不動産物件購入・売却

最上階は高く売れるのか|5階建てと15階建てで答えが逆になる

「最上階だから高く売れますよ」。売却の相談で、よく聞く言葉です。実際どうなのか、当社が独自に集計した成約データで測りました。

結果は、建物の高さによって答えが逆になりました。高い建物なら最上階は確かに高い。ところが5階建て以下では、最上階のほうが安く売れています。

使ったのは、2024年1月から2026年8月30日までに成約した中古マンション110,459件です。成約とは、売り出しの金額ではなく、実際に取引が成立した金額のことです。東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県の43,160棟が含まれます。

同じ建物の中だけで比べます

最上階の価値を測るとき、別の建物と比べてはいけません。タワーマンションの最上階と、古い5階建ての最上階を一緒にすると、建物の差が混ざってしまうからです。

そこで、同じ建物の中で5件以上の成約があったマンションだけを取り出しました。その建物の真ん中の㎡単価を100として、部屋ごとの単価を並べ直します。㎡単価とは、1平方メートルあたりいくらか、という数字です。

これなら立地も築年数も同じですから、残る違いは建物の中での位置だけになります。

ここまでのまとめ:同じ建物の中で、真ん中を100として比べています。

結果です。5階建て以下だけ逆になりました

建物の高さ1階中間の階最上階
5階建て以下100.7
(1,127件)
100.0
(3,101件)
95.0
(1,170件)
6〜9階建て95.7
(900件)
100.0
(5,805件)
103.1
(726件)
10〜14階建て95.9
(747件)
100.0
(12,300件)
103.8
(865件)
15階建て以上94.6
(198件)
100.0
(14,187件)
107.4
(416件)
㎡単価。同じ建物の真ん中を100とした値。同じ建物で5件以上の成約があったもの(当社が独自に集計)

下の3段は、思ったとおりの形です。1階が安く、最上階が高い。15階建て以上なら最上階は107.4ですから、同じ建物の真ん中より7.4%高いことになります。今回の集計で成約価格の真ん中は4,080万円でしたから、金額にすると約300万円です。

問題は一番上の段です。5階建て以下では、最上階が真ん中より5.0%安い。しかも1階のほうが100.7で、最上階より高いのです。

ここまでのまとめ:15階建て以上の最上階は7.4%高く、5階建て以下の最上階は5.0%安い。

なぜ低い建物では逆になるのか

この結果は、5階建て以下のマンションがどういう建物かを考えると納得できます。

今回集計した3階建てから5階建てのマンションは、築年数の真ん中が36年でした。古い低層の建物です。この高さの建物では、最上階に上がっても見晴らしは大きく変わりません。向かいの建物と同じくらいの高さだからです。

一方で、上の階には上の階の負担があります。夏に屋上からの熱が伝わりやすい。階段の上り下りが増える。買主はこうした点を値段に織り込みます。得られるものが少なく、負担だけが残る。だから安くなります。

逆に低い建物の1階は不利になりにくい。低層の建物は敷地に余裕があることが多く、庭付きの部屋も珍しくありません。実際、5階建て以下では1階のほうが最上階より高く売れています。1階が100.7、最上階が95.0です。

ここまでのまとめ:低い建物では、上に行っても見晴らしが変わらず、負担だけが残ります。

売れるまでの時間にも出ています

金額だけの話ではありません。3階建てから5階建てのマンションで、売れるまでの日数を見ます。

建物の中での位置件数売れるまでの日数
1階5,031件109日
中間の階13,558件105日
最上階4,977件116日
3〜5階建てのマンション。日数は真ん中の値(当社が独自に集計)

最上階が116日でいちばん長い。金額でも時間でも、低い建物の最上階は有利になっていません。

ここまでのまとめ:低い建物の最上階は、売れるまでの日数も一番長くなっていました。

ばらつきは大きいので、平均だけを信じないでください

ここまでは真ん中の値の話です。実際の建物ごとの差はもっと大きいものでした。

同じ建物で1階と最上階の両方が売れたマンションが1,643棟ありました。平均すると6.9階建てです。この1,643棟で最上階と1階の㎡単価を比べると、真ん中は6.3%でした。

ところが幅を見ると、下の4棟に1棟では最上階のほうが12.9%以上も安い。上の4棟に1棟では20.1%以上高い。同じ「1階と最上階」でも、建物によってまったく違う結果になります。

ですから「最上階だから何%高い」と決め打ちするのは危険です。ご自分の建物で実際に売れた部屋を見るほうが確かです。

ここまでのまとめ:建物ごとの差は大きく、最上階のほうが安い建物も4棟に1棟あります。

売るときに、どう使えばよいか

  • 15階建て以上にお住まいで最上階なら、建物の真ん中より7%ほど強気に出せます。4,080万円なら約300万円です
  • 5階建て以下の最上階なら、「最上階だから高い」という前提は外してください。数字は逆を示しています
  • 低層マンションの1階をお持ちなら、悲観しすぎる必要はありません。庭や広さがあれば上の階より高く売れています
  • 「最上階プレミアム」を根拠に高く見積もられたら、その建物の何階建てかを確かめてください

建物ごとに、どの階がいくらで売れたかはマンション棟別の相場データで確認できます。この記事の数字は、あくまで全体の傾向です。最後はご自分の建物の実際の成約と突き合わせてください。

まとめ

  • 15階建て以上の最上階は、同じ建物の真ん中より7.4%高い。4,080万円なら約300万円
  • 10〜14階建てで3.8%、6〜9階建てで3.1%。建物が低くなるほど上乗せは小さくなる
  • 5階建て以下では逆転し、最上階は真ん中より5.0%安い。売れるまでの日数も一番長い
  • 低い建物では1階が100.7で真ん中を上回る。1階が不利とはかぎらない
  • 建物ごとの差は大きい。4棟に1棟は最上階のほうが12.9%以上安かった
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