「築地市場の跡地再開発が進んでいるらしいけれど、周辺のマンション相場はどうなっているのだろう?」そんな疑問を持つ方は、購入を検討している方にも、すでに物件を所有している方にも多いのではないでしょうか。実は築地エリアは、銀座に隣接するという地理的な優位性に加え、大規模再開発への期待感が重なり、近年とくに注目度が高まっているエリアです。この記事では、2026年8月時点の最新データをもとに、築地市場周辺の中古マンション相場の実態を詳しく解説します。価格の水準から、築年数・広さ・駅距離による価格差、さらに再開発が相場に与える影響と購入時の注意点まで、順を追ってお伝えします。
2026年の築地エリア中古マンション相場の実態

まず押さえておきたいのは、築地エリアの中古マンション価格が、東京都内でも際立って高い水準にあるという事実です。不動産情報サービスの集計によると、築地アドレスの中古マンション相場は近年上昇傾向にあります。
この数字を具体的な物件価格に置き換えてみると、イメージがつかみやすくなります。たとえば50㎡の物件であれば、単純計算で7,000万円超という水準です。複数の不動産情報サービスの集計では、築地市場駅周辺の70㎡換算平均価格は1億円を大きく超えるのが標準的な相場感となっています。
周辺駅との比較でも、築地エリアの位置づけがよくわかります。LIFULL HOME’Sの70㎡換算データでは、月島が14,287万円、勝どきが14,245万円、築地市場が14,318万円と、この3駅はほぼ横並びの水準です。一方、汐留は24,006万円と一段高く、エリアによって価格帯が大きく異なることがわかります。また、スーモの中央区全体の駅別比較では、築地駅が22,245万円、勝どき駅が21,980万円、東銀座駅が21,940万円と、築地周辺エリア全体が総じて高水準にあることが確認できます。
マンションレビューの集計では、築地エリアの平均売出価格は14,802万円(70㎡換算)、平均坪単価は699万円で、2026年7月時点で前年比プラス31.05%という大幅な上昇が記録されています。ただし、売出価格と実際の成約価格には乖離が生じることも多いため、この数値はあくまで市場の熱量を示す参考値として捉えることが大切です。
築年数・広さ・駅距離で変わる価格差

実は、築地エリアの相場を語る上で最も重要なのは、物件スペックによる価格差の大きさです。同じ「築地」というアドレスでも、築年数・専有面積・駅からの距離によって、価格は驚くほど異なります。
築年数による価格差は特に顕著です。うちの価値の実取引データによると、築10年以内の物件は177.8万円/㎡であるのに対し、築30年以上になると85.0万円/㎡まで下がります。つまり、築浅と築古では同じ面積でも単価が2倍以上異なる計算です。スーモの掲載相場でも、築5年以内の中央値が18,500万円、築20〜30年が11,099万円、築40〜50年が3,855万円と、築年数が上がるにつれて価格が大きく下落する傾向が明確に出ています。
広さによる単価の違いも見逃せません。うちの価値の実取引データでは、50〜70㎡が164.5万円/㎡、70〜100㎡が181.3万円/㎡と、ファミリー向けの広い住戸ほど坪単価が高くなる傾向があります。これは、都心の広い住戸に対する需要が供給を上回っていることを示しており、ファミリー層の都心回帰という近年のトレンドとも一致しています。
駅距離については、うちの価値のデータで徒歩5分以内が138.1万円/㎡、徒歩6〜10分が122.1万円/㎡と、駅近物件の方が高い傾向が確認できます。ただし、スーモの掲載相場では徒歩5分以内の中央値が10,980万円に対し、徒歩10〜15分が16,240万円と逆転しているケースもあります。これは、駅距離だけでなく物件のスペック差(築年数・広さ・グレード)が価格に大きく影響しているためです。駅距離だけで物件を判断するのではなく、総合的なスペックで比較することが重要です。
具体的な物件事例で見る価格帯の幅
価格帯の幅をより具体的に理解するために、実際に市場に出ている物件の事例を見てみましょう。LIFULL HOME’Sに掲載されている物件情報によると、築地エリアの価格帯は非常に広いことがわかります。
築浅・コンパクト住戸の代表例として、2018年築のルフォン築地ザ・レジデンス(40.93㎡)が9,600万円、同じく2018年築のオープンレジデンシア銀座築地(40.54㎡)が9,999万円で売り出されています。40㎡台という比較的コンパクトな住戸でも、ほぼ1億円という水準に達しているのが築地エリアの現実です。
一方、ファミリー向けの広い住戸になると価格はさらに上がります。2012年築のGREEN PARK築地(56.30㎡)は12,800万円、2000年築のサンクタス築地(44.24㎡)は8,980万円という価格帯です。マンションレビューが集計する高価格帯物件では、プレミスト東銀座築地ArcCourtの平均価格が1億6,608万円・坪単価999万円、サンクタス築地が平均1億10万円・坪単価806万円と、億超えが当たり前の世界が広がっています。
対照的に、築古の小ぶりな住戸では価格が大きく下がります。1982年築のセントラル東銀座(27.39㎡)が3,280万円、1976年築のパークハイツ築地(33.16㎡)が3,980万円という事例もあります。築地エリアへの参入を検討する際、こうした築古・小面積の物件は価格面での入口として選択肢になり得ますが、修繕積立金の状況や建物の管理状態を慎重に確認することが不可欠です。
築地市場跡地の再開発が相場に与える影響
築地エリアの相場を語る上で、跡地再開発の動向は切り離せないテーマです。東京都都市整備局の公式情報によると、築地市場跡地の再開発は2024年4月に事業予定者が決定・公表され、2025年3月に都と事業者等で基本協定を締結、2025年8月には基本計画が策定・公表されるという段階まで進んでいます(東京都都市整備局 https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/machizukuri/machi_project/toshi_saisei/saisei08)。事業方式は東京都が定期借地権を設定して貸し付ける方式で、本設整備の期間は70年間+建設期間等とされています。
この再開発への期待感は、すでに地価に織り込まれています。国土交通省の不動産情報ライブラリに掲載されている地価公示によると、築地エリアの公示地価は年ごとに上昇傾向を示しており、再開発への期待が地価評価に織り込まれていることが確認できます。さらに、鑑定評価書には「銀座エリアに隣接する地理的優位性と築地市場跡地の再開発事業の波及効果が期待される商業地域」と明記されており、再開発期待が地価評価に公式に織り込まれていることが確認できます。
ただし、再開発期待が相場に与える影響には注意が必要な側面もあります。再開発の恩恵は段階的に現れるものであり、工事期間中は騒音・振動・交通規制などの生活環境への影響も考えられます。また、再開発完了後に周辺環境が大きく変わることで、現在の生活利便性が変化する可能性もあります。期待先行で価格が上昇している局面では、冷静に実態を見極める視点が大切です。
再開発エリアの物件を買うときの注意点
再開発エリアの物件購入には、通常の物件選びとは異なる視点が求められます。重要なのは、「再開発期待」という将来の価値と、「現在の生活環境」という今の価値を、きちんと分けて考えることです。
まず確認すべきは、物件の基本スペックが価格に見合っているかどうかです。築地エリアでは再開発期待が価格に上乗せされているケースが多く、同等スペックの他エリア物件と比較したときに割高になっている可能性があります。購入前には、周辺の成約事例を複数確認し、売出価格と実際の成約価格の乖離についても不動産会社に確認することをお勧めします。
次に、築古物件を検討する場合は建物の管理状態を特に重視してください。修繕積立金の積立状況、大規模修繕の実施履歴、管理組合の運営状況などを事前に確認することが不可欠です。築地エリアでは築30年以上の物件が85.0万円/㎡という低い単価で取引されていますが、購入後に多額の修繕費用が発生するリスクも念頭に置く必要があります。
また、再開発の具体的なスケジュールや施設構成については、今後も変更が生じる可能性があります。東京都都市整備局の公式サイトで最新情報を定期的に確認し、再開発の進捗状況を把握しながら購入判断を行うことが賢明です。さらに、投資目的で購入する場合は、賃料相場や空室リスクについても個別に調査することをお勧めします。
まとめ
築地市場周辺の中古マンション相場は、2026年時点で高水準にあります。築年数・広さ・駅距離によって価格差は大きく、同じエリアでも3,000万円台から1億6,000万円超まで幅広い選択肢が存在します。そして築地市場跡地の再開発は着実に進んでおり、地価公示でも上昇が確認されるなど、再開発期待が相場を下支えしている状況です。物件を購入する際は、再開発への期待感と現在の物件価値を冷静に見極め、築年数・管理状態・生活環境の変化リスクを総合的に判断することが成功への鍵となります。まずは複数の情報源で相場感をつかみ、信頼できる不動産会社に相談することから始めてみてください。
参考文献・出典
- うちの価値 – 築地の中古マンション価格相場(2026年)https://utinokati.com/details/mansion/gakku/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD-%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%8C%BA-%E7%AF%89%E5%9C%B0/
- SUUMO – 築地市場駅(東京都)の中古マンション相場 https://suumo.jp/ms/chuko/soba/tokyo/ek_50060/
- LIFULL HOME’S – 築地市場駅(東京都)の中古マンション価格相場 https://www.homes.co.jp/mansion/chuko/tokyo/tsukijishijo_09702-st/price/
- LIFULL HOME’S – 築地市場駅(東京都)の中古マンション物件一覧 https://www.homes.co.jp/mansion/chuko/tokyo/tsukijishijo_09702-st/list/
- SUUMO – 中央区(東京都)の中古マンション相場 https://suumo.jp/ms/chuko/soba/tokyo/sc_chuo/
- マンションレビュー – 中央区築地の中古マンションランキング https://www.mansion-review.jp/mansion/town/36479.html
- 国土交通省不動産情報ライブラリ – 鑑定評価書(令和7年地価公示)中央5-42 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/landPrices_/realEstateAppraisalReport/2025/13/2025131020542.html
- 国土交通省不動産情報ライブラリ – 鑑定評価書(令和8年地価公示)中央5-42 https://www.reinfolib.mlit.go.jp/landPrices_/realEstateAppraisalReport/2026/13/2026131020542.html
- 東京都都市整備局 – 築地まちづくり https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/machizukuri/machi_project/toshi_saisei/saisei08