www.athome.co.jp/contents/for-sellers/sellers-kiso/surveying-cost/
  • HOME’S 土地売却で測量は必要?費用相場や確定測量の流れも解説 — https://www.homes.co.jp/satei/media/entry/202405/0301
  • 土地家屋調査士大崎事務所 境界確定測量とは?費用・期間を徹底解説 — https://osk-survey.com/articles/what-is-survey/
  • アジャスト土地家屋調査士法人 料金について — https://adjust.or.jp/price

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