「築地市場の跡地、今どうなっているんだろう?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。かつて日本最大の魚市場として知られた築地市場が閉場してから数年が経ち、広大な跡地の再開発計画がいよいよ本格的に動き始めています。しかし、「完成はいつなのか」「どんな施設ができるのか」といった情報は断片的で、全体像がつかみにくいと感じている方も多いはずです。この記事では、東京都や中央区の公式資料をもとに、築地市場跡地の現在の状況から工事スケジュール、開業予定まで、わかりやすく整理してお伝えします。
築地市場が閉場してから今日まで

まず押さえておきたいのは、築地市場がいつ、なぜ閉場したかという経緯です。旧築地市場は、豊洲市場の開場に伴い、2018年10月10日をもって閉場しました(東京都中央卸売市場)。それまで長年にわたって東京の食文化を支えてきた市場が幕を閉じ、広大な土地が都有地として残されることになりました。
閉場後しばらくの間、跡地は解体工事が進められていました。その後、東京都はこの土地をどのように活用するかを検討し、民間事業者を公募するプロセスへと移行していきます。2024年4月には、三井不動産を代表企業とするグループ「ONE PARK×ONE TOWN」が事業者として選定され、再開発計画が一気に具体化しました。
そして2025年3月31日、東京都は事業者である「築地まちづくり株式会社(特別目的会社)」および事業者構成員との間で、本事業における当事者の役割や基本的合意事項等を定める基本協定を締結しました(東京都都市整備局)。この協定締結は、再開発が正式にスタートしたことを意味する重要なマイルストーンです。さらに同年8月には、事業者によって「築地地区まちづくり事業 基本計画」が策定・公表され、計画の全体像が明らかになりました(東京都都市整備局)。
現在の工事状況と準備の進み具合

では、2026年8月現在、跡地では実際に何が行われているのでしょうか。基本協定の締結と基本計画の公表を経て、現地では再開発に向けた準備工事が着実に進んでいます。
築地まちづくり株式会社は2025年8月22日、都有地である築地市場跡地を活用するための準備として、埋蔵文化財調査およびそれに伴う土壌汚染対策準備工事等を案内しています(築地まちづくり株式会社)。埋蔵文化財調査とは、工事着工前に地中に埋まっている歴史的な遺物や遺構を確認・記録する作業のことです。築地という土地の歴史的な背景を考えると、この調査は欠かせないプロセスといえます。
土壌汚染対策の準備工事も同時に進められています。かつて市場として長年使用されてきた土地であるため、土壌の状態を慎重に確認・対処することが、安全な再開発の前提となります。こうした地道な準備作業が、今まさに現地で行われているのが2026年時点の実態です。表立った建設工事はまだ始まっていませんが、水面下での準備は確実に前進しています。
工事スケジュールと完成時期の見通し
多くの方が最も知りたいのは、「いつ完成するのか」という点でしょう。ただし、重要なのは「完成」という言葉が示す内容によって、時期が大きく異なるという点です。公式資料を見ると、築地地区の再開発は段階的に進められる計画であることがわかります。
中央区の会議資料によると、第一期建築工事の完了は2032年度、第二期建築工事の完了は2038年度とされています(中央区)。つまり、すべての建物が完成するのは2038年度を目標としており、全体の完成まではおよそ10年以上の長期プロジェクトとなります。一方で、東京都の事業概要資料では、都の防災船着き場整備に合わせて、待合機能やにぎわい機能等の舟運利便施設等を2029年度に供給する想定が示されています(東京都都市整備局)。これは建物の「完成」ではなく、先行して一部の施設が利用できるようになるイメージです。
また、東京都の公式説明では「2030年代前半の開業を予定している」とされており、地区全体については「遅くとも2030年代前半までに地区全体を借受け」と記載されています(東京都都市整備局)。これらの情報を整理すると、2029年度に舟運関連の先行施設が登場し、2030年代前半に地区全体の本格的な開業を迎え、2032年度に第一期工事が完了、そして2038年度に第二期工事が完了するという段階的な流れが見えてきます。ただし、公式資料の中でも「完成」の定義が建物完成・部分開業・まちびらきなど揺れている部分があるため、最新情報は東京都都市整備局の公式サイトで随時ご確認いただくことをおすすめします。
不動産投資家が注目すべき周辺エリアへの影響
築地市場跡地の再開発は、単に一つの土地が生まれ変わるというだけでなく、周辺エリアの不動産市場にも大きな影響を与える可能性があります。これは不動産投資を考えている方にとって、見逃せない視点です。
一般的に、大規模な再開発プロジェクトが進む地域では、工事着工前後から周辺の地価や賃料水準が変動する傾向があるとされています。築地・勝どき・月島・晴海といった周辺エリアはもともと都心へのアクセスが良く、近年マンション開発も活発です。そこに国際的な複合施設が加わることで、エリア全体の注目度がさらに高まることが予想されます。
ただし、再開発の恩恵がどの程度・どのタイミングで周辺不動産に波及するかは、個別の物件の立地や用途によって大きく異なります。また、2038年度まで続く長期プロジェクトであるため、短期的な値上がりを期待するよりも、エリアの長期的なポテンシャルを見据えた投資判断が求められます。投資を検討する際は、最新の市場動向を専門家に相談しながら慎重に進めることが大切です。
まとめ
築地市場跡地の再開発は、2025年3月の基本協定締結を経て、現在は埋蔵文化財調査や土壌汚染対策準備工事が進む段階にあります。工事スケジュールとしては、2029年度に舟運利便施設等の先行供給、2030年代前半に地区全体の本格開業、2032年度に第一期建築工事完了、2038年度に第二期建築工事完了という流れが公式資料から読み取れます。「いつ完成するか」という問いへの答えは、何をもって完成とするかによって異なりますが、全体像が整うのは2038年度が一つの目安といえるでしょう。今後も東京都都市整備局の公式サイトを定期的にチェックして、最新情報を把握しておくことをおすすめします。
参考文献・出典
- 東京都都市整備局「築地まちづくり|都有地等をいかしたまちづくり」 — https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/machizukuri/machi_project/toshi_saisei/saisei08
- 東京都都市整備局「築地地区のまちづくりについて(事業概要資料)」 — https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/toshiseibi/pdf_bosai_toshi_saisei_data_factsheet_jp20250728
- 中央区「築地市場跡地における「築地地区まちづくり事業」について」 — https://www.city.chuo.lg.jp/documents/15751/siryou1-3.pdf
- 東京都中央卸売市場「旧築地市場の閉場について」 — https://www.spt.metro.tokyo.lg.jp/shijou/news/2018/1010.html
- 東京都都市整備局「「築地地区まちづくり事業」の基本協定締結について」 — https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/information/topics/r6/03/20250331
- 築地まちづくり株式会社「都有地(築地地区)活用に向けた準備工事のお知らせ」 — https://tsukiji-machizukuri.jp/news/250822-preparatorywork/
- 東京都都市整備局「アートコンテスト|築地まちづくりシンポジウム」 — https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/machizukuri/machi_project/toshi_saisei/saisei08/symposium/art-contest