不動産の税金

リースバック売却で税金はいくらかかる?2026年の計算例と節税特例

自宅を売ってそのまま住み続けられる「リースバック」は、老後の資金確保や生活費の工面に役立つ仕組みとして注目されています。しかし「売却したら税金はどうなるの?」「確定申告は必要?」という疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。実は、リースバックの売却にも通常の不動産売却と同じ税金のルールが適用されます。ただし、要件を満たせば最大3,000万円の控除が使える特例もあり、税負担をゼロにできるケースも少なくありません。この記事では、税金の計算の仕組みから節税に使える特例、確定申告の手続きまで、初めての方にも分かりやすく解説します。

リースバックとは何か、まず仕組みを確認しよう

リースバックとは何か、まず仕組みを確認しようのイメージ

リースバックとは、自宅を売却して現金を受け取り、その後は毎月の家賃を払いながら同じ家に住み続ける取引です(国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブック」)。売却後は所有権がリースバック事業者に移るため、固定資産税などの支払い義務はなくなります。一方で、毎月の家賃負担が新たに発生する点は、事前にしっかり確認しておく必要があります。

あなたが今どのような状況にあるかによって、リースバックの使い方は変わります。たとえば「老後の生活費を確保したい」「住宅ローンの返済が苦しい」「相続した実家を整理したい」など、事情はさまざまです。いずれの場合も、売却によって得た資金には税金がかかる可能性があるため、事前に把握しておくことが大切です。

また、リースバックで家を事業者に売る場合、宅建業法に基づくクーリング・オフ(一定期間内であれば無条件で契約を取り消せる制度)は適用されません(国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブック」)。契約前に内容をしっかり確認することが重要です。

ここまでのまとめ: リースバックは売却後も住み続けられる仕組みだが、税金やクーリング・オフの制限など注意点もある。

売却で利益が出たときにかかる税金の仕組み

売却で利益が出たときにかかる税金の仕組みのイメージ

リースバックで自宅を売った場合、利益(譲渡所得)が出ると税金がかかります。計算式はシンプルで、「売却価格 ー(取得費+譲渡費用)ー 特別控除額」が課税対象の利益になります(国税庁 No.3208)。取得費とは、もともとその家を買ったときの代金や建築費、購入時の手数料などです。建物部分は所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します(国税庁 No.3252)。

譲渡費用には、売却時の仲介手数料や売主が負担した印紙税などが含まれます。一方で、固定資産税や修繕費などの維持管理費は譲渡費用に含められません(国税庁 No.3255)。また、売却時に買主から受け取る固定資産税・都市計画税の精算金相当額は、売却価格(収入金額)に含めて計算する点も覚えておきましょう(国税庁 No.3214)。

取得費が分からない場合や、実際の取得費が売却価格の5%より少ない場合は、売却価格の5%を「概算取得費」として使うことができます(国税庁 No.3208)。たとえば3,000万円で売れた場合、概算取得費は150万円になります。ただし実際の取得費が分かる場合はそちらを使った方が有利なことが多いため、古い売買契約書や領収書は大切に保管しておきましょう。

ここまでのまとめ: 利益=売却価格ー取得費ー譲渡費用で計算し、取得費が不明なら売却価格の5%を使える。

所有期間で税率が大きく変わる

不動産の売却益にかかる税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間によって大きく異なります。これは多くの方が見落としがちな重要なポイントです。

所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」となり、所得税15%・住民税5%が適用されます(国税庁 No.3208)。一方、所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」となり、所得税30%・住民税9%と、税率がほぼ2倍になります(国税庁 No.3211)。長く住んでいた自宅をリースバックで売る場合は、多くのケースで長期譲渡所得の税率が適用されます。

さらに、長期譲渡所得の所得税には「復興特別所得税」として基準所得税額の2.1%が上乗せされます(国税庁 No.3208)。この復興特別所得税は令和19年まで続く制度です。つまり長期譲渡所得の実質的な所得税率は15%×1.021=約15.315%となります。住民税5%と合わせると、合計で約20.315%が税率の目安です。

ここまでのまとめ: 5年超の所有なら税率は約20%、5年以下なら約39%と大きな差があるため、所有期間の確認が必須。

最大3,000万円が非課税になる特別控除の活用

リースバックで自宅を売る場合でも、要件を満たせば「居住用財産の3,000万円特別控除」が使える可能性があります(国税庁 No.3302)。この特例は、マイホームを売ったときに譲渡所得から最高3,000万円を差し引けるもので、所有期間の長短は問いません。

主な適用要件は、現在自分が住んでいる家屋であること、転居後3年目の年末までに売ること、そして親子・夫婦など特別な関係のある人への売却でないことなどです(国税庁 No.3302)。リースバックの場合、売却先は事業者であることが一般的なため、「特別関係者への売却」には通常あたりません。ただし、居住用財産の要件を満たしているかどうかは個別の事情によりますので、税務署や税理士に確認することをおすすめします。

さらに、売却した年の1月1日時点で家屋と敷地の所有期間がともに10年を超えている場合は、「軽減税率の特例」も利用できます(国税庁 No.3305)。この特例では、課税対象の利益が6,000万円以下の部分について所得税が10%に下がります。3,000万円特別控除と組み合わせて使うことも可能です。たとえば、売却益が4,000万円あった場合、3,000万円を控除した残り1,000万円に対して軽減税率10%が適用されるイメージです。

ここまでのまとめ: 自宅売却なら3,000万円控除が使える可能性が高く、10年超所有なら軽減税率との併用も検討できる。

確定申告の手続きと消費税・印紙税の扱い

利益が出た場合は翌年に確定申告が必要です(国税庁「不動産等を売却した方へ」)。3,000万円特別控除や軽減税率の特例を使う場合も、自動的には適用されないため、必ず確定申告で申請する必要があります。申告の際には「譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]」を添付します(国税庁 No.3302)。

住民票の住所と売却した物件の所在地が異なる場合は、戸籍の附票の写しなどの追加書類が必要になります(国税庁 No.3302)。また、軽減税率の特例を使う場合は、売却した家屋・敷地の登記事項証明書(法務局で取得できる書類)も必要です(国税庁 No.3305)。書類の準備は早めに始めると安心です。

消費税については、個人が生活用として使っていた自宅を売る場合は課税対象になりません(国税庁 No.6109)。また、リースバック後の家賃(住宅の賃貸借)も、原則として消費税は非課税です(国税庁 No.6225)。一方、売買契約書には印紙税がかかります。契約金額によって税額が変わり、軽減措置の適用期限は令和9年3月31日まで確認されています(国税庁 No.7101)。

固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日時点の所有者に課税されます(東京都主税局)。そのため、年の途中でリースバック売却をしても、その年の固定資産税の納税義務者は1月1日時点の所有者です。売買時に日割り精算する慣行がありますが、その精算金は売却価格に含めて計算する点も覚えておきましょう。

税務に関する一般的な相談は、各国税局に設置されている「電話相談センター」に問い合わせることができます(国税庁)。契約や勧誘に関するトラブルは、消費者ホットライン「188」に相談できます(消費者庁)。

ここまでのまとめ: 利益が出たら確定申告は必須。自宅売却の消費税は非課税だが、売買契約書の印紙税は別途かかる。

まとめ

リースバックで自宅を売却した場合、通常の不動産売却と同じ税金のルールが適用されます。利益が出れば譲渡所得税がかかりますが、所有期間が5年超なら税率は約20%、10年超なら軽減税率の特例も使えます。さらに、居住用財産の3,000万円特別控除の要件を満たせば、多くのケースで税負担をゼロまたは大幅に減らすことができます。特例を使うには確定申告が必要ですので、売却後は早めに書類の準備を始めることをおすすめします。税金の計算は個別の事情によって大きく変わりますので、不安な点は税理士や税務署に相談しながら進めましょう。

ご自身の物件がいくらで売れるか、実際の成約データで確かめてみるのが、次の一歩として最も確実な方法です。

参考文献・出典

  • 国土交通省「住宅のリースバックに関するガイドブック」 — https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001489269.pdf
  • 国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm
  • 国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm
  • 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm
  • 国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm
  • 国税庁 No.3252 取得費となるもの — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3252.htm
  • 国税庁 No.3255 譲渡費用となるもの — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm
  • 国税庁 No.3214 土地建物を売ったときの収入金額に含める金額 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3214.htm
  • 国税庁「不動産等を売却した方へ|令和7年分 確定申告特集」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tokushu/keisubetsu/fudousan.htm
  • 国税庁 No.6109 事業者が事業として行うものとは — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6109_qa.htm
  • 国税庁 No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6225.htm
  • 国税庁 No.7101 不動産の譲渡・土地の賃貸借・消費貸借・運送等に関する契約書 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7101.htm
  • 東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」 — https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/kazei/real_estate/kotei_tosi
  • 国税庁「国税に関するご相談について」 — https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sodan/denwa-sodan/index.htm
  • 消費者庁「申出・問合せ窓口」 — https://www.caa.go.jp/policies/application/inquiry/
電宅男
監修 電宅男 宅地建物取引士 / MBA|株式会社青山地所 営業部

一橋大学大学院MBA修了。大手デベロッパー法人部門、買取再販会社を経て現職。区分リノベ再販・都心事業用物件の買取再販を手がけ、業界7年の知見で記事を監修。

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