不動産物件購入・売却

古家付きで売るか、更地にして売るか|土地の成約47,108件で比べました

古い家が建っている土地を売るとき、多くの方が最初に迷うのがここです。「家を壊してから売ったほうが、高く売れるのではないか」。不動産会社に聞くと、壊したほうがいいと言う人もいれば、そのままでいいと言う人もいます。答えが分かれるので、余計に迷います。

そこで、実際に売れた土地のデータで確かめました。当社が独自に集計した東京・神奈川・千葉の土地の成約47,108件(直近5年)です。このうち古い家が建ったまま売られたものと、更地で売られたものを分けて、1㎡あたりの単価を比べました。結果は古家あり0.99倍、更地0.97倍。ほとんど差がありませんでした。同じ市区の土地の中央値を1.00としたときの数字です。

まず、数字を見てみます

集計した47,108件の内訳です。土地の広さは、どちらのグループも中央値148㎡(約45坪)で、ほぼ同じでした。

古家あり更地
件数23,234件12,464件
1㎡単価(同じ市区の中央値=1.00)0.990.97
土地の広さ(中央値)148.0㎡148.1㎡
売れるまでの日数(中央値)60日55日
90日以内に売れた割合62.5%62.7%
値下げして決まった割合76.7%53.4%
値下げ幅(中央値)11.6%8.4%
東京・神奈川・千葉で直近5年に成約した土地。建売や建築条件付きの分譲地は別に分けてあります(当社が独自に集計)。

ちなみに、この47,108件の内訳は、古家あり49.4%、更地26.9%、残りの23.6%が建売業者などが売る分譲地でした。売られている土地の半分は、古い家が建ったままです。めずらしい売り方ではありません。

数字の読み方をひとつ。「同じ市区の中央値=1.00」というのは、その市区で売れた土地の真ん中の単価を1.00としたときに、そのグループがどのあたりにいるかを表したものです。エリアによって値段が全然違うので、そのままの金額で比べると意味がなくなります。だから市区の中でならしています。

ここまでのまとめ:更地にしても、1㎡あたりの単価はほとんど変わりませんでした。売れるまでの日数も5日しか違いません。

「更地のほうが高く売れる」が成り立たない理由

意外に思われるかもしれません。仕組みを説明します。

古い家が建った土地を買う人は、その家を壊すつもりで買っています。ですから、頭の中で計算をしています。「この土地は2,500万円の価値がある。解体に150万円かかる。だから2,350万円までなら出せる」。買主は、解体費用を引いた金額を提示してきます。

では、売主が先に壊しておけばどうなるか。買主は2,500万円を出します。ただし売主は、自分で150万円を払っています。手元に残るのは2,350万円です。どちらの順番でも、手取りはほぼ同じになります。これが、単価に差が出なかった理由です。

ここで大事なのは、解体費用を先に出せるかどうかです。木造の家なら、解体には100万円から200万円ほどかかるのが一般的です。家が大きい、前の道路が狭くて重機が入らない、といった条件があると、もっとかかります。この金額を、売れる前に自分で用意することになります。売れる保証はまだありません。

ここまでのまとめ:解体費用は、先に払うか、値引きの形で払うかの違いだけです。手取りはあまり変わりません。

更地にすると、3つのことが起きます

単価が変わらないなら、更地にする意味は無いのでしょうか。そうとも限りません。ただし、次の3つは知っておいてください。

1. 固定資産税が上がります

住宅が建っている土地には、税金を安くする決まりがあります。200㎡までの部分について、固定資産税の計算のもとになる額が6分の1になる、というものです。家を壊すと、この扱いが外れます。実際の税額は、数倍になります。

基準になるのは1月1日の状態です。ですから、12月に壊すのと1月に壊すのとでは、1年分の税額が変わります。壊す時期は、この点を確かめてから決めてください。

2. 元には戻せません

当たり前のようですが、これがいちばん怖いところです。前の道路が4mない土地や、道路に2m接していない土地では、壊した瞬間に次の家が建てられなくなることがあります。そうなると、土地の値段は半分近くまで落ちます。

壊す前に、役所の建築を担当する窓口で「この土地に建て直せますか」と聞いてください。無料で教えてもらえます。この一手間を省いて、取り返しのつかないことになった例があります。

3. 買い手の層が少し変わります

更地は、土地を見に来た人がその場で広さを実感できます。境界の杭も見えます。買主にとっては分かりやすい。一方で、古家がある土地には「まだ住めるかもしれない」という買い手も来ます。少しリフォームして住みたい人です。この層は、更地では来ません。

集計でも、90日以内に売れた割合はどちらも62%台でほぼ同じでした。買い手が来るスピードは、更地にしても変わっていません。

ここまでのまとめ:税金が上がる、戻せない、買い手の層が変わる。この3つを確かめてから決めてください。

では、あなたの場合はどうするか

判断の分かれ目を、4つに整理しました。

  • 建て直せるかどうかが不安な土地——壊さないでください。まず役所で確かめる。ここだけは順番を間違えないでください。
  • 解体費用を出す余裕がない——古家付きのまま売って構いません。データを見るかぎり、手取りはほとんど変わりません。
  • 家が傷んでいて、見せられる状態でない——ここは例外です。雨漏りしている、庭が荒れている、中に荷物が残っている。こういう家は、見た瞬間に買い手が引きます。片付けと、場合によっては解体を考える価値があります。
  • 土地が200㎡(約60坪)より広い——集計では、200㎡以上の更地は同じ市区の中央値の0.82倍でした。古家ありの0.92倍より低く出ています。広い更地は買える人が限られるため、更地にする利点は小さくなります。

もう一つ。集計では、古家ありの土地は76.7%が値下げして決まっていました。更地の53.4%と比べると、かなり高い数字です。理由は、古家ありのほうが最初の値付けを高めにしやすいからだと見ています。「解体費用のぶんは買主に持ってもらう」という前提で、相場に近い金額で出す。ところが買主はそこから引いて考えるので、話がまとまらず、あとから下げることになります。

つまり、あなたの場合はこう考えてください。古家付きで売るなら、最初から解体費用のぶんを引いた金額で出す。そのほうが、結果として早く、高く決まります。

ここまでのまとめ:建て直せるかを確かめ、家の状態を見て、広さを見る。そのうえで、値付けは解体費用を引いた金額から始める。

古家付きで売るときに、決めておく3つのこと

古家付きで売ると決めたら、契約の前に3つを整理しておいてください。ここを曖昧にしたまま進めると、引渡しの直前でもめます。

一つめは、建物の不具合の責任です。ふつうの売買では、あとから雨漏りやシロアリが見つかった場合、売主が直す責任を負います。ただし古い家では、この責任を負わない約束にするのが一般的です。「建物の状態については責任を負わない」と契約書に書きます。そのかわり、知っている不具合は先に全部伝えます。伝えていないことが後から出てくると、この約束は効きません。

二つめは、家の中の荷物です。仏壇、ピアノ、物置、庭石。「そのまま置いていっていいですか」と聞かれることがありますが、原則は空にして引き渡します。処分を買主に頼むなら、その分を値段から引く形にして、契約書に書いてください。口約束だと必ず食い違います。

三つめは、解体を誰がいつやるかです。売主が引渡し前に壊す約束にする場合、壊してみて地中から古い基礎やガラが出てくることがあります。その費用を誰が持つかを、先に決めておいてください。実務では、ここでもめる例が多いところです。

ここまでのまとめ:建物の責任・残す荷物・解体の負担。この3つを契約書に書けば、あとの手間がほとんど消えます。

「中古の家」として売る道もあります

選択肢はもう一つあります。土地としてではなく、中古の家として売る方法です。ただし、建物の年齢によって結果がかなり違います。同じ市区の土地の単価を1.00として比べました。

成約したときの築年数件数土地の単価との比
築30〜40年8,863件1.01
築40〜50年5,147件0.81
築50年以上2,958件0.64
中古の家として売れた場合の、土地1㎡あたりの成約価格(建物込み)を、同じ市区の土地の単価と比べたもの。東京・神奈川・千葉、直近5年(当社が独自に集計)。

築30年から40年なら、土地の値段とほぼ同じです。建物にはもう値が付いていませんが、マイナスにもなっていません。ところが築40年を超えると0.81、築50年を超えると0.64まで下がります。建物が価値を持たないどころか、足を引っぱっている状態です。

ですから、目安はこうなります。築40年より新しく、まだ住める状態なら、中古の家として売ることを検討する。それより古いなら、土地として売ったほうが素直です。

当社では、こう見ています

当社は買取と仲介の両方を行っているため、古家付きの土地を買う側の計算と、売る側の計算の両方を見ています。買う側に立つときは、解体費用と、廃棄物の処分費と、地中に何か埋まっていた場合の予備費を引いて金額を出します。この引き算の中身は、売主の方にもそのままお伝えしています。金額の理由が分かっていれば、解体するかどうかをご自分で決められるからです。ご相談は毎月500件ほどいただいており、実務では「壊さずに出して、値付けだけ直す」ことをお勧めする場面が多くなっています。

次の一歩

先にやるべきことは二つです。役所で建て直せるかを確かめること。そして、そのエリアの土地がいくらで売れているかを知ることです。市区ごとの成約価格・値下げ幅・売れるまでの日数は土地・戸建ての相場データベースにまとめてあります。ご自分の市区のページを見てから、値付けの話を始めてください。

そのうえで「うちの土地はいくらか」を知りたい方は、この記事の下のご案内からどうぞ。古家付きで出した場合と、更地にした場合の両方を並べてお出しします。

まとめ

  • 土地の成約47,108件で、1㎡単価は古家あり0.99・更地0.97。更地にしても単価は上がっていない
  • 売れるまでの日数も60日と55日でほぼ同じ。90日以内に売れた割合はどちらも62%台
  • 解体費用は、先に払うか値引きで払うかの違い。手取りはあまり変わらない
  • 更地にすると固定資産税が上がり、建て直せない土地では価値が半分近くまで落ちる。壊す前に役所で確認する
  • 古家ありは76.7%が値下げして決まっている。最初から解体費用を引いた金額で出すほうが早い
電宅男
監修 電宅男 宅地建物取引士 / MBA|株式会社青山地所 営業部

一橋大学大学院MBA修了。大手デベロッパー法人部門、買取再販会社を経て現職。区分リノベ再販・都心事業用物件の買取再販を手がけ、業界7年の知見で記事を監修。

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